ジャベリン級駆逐艦
満載排水量:4,200トン
全長:130m
全幅:14.33 m
乗員:212名
機関
ボイラー:アドミラルティ式3胴型水管ボイラー×2基
主機:衝動反動式蒸気タービン×4基
推進器:パーソンズ式オール・ギヤード・タービン×2軸
推進器:スクリュープロペラ×2基
最大速力:32ノット
航続距離:4,300海里/20ノット
共通兵装
:55口径114 mm単装速射砲×1基
:85口径20mm機関砲×2基
:GWS.24 シーハウンド短SAM 8連装発射機×1基
:MM88SSM 4連装発射筒×2基
:STWS-1 3連装短魚雷発射管×2基
防空型兵装
:GWS.20 シーアロウ長距離SAM連装発射機×1基
対潜型兵装
:シーランスSUM 8連装発射機×1基
C4ISTAR
:CATDS
レーダー
:400型三次元レーダー ×1基
:240型水上捜索用レーダー×1基
:261型航法用レーダー ×1基
:200型目標捕捉用レーダー×2基
(防空型のみ)
:240型目標捕捉用レーダー×1基
:206型射撃管制レーダー ×1基
ソナー
:124型船底装備式ソナー×1基
:164型戦術曳航ソナー×1基
電子戦・対抗手段
:UAA-1電波探知装置
:670型電波妨害装置
:コーバス8連装デコイ発射機×2基
:182型対魚雷デコイ装置
搭載機
:ホーネットHAS対潜ヘリコプター×1機
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407 : ホワイトベアー sage 2024/12/12(木) 22:07:20
概要
ジャベリン型駆逐艦は、イギリス海軍が建造した駆逐艦の艦級。
陳腐化が著しかったアドミラリティM級駆逐艦(史実夕雲型)、R級駆逐艦(史実秋月型)、V/W級駆逐艦(史実島風型駆逐艦)を置き換えることを目的に、1936年度海軍計画より建造が開始され、対潜型・防空型合わせて計96隻が建造された。
本艦はイギリス海軍が戦後初めて建造した本格的なヘリコプターを艦載可能な艦隊型駆逐艦で、戦後の予算不足を理由に少しでも調達コストを削減しようと基本設計を共通しつつ、SUMを主兵装とする対潜型と、長距離SAMを主兵装とする防空型の二種類が設計された。
イギリス海軍では初めて設計段階からシステム化が前提とされた駆逐艦でありながら、優れたバランスの良さと比較的安価な調達コストから、近代化改修や延命改修を施されつつ冷戦半ばの1970年代まで運用が続けられていた。
また、同時に本級はイギリス連邦加盟国にも広く供与・販売されており、2014年に南アフリカ海軍の『ジュビラント』が退役したことでようやく全艦が除籍。70年間以上の長距離間に渡る活躍の幕を閉じた。
来歴
イギリス海軍は、世界大戦時に日本海軍が世界に見せつけた新世代艦に対抗するべく、1920年代より独自の戦術情報処理装置や艦対艦ミサイルの研究開発に着手した。
しかし、当時のイギリスの技術力ではこれらを早期に単独で実用化することは不可能であった。
海軍造船局局長ユースタス・ダインコートはその立場から誰よりも自国の限界を把握しており、不本意ながら自国よりも進んだ日本の技術力を学ぶべく、日本に新造艦の設計と技術提供を依頼することを提言する。
幸いにして当時のイギリスと日本の関係は準同盟国と言っても過言でないほど親密で、さらにイギリスの求める水準は既に陳腐化著しい技術で達成できるものであったため、帝国議会はこれを了承した。
1922年より三菱とIZUMOの協力を受けたイギリス海軍は、新型駆逐艦のプロトタイプとして、初のシステム艦である試作防空駆逐艦アマゾンおよび試作対潜駆逐艦アンバスケイドの建造に着手する。
技術獲得目的ゆえに日本企業監督の下にで設計や建造が行われたため、大したトラブルも起きず、1926年には両艦共に就役する。
当然これらの経験を下に、本格的に艦隊のワークホースたる艦隊駆逐艦の量産も検討される。
しかし、当時は世界大戦終結や国連の発足によって世界的な軍縮の流れが強い時代で、1921年にワシントン海軍軍縮条約が締結されると、イギリス政府は軍事予算の大幅な削減を決定した。
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408 : ホワイトベアー sage 2024/12/12(木) 22:07:52
そうした流れにあって、世界大戦時に日本海軍やアメリカ海軍が投入した強力な戦艦群や空母群に対抗できる戦力を構築する必要があるイギリス海軍は、なけなしの予算を18インチ砲戦艦やジェット機を運用可能な大型空母、それらを護衛するための高速艦隊護衛艦及び対潜水艦能力と航続距離を重視した長距離船団護衛艦の整備につぎ込まざるを得なくなった。
煽りを食らったのが艦隊のワークホースたる巡洋艦や艦隊型駆逐艦の整備であった。
予算の制限から1920年代には艦隊型駆逐艦の建造は行われず、世界大戦終結後もしばらくの間、イギリス海軍はM級駆逐艦(史実夕雲型)85隻、R級駆逐艦(史実秋月型)62隻、V/W級駆逐艦(史実島風型)67隻、S級駆逐艦(史実丁型駆逐艦)67隻など大戦時に整備された駆逐艦群を艦隊型駆逐艦として使わざるをえなかった。
一応これらの駆逐艦群は、日本海軍の艦隊再建近代化計画に範をとった近代化改修が施され、装備の更新強化が図られてはいた。
ただそうは言っても、所詮は大戦前と大戦時に建造された砲装型駆逐艦である。
1930年代前には船の使用年数や装備の陳腐化は隠せないレベルまで達していた。
さらにフランスやドイツ帝国、イタリア、オーストリア・ハンガリー帝国など周辺諸国での海軍の近代化や、日本や
アメリカなどライバル国の戦力も考慮すると、相対的な任務遂行能力は低下する一方である。
1930年代に入ると、国際的な安全保障環境や軍事バランスの変化に対応するため、大戦型駆逐艦の代艦として新世代の艦隊型駆逐艦を建造する方針がイギリス内で検討され始める。
とくにイギリス海軍は当事者であるが故に強い危機感を抱いており、第一海軍卿フレデリック・フィールドの指示の下、将来艦隊計画作業部会を設置し、独自に兵力整備コンセプトの抜本的な見直しに着手していた。
同部会では戦術情報処理装置と艦対艦ミサイル、SAMを搭載した3,600トン級艦隊型駆逐艦や、戦術情報処理装置と短SAM、SUMを搭載した3,500トン級艦隊型駆逐艦など様々な案が計画された。
その後、研究や検討を重ねることで排水量を削減していき、最終的には3,100トン級駆逐艦まで船体規模が削減された。
この規模であっても世界恐慌に伴い、財政状況の大幅な悪化を余儀なくしていたイギリス政府内部から大きな反発を招くが、しかし、海運によって繁栄を築き上げてきたイギリスにとって、シーレーンを護る艦隊型駆逐艦の質的な水準の確保をはかるために最終的に海軍の方針は承認された。
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409 : ホワイトベアー sage 2024/12/12(木) 22:08:34
設計
ジャベリン級駆逐艦はアンバスケイドの設計を下に、船型としては2層の全通甲板を備えた遮浪甲板型を基本的には採用している。
しかし、作業甲板の確保の都合からヘリコプター甲板のみ艦尾を一部切り欠く形となっているため、書籍や資料によっては長船首楼型とされることもある。
船体規模は従来の駆逐艦を一回り上回るもので、船体負荷の増加に対応するため鋼材にはSTS高張力鋼を使用している。
上部構造物は大型のCICを収容する必要上3層構造とされている。
さらに広大なイギリスのシーレーンを護る駆逐艦として、長期間の間外洋での活動を円滑に行えるよう、居住性の向上と各種物品倉庫を大型化を目的として、艦橋から煙突、後部に備えたヘリコプター格納庫まで艦の前後にわたってほぼ一体化されている。
上部構造物の大型化が図られている一方で、軽量化のためにアルミニウム合金が多用されている。
対潜戦のパッシブ化に対応するため水中放射雑音の低減措置が講じられているほか、アクティブ探査能力を向上するために艦首底にソナーを収めた大型のバウ・ドームが設置されている。
さらに対潜能力の向上を図るためにヘリコプターの本格的な艦載化に伴い格納庫やヘリコプター甲板が設置されている他、フィンスタビライザーやスライディング・パッドアイなどの新装備も多く導入された。
これら新装備は当初は日本のIZUMO社で製造されたものを輸入していたが、8番艦「ジュピター」以降はヴォスパー社でライセンス生産したものへと移行した。
機関
主機関としては従来式のボイラー、蒸気タービン方式を採用しており、主ボイラーにはアドミラルティ式3胴型水管ボイラー(圧力40 kgf/cm2 (570 lbf/in2)、温度450 °C (842 °F))を搭載する。
主機としてはIZOM製の30,000馬力級の衝動反動式3胴型蒸気タービンを採用している。
機関配置としては艦首側から前部缶室・前部機械室・後部缶室・後部機械室が並ぶシフト配置とされ、ボイラー2基とタービン1基をセットとして、2軸のスクリューを駆動するため2組を搭載した。
システム艦化に伴いこれまでの艦艇よりも使用電力が遥かに多くなった。
これを賄うべく、ジャベリン級では主発電機として1,500キロワット級の発電力を誇る蒸気タービン発電機を2基、600キロワット級ディーゼル発電機2基を搭載する。
また、これとは別に非常用発電機として300キロワット級のディーゼル非常発電機を2基装備する。
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410 : ホワイトベアー sage 2024/12/12(木) 22:09:06
装備
本級ではアマゾン及びアンバスケイドにて導入された戦術情報兵器管制システム(Tactical Data Automation Weapons System)を独自に改修したCATDS(Computer Assisted Tactical Data System)を装備している。
これはコストの問題からフルスペックのTDAWSに比べて性能を落とした「簡易型」と言うべきものではあったが、従来艦に搭載されていたCDSおよびDPTを統合し、さらにミサイルや火砲の射撃管制機能や対潜兵器の攻撃指揮機能を統合していた。
電子計算機としては三菱電機が開発した中型コンピューターであるMCQ−13電子計算機(メモリサイズ64キロワード)のライセンス生産型であるエリオット130Eを2基、コンソールとしてはMCA-16を6基搭載している。
18番艦以降はMCQ−13のメモリサイズを96キロワードまで拡張するとともに、通信処理能力が向上されデータリンクを送受信可能とした。
兵装
対空レーダーとしては、日本のAS/FBR-11シリーズの最終バージョンであるAS/FBR-11Gの独自発展型の400型三次元レーダーを装備している。
これは個艦防空ミサイルであるGWS.24 シーハウンドは勿論、防空型に装備されているGWS.20 シーアロウの性能も考慮して装備が決定された。
対空兵器としては対潜型、防空型共にGWS.24 シーハウンド個艦防空ミサイルを採用している。
ミサイル発射機はシーランスSUM用に開発した8連装発射機を流用したものを採用し、射撃指揮装置としては短SAM用の240型目標捕捉用レーダーを1基する。
対艦ミサイル対策には日本の多銃身30mm機関砲をモデルに開発した85口径20mm機関砲を艦の前後に2基装備している。
防空型はこれに加えて、艦橋直前にGWS.20 シーアロウ長距離SAMの2連装発射機を装備し、シーアロウの射撃指揮を行う200型目標捕捉用レーダーは前後の上部構造物上に搭載された。
ミサイル発射機の弾庫容量は40発となっている。
ソナーとしては、124型船底装備式ソナーをバウ・ドームに収容して搭載した。
これは王立海軍工廠が独自に開発した低周波アクティブソナーで、性能的には日本海軍の対潜フリゲートに搭載されているOQQ-13に匹敵する。
また、20番艦以降には164型戦術曳航ソナーを艦尾に搭載された。
防空型・対潜型に共通する対潜兵装としては艦中部両舷にSTWS-1 3連装短魚雷発射管を搭載している。
しかし、これは近年高性能化する潜水艦を相手にするにはお守り程度の期待しかできず、防空型は対潜能力を搭載する対潜ヘリコプターに依存している。
対潜型に関しては艦橋直前にGWS.20ではなく、シーランスSUM用の八連装箱型発射機を搭載した。
対潜型はリバー級対潜フリゲートと同様に機力による次発装填装置を備えており、艦橋構造物内の予備弾庫から直接に再装填すること可能とした。
主砲としてはイギリス海軍伝統の55口径114 mm砲を単装砲として装備しているが、ジャベリン級では自動装填装置を備えた速射砲として設計されている。
艦橋構造物上には主砲用の206型射撃管制レーダーが設置されている。
本級はイギリス海軍の本格的な量産駆逐艦としては初めて対艦ミサイルを装備して知られており、MM88SSMを4連装の発射筒に収め、艦中央部の煙突脇に搭載している。
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411 : ホワイトベアー sage 2024/12/12(木) 22:09:38
艦載機
本級はアンバスケイドの建造と運用で得られたノウハウを下に、本格的なヘリコプター運用能力を付与されている。
艦載機は日本製のSH-12をライセンス生産したホーネットHAS対潜ヘリコプターを1機搭載していた。
しかし、格納庫やヘリコプター甲板にを大きめに設計し、ヘリコプター運用支援設備を装備するなど、艦載機の大型化を見越して余裕を持った設計されている。
運用
1936年から1946年の10年間の間で96隻が建造されるという大英帝国の底力を発揮した艦艇で、これは世界大戦後のイギリス海軍が建造した駆逐艦でも最大数であった。
建造されたJ級は本国艦隊・北大西洋艦隊・地中海艦隊・インド洋艦隊・東洋艦隊の順に配備が行われた。
また、イギリス海軍向けの96隻とは別に、オーストラリア海軍向けに12隻、ニュージーランド向けに6隻、カナダ海軍向けに10隻、南アフリカ向けに6隻が建造され、各ドミニオン海軍でもワークホースとして運用された。
1946年に計画された全艦が就役するが、当時は日本海軍が利根型巡洋艦や秋月型駆逐艦に代表されるをイージスシステム搭載艦を“大量産”中であった。
これに対抗するにはJ級駆逐艦の能力は些か不足していたため、イギリス海軍は休むことなく次世代艦隊型駆逐艦であるデアリング級駆逐艦の整備を取り掛かる。
同級が就役しFleetsに配備されるに伴い、J級駆逐艦は二線級戦力として各地のStationsに配備されていった。
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412 : ホワイトベアー sage 2024/12/12(木) 22:11:19
以上、戦間期から冷戦初期にかけてイギリス海軍の主力汎用駆逐艦となるJ級駆逐艦
シリーズの紹介でした!。
ちなみモデルとなった船ははつゆき型護衛艦、21型フリゲート、ノックス級フリゲート、ガーシア級フリゲート、ブルック級フリゲートとなっております。
最終更新:2025年02月11日 22:38