441:ひゅうが:2025/03/20(木) 18:15:19 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
できちゃったw
――アメリカ合衆国陸軍 重(駆逐)戦車「YT59-Nニュークリア・モンスター」
全長:16.1メートル(本体車体11.8メートル 後部牽引車体3.5メートル 連結部間隔0.8メートル)
全幅:3.9メートル(主車体)
全高:3.3メートル(主車体)
最低地上高:45.7メートル
最大速力:時速78キロメートル(航続距離6500キロメートル) 緊急時85キロメートル
主機:ゼネラルエレクトリックGE-TN3小型核分裂原子炉(開放型大気加熱式タービン)×1
モーター動力(計2700馬力)
装甲:主砲防盾45度傾斜250ミリ 正面60度傾斜130ミリ均質圧延装甲 車体
主砲:42口径203ミリライフル砲(T-12 L42/203㎜)1門(自動装填装置つき発射速度毎分10発)
照準:ステレオ測距儀式
装弾数:45発(車内)+15発(砲塔後部弾薬庫)
武装:12.7ミリブローニングM2同軸機銃
12.7ミリブローニングM2機銃×1(砲塔上部に遠隔操作式に搭載)
重量:109.1トン(主車体55.5トン 動力車体53トン 連結部その他1.2トン)
乗員:6名(全員主車体に搭乗)
【解説】―――T58「モンスターキラー」の成功に気をよくしたアメリカ陸軍が作った試作戦車
試作5両に加えて25両あまりが増加試作されて
アメリカ本土、および一時期欧州や日本列島に配備されて運用実績も良好ではあったが、後述する性質上1978年までに全車が現役を退いた
本車の最大の特徴は、史上唯一試作、および実戦配備された原子力を動力とする戦車であることである
そもそもT58自体が本車で計画されていた車体をトレーラーのように連結して運用する「セミトレーラー式戦車」の進行方向を逆向きにして操縦席を追加した代物で、先に完成していたというのが実情だったのである
エンジンは、ゼネラルエレクトリック社製の硝酸ウラニル水溶液を炉心とした小型原子炉で、これを中性子減速材の黒鉛でできたハチの巣状の構造の中に通し、内部の圧力管にコンプレッサーから送り込まれた外部の空気を取り入れる方式をとる
出力制御はこの構造内に圧力管とは直角方向からハフニウムとカドミウムでできた制御棒を出し入れする方式で、非常時には燃料の硝酸ウラニル水溶液を投棄できる弁が下部についており原子炉の「空焚き」やメルトダウン――正しくは圧力管が破裂するためにメルトスルーやメルトアウトというべきだが――を抑止する構造になっていた
この経路は、上部にある硝酸ウラニル水溶液入れ替え用の燃料注入口からの注入前に炉内を水洗するためにも用いられていた
乗員たちはこれをキングストン弁、あるいは単にトイレの排水管と通称している
ただしコンプレッサーで吸入した空気の容積が縮み結果的にメルトダウン状態になるのを防ぐために、圧力管そのものにはこれら弁はついていない
かわりに、トイレなどでよく用いられている逆流防止弁が付属しており、圧力が限界となると後述の経路を通って加熱大気が外部へ排出されることになっていた
動力機構は、外部から取り入れた空気をターボ軸流式コンプレッサーで圧縮した上でこれら原子炉の圧力管に強制注入し、それを空気ガスタービンに送り込んで発電機を回し、これを動力部のある「後部牽引車」の駆動モーターと、同車体から連結部内部のケーブルを通って主車体前部の駆動輪モーターへ送る方式だった
ガスタービン駆動後の大気は、コンプレッサー駆動用の軸直結型タービンをさらに回したあとでそのまま大気中に排出される開放式である
すなわち、原子炉により少なからず放射化(放射線照射により放射性物質となること)された大気中成分や水蒸気などを含む排気ガスが大気中に放出されることになる
これは本体車体を対放射線防御用の陽圧構造(のちの対NBC装備)とすることで解決された
また、動力部の周囲を分厚い鉛および中性子防御用のアクリルとコンクリート、ならびに緊急冷却用の水タンク(これは車体洗浄用にも、出力調整用の抵抗器の冷却用にも使用される)で覆うことにより、原子炉そのものからの放射線量は許容範囲におさえられていた
また、水タンク車体に塗布されたHEAT弾対策用の樹脂塗料に加えて核攻撃からの自己防御用の散水装置としても使用されている
442:ひゅうが:2025/03/20(木) 18:15:59 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
原子炉動力の力はすさまじく、軸馬力換算で2800馬力もの力を安定的に発揮できるうえに航続距離は一度の燃料交換で6500キロメートルにも達した
このため、燃料タンクを廃止できたことからT58よりも動力部を小型化でき、さらには主車体を延長もできた
これによって機関士を含めた乗員全員が主車体に乗り込むことができた上に、後部から戦車本体を「押し上げる」構造となったことから機動性および速力も大幅に向上している
このため、主車体の砲塔大型化でT58ではできなかった203ミリ砲搭載が可能となっていた
短砲身化によって初速はやや下がったものの、威力はむしろ増大しており、さらに大型化した砲塔後部に外付け弾薬庫を防御用も兼ねて搭載し砲塔後部の防御力も向上している
弱点は、「原子力戦車」であるそのことに尽きるだろう
外部への排気を直接吸い込んでも短期間なら問題はないが、許容被ばく線量を超える可能性が著しく高まり、ことに緊急脱出時に「キングストン弁」を開放した後であれば数秒でこれを超える
そのためキングストン弁開放後はなるべく車体上部から前部への脱出が推奨されていた(車体装甲そのものが遮蔽材になるため)
また、動力部暴走による擱座や味方への被害を防止するために後部へと原子炉と動力部を分割したまではよかったが、原子炉である以上事故の可能性はつきまとった
また、本車は自己の203ミリ砲の命中に耐えられるだけの装甲は有しておらずT58とほぼ同等の防御力である
これは登場したばかりの第2世代主力戦車が高機動により敵の砲撃を避けるかわりに装甲材を加減するという思想をもっていたことに影響されているが、それでも本車の防御力は十分であると米軍が判断したためである
だが、T58を基本に設計したことから後部の203ミリ主砲弾の弾薬庫は人間工学を無視して設計されており、車内の弾薬を使い果たした際は上部ハッチから外へ出て中へ運び込む運用がとられていた
言うまでもなく乗員は排気による被ばくの危険と隣り合わせである
ただしこれへの配慮から、上部砲塔の12.7ミリ機関砲は内部から操作できる銃塔式となっている
また、203ミリ砲の採用により射程が伸びたこともあわせて同軸機銃が12.7ミリに変更されていた
これらの変更点により重量は100トンの大台を突破したものの、通常2800馬力、緊急出力では3700馬力以上の出力を発揮するために最大速力は重戦車としては極めて高速である
ただし冷却機能が限界を迎えるために緊急出力の長時間発揮は危険であるとされていた
もっとも、山岳地帯での運用ではこれが常態化しており、これが本車の性能のみを見て量産する気満々だったアメリカ陸軍をして断念に追い込んだ理由となった
とここまで書けばお分かりだろう
本車は、しばしばメルトダウン事故を起こしている
幸いにも米領極東成立前の九州では「道が悪すぎてあまりに運用には危険すぎる」と試験配備時の米極東軍司令官ジョセフ・R・シーツ中将(当時 のち大将として軍政官に昇格)の判断から無理のない運用が心がけられて短期間で米本土へ送り返されたが、欧州アルザス軍団では運用マニュアルの不備から実に7度にわたり事故が発生
乗員は最終的に全員が死亡し、現地フランス アルザス・ロレーヌ地方の対米感情を著しく悪化させたうえに汚染除去のために米政府が動く事態に発展した
このため、運用はT58と比べれば非常に短期間で1973年までに全車が退役した
現在までのところ、地球上で無限軌道式車両に原子炉を搭載した例は本車以外に存在していないというのは、人類にとって幸いであろう
444:ひゅうが:2025/03/20(木) 18:17:28 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
以上になります
元ネタはTV-1ことR32「原子力戦車」です
こっちは車体「前部」の動輪付近に同じく開放型核分裂ガスタービンを搭載しておりました
466:ひゅうが:2025/03/20(木) 19:35:39 HOST:KD106146183084.au-net.ne.jp
441-442
の「水酸化ウラニル水溶液」は「硝酸ウラニル水溶液」に訂正願います
467:ひゅうが:2025/03/20(木) 19:38:15 HOST:KD106146183084.au-net.ne.jp
本来はこの形式の炉は安定性が非常に高いのですが、戦車用動力とするために応答性上げたら偶然、ボイド係数が正になっちゃった(ある条件で自然停止しなくなる)…という感じになります
最終更新:2025年06月20日 17:58