大淀型軽巡洋艦
満載排水量:18,600t(建造時)
全長:208m
全幅:21.5m
機関
:IZUMO製水管缶×4基
:IZUMO式ギヤード蒸気タービン4基/4軸
推進器:スクリュープロペラ×4基
速力:最大33kt(公称)
航続距離:8,000海里
乗員:約1,560名(建造時)
兵装
:47口径152mm連装砲×6基
:50口径76mm連装砲×11基
:70口径40mm連装機関砲×14門
FRAM改修後
:47口径152mm連装砲×4基
:50口径76mm連装砲×5基
:連装ミサイル発射機×2基
:四連装艦対艦誘導弾発射筒×2基
:三連装短魚雷発射管×2基
C4ISTAR
:戦術情報兵器管制システム
電子兵装
:AS/FBR-8(対空捜索用)
:AS/FBR-10(3次元レーダー)
:TA/FBR-3(水上捜索用)
:03式砲射撃統制装置×2基(主砲用)
:00式砲射撃指揮装置×4基(76mm砲用)
:06式砲射撃指揮装置×14基(40mm機関砲用)
:TAN-5電波航法装置×1基
ソナー
:OQQ-4(探査用)
電子戦兵装
:NOLR-6(電波探知装置)
:NOLR-8( レーダー警報受信機)
:NOLQ-6 (電波探知妨害装置)
FRAM改修後
:AS/FBR-16(対空捜索レーダー)
:AS/FBR-15(3次元レーダー)
:TA/FBR-3(水上捜索用)
:18式ミサイル射撃指揮装置(SAM用)
:03式砲射撃統制装置×2基(主砲用)
:00式砲射撃指揮装置×6基(76mm砲用)
ソナー
:OQQ-8(探査用)
電子戦兵装
:NOLR-13(電波探知装置)
:NOLR-10( レーダー警報受信機)
:NOLQ-9 (電波探知妨害装置)
艦載機
:回転翼哨戒機×4機
同型艦×41隻
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660 : ホワイトベアー sage 2025/01/11(土) 23:36:09
概要
大淀型軽巡洋艦は大日本帝国海軍が運用した軽巡洋艦の艦級。
20世紀初頭より開始された帝国軍再編計画にて、阿武隈型軽巡洋艦の代艦として建造された軽巡洋艦で、防空艦としての能力を重視しつつ、威力偵察任務や戦隊旗艦としての運用も考慮し、対空・対水上用能力、指揮通信システム、各種電子兵装をバランスよく搭載、砲装型軽巡洋艦の完成形として評価されている。
一方でこれらを実現するために船体が大型化。
そのため艦体形状としては平甲板型船体を採用し、機関配置も五十嵐型に準じている。
主砲としては新規に開発された47口径8年式15.2cm両用砲を連装砲塔に収める形で前部に3基の連装砲塔を背負式に配置。
その後ろには司令塔を組み込んだ塔型艦橋が配置され、単脚式の前部マストが1本立っている。
本型の煙突は前型と同じく2本煙突で、艦橋の背後に近接して配置されていた。
後部甲板上には4番・5番・6番主砲塔を背負式に配置、艦尾部にはヘリコプター用の飛行甲板が設けられ、その下には格納庫も設置されている。
機関
本型は原型となった五十嵐型と比べても排水量が4,000トン近くまで大型化してしまい、軽巡洋艦でありながらも『筑波型重巡洋艦』に匹敵するほどの船体規模となってしまった。
しかし、駆逐艦を率いる旗艦としてや空母機動艦隊の直衛艦として駆逐艦や空母に匹敵する高い機動性が求められた。
それらを解決するため、大淀型の機関には蒸気温度510度、蒸気圧力84キロ/平方センチの高温高圧水管ボイラーを4基、主蒸気タービンとして4基のギアードタービンを搭載している。
これにより本型は最大速力33ノットという高速を発揮できる高速艦として完成した。
装備
本型は諸外国の巡洋艦を圧倒する対艦戦闘能力を有しつつ、日本海軍が次世代の主戦力と見なしていた航空戦力に対応出来るよう有力な広域防空能力を備えていた。
その一方、火砲や防空兵装にスペースを取られてしまい対艦戦闘の主兵装であった魚雷発射管は全廃された。
これは当時の日本海軍上層部が『危険な雷撃戦は航空戦力に任せればよい』と考えを転換していたためであり、本型は同時期に建造されていた村雨型駆逐艦と並んで日本海軍で航空機主兵論が主流となった象徴として捉えられている。
FRAM改修後には32ビットのプロセッサを採用した電子計算機を4基搭載することで、対外輸出用にスペックダウンしたものではない本家フルスペックの戦術情報兵器管制システムを搭載し、双方向データリンクすらも可能としたシステム艦として生まれ変わった。
センサー
新造時の『大淀型軽巡洋艦』は対空捜索用レーダーとして三菱電機製のAS/FBR-8を、3次元レーダーとしてAS/FBR-10を搭載した。
AS/FBR-8は『初雪型駆逐艦』にも搭載されていたAS/FBR-98の後継として開発されたLバンドを採用した二次元レーダーで、最大560 kmの距離で戦闘機を探知することができた。
AS/FBR-10は日本海軍で初めて艦隊配備された3次元レーダーで、三菱電機が開発したSバンドレーダーである。
探知範囲は最大でも300kmとAS/FBR-8を下回るが、高度に関しては最大で30,000 mまでを探知可能した。
水上捜索用としては東京芝浦電気株式会社が開発したCバンドレーダーであるTA/FBR-3を搭載している。
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662 : ホワイトベアー sage 2025/01/11(土) 23:37:14
兵装
大淀型は従来の軽巡洋艦と比べても防空艦としての特性が強い巡洋艦で、そうであるがゆえに設計段階から雷撃能力は省かれ、砲火力と対空火力が重視されていた。
主砲には従来海軍が採用していた47口径82年式152mm三連装砲に代わり、新たに開発された47口径93式152mm両用砲を連装砲塔に収める形で前部甲板に3基、後部甲板に背負式にも3基の計6基12門を搭載。
この砲は自動装填装置を搭載することで初めて対空・対水上射撃の両立が可能となった152mm自動砲で、1門あたり毎分12発の152mm砲弾を敵に叩き込むことができる。
対空砲としては毎分45発を発射可能な50口径98年式76mm速射砲を連装砲塔に収める形で各舷に5基ずつ、船首に1基の計11基22門搭載している。
また、これとは別に近接防空火器として、70口径40mm連装機関砲各舷に7基ずつ計14基28門搭載し、ハリネズミと形容される圧倒的な砲火力を備えている。
これらの砲熕を統制する砲射撃指揮装置(GFCS)には155mm砲用に主方位盤としてコンピュータを使用し、レーダー照準・自動追尾が可能な03式砲射撃統制装置が、副方位盤兼76mm砲用の主方位盤として00式砲射撃指揮装置が搭載された。
各対空機関砲には盲目射撃も可能とする06式砲射撃指揮装置が搭載されていた。
対潜能力に関しては三連装短魚雷発射管を2基搭載するなど本当に最低限のみとなっており、さらに自前のソナーも旧式のOQQ-4を搭載するのみである。
これは本型は戦隊旗艦や機動艦隊の直衛艦として、駆逐艦や巡防艦を率いて戦うことが前提としていたためで、対潜戦闘はこれら中小型高速艦や対潜航空機に任せるべしという割切りのもとで設計されたためである。
艦隊再建近代化改修
本型は帝国海軍でももっとも有力な装備を有する砲装型巡洋艦の一つとして挙げられる艦であったが、日本海軍が世界大戦で見せたミサイル艦の存在により始まったミサイル化の流れによって陳腐化が目立ち始めた。
しかし、当時の日本海軍は世界大戦終結後の軍縮機運によって予算削減もあって、新造ミサイル巡洋艦を短期間のうちに多数建造することは困難だった。
一方で諸外国では緩やかながらミサイル艦を整備する流れが加速しており、これらのことから日本海軍では戦力維持のため比較的新しい『大淀型巡洋艦』に対しての大規模な装備の近代化が計画された。
FRAM改装では152mm連装砲を2基と50口径76mm連装砲6基、全40mm連装機関砲がが撤去された。
変わって艦隊防空ミサイルである19式艦隊防空ミサイルに対応した連装ミサイル発射機およびミサイル用の射撃管制装置、四連装艦対艦誘導弾発射筒などのミサイル兵装が装備された。
レーダーやソナーも最新のものに置き換えられ、日本海軍初のデジタル式武器管制システムである戦術情報兵器管制システムや電子戦兵装であるNOLR-13、NOLR-10、NOLQ-9 が新たに搭載されるなどFRAM改修では電子兵装の最新も行われた。
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663 : ホワイトベアー sage 2025/01/11(土) 23:38:02
同型艦
1番艦:大淀
2番艦:酒匂
3番艦:花宗
4番艦:利根
5番艦:那珂
6番艦:藤井
7番艦:飯沼
8番艦:五行
9番艦:大谷
10番艦:恋瀬
11番艦:群別
12番艦:浜益
13番艦:望来
14番艦:シンダー
15番艦:タナナ
16番艦:ユーコン
17番艦:追良瀬
18番艦:ナクネク
19番艦:高瀬
20番艦:鳴瀬
21番艦:大倉
22番艦:斉勝
23番艦:白沢
24番艦:黒沢
25番艦:藤琴
26番艦:阿仁
27番艦:岩瀬
28番艦:水沢
29番艦:丹生
30番艦:広瀬
31番艦:久慈
32番艦:吾妻
33番艦:横瀬
34番艦:日野沢
35番艦:吉野
36番艦:市野
37番艦:白神
38番艦:皇山
39番艦:柳瀬
40番艦:倉松
41番艦:綾瀬
運用
本級は1910年代から1950年代にかけて、日本海軍の空母機動艦隊や水上打撃部隊において護衛兵力の一翼をなし、世界大戦初期には『大淀』『酒匂』『花宗』の大淀型3隻が、村雨型駆逐艦8隻、初雪型駆逐艦12隻と共に、英仏海軍が封鎖するアドリア海を突破してオーストリア・ハンガリー帝国に向かう輸送船団の護衛任務を担当。
第4次ヘルゴラント島海戦では『大淀』を旗艦に『大谷』『恋瀬』『群別』『浜益』からなる第23巡洋戦隊と村雨型駆逐艦12隻を主力とする第2-7任務部隊が参加、大発射速度・長射程の47口径152mm連装砲6基12門による圧倒的な砲火力で、本来なら格上であるはずのドイツ帝国海軍装甲巡洋艦『ブリュッヒャー』『グナイゼナウ』を中核に軽巡洋艦1隻、駆逐艦6隻からなるドイツ帝国海軍快速部隊を撃退するなどの戦果を上げた。
1920年代になると周辺諸国の軍備近代化と後継たる利根型ミサイル巡洋艦の建造スピードが抑制されたことで、状態がよかった26隻にFRAM改修が行われ、艦隊防空ミサイルを備えた有力な広域防空能力として各序数艦隊に配備された。
FRAM改修が施された本型は、その全艦が最上型ミサイル巡洋艦と共に利根型ミサイル巡洋艦の配備が先送りされた大西洋艦隊および地中海艦隊に配備される。
1939年から40年代におきた冬戦争において、フィンランド側の援軍として派遣された2個空母打撃部隊と1個水上打撃部隊の護衛艦として派遣されたが、同戦争においてソ連が実施したミサイル飽和攻撃に対応できず、1度の海戦で4隻の本型と6隻の村雨型駆逐艦を喪失してしまう。
後に日本海軍暗黒の日とも呼ばれるこの大事件は、従来式の艦隊防空システムの能力不足をこれ以上なく明確化。日本海軍に大きな衝撃を与えた。
そのため、日本本国ではVLSを備えた利根型ミサイル巡洋艦の大量産が認められ、利根型ミサイル巡洋艦の就役と合わせて本級は順次運用を終了し、1945年までに全艦が退役した。
なお、退役した本艦であるが、1番艦『大淀』と『酒匂』は就役から退役までの33年間最前線で戦い抜いた功績から横須賀にて記念艦として保存され、愛宕型巡洋戦艦と共に横須賀海軍博物館の一翼を担っている。
また、16番艦である『ユーコン』も記念艦となったが、こちらはアラスカ県の県庁所在地でもあるアンカレッジ市にて保存されている。
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664 : ホワイトベアー sage 2025/01/11(土) 23:40:15
以上、日米枢軸日本における和製ウースター級こと大淀型巡洋艦でした。
ちなみに前型である五十嵐型巡洋艦ですが、モデルはクリーブランド級やブルックリン級ではなく軽巡洋艦時代の最上型となっております。
最終更新:2025年02月11日 22:30