537:ひゅうが:2025/02/27(木) 21:33:13 HOST:FL1-27-127-13-252.okn.mesh.ad.jp

【決戦開始】――5月27日午前4時、北東航路哨戒中の無人哨戒飛行船が大艦隊の接近を感知
特設飛行船母船「しなの丸」を通じて海上警備隊(ブルーマーメイド)総司令部に通報
「敵ハ、東水道ヘ向カフモノノ如シ」
との急報が入る
これを受けて海上警備隊(ブルーマーメイド)連合巡視船隊総司令官 岬提督らはパトモス諸島(人工島群)より出撃
海峡入口手前の北端 ケープ・コッド島沖に布陣した
戦力は、ヘリ母艦型巡視船4 ほか巡視船32であった

一方の海賊たちは、連邦生徒会からかつて奪取した巡洋艦を筆頭に新鋭駆逐艦など、総戦力59
ならびに無数の小型艇で構成されていた
指揮系統の統一に時間を要したこと、ならびに航路はまっすぐ海峡区の中枢を目指すルートがとられていたのは、ビッグブリッジ破壊後にパドモス諸島(人工島)を略奪し、あわゆくば占拠することを目的としていたからである
この時までに海賊たちは秘策を用意していた
カイザーコーポレーションから供与されていた多数の対艦ミサイルの一斉発射による「デカブツ」巡視船の殲滅である
しかし、距離150キロメートルまで接近して発射されたそれらは、ものの見事に全弾が距離40キロ圏内で墜落した

「カイザーの奴ら、不良品を掴ませたな!」

と海賊たちは怒り心頭だったが、そんなことはなかった
岬アケノ提督らが使用したのは、艦載化した、超高エネルギーマイクロ波兵器であった
ヘリ搭載型であり、艦橋を右舷に寄せた巡視船の艦橋に搭載されていたのは、「進行波管を直径数ミリ程度のチューブ化して縦横3メートル程度の四角形に敷き詰めた『FCS-9』艦対空フェイズドアレイレーダー(TWT―AESA)である
しかし、これらチューブ型進行波管(TWT)は恐るべき性能を有する
理論上の性能限界は、なんと核融合炉の中枢に転用されて恒星の中心部と同じ2億度の高温までの加熱を可能とするだけの高エネルギー密度を実現していたのである

これを用いて、艦内格納庫に特設された発電ユニットを限界まで酷使した高エネルギーの電磁パルスを発振し、対艦ミサイルを「薙ぎ払う」

電磁誘導の法則にしたがい、これら対艦ミサイルの誘導系の回路を焼き切るだけの過電流を発生させたのである

3波にわたる対艦ミサイル攻撃が薙ぎ払われ、あるいは、空母型巡視船の艦上の近接防御火器(CIWS)に薙ぎ払われた時、艦上からは碧空を舞う死天使たちが次々に飛び立っていた

対艦ロケット弾だけでなく、30ミリ多銃身機関砲を装備した対戦車攻撃ヘリ群がその解答であった
航続距離を妥協する代償として、最大離陸重量に達するだけの大量の銃弾を持った攻撃ヘリの数は、実に40機あまり

538:ひゅうが:2025/02/27(木) 21:34:28 HOST:FL1-27-127-13-252.okn.mesh.ad.jp
彼女らは、その腹に大型のスピーカーを抱えていた

「ホィ・ヨー・ホー!ホ・ヨ・トー・ホー! お父様、お気をつけあそばせ!!」

大音響で海賊たちの上空から流されたのは、ワーグナー作曲「ヴァルキューレの騎行」
天空から降り注ぐ死天使たちの哄笑に従い、次々と艦艇は爆発炎上していく
参加していただけの中小ヘルメット団は士気を叩き折られた
この時点で、指揮系統は完全に混乱
しかしそこにトドメがやってくる

「遅くなったかな?」
「ちょうどいいタイミングだったよモカちゃん!」

水平線上、海峡北方から、新たな巡視船隊が接近してきたのである
知名モエカ提督率いる、第2巡視船隊である

「なんだあれは…デカすぎる!!」

海賊たちが絶句したのも当然
彼女が率いていたのは、全長360メートルあまり、基準排水量12万トン、51センチ砲3連装4基12門を有する新鋭艦「1号型巡視船」であった
建造中の7号型巡視船が間に合わなかったことから、竣工済みのこれらを岬提督らは強引にこの戦場に投入していた
海峡左右に陸上砲台を予定して、精密な距離測定のためにレーダー群を多数配置
三角測定ならぬ八角測定により海賊どもの正確な位置を把握していた

「全艦左8点回頭完了」

「全艦隊、統制射撃、撃ちィ方、始めェ!!」

その号令の瞬間、勝敗は決した
彼我の距離、2万メートル
4隻合計48門、1発あたり2.2トンの「大重量榴弾」が飛来したとき、海賊たちにもはや成すすべは残っていなかった

以後、30分あまり続いた砲撃と、空からの機関砲掃射に生き残れた海賊艦艇は1隻も存在しなかった
なお、戦闘終了後には各艦から溺者救助のために多数の大型水上バイク(スキッパー)が発進しているのは言うまでもない


【海戦後 ヤシマ派遣学園による海上覇権確立】――第一次ケープ・コッド島沖海戦の結果は、キヴォトスを震撼させた
その直後に、ヤシマ派遣学園のキヴォトス側領土の周辺を形成していたカイザー・コーポレーションの工業地帯群が「謎の襲撃を受けて炎上」したこともこれを大いに手伝った
誰がどう見ても、ヤシマ側による報復だからである
事実、株式市場は大混乱に陥っており、明らかな空売りにより、今回の事態を仕掛けたカイザー・コーポレーションに鉄槌が下されていたのは明らかだったからだ

この事態を前に誰よりも早く動いたのは、オデュッセイア海洋高等学校であった
彼女らはヤシマ側および覇道財閥との間での次期護衛艦用システムの共同開発に合意したことを発表し、ヤシマ側との協調路線を明確にしていたからだ
いわく、北東航路だけでなく、北西航路においても両校は海上安全の維持に力を惜しまない、と
明らかな恫喝であった

かくしてこの年、次期連邦生徒会長の立場を確定させつつ、苦虫を嚙み潰したようなカイザー側代表者と満面の笑みのヤシマ側代表者が握手する風景が演出されたことにより、両陣営は矛をおさめた
依然として海上輸送のほとんどはオデュッセイア海洋高等学校が牛耳っていたものの、ヤシマ派遣学園はそれが頼りにするに足る海上勢力であることを、鉄と硝煙をもって示したのであった

539:ひゅうが:2025/02/27(木) 21:35:37 HOST:FL1-27-127-13-252.okn.mesh.ad.jp
以上になります
こんな感じでよかったでしょうか?

540:ひゅうが:2025/02/27(木) 21:38:08 HOST:FL1-27-127-13-252.okn.mesh.ad.jp
BGM:「日本海海戦」(スペシャルドラマ 坂の上の雲)でお願いいたします
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最終更新:2025年05月18日 16:06