285:earth:2024/04/29(月) 01:28:27 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
ネタSS予告
「弊社は悪の秘密結社です!」
西暦20XX年。
地球人類は存亡の危機の最中にあった。
突然、世界各地に人類に敵対的かつ強大な戦力を有する異形の化け物が出現したのだ。
大きく3つに分けられるその化け物達の侵攻の前に、人類は当初後退を続けるしかなかった。
勿論、追い詰められたユーラシア諸国の中には核兵器を使用した国もあったが・・・・・・それは根本的な解決にならず、ただの時間稼ぎでしかなかった。
幸いなのは、化け物達自身が時折内ゲバすることだけだろう。
だがそれでもこのままでは人類の敗北は避けられないというのが大筋の予想だった。
そう、これまでは「妄想の産物」、「現実では何の役にも立たない」とさえ言われた所属不明の二足歩行型ロボットを運用する謎の勢力が出現するまでは。
東シナ海上空では出現した化け物達相手に日中米の即席の連合軍が苦戦を強いられていた。
「ダメだ! こちらのミサイルは通用しない!」
「敵はどこだ?!」
戦闘機の搭乗員たちは、何とか目の前を飛んでいる筈のデルタ翼を持つ黒い機体を打ち落とそうとするが・・・・・・ミサイルはそれらを「すり抜けていく」。
そして突然、何もないはずの方向から襲い来る光線によって、次々に自機ごと火球と化していく。
まるで実態のない亡霊と戦っているようにさえ思える光景だった。
艦隊も黙っているわけではなくありったけの対空兵装で応戦するが・・・・・・結果はどれも同じ。大抵はすり抜けていく。
デルタ翼をもつ飛行物体の後ろに布陣する『全翼機のような超大型飛行物体』に至っては、ミサイルの大半をバリアのようなもので容易に撥ねのける。
そして・・・・・・一瞬の後に赤い光線を持って艦隊を次々に焼き払った。
一瞬にして艦隊の1/3が壊滅。
米中の空母はともに火を噴いて傾いていき、沈没は時間の問題となる。
そんな絶望的な戦況の中、第一撃から生き残った海上自衛隊のイージス艦の1隻が、接近しつつある機影を捕らえた。
「!? 彼らです!」
この声に安堵と、そして僅かな苛立ちが戦闘指揮所にあふれた。
「・・・・・・助かった、というべきか」
艦長の言葉に副長が渋い顔をする。
「・・・・・・おそらく。ですが」
「彼らがもっと協力的だったら、か」
「ええ。彼らの戦力と技術が公開されれば・・・・・・今回の犠牲もなかった。いや、他の戦いでも」
「・・・・・・」
「天御門」・・・・・・それが調査、接触の結果、明らかになったかの勢力の名前。
その名前から日本との関連を疑われる勢力が運用する人型兵器は、信じがたいほどに空を飛んでこの場に駆けつけ・・・・・・まるでアニメの中から飛び出てきたような
威力の光線兵器によって、自分達が苦戦していた黒い飛行物体を駆逐していく。
「・・・・・・副長、敵はレーダーだけでなく、視覚すら誤魔化しているようだな」
「そしてそれを容易に突破する天御門の技術は恐るべきものです」
「うむ・・・・・・情報収集を怠るな」
艦隊の誰もが、攻守を瞬く間に逆転したかのように敵を駆逐していく人型兵器に目を向ける。
もしもかの機体を詳しく知るものがいれば、こう言っただろう。
「なんでフリーダムガンダムがここにいるの?」と。
286:earth:2024/04/29(月) 01:29:05 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
東シナ海での戦闘が終了したが、その情報を誰よりも早く把握している者は地球ではなく、宇宙、それも月の裏側にいた。
「やっぱり、手ひどくやられたか」
白を基調とする軍服を思わせる制服をまとう、20代と思わしき黒髪の若者は嘆息する。
この場を見る第三者がいれば「なぜにネルフの司令室?」と突っ込まんばかりに類似した構造を持つ司令室、その中で最も高い位置にある座席にすわる若者は
頭を振りつつ右後ろを見る。
「どう思う?」
その問いかけに答えたのは・・・・・・座席に座る男と全く同じ顔を持つ白髪の男だった。
「どうもこうも、予想されていたことだろう。ザイの能力を獲得したネウロイ相手に勝てるか。自分に聞くなよ」
「経験の差で多少は答えに差があることを期待したのさ」
「・・・・・・俺たちは皆、駒井直治なんだぜ。同じ顔だと見分けが付かないから髪の色で見分けが付くようにしているけど、この状況なら答えは一つだろう。ブラック」
「やれやれ髪の色で見分けるとかアニメだな・・・・・・おまけにあまたの世界で倒されるべき悪役、黒幕を強いられ、今回は開き直って世界征服を目指したら、こうなるとは」
黒髪の、ブラックと呼ばれた男は苦笑い気味だった。
駒井直治と呼ばれる男、それはあまたの世界において、世界の敵と呼ばれる悪役、黒幕・・・・・・とされてきた。
実態は、最初からそんな悪行をなそうとしたわけではなかったのだが、まるで世界の修正力を受けたかのように、悪役とされ、正義の味方に倒される役回りとなった。
彼を倒した末に世界は平和となる・・・・・・・ハッピーエンドを迎えるための舞台装置のように無数の世界で扱われ・・・・・・ついに彼は切れた。
「ならば最初から世界を征服するために動いてやる!」
無限の転生、悪役、黒幕生活で得たチート能力を活かし、四半世紀以上をかけて着々と準備を続け、今世界を騒がしている秘密結社「天御門」を作り上げたのだ。
これまで裏切られた経験から幹部は駒井直治のクローンで占められている。
そして彼らの脳は特殊なネットワークによって接続され、俗に言う脳内会議さえ開催可能になるだけでなく、各個体が得た経験、知識を統合して運用することが出来るのだ。
作られた後、独自に得た経験によって多少の判断に差があるが、その差異も重要であるというのが駒井直治のスタンスだった。
こうやって幹部を「自分」で占めつつ、多くの戦力を作り上げた。
東シナ海に送り込んだフリーダムも、外見はフリーダムだが、中身は全くの別物でしかない。いや、外見を趣味でフリーダムに寄せただけの別物といったほうが良いだろう。
尤も、趣味と浪漫を爆発させた軍団を作り上げ、「いざ世界征服!」と動こうとした頃に、世界に本当の意味で人類の敵が出現することになった。
「BETA、ネウロイ、幻獣・・・・・・よりにもよって三種類全部来なくても」
「サイヤ人みたいなイカレた連中がこないだけマシだろう」
「そうだな・・・・・・ホワイト、本当にいないよな?」
「多分な。オペレータ01、調査結果は?」
一段下のゴーグルをつけたオペレータの回答は今日も「否」であった。
「まぁそれは幸いと言えるが・・・・・・本当、どうするかね」
「ははは。日本政府代表は頭が痛いだろうな」
天御門との関係を疑われている日本政府の苦しい会見がモニターの右側に映し出される。
「・・・・・・俺たちは悪の秘密結社なんだけどね」
今日も世界征服をする前に、世界を守ることを余儀なくされた男達の溜息が月面基地・紫庭の司令室にこぼれた。
287:earth:2024/04/29(月) 01:30:12 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
あくまでネタSSです。
続編やるかは不明です。
とりあえず、関係を疑われた日本政府に合唱。
最終更新:2025年02月11日 22:44