577:冷石:2024/05/02(木) 03:45:16 HOST:M014011193161.v4.enabler.ne.jp
エザリア・ジュールと嶋田繁太郎の憂鬱
シン・アスカプラント評議会議長の就任から1年と10か月目に入ったこの日、後世にCE時代を代表する政治家と賞されるシン・アスカの、最初のプラント評議会議長任期最後の仕事と言われる、一つの条約がむすばれることになる。
この条約はナチュラルとコーディネイターの戦争が絶滅戦争にならないため複数の武器の使用の禁止の再確認捕虜の取り扱いといった様々な条項があるが、特に画期的だったのが最後の条項である
戦争が起こった時の交渉の場として南極大陸の完全中立化、そのための領有の禁止の再確認が定められたことであった
もともと南極大陸は西暦時代からの慣習としてどの国も領有しないことになっていたが、戦争が起こった時の会談、交渉の場として中立の場となることが改めて決められたのである。これは現実主義的な外交政策によって平和を築いたアスカ議長らしい考えであると言われている。
その条約は提唱したアスカ議長とそのもとで締結に尽力したプラントの外交担当大臣であるジュール議員の功績をたたえ
「アスカ・ジュール条約」と名付けられることが決まり、各国で交渉されたジュネーブで調印された。
その晩ジュネーブで最も格式のあるホテルで調印締結の記念パーティが開かれていた。
そんな中嶋田とエザリアは現在パーティ会場から少し離れた場所にある喫煙室にいた、この時代健康意識の高まりもあって喫煙者は少数であり、このパーティに参加している面々の中で喫煙者はこの二人だけであった。
「うまくいきましたわね、秘書官」
「ええ、議員の尽力のおかげです」
この部屋はメイリンによって実際の会話の内容が漏れないようにされていたので二人は忌憚なく会話する
そう、この条約は額面通りだけでなく、本命はプラントや他の国々の反ナチュラル反コーディネイター過激派をあぶりだすための謀略でもあったのだ。
何しろ今このホテルにはナチュラルとコーディネイターの融和派の有力者のほとんどがいると言っても過言ではない
動くとしたら今だと過激派が思っても無理はない状況と言っていい。そのため嶋田派後方処理部の実動部隊である第二班をほぼ総動員して秘密裏に警戒にあたらせており、本国でもイザークに警戒すべき面々の艦紙を命じすぐ部隊を動かせるように手配してあった
「そろそろですわね」
エザリアがイヤリングを模した通信機から複数人の参加者が帰路に就いたとの連絡を受け嶋田に話しかける
「来るでしょうね、では会場に戻りましょう議員」
578:冷石:2024/05/02(木) 03:45:52 HOST:M014011193161.v4.enabler.ne.jp
2人が会場に戻り10分ほどたった時嶋田派指輪を模した通信機に口を近づけ
「いまだ、ホーク班長」
とつぶやく
その瞬間ホテルから電気が消え、ホテルの一階の一室が爆発した
次の瞬間窓ガラスが割れ数十人の完全武装の男たちが室内に乱入してきた
男たちが発砲しようとした時突如ホテルの電気が回復する
その時男たちが見たのはこちらに銃を構えた参加者たちの姿だった
「フィッシュ」
この言葉を嶋田が発した瞬間乱入した男たちの目の前でスタングレネードが炸裂した
後は消化試合である、乱入した男たちは「パーティの出席者」によって取り押さえられた
「どういうことだ」
乱入者のリーダー格の男がわめく
「君らははめられたのさ」
男を見下ろし嶋田はそう答えるそして出席者に顎を向ける
出席者はそれぞれが変装を解く
「この通り、君らのお仲間の『参列者』以外はすべて私の部下たちだったという事さ
まあ、気づかなかった自信とお仲間の無能を恨むんだね、連れていけ。
ああ、それと本国のお仲間さんたちもとっくにつかまっているよ」
連れていかれるテロリストたちを見送ると、隣に立っていたエザリアが声をかけてくる
「お見事でしたわ秘書官」
「所詮真逆の思想の持主達、自分たちを完全に掌握するのは不可能に近い
その事に気づかず、身内の統御をできなかった時点で連中の負けは決まっていたという事ですな、議員」
過激派と言え宗教的な信念をもっている人間だけではない自信が不遇であると思っているだけの不平屋といった人間は必ずいる。
さらにシンが議長に就任してエザリアと協力関係を築いたときにすでにエザリアの息のかかった議員を不平屋に接触させ不満を焚きつける。マッチポンプともいえる手で過激派の一掃をしたのだ。
嶋田は就任しエザリアと接触した時点で今日の絵図を描いていた。
「では仕事も済んだことですし、帰りましょうか議員」
スルトエザリアは微笑んで
「あら、嶋田補佐官。パーティはまだ終わっておりませんわ」
そして手を差し出す
「一曲踊っていただけませんか」
「・・・こういうのは。男性から誘うものでは?」
「よろしいではありませんか、今は誰も見ておりませんわ」
「かないませんね議員には」
「あら、こういう時は『エザリア』と呼ぶのが礼儀ですわよ」
「さすがにそれは、それに私は無粋なナチュラルですから『エザリア議員』」
「・・・今はそれでよしという事にしておきますわ『嶋田補佐官』」
そして手を取り合ったのであった
窓ガラスの割れた窓からは月光が差し込んでいた。
あとがき
とりあえず一区切りです。「二人はキュアドリ」には約移りたいがためにあっさりと終らせました
いろいろと力量不足な終わり方ですがとりあえず、次だ次w
冷石でした。
579:冷石:2024/05/02(木) 03:47:36 HOST:M014011193161.v4.enabler.ne.jp
とりあえず一区切りです
読み返すといい歳こいたおっさんの書く文章じゃないですね(苦笑)
あとがきにも書きましたが次だ次
最終更新:2025年01月26日 19:53