886:戦車の人:2024/11/11(月) 23:30:49 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
大陸化日本-2000トン型哨戒艦

1.概略

海上自衛隊は列島日本時代から多数の優秀な護衛艦を有しているが、守るべき領海と海岸線は非常に広く長い。
そして中国、ロシア、半島が総じて軍拡に移行し、我が領海への侵犯行為を繰り返すに至り、艦艇不足を露呈。
列島日本時代は何と掃海艇まで持ち出し、監視活動を行う必要性まで迫られ、早急に警戒艦艇整備が必要となった。

故に安価なランニングコスト、省力化の進んだ哨戒艦の計画は列島日本時代から策定され、建造案も収斂されつつあった。
一方で日本が大陸化した際にある珍事が生じた。列島日本時代には12隻が竣工し、既に全艦が退役したはつゆき型護衛艦。
更にはむらさめ型以降の数量増大により、やはり退役していたあぶくま型、あさぎり型といった昭和末の複数種類の護衛艦。

彼女達が搭載していたオート・メラーラ76ミリ速射砲が、大量に余剰装備として海自各基地の補給処に出現していたのだ。
勿論、それらを司るFCS-2射撃指揮装置も同様であり、実に100セットを超える76ミリ砲とFCSが補給処に保管されていたのである。
今後の予備装備、あるいは弾薬などの補給品収納を考えれば、早急に何らかの形で処分する必要性が生じてしまった。


大陸化に伴い規模、装備の拡大した自衛隊に生じた一種の喜劇だったが、海上幕僚監部にとっては冗談では済まない。
各地の補給処、基地は有事に備えた弾薬や燃料、電子装備などの保管が本義で、中古艦砲やFCSの圧迫は望ましくない。
しかし各補給処調査結果は76ミリ砲及びFCS-2、双方が良好で再稼働も容易という廃棄には惜しい状態と確認された。

ここに至り海上幕僚監部及び防衛装備庁は、当初は1920トンとされた哨戒艦の船型をやや拡大。
無論、最大の目的は完全武装立入検査隊の居住区、複合高速艇搭載の。コンテナ型ミサイル搭載余裕の確保ではある。
同時に捨てるには惜しい。そして機関砲より使い道は確実に大きい76ミリ砲とFCS搭載そ視野に入れ、再設計を実施。

基準排水量2100トン、全幅13メートル、全長98メートルと一回りほど船型を大型化し、機械類出力も増強。
その上でシステム化と省力化を推進の上で、基幹人員を35-40名程度に留め、同時に乗船人員余裕を30名ほど確保。
装備充実化によるコストは建造数増大によるスケールメリットを用い、最大限抑制する形で建造と配備が開始された。

887:戦車の人:2024/11/11(月) 23:31:30 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
2.船体及び機械類

船体規模は全幅13メートル、全長98メートルとあぶくま型に近い規模で、基準排水量も2100トンとほぼ同等である。
無論、船体及び上構造物は多機能護衛艦と同様、最大限ステルス化が推進され、電波反射面積は非常に小さい。
常備搭載機は無人機であるが、その気になればSH-60K/L哨戒ヘリ1機を運用可能な格納庫と飛行甲板も有する。

喫水線下はバルバス・バウと複数のバウスラスターを適用されており、タグボートの手を借りず迅速な入出港が可能である。
このあたりは海上自衛隊の新世代警備艦共通の特徴で、特に哨戒艦では一種の練習艦としての側面も有する。
本クラスで実任務を経験した若手幹部を、護衛艦等の分隊長や副長とすることを意識し、運用平易化が進められている。

今や艦艇、航空機、戦闘車両など装備の種類を問わず常識となった、COTSコンピュータによる分散処理も全面導入。
これにより戦闘指揮や通信だけでなく、艦の運行やライフラインシステムも大きく自動化され、省力化を推進。
階級を問わない司厨設備一元化も行われ、基幹乗員は原案より大型化しつつも40名程度でに抑制されている。


余剰居住区も30名分が確保され、大陸化に伴い完全専門化された立入検査隊の乗艦と長期居住にも対応している。
このような省力化と余剰居住設備は、勿論災害派遣でも活用が見込まれ、複数病床と簡易手術室に転用も可能である。
後部の哨戒ヘリコプターさえ運用可能な格納庫と飛行甲板は、コンテナ規格の災害救助物資輸送も行える。

そして2000トンを超える船体を動かす駆動系は、ディーゼル機械を用いる複合電気推進方式が採用されている。
巡航時はディーゼル機械による発電を用い、低燃費と放射雑音抑制を主眼とした運転を行う。
高速運転時はディーゼル機械運転を併用するもので、元々の機械類がディーゼルということもあり、長期行動能力に優れている。

電源にはダイハツ製船舶用ディーゼル発電機2基を搭載し、合計3000キロワットと排水量の割に大きな発電量を持つ。
これはCOTS主体の電子システム、あるいは災害派遣時の電力供給などを見込み、駆動系と独立した発電系である。
なお最大速度は22ノット、巡航速度は20ノット、航続距離は5500海里以上と推察され、足の長さがうかがえる。

888:戦車の人:2024/11/11(月) 23:32:33 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
3.C4I

元来の任務が平時における領海侵犯監視であり、有事に敵艦を相手に正面から相手取る護衛艦とはコンセプトから異なる。
どちらかといえば海上保安庁の大型巡視船に近い艦艇で、更には相当数の建造を行う以上、過剰コストは控えたい。
故に整備性を含めC4Iは同世代の護衛艦のそれと同一規格のものを、あるいは商用電子部品を最大限適用している。

処理系には海自新世代艦で定番となった、富士通製OYX-1-29条法処理システム複数をホットスワップ方式で搭載。
警戒監視以外に艦内居住システムの管理、無人機の運用管制も担っており、これら情報管理は艦橋とCICで共有。
機械運転管理も多機能護衛艦と同様に担当しており、艦橋からのM0運転を平時から行っている。

一方でネットワークシステムは大幅に強化され、俗にユニコーンマストと呼ばれる統合型空中線装置を艦橋上部に搭載。
Link16/22、洋上無線ルータ、SUPERBIRD衛星通信システムなど、共同交戦能力に必要な通信系を過不足なく適用。
平時より領海侵犯艦艇、あるいは不審船の監視を行う哨戒艦として、概ね適切な通信系を構築している。


センサー系としては完全な商用品である航海用レーダ、退役護衛艦より転用されたOPS-28系対水上レーダ。
そして多機能護衛艦でも搭載されている、OAX-3多面同時監視光学センサーなどを有する。
あくまで哨戒艦は領海侵犯船舶の監視と警戒が主眼で、航空機や潜水艦の対応は任務を超えると割り切られている。

とはいえ領海侵犯船舶の警戒監視、そして情報確保には十分なセンサーシステムで、確保情報共有化も素早い。
何より航空機、潜水艦の伏在が懸念される場合は、データリンクを介して戦闘機や哨戒機の協力を仰げば良い。
P-1哨戒機多数からなる航空集団、あるいは航空護衛艦1隻に2セットが準備されている母艦航空団の能力はそれほど大きい。

固有武装の射撃指揮には主砲である76ミリ速射砲には、古いが信頼性の高いFCS-2システム1基を搭載。
それ以外にはC4Iを活用したコンテナ式対艦ミサイル管制、自動銃座搭載の電子光学FCSが常備されている。
Sea-RAMも常備搭載が決まり、航空機やドローンと連携すれば、それなりに戦える警備艦でもある。

889:戦車の人:2024/11/11(月) 23:33:05 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
4.武装

当初はブッシュマスター30ミリチェーンガンを主砲とし、日本製鋼所開発のRWSにM2重機関銃を備える予定であった。
しかし日本大陸化に伴う悲喜劇により、とにかく補給処を圧迫する余剰装備を何とかしろという切実な要求。
予算拡大により機関砲より汎用性の高い艦砲を搭載可能となったことから、本来の計画案より大幅に強化された。

平時の主砲は退役した多数の旧式護衛艦より転用され、ステルスシールドを適用されたオート・メラーラ76ミリ速射砲である。
日本製鋼所独自の改修により発射速度を毎分100発に向上させ、対空、対水上戦闘双方で好適な艦砲である。
三菱電機の開発したFCS-2系列射撃指揮装置との適合性も高く、平時運用においても取り回しの良い艦砲である。

そして船体両舷のやはり日本製鋼所の開発したRWSには、ブッシュマスター30ミリ機関砲が各1門搭載されている。
この点は我が国の沿岸哨戒だけではなく、アデン湾海賊対処行動も視野に入れ、強化された装備である。
ブッシュマスター30ミリ機関砲も日本製鋼所がライセンス生産したもので、国内で整備可能な点も十分特筆に値する。


平時の武装としては76ミリ速射砲および30ミリ機関砲を主眼とするが、本クラスは有事に備えた搭載余裕も付与されている。
航空機格納庫上面には武装架台が準備され、有事となればSea-RAM防御システムの搭載も可能である。
本システムは独立完結したFCSと、パッシブレーダー及び赤外線画像誘導ミサイル11発から構成され、対艦ミサイル迎撃を行う。

防御手段以外の長距離攻撃手段としては、コンテナ式艦対艦誘導弾-12式性能改善型の搭載運用も可能である。
最大で4連装発射機2基搭載可能なこの対艦誘導弾は、ターボファン推進システムにより1000キロを超える射程を達成。
中間誘導に光ジャイロとGPS、終末誘導にAESAシーカーを用い、対地対艦双方に対応可能な巡航ミサイルである。

また厳密には固有の武装とは異なるが、艦尾にUUV/USV格納庫及び展開ハッチを搭載。
艦そのものはセンサーシステムを持たないものの、UUVとUSV1セットのユニットによる機雷捜索、排除行動も行える。
過剰要素を抑えつつ必要十分を搭載する形で備わった装備は、グレーゾーンの警備任務に最適化されている。

890:戦車の人:2024/11/11(月) 23:33:41 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
5.居住性

本クラスはディーゼル電機複合推進を用い、排水量に比して長期間の哨戒行動を行うことを主眼としている。
故に居住性にも相応の努力が、民間機材を主体として傾けられ、けして安かろう悪かろうという艦ではない。
大陸化に伴い防衛力の増強、国民からの理解を獲得したとはいえ、艦艇勤務適性を持つ志願隊員は常に貴重品である。

まず司厨設備及び食堂を、階級を問わずに一元化を行い、更には司厨設備の完全電力化を達成。
これにより幹部自衛官の従兵制は本クラスでは廃止され、食堂も一元化されており、大幅な効率化を果たしている。
ここにおける効率化は食堂容積だけではなく、完全電気化された司厨設備や冷凍庫も当然含まれている。

大出力ディーゼル発電機の恩恵に預かる大容量冷凍庫、完全電気化司厨設備は、平均的な食事提供レベルを向上。
第四術科学校を出た給養員であれば、総じて街のレストラン程度の給食を、等しく行うことを可能としている。
もちろん、完全に職人芸が消えたわけではないが、平均的な給養員による食事提供能力の向上は、等しく喜ばしいことであった。


そして航海、砲雷、機関、船務などの大幅な省力化と自動化は、乗員居住環境の大幅な向上も成し遂げている。
隊員クラスであっても十分容積があり、圧迫感を大きく緩和した二段寝台による起居を当然としている。
より大きな責任を負う海曹や幹部などは、二名相部屋や個室も準備され、分隊長や副長、艦長は当然個室である。

身体能力が当然とされる立入検査隊乗艦に備え、トレーニングルームも準備され、乗員健康維持にも貢献している。
平時においても戦時救護所が士官室、余剰居住区に設けられ、正看護師資格を持つ看護海曹が最低1名は乗艦。
災害派遣や有事においては防衛医官受け入れの余裕、設備も有しており、激甚災害が毎年生じる本邦の情勢に対応している。

そして-昨今の若い隊員にとっては、当然であるインターネット利用についても、平時においては一定条件で許可されている。
ユニコーンマストにはNTT、KDDI等に対応した無線ルータも準備され、各種セキュリティ及びコンプライアンスを適用。
その上で問題ないとされた乗員は、主に家族などに対するネット通信が許可され、士気維持に貢献している。

891:戦車の人:2024/11/11(月) 23:34:16 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
6.建造及び部隊配備

最終的に「第11号型哨戒艦」という名称に策定された本クラスは、MHIやJMUだけでなく、各地の中小造船企業に建造を委託。
列島日本時代に比べ、格段に平時より警備を行うべき領海および海岸線が拡大、延長したこと。
FFMや哨戒機と連携しつつ、より濃密な水上哨戒網の構築を行うべく、最終的に48隻の建造予算が認可されている。

艤装員長は概ね3佐クラスの若い幹部で、副長や分隊長も若手の1尉や術科学校を卒業して間もない2尉が多い。
海上自衛隊がこのクラスに対して、平時の警備任務を任せると同時に、若手幹部を実任務で育て上げること。
将来のより大きな艦の艦長や副長、あるいは先任士官となることも、彼女達を動かす若手たちには期待されている。

一方で先任伍長など上級海曹はベテランが多く、ある意味では若手幹部と海曹、海士の実働練習艦と言えなくもない。
4個機動護衛隊群を筆頭に世界第二位の海軍となってしまった海自は、国防の理解が進んだこともあり、志願者が増大。
かなり従来より緩い基準で採用を行い、練習艦隊方式ではなく、この種の小型軽快艦艇で教育を行う路線へ切り替えたのだ。


建造でも電子装備、武装は三菱電機や日本製鋼所など、大手防衛メーカーがノックダウン生産方式で担当する必要がある。
しかし船体、機関、発電機などは平易なものを用いており、故に全国の中小造船所に警備艦建造経験を積ませることが出来た。
必要十分と過剰の見極めをよく考え、48隻というスケールメリットを活用することにより、建造コストは120-130億円に収まった。

勿論、列島日本時代の90億円予定よりは高コストだが、昨今の周辺情勢緊張化に伴う装備の充実化は、どうしても必要であった。
その上で過剰要素を省き、若手幹部や中小企業を育てるに適した設計、小型艦艇程度であれば十分排除可能な武装を持つ。
必要とあらば有人回転翼機や無人水上艇、無人潜水艇を運用可能な能力を鑑みれば、概ね適切なコストと言える。

第1ロットとなる哨戒艦11号から18号が近年、相次いで竣工を果たし、沿岸哨戒任務部隊に逐次配備を開始。
中堅どころの経験を積んだ艦長、元気者の副長、ベテラン上級海曹をスケルトン・クルーとして、多くの若手乗員を配備。
やや試行錯誤な部分も多いが、FFM以上に低コストかつ長期間運用が可能な警備艦艇として、活躍を開始している。

892:戦車の人:2024/11/11(月) 23:36:58 HOST:61-24-203-31.rev.home.ne.jp
以上となります。wikiへの転載はご自由に。
きっかけは大陸化した場合、はつゆき、あさぎり、あぶくま型も大量に退役しており、
76ミリ速射砲とFCS-2が山ほど余ってるな…でした。

勿論、ブッシュマスター30ミリに代わり搭載すれば、システムとしては大掛かりになります。
一方で全て余剰品で構築することも可能で、対空・対水上射撃にも十分実績がある。
何より大陸化したら半島や大陸がちょっかい出す件数が間違いなく増える。

そんな事を考えていたら、こんな哨戒艦が出来上がってしまいました。
若手乗員練習艦も兼ねるというのは、完全な妄想でございます。
長々となってしまい恐縮です。

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最終更新:2025年06月13日 21:13