141:新人艦長:2025/04/04(金) 17:36:42 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
アメリカ夢幻会世界本編投稿します

憲法改正とトルーマン登場

142:新人艦長:2025/04/04(金) 17:37:45 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
「賛成多数!よって本法律を可決いたします!」

 1933年11月、上院議会である法律が可決した。
 憲法修正第二十二条など修正条項10項目及び連邦社会保障法「ルーズベルト法」である。
 内容は「全ての国民は生存権を有し、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある。」「連邦政府と州政府は全ての生活部面においてその権利を保護し、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努める義務を有する。」「教育権などその他社会権の規定」「人権及び民主主義、自由を否定する法律の制定禁止」など社会権と戦う民主主義の規定、そして「米国籍者に対する連邦及び州選挙への選挙権の制限の禁止」の公民権規定、「コロンビア特別区への選挙人規定」「選挙人設定の変更(総取り制度廃止)」「選挙制度の変更(小選挙区の緩和)」「州の権限削減」「表現の自由規定」「18才以上への参政権」などである。
 この憲法修正条項をベースに連邦規模の社会保障制度としてルーズベルト法が提出された。(名前は発案者がルーズベルトだから)
 そしてこの法律と修正案の半分は“意外なほど”反対も抵抗もなくすんなりと可決された。
 戦う民主主義規定、社会権規定、参政権拡大、公民権規定、コロンビア特別区選挙人規定、選挙人制度及び小選挙区制に関する規定はすんなりと通った。
 あまりにも簡単な通過と各州での可決により10項目中公民権規定を除く項目は1936年までに憲法として成立した。

143:新人艦長:2025/04/04(金) 17:38:21 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp


 ミズーリ州のカウンティ・ジャッジ、ハリー・S・トルーマンはここ数年の世の中が「自分の」知っている世の中と少しずつ乖離しているのではないかと感じていた。
 そしてこの日、彼は州都カンザスシティの民主党事務所に呼ばれていた。

「…」

 あまり来ないこの場所だが今日は明らかにバタついていた。
 上から下までスタッフがひっきりなしに歩いて記者らしき人に、上院議員や州議員や地元の名士たちの部下やあるいは彼ら自身が出入りを繰り返す。
 その中で彼は職員に応接室に案内され何杯もコーヒーを飲んで待っていた。

「なんで呼ばれたんでしょうか?」

 本当に呼ばれて大丈夫だったのかと不安そうな秘書が見つめてくる。
 時計を見ればここに案内されて小一時間以上は経っている。

「焦るな。こんな騒ぎの中で来ているんだ。多少は仕方ない」

 そうだ多少は仕方ない。
 前世でも学んだ、慌てて行動する事、不安がることに良いことはない。
 常にどっしり座って、待つ。
 どうせ間違っていてもカンザスシティにまで来ることは少ないのだ。
 帰りに土産物の一つか二つ買っていいし、妻からはあれやこれやとデパートで買ってこいと言われている。
 多少は良いだろう。
 不安と外の喧騒から隔離された静寂を破ったのはドアのノック音だった。

「失礼します」

 入ってきたのはこの部屋に案内した若いスタッフ。

「ミスタートルーマン、貴方にぜひ会いたいという方が」

「?、誰でしょうか?」

「どうぞお入りください」

 スタッフが敬語を使うような相手だ。
 相当なお偉いさんだろう、そのように思っていると入ってきた人物に驚く。

「貴方がハリー・S・トルーマンさんですね?
 初めまして、私はフランクリン・D・ルーズベルト、合衆国大統領を務めている」

 そこには「かつてのボス」がいた。
 だが確実に言えることは一つ「ボスではない」
 ルーズベルトは部下に車椅子を押させて入ると、人払いをした。
 部下だけでなく私の秘書まで部屋から出して二人きりになる。

「貴方はカウンティ・ジャッジとしてとても優秀だと聞いて、ぜひ会いたいと思って来た。」

 単刀直入に切り出す。

「それは光栄です。大統領の耳にまで入るとは仕事を全うした甲斐がありました。」

「そこでだ。次の上院選で民主党候補として出馬し、私たちを支えてほしい。」

 それは上院選出馬依頼だ。
 前世でなかった事に私の直感が言う。
 斬り込めと。

「わかりました。ですが、一つ質問を」

「なんですかな」

「貴方は“フランクリン・D・ルーズベルト”ですか?」

 その言葉に彼はこう答えた。

「なるほど。そうか。
 私には、いや私たちにはある秘密がある。
 この先は地獄だが、ついてくるかね?」

 地獄がなんだ。前世はもっと罪深いことをいくらでもした。

「ええ、既に私にとってはここが地獄のようなものです。」



 1934年の中間選挙ではミズーリ州の民主党上院議員が”引退“したことから新たにハリー・S・トルーマン氏が上院議員に当選。
 一回生議員の身ながらルーズベルト氏に気に入られ、早速彼はルーズベルトの最側近の一人となった。

144:新人艦長:2025/04/04(金) 17:40:18 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
以上です。
トルーマンはこの頃ミズーリ州のカウンティジャッジで34年中間選挙で議員になってるのでいい感じに扱いやすいという
そして中身は史実のトルーマンなので優秀。
憲法改正はかなり強引な方法(反対派議員をスキャンダルで潰す)で通し、なんとか社会権とか認めさせてる。

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最終更新:2025年06月13日 21:48