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日蘭ネタ 戦艦松島の生涯番外編 銀幕スタァ松島或いはかつての若者達のEncore



戦艦松島、室蘭大火災始め各種大災害への出動という非戦闘で大いに名声を高めた彼女であったが別の方面ではそれ以前より有名だったりする。
それは銀幕女優…映画界である。
戦争がある意味身近であるこの世界では戦争映画もプロパガンダそして娯楽として非常に親しまれており陸戦や空戦も人気だがやはり海戦というのは戦争映画の花形である。
彼女が実戦艦艇でないことを良いことに海軍士官育成の傍らで海軍への志願者増加へ一石を投じる為に積極的に貸し出されていた。
日蘭の大型化した戦艦群と比べ大戦時の大型艦ということで本来の後期サウスダコタ級役ばかりか蘭帝の艦から長門や加賀ら復讐の女神役までもこなしていたりする。
なお、日本映画人の凝り性からその度に外装がそれらの戦艦の外観に近づけられているので艦娘松島には戦艦各型の衣装バリエーションが用意されていたるする。

そんな彼女は21世紀に入っても現役であったが逆に同じ頃、朝鮮王国にて現役を退いた一人の政治家がいた。
ケチャンナヨ精神で祖国に身を捧げ祖国の繁栄と世界平和に貢献し続け身体を酷使し続けた末に身体を壊し一線を退いた彼…、
ここではキムとでも呼ぼうか…彼は後進にその道を譲ると残りの生涯を趣味に費やすと決めていた。
その趣味とは映画。父が政治家でなければその道に進んでいただろうと周囲に漏らす程度には入れ込んでいたキム。
彼には夢があった、若い頃に見た実際の兵器使った日本や蘭帝の戦争映画…それを自らメガホンを取り撮影したいという野望である。
実際可能か不可能でいえば可能だろう。それだけのキャリアをキムは積んでいて各国にも顔が効く。

だが悲しいかな才能があるかと尋ねられれば閉口するしかないだろう、兵器を使い込んだだけの迫力ある凡作になる可能性が高い。
ならばとキムは考えた、自らが映画を企画立案対外交渉までする超監督となり撮影の監督は別に任せようと。
自らメガホンを取りたいのは本音だがそれで名優や兵器達の活躍が凡作に終わるのは映画人として許し難いので涙を飲んで自らの伝手を使い最高のメンバーを揃えた。
脂が乗り始めた新世紀と銘打ったアニメの原作者にして監督やこの世界では未だ存命であった神様とまで呼ばれる特殊撮影の名人、
そしてキムが敬愛する最早米寿も過ぎた世界に影響を与えた7人の侍が主役の映画で高名な映画監督と相棒である俳優までその伝手と三顧の礼を以て制作陣に迎え入れた。
用意したものも最高だった。資金は言うに及ばず貴方(キム)がメガホン握るならばと列強各国より最大級の支援を引き出したばかりか戦艦一隻…松島を使った撮影許可まで取り付けてきた。
無論各国に対する配慮も忘れない。
陸戦ならば支那植民地奪還戦で奮戦する英軍、空戦ならば絶望的な本土防空に挑む米軍…日蘭も侮り難く精強かつ人の心を忘れない人間として描かれた。
各国からは著名俳優ばかりか各国選りすぐりの監督達が撮影に参加してきた。
そして仏軍であるが…キムが選んだ題材は旧フランス海軍最後の栄光、第二次ゼーラント沖海戦である。

FFRにおいては最早伝説を通り越し神話と化した第二次ゼーラント沖海戦。
FFR政府はこの撮影を全力を以て支援することを確約、この世界の映画界において伝説とも言える布陣で描かれる神話は熱狂を以てFFRに迎えられた。
それは後に智謀と称されることとなる大統領になる陸軍軍人が町娘としてでも良いので撮影に参加させて欲しいと懇願したことからも明らかだろう。
だがそれ以上に熱意を以て参加する者らが居た。

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FFRブレスト沖に一隻の戦艦があった。
この時代の艦艇としては古めかしいどころか骨董品にすら見える装いをした一隻の戦艦。
その艦橋、内装すらかつて…ではなく姉妹のものを模した艦橋に立つのはかつての海軍の制服に袖を通した矍鑠とした老人ら。
艦橋だけでなく、かつてを模した機関部や砲塔の中、甲板の対空機銃群まで若者や青年、壮年に混じりその姿はあった。
流石に実際に運用するのは松島本来の乗組員であるが、彼らの表情は皆笑顔だ。


「しかし、この歳になってゼーラントに赴けるとは思わなかった。」

「自分もそうですよ…自分はあの時ジャンヌ・ダルク…あの子達の言う所の先生の甲板で見送った側だったんですから。」


艦長と副長…役の老人二人は笑い合う。
彼らはかつて提督を…未来のフランスの為に出撃した先達達を見送った側だった。
しかし現在彼らはここに居る。
巨大化したとはいえかつての姿を留める為にあの場所に居た女神も遠景としてはいえ共に在り、我々が乗るのは田舎娘の姉妹。
これ程のシチュエーションはもうないだろう。
本来の乗員である帝国海軍の軍人が時間が来たことを告げると艦長役の人物…かつて若者であった老人は令を発する。
フランス海軍の栄光を後世に伝える為に先達の如くあの海へ向かうのだ。
この艦本来の名ではないが背負うのに不足はあろうか?
いや無い、今乗る彼女はFFRが誇る海のセントバーナードと呼ばれる女神とFFR国民はもとより諸外国からも並び称される誉れある『彼女』は紛うことなく田舎娘の姉妹足り得る艦(フネ)なのだ。
誇らしく、高らかに自らが乗る『彼女』の姉妹その名を謳い上げる。



「戦艦ロレーヌ、抜錨!」



さあ行こう、無垢な少女の如く恋い焦がれたあの海へ。提督たちの眠るあのゼーラントの沖へと。

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以上になります。転載はご自由にどうぞ。

松島「私は今FFRの本気をほんのちょっぴりだが体験したわ。
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
おれはいつも通り女優をしていたと思ったらいつのまにかフランス海軍の姉妹艦になっていたわ…
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが私もも何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてない…
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ…」

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最終更新:2025年05月05日 23:53