438:earth:2024/04/30(火) 21:11:48 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
「弊社は悪の秘密結社です」 4話 おまけ
造船所の視察を終えて司令室に戻ろうと廊下を歩いていたブラックに、副司令のホワイトが後ろから声を掛ける。
「やれやれ面倒だな」
ブラックは振り返りもせずに応えた。
「仕方ない。無知は死を招く。多少のコストを掛けてでも探るべきだろう。セプテントリオンは確認されていない。
異世界からの介入の可能性も低いとなれば・・・・・・あの黒い月はなんだ? 太陽系にBETAの巣はなかった。なのに突然、何かと入れ替わるようにBETAは
いくつかのハイヴと共に出現した。ネウロイ共もだ」
「我々はあの忌々しいG弾を技術獲得のために試験的に作ったが、起爆したことはない。ならば影響はない筈」
「或いはこの世界に近い場所で、誰かがG弾かそれに近い兵器を盛大に起爆させたか・・・・・・迷惑なことだが」
だがブラックは更に深刻そうな顔をする。
「何より気になるのは、私がなぜ、ここに送り込まれたか」
「・・・・・・」
「私は倒されることでハッピーエンドで物語を終わらせる舞台装置。神に愛された主人公の壁として立ち塞がることで、主人公を成長させ、神が好むような
栄光と救済を与えるための贄にすぎなかった」
脳裏に過るのは悪夢のような日々。
かつて共に戦った仲間と決別を余儀なくされた。隠匿していてもなぜかその力を目につけられ、利用され、最期は全ての元凶扱いになった。
「運命とやらは今度も同じ結末を望むか・・・・・・それを知るためには動かなければならない」
「・・・・・・動かなければ、運命は英雄を地球人の中から用意すると?」
「場合によってはあの化け物共を呼び込んだ原因扱いにされるだろうな」
地上の世論を知るホワイトは否定しなかった。その手の陰謀論はすでにいくつかあったのだ。
「そしてそのとき、我々を倒せる手段が再び異世界から現れたら・・・・・・」
「・・・・・・」
「運命の神とやらは英雄に最大限の依怙贔屓をすることを嫌というほど学んだ。そして私を当て馬にするのを好むのも。だからこそ備えねばならない」
439:earth:2024/04/30(火) 21:13:27 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
主人公の内心を少し描写。
散々な目に遭っているので知らない現象があったら探らずにはいられない感じですね。
最終更新:2025年02月12日 22:20