918:冷石:2024/05/15(水) 15:14:22 HOST:M014011193161.v4.enabler.ne.jp


   銀河憂鬱伝説   シマヅ戦記



   銀河帝国宇宙軍反乱軍迎撃軍司令部


「叛乱軍の進撃スピードが予想外に遅いな」

「ええ、想定の約半分のスピードです」

「こちらの戦略が読まれたかな」

「ならば引けばよいのだ、引けばよいとの決断を下せない時点で我々の勝利は揺るがない」

「愚劣としか言いようがありませんな」

同盟軍を嘲笑する諸提督の中浮かない表情を浮かべている提督が一人いた

「キルヒアイス、浮かない顔だな」

「いえ、納得はできてはいるのですが、辺境星域の民衆の苦労を思うと・・・」

「勝つためだ、キルヒアイス」

「わかっております。ローエングラム元帥」

「しかし、別動隊が広範な星域を荒らす艦隊があるのは気になりますな」

「我々を引きずり出すためのせめてもの小細工でしょう」

「奴らの狙いに乗る必要はない、それに結局は叛乱軍への反感を買うだけだ。放っておいてもいいだろう」

「しかしローエングラム元帥、艦隊の兵士たちから何故迎撃に向かわないのかとの意見が出ております
何らかの手を打つべきでは?」

「先走るものが出ないように注意する必要があるが、計画に変更は無いその旨を徹底させよ」

「「「はっ」」」

この時何故、迎撃に向かわなかったのかと、彼らは後悔することになる。

919:冷石:2024/05/15(水) 15:14:56 HOST:M014011193161.v4.enabler.ne.jp
   銀河帝国首都惑星オーディン 新無憂宮
想定の宙域まで同盟軍が進撃してきたことでキルヒアイスに補給船団の襲撃のための艦隊の編成をしようとしていた時に
ラインハルトは急にオーディンに来るよう勅命を受けた。この大事な時期にと内心の憤慨を隠し参内する

「ローエングラム伯、急な呼びたてすまぬな」

「いえ、そのようなことは。して一体いかような御用で」

「うむ、ローエングラム”上級大将”そなたを叛乱軍迎撃軍司令より解任し元帥号をはく奪するものとする」

「なっ」

ラインハルトは何を言っているのか一瞬頭の理解が追い付かなかった

「なにゆえです、私にどのような咎があって」

「そちの胸に聞くことじゃな。以上じゃ」

それだけ言い老皇帝は退席する。そしてリヒテンラーデ国務尚書が言葉を継ぐ

「ローエングラム子爵、そなたはしばらく自宅での謹慎を申し付ける。その程度で済んだ陛下の恩情に感謝するのだな」

ラインハルトは何が起こったか理解できなかった。なぜ自分が解任されなければならないのか、そして罪人扱いされねばならないのかを。その理由に気が付けなかったこと、自信が見下していた無能な門閥貴族を甘く見ていたことが敗因であることにラインハルトは終生気が付かなかった。


  銀河帝国軍総旗艦「ヴィルヘルミナ」

「敵艦隊、タンネンベルク宙域に入りました」

「ようやく補足したか。全艦隊全速で追撃せよ」

ミュッケンベルガーは高揚していた。あの生意気な金髪の孺子が自ら墓穴を掘り失脚してくれたことに。これであの生意気な顔を見ないで済むと。
そんな高揚した気分に水を差すものがいた

「お待ちください、元帥閣下。タンネンベルク宙域は小惑星が多く艦隊を伏せるのに向いた星域ですここは周辺に偵察艦隊を出しつつ進撃すべきです」

「その必要はない、たかが半個艦隊兵を伏せていたところで何ほどの事があろうか」

「しかし」

「くどいぞ、メルカッツ。一刻も早くあの小癪な艦隊を始末しその首を陛下に献上するのだ」


「メルカッツ提督」

「ファーレンハイト提督か、我々の艦隊だけでも進行速度を遅らせたほうがいいかもしれない」

「司令長官殿はローエングラム上級大将の轍を踏みたくないと積極策に偏りすぎです」

「何やら悪い予感がする、蟻地獄にはまったような。杞憂であってくれればよいが」


タンネンベルクの虐殺まであと数刻


あとがき
とりあえず、シマヅ戦記帝国サイドです。
ちとラインハルト旗下の面々が無能に書き過ぎましたな。
まあ、これは門閥貴族と同盟軍を甘く見過ぎて足元をすくわれたという事で
冷石でした。

920:冷石:2024/05/15(水) 15:19:43 HOST:M014011193161.v4.enabler.ne.jp
以上です。
タンネンベルク会戦前日譚は終わりです

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最終更新:2025年01月26日 20:16