394:earth:2024/04/30(火) 10:11:21 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
「弊社は悪の秘密結社です」 4話
月面基地の建造ドックは大急ぎでマゼラン・ヤマト仕様、通称・宇治級突撃砲艦6隻を同時建造し始めた。
しかし建造を進めるのは突撃砲艦だけではなく、宇宙での大規模な攻勢作戦に備えて護衛艦、空母の建造も急ピッチで進んだ。
ドックの様子を一望できる場所に立っていたブラックは少し息を吐いて、後ろにいる造船ドックの責任者(人造人間もとい怪人)に尋ねた。
「宇治、嵯峨、橋立、伏見、隅田、須磨の合計6隻。これに護衛のためとはいえ、サラミス級もとい、夕雲級護衛艦を建造しているが、何か問題は?」
「資材供給が予定よりやや遅れがちです。直近の計画に影響はないですが、ザムサザーなど大型MAの前線での運用のため、アガメムノン級宇宙母艦もとい、
大鷹級宇宙母艦の建造もです。こちらは4隻を建造が本格化すれば、影響が懸念されます」
背広を着たウェアウルフ(男性)の回答にブラックは溜息をつく。
「大規模な輸送船団を編制すると、現地人に気づかれるリスクがあるが・・・・・・手を考えるか」
前線でザムサザーなど大型MAを運用するためには、大鷹級も必要だった。
本来はコロンブス級ベースの補助空母でお茶を濁したかったが、脅威が未知数である以上、それなりの性能の艦が必要と彼は判断したのだ。
尤も従来の世界征服計画では大気圏と宇宙の両方で使える両用部隊を主力としていたが、ここに至っては大気圏内での運用を廃した艦隊を整備する
ことになっている。
「・・・・・・パイロットとなる生体ユニットの生産が追いつかないな」
ラムダドライバ運用にはどうしても人間が必要だった。
人工知能で代替えしようと試みたが、現状ではまだうまくいっていない。それでも人造人間ベースの生体ユニットで何とか出来ているのは彼の努力のたまものだった。
(或いは・・・・・・)
コストを抑えようとすれば、クローンを量産し、その頭部のみを載せるという選択肢もあった。だがそすがにその選択肢はとれなかった。
かつて自分がされそうになったことを他人に強いることは、彼には『まだ』出来なかったのだ。
(・・・・・・っ、私が生み出すものは、所詮は贋作。奇跡は起こせないか)
糾弾された過去のトラウマが脳裏によぎり、一瞬だけ顔をしかめた後、彼は気分を切り替えた。
「では引き続き頼む」
「はい」
しかし天御門が宇宙艦隊整備のための資源採掘を活発化させたことに反応したかのように、幻獣側も動く。
駒井がかつて別の世界で沈めた記憶があるジオン系列の艦艇と融合したかに見える幻獣たちが、天御門側の偵察艦隊や資源輸送部隊に対し襲撃を開始。
衛星軌道でも幻獣の活動が活発化するに至り、ついに戦場は地上だけでなく、宇宙にも本格的に拡大。
ここまでくれば秘匿も何もなく、天御門の宇宙艦隊、かつてはまだSF上の産物と言われた存在の実在と、その戦闘力を人類が認識することになる。
395:earth:2024/04/30(火) 10:14:05 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
アガメムノン級も登場(大規模なMA運用のため)。
ただし主人公側が(それなりに)派手に動き始めた結果、宇宙でのバトルも本格化。
地球近傍全域が戦場になります・・・・・・人類に逃げ場無し。
最終更新:2025年02月12日 22:17