600:ひゅうが:2025/04/10(木) 01:09:47 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
うちの宇宙開発スケジュールはちょっと前倒ししまして、こんな感じですかね
1951年10月4日――ソ連、初の人工衛星スプートニク1号打ち上げ、宇宙開発競争開幕
1954年2月11日――日本、初の人工衛星おおすみ打ち上げ、おおすみショック(同年、アメリカ海軍、ヴァンガード1号打ち上げ失敗)
1955年1月31日――
アメリカ、初の人工衛星エクスプローラー1号打ち上げ
1957年4月12日――ソ連、ユーリ・ガガーリンの乗船した初の有人宇宙船ボストーク1号打ち上げ(軌道周回飛行)
1958年5月5日――アメリカ海軍、アラン・シェパードの乗船した初の有人宇宙船フリーダム7打ち上げ(弾道飛行)
1959年3月10日――日本、五和亜斗夢の乗船した初の有人宇宙船「獅子号」打ち上げ(弾道飛行)。しかし墜落し飛行士死亡。初の宇宙計画での死者に対する嘲笑に対し、日本の反米感情激化
1959年3月11日――アメリカ空軍、ジョン・グレンの乗船した有人宇宙船「フレンドシップ7」(軌道周回飛行)打ち上げ。「日本はもはや永遠にアメリカの下だ」
1959年4月1日――日ソ、宇宙計画の本格的統合を発表。宇宙開発事業団設立
1959年4月23日――ソ連、3人乗り宇宙船ソユーズ1号打ち上げ、しかし大気圏再突入時にパラシュートがもつれたためコマロフ飛行士が緊急脱出。即座に公表され、「アメリカは追いついた」とアメリカの有権者を安心させる
1960年1月1日――日ソ、有人月面着陸計画「ルナ計画」発表。新打ち上げ基地を南洋諸島トラック環礁に設置する旨もあわせて発表
1960年2月2日――アメリカ、ニクソン大統領就任。就任演説にて有人月面着陸計画「アポロ計画」発表
1960年3月1日――国際連合、日本の沖縄に国連宇宙機関を設置、日米ソも参加し、宇宙空間における領土主張の凍結と宇宙での非常時の相互援助を確認(嘉手納合意)。のち、宇宙条約として具体化
1961年8月6日――日本の小松孝之の乗船したソユーズ17号、バイコヌール宇宙基地から打ち上げ
1962年9月10日――アメリカ、初の有人宇宙遊泳成功。宇宙での優位性をアピール
1963年1月10日――ソ連、大型標準打ち上げロケット「エネルギア」初号機打ち上げ。ツィオルコフスキー宇宙望遠鏡が軌道へ
1963年8月14日――アメリカ、月ロケット用エンジンF-1の度重なる実験失敗に伴い開発を凍結。開発中のサターンロケットの設計が大幅変更
1964年2月19日――ソ連、初の宇宙ステーション「ミール」の打ち上げに成功、以後月軌道投入を目指して建設が進む。アメリカに大きな焦り
1965年4月14日――アメリカ、アポロ8号による月周回飛行を実施するも打ち上げ3日後に爆発事故が発生「アポロ8号遭難事件」
1965年4月15日――ソ連、ニクソン大統領による要請にこたえ日本割り当ての打ち上げ予定を強引に前倒しした「アポロ・レスキューミッション」開始。異例のエネルギアロケット連続打ち上げが始動する
601:ひゅうが:2025/04/10(木) 01:16:48 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
訂正
最後のは「1965年4月15日」です
602:ひゅうが:2025/04/10(木) 03:37:03 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
航空技術が基本的に「一部を除き」史実よりも5年から6年前倒しをできるものとしているため、主要イベントは6年程度前倒しにされているものとお考え下さい
歴史的変更点の概略は以下の通り
- 大粛清を食らわずコロリョフとグルシュコの仲が良好であるため、1938年から1944年までにソ連が実験データを蓄積。V2レベルの一歩手前までは1946年時点で開発済み
- ペーネミュンデごとソ連が接収し人員ごと確保されたことから、ソ連のロケット開発が順調に進捗。フォン・ブラウンが戦犯扱いされておらずフルシチョフのもとで宇宙開発を統括できた
- 以上により、実験データ蓄積に加えて限られた人材によるV2ロケットの図面描き起こしと再現に3年をかけることもない
- これによりR-7大陸間弾道弾(作中では大洋間弾道弾)の開発を6年あまり前倒し
- 一方、V2が実戦投入されていないかごく限られていることに加え、ドイツ本土を制圧できなかったアメリカは史実より3年あまり遅れて大陸間弾道弾の戦略的価値に気付く
- ソ連がフォン・ブラウンをトップにコロリョフがロケット開発を統括できたのに対し、アメリカでは陸海空軍がそれぞれ独立してロケット開発を開始。これにNACA(航空諮問委員会)および民間企業のロケット開発も続く
- この差により1951年にスプートニク1号打ち上げ成功。当初から史実のスプートニク2号相当の重量のある衛星が投入される
- アメリカ空軍の強硬な主張によりロケット開発計画および機関の統合に失敗。主導権争いに加え基礎データが共有されなかったことから2年あまりを空費する
- 日本側はこのアメリカの醜態の間に、史実におけるラムダ4S5型ロケットに当初から誘導装置を組み込み、史実の「おおすみ」打ち上げに成功
- 期せずしてアメリカに先行してしまったことから、国産大陸間弾道弾の開発にあわせて有人での弾道飛行が急遽組み込まれてしまう
- 国民からの今度もアメリカに先行する期待および学閥争いから宇宙船と弾道弾本体を別個に開発する羽目になり、技術的にギリギリだったこと、さらにぶっつけ本番の打ち上げに近かったために、初の有人宇宙開発での死亡事故を誘発
- 以上の醜態から、日本側の体制一新が図られ、弾道弾の完成に伴い宇宙計画の統合が実現
こんな流れですな
603:ひゅうが:2025/04/10(木) 03:59:19 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
続きです
- 日本側の有人宇宙開発が文部省を離れて新設の宇宙開発事業団に統合
- しかし有人宇宙事故のトラウマから以後の日本の宇宙開発は過剰なまでに安全対策に気を配り始める
- 同時期、秘密裏に進行していた月着陸計画用宇宙船ソユーズでも慢心から事故が発生。しかし日本が友好国であることから海上着水ができ、ボストークの射出座席による緊急脱出機能が維持されたことで飛行士は生還
- 結果的におおすみのトラウマを払拭でき、さらにソ連がトチったのを見たアメリカで統括宇宙機関設置の機運が後退
- 連続した事故発生を重くみた日ソの呼びかけにより、国連主導で宇宙開発時の最低限のルール決定が前倒しされ、用地と予算を提供した日本に国際機関設置
- フォン・ブラウンらドイツ人技術者のいないアメリカ側では、史実のサターン5型のメインエンジンの開発が難航。統括機関がいないためにロケット試験台の予算がケチられたことで開発頓挫
- 日ソが掲げる1965年の有人月面着陸に追いつくべく、12基のメインエンジンを用いた改設計と、突貫事業でロケット開発が間に合わされる
- 対して電子産業で先行する日本側の協力を得られたソ連では数多の失敗を経て標準ロケットになるエネルギアの開発に成功
- 1964年に至って、月専門ロケットを何とか間に合わせたアメリカと標準ロケットによる分割打ち上げを採用したソ連側とでは余裕が絶望的な差に達していた
- 結果、宇宙ステーションを建造しこれを月軌道へ遷移させようとしているソ連に対し、アメリカは焦りを深めてアポロ8号による有人月周回飛行という冒険を選択
- このため…史実のアポロ13号で発生する事故の原因が見過ごされた
- 予算と時間の制約から史実のアポロ13号と違い、アポロ8号は月着陸船を搭載していなかった
- このため…うまくいっても永遠に月軌道を周回し続け、酸素が尽きて乗員3人が一挙に死亡するという危機的状況に陥った
以上が「アポロ8号遭難事故」の伏線です
604:ひゅうが:2025/04/10(木) 04:23:06 HOST:flh2-133-204-83-129.osk.mesh.ad.jp
分かりにくい用語解説
- NACA――アメリカ連邦航空諮問委員会のこと。映画「風立ちぬ」でちらっとセリフに出ていたが、アメリカにおける航空技術開発の統括機関。翼形状の試験結果などは全世界に公開されている
- スプートニク2号――実は史実では1トン以上の重量を有する本機が最初に打ち上げ予定だったが設計ミスで重量超過したために急遽ビーコン機能のみを搭載したスプートニク1号が打ち上げられた
- ラムダ4S5型――史実における日本発の人工衛星打ち上げロケットだが、弾道ミサイル技術への転用が心の祖国を害すると思った当時の社会党による妨害で誘導装置なしでの打ち上げを余儀なくされた。この世界ではそんなことはないため初回打ち上げでの軌道投入に成功
- ぶっつけ本番――日本のような予算の制約がある組織における悪癖。史実ではH2Bロケットに初の宇宙ステーション補給機を搭載し打ち上げに成功した。成功してしまったのだ
- 獅子号――同じく創作上の日本発の有人ロケットで墜落事故を起こしたものの名前を転用。ただしこちらでは、市街地に墜落して数百人の民間人を死亡させるような大惨事にはなっていない。夢幻会らの暗躍により技術開発の金と手間をケチった末路として大いに喧伝される結果になる(事故自体は予測できなかった)
- 学閥――史実においては日本の宇宙開発は東京大学宇宙研究所から、利権の匂いをかぎつけた文部省傘下の宇宙科学研究所に移管された探査機打ち上げ業務と、科学技術庁や通産省主導での衛星打ち上げを目指した宇宙開発事業団に二分されていた。学閥や組織間の主導権争いと、固体燃料ロケットによる大陸間弾道ミサイル技術の獲得という裏の目標が入り混じり組織は21世紀に入りようやく統合された
- 国際宇宙機関――実は史実でも国連の内部に宇宙関連組織があるが茶飲み会合に近い。こちらでは本機関設置により、宇宙船同士のドッキングを行えるように規格が共通化された
- 標準ロケット――基本となるロケットに上段やブースターを追加することで多種多様な任務を行えるロケットのこと。基幹ロケットとも。開発は難しいがコンセプトが優秀なら非常に長期間にわたり運用できる
- 月専門ロケット――サターン5型をはじめ、アメリカの宇宙ロケットは計画ごとに別個に開発されていた。しかも、全米に雇用を生むべく3段式のロケット本体の製造メーカーが別々でこれを組み合わせている。しかも改造しなければ他の任務には使えない
- アポロ13号――史実で月へ向かう途中に事故を起こしてメインエンジンが使えず燃料も尽きた状態になった。しかし月着陸船のエンジンを利用して月軌道から地球への帰還軌道へ遷移。手動航法で大気圏に再突入する2.2度の突入誤差を克服し奇跡の生還を果たしている。だが、今回、月着陸船は、ない
- アポロ8号――史実では、1968年12月24日に月周回飛行を行い地球へ帰還した。政治サイドからの要求で、生還率7割以下とみられつつも冒険を実施。このときの船長がアポロ13号の船長もつとめたことで、上記の奇跡の帰還が可能となった。史実でも月着陸船は未搭載である
最終更新:2025年06月13日 22:03