175:ライスイン:2025/04/04(金) 23:05:15 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
ロシアによる宣戦布告無き対日奇襲の翌日、ホワイトハウスではバイデン大統領以下の主要閣僚が緊急会議を開いていた。勿論議題は日本への救援・・・安保を発動するか否かである。

「では安保は発動しない方が良いというのかね?」

「はい、幾ら経済に回復傾向があるとはいえロシアと戦争をする余裕は我が国にはまだありません。」

「それに万一我が軍に死傷者が出れば政権支持率に影響します。」

バイデン大統領の問いに幾人かの閣僚や補佐官が準備不足や政権支持率を気にして安保発動に反対の意見を述べる。

「ですが対日安保を発動しなければ他の安保締約国との関係に影響が出ます。
 それに日本が敗れれば貴重な原子力空母の母港や対中露の防波堤兼前進基地を失ってしまいます。」

「今後の対日関係はいかがするおつもりですか?」

それに対して国防長官やDIA長官ら軍事・諜報関係者らは日本という中露を抑える為の基地や今後の対日関係を考慮して安保を発動すべきと主張した。
これらの意見を聞いたバイデン大統領は

「現状では安保を発動せず、日露双方に対話による解決を呼びかけよう。
 それと日本に対話による解決を行う様に圧力をかけてくれ。」

「ぐ・・・具体的には?」

バイデン大統領は安保を発動せず対話による解決を図る様に日本に圧力をかけると宣言。その方法を聞いた国務長官に対して・・・

「F-35のキルスイッチを発動して使えなくするのだ。そして泣きついてきたら我が国への利益供与と引き換えに停戦を斡旋する。その時は第7艦隊をウラジオ沖の公海上に派遣しても良いな。あと在日米軍には動かない様に伝えてくれ。」

国家間の条約を無視した自分勝手な意見に国防長官らは反感を覚えるも正直なところ、戦争の準備が全く出来ていない現状を考えればやむを得ないと納得せざるを得なかった。
だがこの決定が後にアメリカの信用を致命的なまでに落とす事になる。


=現代IN夢幻会 第二次日露戦争02=


 時間は遡って核攻撃の前日、首相官邸では全閣僚による緊急閣議が開かれていた。駐日米大使より安保は発動せず、対話による解決を図る様にとのアメリカからの圧力。これにどう対処するかが主要議題であった。

176:ライスイン:2025/04/04(金) 23:05:48 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
「神崎さん、どうでしたか?」

「バイデン大統領から直接言われたよ。安保は発動しない、対話による解決を図る様にとね。それと・・・F35の件を聞いたがはぐらかされた。」

バイデン大統領との電話会談に臨んでいた神崎総理は辻の問いに答える。
その予想通りの無いように皆はあきれ果てた。実は電話会談の少し前に使用出来なくなったF-35を調査していた三菱と倉崎の合同チームから内部に不審な極小の装置の発見と外部からの電波的な干渉の痕跡を発見したとの報告があったのだ。神崎総理はその件もバイデン大統領に問い合わせたがはぐらかされていた。

「これは黒ですね。」

「アメリカは頼れず独力でロシアを撃退するしかないですね。」

F-35も使用できず独力でロシアを撃退するしかないと皆は改めて決心した。

「ですが極東ロシアの大型揚陸艦はミストラル級2隻とイワン・グレン級が2隻で制海権を奪われない限り大軍は運べません。ただ空挺や親ロシア派の手引きで民間船舶で侵攻してくる可能性は十分予想出来るので警戒は必要です。」

現時点で海自は日本近海に濃密な対潜警戒網を敷き、複数のロシア潜水艦を撃沈していた。また十分な弾薬を集積しておいた事で空挺部隊を乗せた輸送機の大半を撃墜し、取り逃して降下してきた分も強力な火力で殲滅できていた。
そんな中、翌日にロシアの核弾頭が知床半島に着弾したと報告が入った。

「ロシア側は多数の通常弾を混ぜての飽和攻撃を行ったようです、幸い無人地帯で人的損害はありませんが自然環境への被害が甚大です。」

閣僚達もまさか序盤でロシアが核攻撃を行うとは予想が出来ず、大きな衝撃を受けていた。

「アメリカに再度安保の発動を要請して下さい。流石に同盟国に核攻撃まで行われては黙っていないでしょう。」

神崎総理は再度アメリカに安保発動を要請する様に吉田外相に指示をする。
此処で何もしなければアメリカは増々中露に舐められるだけだ。

「総理、テレビを。ロシアのプーチン大統領が声明を発表しています。」

駆け込んできた秘書官がロシアが声明を発表していると知らせて来た。慌ててテレビをつけると

「親愛なるロシア国民の皆さん、そして世界の方々にお伝えします。
 我がロシアは数日前、度重なる日本の軍拡及び悪質な挑発に耐え兼ねて特別軍事行動を発動しました。軍国主義化した日本は愚かに領土的野心を抱いて極東ロシアのわが国民を苦しめてきました。私は散々対話において日本に自重する様に申し入れましたが全く聞き入れず、更に行動を過激化させた為、止むを得ず特別軍事行動に踏み切りました。犠牲は出ましたが平和に目覚めた日本国民やロシアの友好国アメリカの協力もあり順調に推移しています。」

プーチンの声明を聞いた神崎総理以下閣僚達は

「自分達がやってきた事をそのまま我が国に被せやがった。」

と突っ込みを入れていた。なにせ声明の中にある挑発や領土的野心は第二次大戦後にソ連やロシアがやってきた事そのままだからだ。
しかも親ロシアはやアメリカとの友好協力までアピールする事で日本の孤立化を印象付けている。

「ですがこのまま特別軍事行動が続けば双方に更なる犠牲が出てしまいます。
 そこで私は特別軍事行動を終わらせる条件として以下の内容を日本政府が受け入れる様に望みます。
 01:ロシアが主権を有し、長年日本が不法占拠を続けていた北海道及び対馬の返還。
 02:不要な衝突を起こさない為、東北地方を非武装地帯とする。
 以上を日本側が受け容れて再び平和国家として出発する事を望みます。」

というあまりにもイかれた声明で会った。しかも核攻撃には言及せずに。

177:ライスイン:2025/04/04(金) 23:06:30 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
「ふざけやがって露助めっ!!」

「ここはやはりアトム計画を発動するしかありませんな。」

彼らは最早アメリカは頼れず説得する時間も惜しいと判断した。

「まず明後日の安保理緊急会議に特命全権大使をロシアへの非難と制裁実施を提案します、同時にアメリカに再度安保の発動を迫ります。どちらも否定されるでしょうから、その後に記者会見を開いてキルスイッチの件も含めてぶちまけましょう。」

「それが終わると同時に国会において非核三原則の破棄と核開発関連予算を提出という流れですね。」

こうして日本側の方針は決定した。その頃アメリカでは・・・

「ロシアめ、よりによって核を使うとは。」

「幸い迎撃をすり抜けた1発が無人地帯に着弾しただけですが・・・。」

ホワイトハウスではロシアの核攻撃というまさかに事態にバイデン大統領以下がパニックに陥っていた。

「停戦条件に北海道と対馬を寄こせとは・・・。これでは対話になりませんし日本側も間違いなく受け入れませんぞ。」

「日本からは再三安保発動の催促が来ています、同盟国に核攻撃までされて何もしなければ国際信用度がガタ落ちし貿易に深刻な影響が出ます。」

彼らは再三日本に対話による解決を図る様に圧力をかけていたが、この様に日本が絶対飲めない条件の出されては対話を継続するとは思えなかった。
安保発動に反対だった国務長官や財務長官らも何らかの手を打たなければ他の同盟国からの信頼はガタ落ちし、兵器販売においても支障が出ると考えて意見を述べる。

「安保は発動しない、これは決定だ。日本人の為に我が軍から戦死者を出すわけにはいかないし、それ以前にロシアと戦争するには準備不足でまだその時ではない。」

だがバイデン大統領はそれらの意見を無視した上で安保発動を否定した。

「では日本をどう納得させますか?安保が役に立たないと判断すれば破棄を宣言する事も十分に考えられます。それに領土損失への代償は?」

国務長官が日本への代償についてバイデン大統領に尋ねた。安保も発動せず領土損失を受け容れろとなれば、他の安保締結国もアメリカは有事には必ず見捨てると思われるからだ。

「それについては日露で不可侵条約を結ばせてこれ以上の領土損失を防がせればよいだろう。それと貿易上の優遇措置や不要な基地の返還に横田空域の管制権を返還してやればよいだろう。」

バイデン大統領はあっさりと言い切った。どう考えても北海道や対馬とは釣り合わなかったが、彼はこれで十分と判断していた。

「では2日後の安保理緊急会議でその通りの提案を行う様にします。」



2日後、国連安保理緊急会議では凄まじい激論が飛び交っていた。

「我が国はあの世なふざけた要求を要求は受け入れない、核攻撃までしておいて領土を寄こせとは。我が国はロシアに対する非難声明の採択と制裁の実施を求めます。」

178:ライスイン:2025/04/04(金) 23:07:01 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
特命全権大使として安保理に派遣された白州大使は激しく主張する。
対してロシアの国連大使は

「原因は異常な軍拡を進め領土的野心を露わにした日本にあり、我がロシアは自衛行動をとったまで。これ以上の無用な犠牲を避ける為にも先の宣言を受け容れるべきだ。」

と日本に責任転嫁し改めてプーチン宣言を受け容れる様に主張した。
イギリスやフランスはロシアを非難するも具体的な意見は述べず、中国に至っては無言のままだ。そのときアメリカが

「我が国は改めてロシアと日本に対話による解決を呼びかけます。しかし無用な犠牲をなくすには代償が必要だとも考えています。」

と対話による解決を呼びかけつつも、日本に対してロシアの提案を受け入れて停戦する様に発言する。この意見には英仏は愚か無言を貫いていた中国すらも驚愕した。そして

“アメリカは日本を見捨てた”

と認識させてしまった。結局この日の安保理では日露双方に対して改めて対話による解決を呼びかけるだけに終わった。


「そう簡単には受け入れないか。」

「まあ当然でしょうな、あの程度の条件では北海道と対馬を失う代償としては足りないでしょうから。」

安保理後、ホワイトハウスではバイデン大統領らが内容の報告を受けていた。結果は予想通りで日本はロシアの宣言を受け容れるつもりは無かった。

「大統領閣下、双方の戦闘行動を停止させる為にウラジオ沖に第7艦隊を展開させるべきでは。ロシアの性質上、少しでも譲歩すれば更に踏み込んで来ますし日本側もそれを気にしているのでは。」

国防長官が戦闘行動を停止させる為にも第7艦隊を動かすべきと主張する。

「それで万が一犠牲が出てしまっては大変だ、我が軍は動かさない。
 まあ何もしないわけにはいかんから、ロシアに特使を派遣して攻撃をこれ以上行わない様に説得しよう。」

しかし大統領は犠牲が出る事を恐れて国防長官の意見を却下した。
その時・・・

「し・・・失礼します、ロシアが新たな声明を・・。」

補佐官の一人が息を切らせて入室してきた。その声に押されて誰かがテレビを
つけると

「我々は長年の日本による不当な搾取と弾圧に抵抗する為、ここに蝦夷自治共和国臨時政府の設立を宣言しロシアと共に歩みます。」

とロシアが事前に自国に招いていた親ロシア派日本人がロシア傘下の自治共和国として蝦夷自治共和国臨時政府の設立を宣言していた。因みに首長は某胸男であった。

「我がロシアは長年日本政府に虐げられてきた人民の為に、北海道が返還された後に自治共和国を新たに設立する事を宣言します。」

とプーチンが宣言する。要は日本に対して宣言を受け入れさせる為、新たな圧力をかけて来たのだ。

「大統領・・・。」

「・・・・・。」

閣僚の一人がバイデン大統領に話しかけるも彼は無言のままだ。
ここまで来れば彼にも日本がロシアの主張を受け入れない事くらいは理解できる。それでも彼は米軍兵士に犠牲が出る事で支持率が低下する事を国際的な信用度の低下より恐れていた。もっともそれ以外にも特大の秘密をかけていたが(※1)。

179:ライスイン:2025/04/04(金) 23:07:33 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
「だ・・・大統領、日本大使館が記者会見で・・・テレビを。」

と別の補佐官がこれまでにない位慌てて入室してきた。
今度は大統領自身がチャンネルをまわすと・・・

「自衛隊がF-35を使用しなかった・・・いや、出来なかったのは
 アメリカが対話による解決を受け入れさせる為の圧力としてキルスイッチを作動させたからです。証拠に・・・・。」

と駐米日本大使が防衛駐在官と共に記者会見を開き、キルスイッチの件をマスコミにぶちまけていた。

「畜生っ、J〇Pめぇ!!」

発狂するバイデン大統領。しかしキルスイッチの件は事実であり、しかも証拠付きで晒された以上、何もできることは無かった。
もっとも翌日に彼らは更に驚愕する事になる。


「航路を外れているぞ、直ちに戻せ。」

ハバロフスクにある空軍基地の管制センターでは航路を外れた1機のTu160M2に警告を行っていた。この機体は日本に更なる圧力をかける為にプーチン大統領の命令で200ktの核弾頭を搭載したKh-55対地ミサイル12発を搭載してサハリン近郊の空軍基地に移動する事になっていた。しかしサハリン上空を通過しても南に向けて飛行中であった為、急遽警告を行ったのだ。しかし当の機体はそれを無視して飛行を続けている。

「大変だ、格納庫脇の側溝に操縦士4名の死体が転がっていた。身分証から航路を逸脱中の爆撃機の搭乗員だと判明したぞ。」

管制室に駆け込んできた憲兵隊の言葉に管制官らは愕然とした。それでは爆撃機を操縦しているのは何者なのかと。その頃、航路を逸脱中のTu160M2の機内では

「上手くやったな須川。」

「ああ、これで露助もアメリカも容易に強硬手段はとれなくなる。」

航空自衛隊に極秘裏に設立された航空盗難隊(※2)の隊員4名は作戦が上手く行っている事を喜んでいた。

「まあ油断するなよ、帰るまでが遠足だからな。」

隊長の須川耕太一等空尉も仲間を戒めながらも笑みが止まらなかった。その後も彼らはロシア側の呼びかけを無視して飛行を続けた。ロシア側が
強奪に気付いて追撃の戦闘機を発進させようとした頃には既に千歳基地に着陸していた。こうしてロシアは核兵器を搭載していた爆撃機ごと日本に強奪されるという恥を晒した。そしてその翌日

「アメリカも頼れずロシアの核の脅威に晒されている今、国民の生命を守る為の核兵器を開発する予算の承認を求めます。」

と神崎総理が衆議院本会議場で核開発関連予算案を提出した。

「非核三原則を無視すすんですかっ!!」

「話し合いを重ねるべきだ。」

と一部の議員は吠えた。だがロシアの提案を受け入れるという事は、ロシアと裏切者たちに北海道と対馬を失う事であり、そうなれば政治生命どころかガチの生命まで失いかねないと左翼議員ですら反対しなかった。
それにより短時間の審議で衆議院を通過し、参議院でも即日で採択された。
 これだけでなく日本がロシアから核兵器を爆撃機ごと入手した事が知れ渡ると世界は改めて日本の本気を知る事になった。

180:ライスイン:2025/04/04(金) 23:08:13 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
※1:支援企業のいくつかがロシアで事業を始める際に便宜を図った事や息子がロシア石油企業の外部取締役として月額5万ドルの報酬を受けていた事など幾つかの厄ネタを抱えていた。

※2:空自に極秘で設立された、敵国に侵入して航空機を強奪する為の特殊部隊。
  主にロシアを標的にしていて退役軍人から資料を入手したり、賄賂で分解したシミュレーターを密輸したりと準備を重ねていた。
  隊員は8名で全員が前世が痛い子飛行隊である。

=あとがき=

今回は政治的な動きがメインでした。
ロシアは傀儡を建てて北海道と対馬を返還せよと要求し、アメリカは犠牲を恐れて動かず。それにキレた日本が生き残るために色々と行動しました。
今回の特にヤバい点は
〇アメリカ、キルスイッチの件をバらされる。
〇ロシア、核ミサイルを爆撃機ごと奪われる。
〇日本、核開発開始。
でしょう。次回は混乱する世界にキレるロシア、そして日本の反撃を書く予定です。
掲載お願いします。

181:ライスイン:2025/04/04(金) 23:10:32 HOST:g220-215-87-72.scn-net.ne.jp
〇追記

ロシアは日本を動揺させるつもりで自国に招いた親ロシア派の人間を使って蝦夷自治共和国亡命政府を建てました。

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最終更新:2025年06月22日 14:03