168:戦車の人:2024/10/14(月) 23:28:29 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
20XX年。列島から大陸に移行した日本国は、かなりの混乱や軋轢に見舞われつつも、それなりに上手く国を回していた。
全ての産業で大幅に人手不足が解消され、人口ピラミッドや出生率も改善され、何より好景気が概ね七難を隠したのだ。
一時期緊張化が深まりそうであった中国との関係は、急増した日本の食料生産量と輸出が、自然と緩和を行う材料となった。
昨今は鉄鋼、造船、家電などで世界市場で戦うことが可能になり、武器輸出の実績をあげつつある韓国も同様であった。
無論、どちらの国も反日教育や「愛国」教育。そして軍拡傾向を停止したわけではない。
しかしながら日本に喧嘩を売っても勝てない、食料供給を握られているという二点を無視して、発狂するほどではなかった。
あるいは日本国が列島のままだった場合、また異なる歴史を歩んでいたかもしれない。最悪、軍事衝突も十分予想されていた。
しかしその軍事力、加えて食糧供給で大きなアドバンテージを得たこと。何より契約を手堅く守る姿勢が、軍事衝突を回避させた。
台湾他フィリピンへの武器供与などは難色を示されたが、逆に言えばそれだけである。それ以上の大問題が発生したのだ。
嘗て世界の工場。あるいはそこから凋落しても世界の憲兵として、最大の軍事力を有した合衆国が二度目の内乱に突入したのだ。
今となっては原因がどれかと特定も困難だが、一自治州の政策を合衆国全土に強要しようとしたことは、間違いなく大きな理由の一つである。
元々が連邦政府というものを、国民がそれほど信用しておらず、州ごとの独立性の高い彼の国で、これは劇薬を通り越し爆薬となった。
何しろ州の自治と独立は合衆国憲法で定められた正当な、合衆国独立以来の正当な権利で、合衆国を合衆国たらしめるものでもある。
それをポリティカル・コレクトネスとやらにより、国家を代表する連邦政府が破り捨て、自治と独立を侵害する。
このようなものを認めてしまえばステイツはステイツでなくなると、上院と下院で紛糾し、押し付けられる立場となった各州はそれ以上に混乱。
結果として連邦政府に従う「正統政府」と、古きステイツの掟に従う「新合衆国」にかの大国は分裂し、完全な内戦状態に陥った。
言うまでもないが「モデルケース」として指定された、カリフォルニア州は新合衆国軍の優先攻撃目標となり真っ先に壊滅。
シリコンバレーも機能不全に陥り、日本と台湾が急遽その代替を担うことになり、皮肉にも中国による台湾侵攻を断念させることなった。
169:戦車の人:2024/10/14(月) 23:29:23 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
なお最も顔面ブルースクリーンとなったのは、ある意味で軍拡をルールブックのあるプロレスと捉え、国際サプライチェーンを活用。
何とか不動産バブル崩壊から立ち直ろうとしていた中国であり、やはり皮肉なことだが、直近の大陸日本の経済力が救いとなった。
「気に入った、殺すのは最後にしてやる」と内心で思おうとも、国を2つに割って戦争を始め、経済を破壊する何かよりは余程マシなのだから。
無論、東南アジアや豪州、ニューギニア諸国などに対して、日中双方が経済圏とする暗闘や競争は継続されている。
合衆国という大手市場が崩壊したのだから当然のことであり、貿易摩擦どころではない外交トラブルも一度や二度ではない。
そこに韓国という家電、造船などで日中に迫る強みを得た国家も参加し、極東アジアから豪州、果ては中東のシェア競争は熾烈となった。
だが明々白々に軍事力を講師することだけは回避された。なまじ世界最強の軍事力を用い内戦を行う合衆国。
果ては合衆国という重しが消え、強大な軍事力と多数の熱核兵器を用い、衰退を繰り返したEUに圧力をかけるロシア。
この冷戦時代の旧大国2つの不安定化だけでも十分以上であり、日本、中国、韓国、台湾は、新たな火種を作る余裕が皆無だった。
なんとも奇妙な光景として、やはり合衆国という重しが消え、一気に活性化してしまった東南あやアフリカ、中東の海賊行為。
これに対して海上自衛隊、中国海軍が共同でパトロール活動を行い、極度に酷い場合は陸自と海軍歩兵の精鋭で合同部隊を編成。
海賊の根拠地ごと根絶やしにするような、合同任務さえ行っている。EUが衰退しロシアが発狂し、合衆国が分裂したこの素晴らしい新世界。
そこにおいて国家を生残させるために、最早彼等は手段を選ぶ余裕を失っていた。特に合衆国内戦が長期化し、和解の兆候がない。
最悪、そしてほぼ確実に分断国家に成り果てるであろうと予想され、東アジアの三大国家の政府を半ば絶望させていた。
なおロシアは多数の熱核兵器をちらつかせた恫喝を、極東アジアにも行ったが、主に中国と日本が軍事力を展開し正面から対抗。
これ以上仕事を増やすのであれば殺す、経済封鎖で殺し最後は軍事的に殺すと、明確なメッセージを叩きつけ、自然と下火となった。
一体列島日本時代、誰がこのような混迷を予想したであろうか。当時は中国の軍事侵攻こそ、最も恐るべき脅威とされていたのだ。
今やそれすら遥かに上回る合衆国分断。それに伴う世界的混乱の中、大陸化日本は貴重な文明国として生き延び続けている。
170:戦車の人:2024/10/14(月) 23:29:57 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
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書いていて思ったんですがこれ…ジェネリックポリコーラル世界ですね。
最終更新:2025年04月16日 23:28