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635 ゚д゚)<盛大に間が空けてしまったので簡単に前回までのあらすじ!
もうすぐ第二次世界大戦に転生してしまった
夢幻会、足掻きに足掻いた結果1945年・昭和20年8月、史実より数ヶ月遅れて始まった沖縄戦。
まさかの、米軍の二発の核兵器による自爆によって双方の戦闘が停止、ついでにルーズベルト大統領も報告聞いてポックリ逝ったからさあ大変。
そして出るわ出るわの米国への背任としか思えない証拠物件に加えその大統領とルメイ、そして陸運航空隊戦略爆撃部隊へのナチ信奉者疑惑。
某伍長のお言葉で明かされる真実()太平洋戦争は米国まで浸透したナチの陰謀だったんだよ!Ω ΩΩ< な、なんだってー!!
そしてやはり大統領もルメイもナチ信奉者()であった。
かつての敵国、大日本帝国とアメリカ合衆国は手を取り合い日本が頑張ったせいで未だ元気なナチという世界の巨悪へ立ち向かうこととなったのだ!(後世歴史的事実)
そしてM4シャーマンやM1小銃など供与される米国、史実試作で終わった兵器で近代化一新された陸軍と共に欧州へと派遣される連合艦隊。
大和や赤城、金剛などの日本艦の他にそこには満州利権と引き換えに艦艇の消耗した日本へ譲られたされたサラトガやウォースパイトら米英艦の姿があった。
彼女らは未だ独勢力が跳梁跋扈する混沌とした地中海へ突入しクレタ沖海戦、エーゲ海夜戦などを経て地中海を解放するのであった。
しかし一連の戦闘とその後のにおいて特攻兵器という倫理を無視した兵器をナチスは投入。
日本も参加した連合国軍側に大きな出血を強いるのであった。
それでも彼らは進む、そこが泥沼の地獄だとしても。
昭和二十一年、二月。
昨年末に撃墜されドイツ勢力圏に不時着した別の世界線で宰相だったエースパイロットがドイツ北部の日本勢力圏まで帰ってきた。
当初は生存絶望視されてた為に幽霊か何かと思われたり、
ドイツの科学は世界一ィ!と作られた偽物かと思われたりして憲兵のお世話になりつつなんとか潔白を証明した。
帰還は喜ばしいのだが持ってきたものが問題だった。
途中の収容所から解放してきた連合国人…どうやったのかツッコミ入れたいがまあこれはいい。
戦火から逃れるためについてきた一般ドイツ人(ほぼ若い女性と子供)敵国人であるが若い女性と子供もまあ良いだろう。
若い女性割合高いが男手取られて年配は残ったのだろうからまあ分かる。
降伏した武装解除したドイツ軍人も情報も欲しいからまあ良いだろう。
「キミから離れようとしないここに着いた時には銃で武装し戦車乗り回してたその少女達は何かね…?」
「いや…これには深い事情がありまして…。」
地位的に遥か上の将官の問に頬を掻くパイロット。
その周囲には周囲の軍人を威嚇するどう見ても白人種の少女達の姿があった。
彼女らの名前を問えば桜子や花子などどう見ても白人の見た目にそぐわぬ日本人女性の名を名乗った。
「この娘達は私が不時着した施設に居たナチスの言う所の自動計算機の最新型…あの無人有人兵器の操縦者なのです。
それもより非人道的な教育や処置を施された…名付けることで刷り込みとなりその人物に服従するようにされております。」
その言葉に周囲は息を飲む。
「で、では彼女らに名前を付けたのは…。」
「はい、私です。私は墜落前に脱出しましたが機体は施設司令部を直撃し内部人員は全員死亡。
私自身はその施設内に降下、内部で遭遇した彼女らに名を尋ねた時に名前を持たぬと申したので暫定的に名付けた所…。」
「懐かれた、と…。」
「はい。」
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将官はううむと唸る。
「ハチロク、その最新型とは…。」
ハチロク、それが帝国での少女達の呼び名だった。
時間は少し遡り昭和二十一年一月末、東京。
年も開け、遠く欧州では未だ戦火冷めやらぬにもかかわらず穏やかな年を迎えていた。
本土及び満州は多数の徴兵者の引揚げ、連合国との講話から世相は明るい様子を見せ、
アメリカ始め連合国から各種兵器・物資生産要請により製造機器を米国製に入れ替えた工場がフル稼働した結果嬉しい悲鳴を上げ、
引揚げ兵の大半を労働力として吸収し明るい世相と合わせ景気を上向かせていた。
そんな中、呉や佐世保などの軍港からは海上輸送路維持と護衛の為に鷹型航空母艦、秋月型、松型…、
そして提供されたフレッチャー級やカサブランカ級が頻繁に出入りしている。
また、修理が完了した武蔵や陸奥、乗員被爆により動けなくなり日本が購入した蝦夷型(コロラド級)姉妹、
元々持て余し気味だったので日本に建造中だった艦ごと回されたアラスカ級大型巡洋艦3隻とかが各軍港より抜錨、本土近海に残り防衛を担当している。
それらはアメリカ本土で建造中の新型艦艇と入れ替える予定だとかで今まで戦ってきた相手の生産力に日本側の目が死んでた。
そして宮城では度々御前会議が開かれそれらだけが日本という国が未だ戦争の最中にいることを物語っていた。
宮中にて大本営の会議が開かれその場は沖縄での惨劇以来となる重苦しい雰囲気に包まれていた。
その重苦しい空気の源は最も上御席に座するやんごとなき方。
幾度も手に持った欧州での戦争の資料を見直し信じらないという表情をしている。
それは大本営の他の者達も同じいや顔色はもっと悪い、その中で比較的平気そう…というか苦々しい顔しているのは夢幻会に属する皇族の一人くらいだ。
欧州に飛んでる夢幻会員が米軍より齎したこの情報はそれ程のものであった。
その夢幻会員は平成の末から転生した人物で所謂アニメやラノベの軍オタに属する人物なのだがこの情報と書類のコピーを連合国の軍人から渡され、
読み進めて宇宙猫になったそうな。
「斯様なことが現実に行われているとは…。」
やんごとなき方は息を吐く。
「兵器の名はなんと申したか…。」
「独国における正式名称をモロク、英国ではジャガーノートと呼んでいるとか。」
軍人の一人がそう答える。
前線ではコックローチだの油虫だのともっと酷い名前で呼ばれているがここは友邦の書類上の名前で呼ぶ。
「無人有人兵器…子供や女性を操縦者…いやジャガーノートの部品として扱うとは…。」
そして彼らが見ているのは米軍が解放した施設で非人道的な扱いをされた子供と共に発見された書類の翻訳版である。
1946年1月、ドイツ第三帝国北西部アイフェル地方のナチスの施設でその書類は発見された。
小高い丘に陣取り双眼鏡を覗き込むジョージという名の将軍は己が乗る戦車の上で口笛を吹く。
その視線の先には対空砲や対戦車陣地で守れれた堅固な要塞…いや元学校が存在する。
情報によれば元々はナチスの教育機関で現在は何らかの特別な教育が行われてるとかで自分が出向くこととなった。
「報告!対戦車陣地多数、キングタイガー複数!」
「守りが堅いなビンゴか。余程ここが重要か…ここでの機動戦は不可能!
タイプファイブを出す!」
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小高い丘に陣取り双眼鏡を覗き込むジョージという名の将軍は命令を下すと己が乗るその車両の上でニヤリと笑う。
極東から来た新たな戦友からはハンニバル親父などと影で呼ばれてたがローマ名を冠する帝国から三つ目の帝国を標榜するナチ殺しの名として申し分ないと現在では己の渾名としている。
そしてそのハンニバル親父の命令によりキュラキュラと白い星を付けたナチの突撃砲めいた装甲戦闘車両が戦場へと姿を現すと米軍の歩兵より歓声が上がる。
「メイン守護天使来た!」
「これで勝てる!」
そこへ戦闘車両の存在を察知した秘匿された対戦車砲よりアンブッシュで放たれる対戦車砲の砲弾が突撃砲めいた装甲戦闘車両に向かう。
しかしその必殺の筈の一撃は厚い正面装甲により明後日の方向へとかっ飛んでいく。
逆に秘匿陣地は結果、戦闘車両を支援しているM4の放った榴弾によりアワレ爆散。
「Jpaneseの戦友曰くアンブッシュは一回までOKだとJapanのコジキにも書いてあるそうだ。
だが、ナチ共一回までだ…『ドーモナチ=サン、アメリカ軍デス。スッゾコラー!』うてーっ!!」
その車両に乗るアメリカ戦車長は奥ゆかしく日本語でアイサツし号令と共に0.02秒。
虎の王はアメリカ兵の乗る車両の砲が火を噴くとアワレは爆散、ショギョムジョウナムアミダブツ。
最強もいつかはその座を退くのだ。
その戦闘車両こそは五式砲戦車、日本帝国陸軍が送り出した10センチ砲を搭載した固定戦闘室持つ砲戦車。
各部の磨耗を防ぐ目的で史実より公差大きくした結果デカいアメリカンでもなんとか乗れる車両となった。
アメリカ軍が「なあ日本軍君、俺達戦友だよな?」と某ガキ大将めいた言葉で西部戦線に日本軍戦車兵+戦車引張りさらにそれ以上の数を分捕…もとい提供受け装備した砲戦車である。
無論その分の補填等はちゃんとやってるのだが…全てはAGFが悪い。
その火力と装甲でナチスの防衛線を尽く食い破りアメリカ軍歩兵から我らが守護天使と絶大な支持を受けている。
無論そこには突破を支援する通常の戦車や歩兵の努力がある。
『『『着剣ッ!着剣ッ!!バンザーイ!』』』
日本兵に自分を鼓舞する日本語だと教えられた言葉を叫び日本製軽機の支援受け銃剣を装備した歩兵らが駆け出す。
五式砲戦車が開けた穴に味方のM4戦車と共に歩兵達が突入する。
米兵が叫ぶ聞き慣れぬ言葉、猿叫としか思えぬ叫びにナチの親衛隊達は恐怖を感じ我先にと逃げ出す。
そこには一撃でティーガー2を撃破されたことによる恐怖もあったがそれ以上にの恐怖があった。
連合国はドイツ人の降伏を認めない惨たらしく殺される。
そういった噂がドイツ人内に蔓延しているのだ。
それは一部では正しい、明らかに民間人と思われる人間以外、
ナチスに属するを目されたドイツ人は尋問が行われた上である程度身が綺麗(比喩)でなければ基本的に何処かに消えていた。ドコイッタンダロウネ()
ましてや子供に戦争させたり、女性に自爆させたりしてる連中の命を尊ぶ理由があろうか?
教えはどうなってるんだ教えは!?である。
ナチだからと前線では民間人が間違っていても殺されるケースもあったが元を辿れば米英にトラウマ植え付けたドイツ人らの自業自得とも言える。
そんなこんなでその施設を制圧したアメリカであるがその施設を調査すると奇妙なことがあった。
大人が一人もいない、いや親衛隊や国防軍など軍関係者はいるが民間人やその他外国人も含め大人が一人もいない。
その居たナチスや軍関係者も惨たらしく殺されるならと自害したり凄まじい抵抗したので射殺されたりしている。
なのでまともな情報が入って来ず書類の調査もこれからなので分かったのはここが第86計算機製造工場と呼ばれていることくらい。
そして存在したのはナチの言うアーリア人含めた民族も違うミドルティーからハイティーンの少女、それも様子がおかしい。
皆恐怖するでもなく反抗するでもなく大人しく…いや無表情で拙いアメリカ兵のドイツ語の指示に従ったのだ。
制圧後にその子供らを集め治療と栄養失調の疑いがあったので消化に良い食事を与え、子供もいる状況で移動も出来ないので制圧した建物を今宵の宿とした。
そうした中、元医務室と思われる所を使い軍医が健康診断を行い、ついで比較的結構体力のありそうな少女に対し質問を行っていた。
その少女の頭部は丸刈りになっている。
戦前ドイツに居た経験のある軍医はドイツ語で尋ねる。
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『まず君の名前は?』
『…ヌンメル(番号)ベー(B)115…です。』
『それは番号、君の名前じゃない。お父さんとお母さんから貰った大切な君の名前を教えて欲しいんだ。』
『名前…お母さんとお父さんから貰った名前…大切な…喋っちゃだめ…捨てなきゃ…怒られる…殴られる…殴らないで…!』
『お、おいどうし…。』
『殴らないで…ッ!とうにちゅうせいをちかいます!いいこにします!あの子みたいにこわさないでころさないで…!!』
『落ち着いて…クソッなんて力だ!おい誰でもいい来てくれ!』
少女は半狂乱になり暴れ出す。
少女を軍医は止めようとするが予想以上に少女の力が強く一人ではどうにもならない。
医務室の近く居た兵士が部屋に駆けつけ少女を羽交い締めにしどうにか止めることが出来た。
3日後。
この施設の管理者の部屋、将軍が現在臨時の執務室として使っている。
ことの顛末の報告をたった今軍医より受けた将軍は椅子に座り机に広げられた紙に目を通す。
机の上に広げられた撮影班が現像した丸刈りで瞳の濁る少女の写真を見つめ、
さらに施設を捜索した兵士が見つけドイツ語に堪能な者が走り書きで翻訳した書類に目をやるとそこにも少女が写っている。
同じ少女が映るが後者は見た目からも少女らしさが伝わり同一人物とは思えない上、書類の上には翻訳者の嘔吐と血の跡がある。
その書類に目を通し時間と共に険しくなる将軍の表情。
書類を読み終えると息を吐き背もたれに体を預けると天井を暫し茫洋よ見つめると姿勢を戻し息を吐く。
「これがその理由か…。」
重い息、そして沸々と腹の底から苦いものと共にグツグツと煮えたぎる感情が湧いてくる。
それを飲み込み椅子より立ち上がり外に見る。
外にはアイフェル地方の童話の様な長閑な風景が広がる。
しかし、将軍にはその光景がここで行われていたことを隠す為の覆いにしか見えなかった。
君も見るといい、背中越しに軍医にそう言うと以後黙ってしまい。
軍医は仕方なく書類を読み進め…書類を全て放りだし胃の中のもの全てを床に吐き出した。
「しょ、将軍…これは…!」
「ああ、ここで行われていたことだ。間違いなくここはあの無人機の計算機の生産施設だよッ!クソッタレが!!」
投げ捨てられた書類が中を舞う中、吐き捨てる様に言う将軍。
悍ましさ、それ以外この場にはなかった。
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御前会議に出た記録
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【機密】許可された者以外の閲覧を禁ず
第86計算機製造工場 第三期製造工程 自動計算機調整カード 第 B-115 号
基本情報
番号:B-115
種類:初期反抗型
年齢:14(収容時と但し書きがある)
生年年日:1931-12-03
性別:女
言語能力:ドイツ語(母語)/フランス語(基礎)
家族構成:両親とも収容済(父:政治犯、母:反国家的活動関与疑惑)
調整進行状況
現在の教育段階:Ⅱ(初期段階修了)
本名の抹消:済
代用呼称:B-115(読み方指導済)
調整進行率:47%
行動記録
日付 行動内容 評価 備考
1945年12月2日 収容、反党的行動 未 収容時反抗した母親は別工場へ移送済
1945年12月4日 教官に向かって本名を名乗る 不可 一時隔離、再調整指導
1945年12月10日 他の児童を助ける行為あり 不可 慈悲的傾向が残存、さらなる調整必要
1945年12月18日 番号での返答を行う 並 調整進行を確認、次段階へ移行
調整内容
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この部分は失われている
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備考欄
- 父親:ルドルフ・クライン、反体制新聞編集者。試験調整に使用。英本土攻撃に投入。
- 母親:イルゼ・クライン、薬物を用いた調整に使用。死亡。破棄。
- 初期に夢の中で名前をつぶやく傾向が見られるため、夜間監視を強化。
- 現在、強い抵抗傾向を示したが眼前で母の写真焼却後に心理的崩壊の兆候。
使用教材:「忠誠の歌」「番号が私の名」などの反復朗読訓練中。
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197:635:2025/04/22(火) 10:21:49 HOST:27-143-183-225.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2025年06月15日 20:51