銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその一一九


ゲート世界、イゼイラ…そこでもゲート日本の状況は映っていた。
その首都サントイゼイラにあるイゼイラタワーの一室、そこでは息も絶え絶えな二人の男性が居た。
ゲート世界の柏木とサイヴァル、この世界でも友人となった二人。
先ほどまでこの二人もまた反省を促すダンスを舞っていた。
二人が踊り狂っていたサイヴァルの執務室には『欲しがりません。勝つまでは!』、『七生奉国』、とか掲げた垂幕が掲げられている。
しかしながらティ連式生体強化受けているといえども壮年のサイヴァルとナマモノ地球人中年真っ只中の柏木、悲しいかな体力的にキツい。
そんな二人の眼前には奈良の状況を示すモニターや各報道機関、挙げ句は絶賛配信中の配信者吸血姫のものまで存在する。

そんな二人の前に造成された画面の中では厚い曇天の雲の下、
鉄塊を握りしめた巨大な大金剛が土蜘蛛出現地点より湧き出る悍ましいナニかと相対している。
飛蝗、大海嘯、硫黄の火…その出現した現実にある存在を模したナニかにあれ程猛威を振るった土蜘蛛達が呆気なく飲まれていく。
大金剛の手により手負いとなった巨大な土蜘蛛はその隙付き逃げ出そうとするがそれもまた飲まれていく。
そしてその悍ましいナニかは巨大な人の形を型どる。


『ナニ…アレ…。』

『聖櫃より湧く災厄です。』


大金剛がナニかと戦闘を開始、その最中吸血姫の言葉に画面の中の色彩の少女が淡々と答える。
色彩の少女は本来は神罰、或いは人を試す困難と説明する。


『この地にはアロンの杖がありました…そして穢された奈良盆地を契約の函、
大和さん達の残骸を櫃に振りかける贖いの血とし聖櫃と化した奈良…封ずる蓋な函の底より湧き出る災厄。』

『神様が災いを…?』

『よくあることです。試練、或いは敵対者への神罰として災いあることは…。
善悪、祝福と呪い…罪と罰…神とはそういった複数の側面を持つもの…。
今回の意味も知らずソレを穢してしまった人の手が加わった結果、本来の神罰や試練からかけ離れ世を呪う呪いと化した上、
加え今回のもの古都圏の霊的防衛機構の破壊による人災ですが…。』

『そ、そんな…そんなもの、私達にどうしようもないじゃないですか…。』

『斯様な呪い…常人であれば耐えられず、通常であれば抗うことすら出来ないでしょう…。
神の存在薄きこの世界この時代。ましてやこの国の霊的防衛機構が人為的に破壊された現状では…。』


その言葉を聞き別の報道機関の放送の中では銀河連合日本の敗北、この日本は終わると嬉々として饒舌に語る者も存在する。
日本の終焉、それを語れど現在日本にいる自分にまで係累が及ぶことまで想像が至っていない。
比較的まともな思考をする者はその言葉の意味することを理解し皆揃いも揃って青い顔をしている。

その言葉を聞きサイヴァルと柏木の瞳から悔し涙が溢れ出す。
イゼイラの同胞の、日本人の、あの地で生き残るため、他者を生かすために死んでいった者達の流した血と涙はなんだったのかと。
それを同じ日本人が否定するのかと。
だがとマシュは言う。


「ですがそんなのは絶望する理由にはなり得ません!歌や踊りなれど貴方達は抗った抗えた。これまでもこれからも。」

「無理だよぉ…。」


だがその言葉は吸血姫の少女に届かない。
抗えない抗える日本人など居る訳がないと少女は否定する。


「私達は主人公じゃない…物語の歌姫じゃない…。」

「………。」

「私達は唯の日本人なんだよ…奇跡なんて起こせないの…。」


マシュは周囲を見渡す。
カボチャや日本帝国の者らは歌い踊り続けるが多くのゲート日本の者達は打ちひしがれている。
その言葉を受け、盾を地面に突き立て色彩の少女が両手を握り祈るように声を絞り出す。

682 名前:635[sage] 投稿日:2025/02/24(月) 23:23:25 ID:27-143-182-65.rev.home.ne.jp [18/20]


「愛と美の女神、そして共にある電子の歌姫よ。あの日の契約の下、駆逐艦霓であるマシュ・キリエライトが請願します!」


あの日の約束、伊邪那美命らに引き合わせられたその日に一柱ごとの神々と結んだ契約。
マシュのこれまでの旅路の果てを見たが故にどの様なことであろうともマシュに一度だけ助力するという。


「歌をここに…!この国の人々を包み込み、あの人たちが立てるようほんの少しの勇気をお守り下さい…!
だって勇気を胸に未来への愛を歌い踊り続けている人がいるのですから…!」


心からそう叫ぶ。
マシュに未来視などないだがネットワークを通し世界が見える。
今なお踊っている者が未だにいる。
諦めない大人達、蹴られても立ち上がった空港の子供たち。
遠い世界の彼方、一時なれど共に机を並べたウマ娘の学園の生徒達がいる。


『ここにもいるぞ!』

「ゴーストさん!」


声が響き少女の側に造成されるゼルモニター。
その中では日本人の子どもたちと共にウマ耳のマフディーが鳴らない言葉を紡ぎ踊っている。
その子供たちは未来への愛を歌に乗せ歌っている。
子供の歌に重なり配信者の少女の耳に微かに何かが流れてくる。


「歌…?」


両肩に優しく手を掛けられる。
涙を溜めた瞳で見上げるとその瞳に大きく映るのは…眩く輝く緑のエメラルドの色。


「初…音……ミ…。」


信じられないと配信者の少女の唇が震えながらその名を呟く。
現実(リアル)には存在しない筈の電子の海に揺蕩う彼女、
科学の限界を超え顕現した電子の歌姫は反省を促す歌を歌い上げる。


「いや…マジ…?」

「ハハハ…笑うしかないねこりゃ…。」


ナイスネイチャやセイウンスカイが見る画面の中ではゴースト号らの踊りに合わせ歌う電子の歌姫、その存在にウマ娘達も踊りながらも驚きを隠せない。
電子の歌姫の名はウマ娘達も知っている。
仮想の歌姫、サブカルチャーの象徴、ワクワク動画とウマウマ動画の看板の様な存在だ。

あの日の絶望のロンドン。
無垢なる魂として産声を上げ、傷付き壊れながらも愛してくれた人達を守る為に歌い上げ、愛の女神と一つとなり愛の概念なった電子の歌姫。
とある世界では風や海、空とさえ心通わせると言われた全てを包み込む様な歌声が少女そして電子の海を通し彼女の声と姿は全世界に届けられる。
機械仕掛けの電子の歌姫と機械仕掛け愛の女神、一つとなった彼女が歌う愛の歌。

その歌は少女の…そしてこの国の人々の心を優しく抱きしめる。
元Pだった人も彼女の歌に助けられた人も初めての音が彼女だった人も彼女をしる人も彼女を知らない人も大人も子供も老人も青年も少女も、
彼女彼らが持つほんの少しの勇気を歌姫の愛が包み込む。
その愛は束ねられ光となる。心の形をした光は放たれ暗雲を吹き飛ばす。


数多の物語で奇跡を起こした電子の歌姫の顕現は成された。
マシュの契約だけではない、歌に込められた想いと共に。

奇跡の担い手でない物語の主人公じゃない自分では立ち上がれない筈だった。
人々の勇気を守る存在、その奇跡の担い手そのものが在れば?
その守られたほんの少しの勇気で立ち上がる存在があれば?
今この時、この場所こそがこの国の者らの新たな始発点。

配信者の吸血姫の少女はズズと鼻を鳴らし腕でガシガシと目を擦り、息を整え立ち上がる。
優しく包みこまれたほんの少しの勇気を胸に。
振り返り歌姫に頷き唇より反省を促す言の葉を紡ぐ歌姫は微笑みながら頷き返す。
再び歌い踊りだす。その場の者も画面の向こう側の者らも。
その光景は遠くゲートイゼイラにも届き、息が上がった中年二人も限界の身体に鞭を打ち立ち上がる。
子供が同胞が立ち上がるのに立ち上がらなくて何が大人か、何が同胞か。
それは総理官邸などでも見られた。
この国のあちこちで日本人の多くが立ち上がる。
立ち上がらない者もの方が少ない程だ。

それらを見届けマシュはマックイーン号を呼ぶ。

683 名前:635[sage] 投稿日:2025/02/24(月) 23:24:18 ID:27-143-182-65.rev.home.ne.jp [19/20]


「マックイーン号さん!」

「ええ行きますわよ!テイオー号達が戦っている。私達も行かなければ…!」


二人の視線の先、摂津式大具足・熊野を纏う電が今なお悍ましい巨大な災いの人型と戦っている。
人が神を模した悍ましい人型が機械仕掛けの神を基にした人型と戦っている、それを視認出来る場所では人々が機械仕掛けの神を基にした人型を助くべく歌い踊る祭祀をする神話の光景。
その光景にもう一つ加わる。


「「ゴールデンッ!!」」


マシュはマックイーン号と共に姉と同じ言葉を叫ぶ。
そしてマシュの声に応える様に天より下る虹色の大極光がマシュとマックイーン号の二人を包む。
その虹色の光の中より歪な人型がその双眸を輝かせる。

その巨人は光の柱の中より背部スラスターを唸らせ空に飛び上がると足を構え、そのまま摂津式大具足・熊野と戦闘を行っていた悍ましい人型へと蹴りを…ライダーキックを叩き込みその反動で空中でひらりと一回転をすると着地。
摂津式大具足・熊野の隣に降り立ち悍ましい巨人と相対する。


『マシュちゃん!』『マックイーン号遅いよ。』

「はい!マシュ・キリエライト只今参上しました!」

「少し静かにしてくださいまし、テイオー。今、機体の状況をチェック中で…。」


緑の燐光を纏い大地に立つ巨人、その名は…。


「巨大ロボというかアレサが仲間にぃぃぃぃぃ!?いいじゃん!いいじゃん!!」


超大陸世界の配信者の吸血姫の同位体は巨大ロボ…FGOの摂津式大具足・熊野に続くアーマードなコアなロボの登場に興奮している。
それも反省を促す踊りを踊りながらという器用なことをしながら。

:大丈夫なんかアレ…?
:リンクス殺しで環境汚染…
:流石にコジマではないだろ…


その姿を知る者が始原の悪魔の名を呟く。
人間に限界を遥かに超える精神負荷与え致命的な環境汚染を引き起こす災いしか齎さぬ悪魔の名、だが違う。
これは悪魔ではない、緑の燐光は自然を侵すものではない。
そしてそれを駆る者も。


:大丈夫だろ?だって電ちゃんの妹なんだぜ?






「『神崎式大具足・霓』、全機構問題なし…。」


マックイーン号が呟くその名こそは神崎式大具足・霓、マシュの艦娘としての名と同じ光が分かれた七色の色彩の名。
戦中に急速に発達した神秘と科学の融合に加え、
摂津式大具足・熊野のデータとアトランティスと共に座礁した機神の残骸を基にヤル研の汗と涙と血とロマンによる機神計画にて建造された機体の一つ。
それがマシュの駆る機体。
その姿は動くだけで廃人に至る精神負荷与え回復不可能な環境汚染を引き起こす始原の悪魔の似姿。
だが、そこに込められた想いは違う。
神崎式大具足・霓の原型となった存在の物語…人類に黄金時代を…彼の旅団の思想そのもの…即ちゴールデン。

そしてゴールデンとはそれが別にもう一つ意味するは姉より受け継ぎし黄金の精神。
姉…電はマシュにとって先輩達と違った意味で大きな存在だ。
存在の消滅の間にあった自分を命を賭して助け、家族として受け入れてくれた。
そして艦娘としての先達でもある。
その有り様に少しでも近づきたいと願っていた…いや今は姉と同じくこの国の人々を守りたいと思っている。
少々どころでない悪い大人もいたが自分を心配してくれた人、絶望にくれてもなお自分らと共に立ち上がろうとする人々を見てきたのだから。
そして機体と共にマシュが纏う緑の燐光は人々の祈りと願い。
力は祈りなり、祈りは力なり…艦娘とはは祈りと願いの炎にて鍛え上げられた眞金の身体を持つわだつみの龍。
ここが、こここそがマシュの…艦娘としての霓の始発点。


「やらせません…!こんなことを…人が滅びることを望む人は多くありません…!
ましてやハトさんは…!人を滅ぼすことを止め、人の成長を願ったあの人が己の模造品がこんなことをするのを望む筈がありません!!
お母さんだってそう言う筈です!」


マシュはあの優しき存在とそして全人類の庇護に回った母の存在を想い啖呵を切る。


「私こそはこの国の大御魂ティアマトが子にして父たる神の子の血の流れた鋼の身体を持つ艦娘・霓…!
母と父…そしての名に掛けて貴方を滅します…!」

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最終更新:2025年02月25日 00:10