884:ホワイトベアー:2025/01/25(土) 19:04:17 HOST:om126233191014.36.openmobile.ne.jp
日米枢軸ルート 小ネタ ペプシ戦闘機事件或は「戦闘機への異常な愛情」
「なんでこうなった……」
「いいじゃないか、たかが40億程度で我々が約束を果たす誠実な財閥だと喧伝できたのだから」
「いや…確かにそうなんだが……」
1960年代、世界的に冷戦と呼ばれる三大勢力による激しいゼロサム・ゲームが繰り広げられていた頃、経済界ではそれより遥かに長く続く2大巨頭による激しいゼロサム・ゲームが同時に熾烈に繰り広げられていた。
その2大巨頭とは、アメリカ合衆国を代表する清涼飲料水メーカー、コカコーラ社と大日本帝国を代表するペプシコーラ社による激しい市場競争である。
史実と呼ばれる世界では双方ともにアメリカ合衆国の企業であった両社であったが、転生者と呼ばれるイレギュラーがいるこの世界では、炭酸による爽快感とフレーバーによる風味、そして大量の甘味料によるガツンと言う甘さを求める彼らによって双方ともに日本で誕生することになった。
だが、史実とは違ったこともある。それはコカ・コーラ社はペプシ・コーラ社よりも遅く誕生してしまったことだ。
そこにペプシ・コーラ社の方が甘いこともあって日本市場ではペプシ・コーラ社が優位を築いていた。
生き残るためにも外に市場を求めるコカ・コーラ社はアメリカ合衆国に目を付けた。
当時のアメリカ合衆国は南北戦争中の時代である。ゆえにコカ・コーラ社は北軍の兵士達に赤字覚悟でも安価でコーラを提供し、アメリカ国内でペプシ・コーラよりも先にブランドを固めようとしたのだ。
幸にして当時の日本では急速な経済発展に伴いコーラ需要も爆発的に拡大、ライバルであるペプシ・コーラ社は日本国内での供給だけでも手一杯で、
アメリカにまで手を伸ばす余裕がない。
言い方は悪いが、コカ・コーラ社にとってはボーナスステージと言えたのだ。
そして「全ての兵士にコーラを!」とアメリカ合衆国政府に自身を売り込んだコカ・コーラ社であったが、はじめの頃はアメリカ合衆国側はコカ・コーラ社の提案に否定的であった。
当時のアメリカ政府からしたら、わざわざ武器でもない清涼飲料水を国費で購入し、兵士に支給する必要性が低いと考えていたのだ。
一度は門前払いを受けたコカ・コーラ社であるが、それでも諦めずに自身を売り込も続けた。
このコカ・コーラ社の売り込みにアメリカ政府は断るためにも検討を開始、軍事には詳しくない(何と当時のアメリカ陸軍省は事務員が一桁人しかない極小規模な組織であった)こともあって、自分たちよりも遥かに先進的な軍事組織を構築し、自国の軍事組織を整備してもらっている日本軍将兵にアンケートを実施や聞き込みを実施した。
その結果、コーラ……というか甘味が将兵の士気向上に大きく貢献すると理解したアメリカ政府はコカ・コーラ社の打診を受け入れ、コカ・コーラは北軍将兵の友としてその心を支え、そして戦後にはアメリカ政府の「アメリカを再び1つに!」の掛け声の下、南部の人々にも供給されたことで彼ら彼女らの心にもいくらかの安らぎを与えた。
コカ・コーラはアメリカ国民の愛国的な存在としての地位を確立したのだ。
アメリカ市民戦争を契機にアメリカ合衆国での市場を大きく開拓したコカ・コーラ社であったが、やはり日本本国市場ではペプシ・コーラ社に遅れをとっており、そこで本社をアメリカ合衆国に本社を移転、名実ともにアメリカ企業としてやっていくことを決意した。
その後、大日本帝国市場を固め外に進出できるようになったペプシ・コーラ社、アメリカ市民戦争によりアメリカ合衆国市場を固め、さらなる市場獲得を目指すコカ・コーラ社はともに欧州や南米、
アジアやオセアニアに進出、世界各地で激しいマーケティング競争を繰り広げていくことになる。
そして、この国際的なマーケティング競争は日本国内と違いコカ・コーラ社が優位に立ってしまう。
というのも、ペプシ・コーラ社は日本市場で多く売れてしまい、そこにあぐらをかいて油断してしまった期間があったのだ。
885:ホワイトベアー:2025/01/25(土) 19:04:49 HOST:om126233191014.36.openmobile.ne.jp
国際的なメーケティング競争とブランド確立競争で遅れをとったペプシ・コーラ社はこの遅れを取り戻すため、多額の資金を投入して新商品の開発に着手。同時に広告宣伝にも力を入れ、ペプシコーラをはじめとした各種ペプシ社の商品の購入に応じて消費者にポイントを付与し、一定のポイントと交換で同社のロゴが入った景品と交換できるポイントプログラム「ペプシチャレンジ」を実施するにいたる。
このペプシチャレンジであるが、基本的な景品はペプシ社のロゴが入ったティシャツだったり、サングラス、革ジャケット、ワイヤレスイヤホン、スマートフォン、果にはゲーム機、パソコンなどで、まだ普通のキャンペーンである。
しかし、この後にこのキャンペーンを盛り上げるために行われた2つの行動が、後にペプシ社の運命を大きく動かした。
まず一つがインパクト目的のジョークとして、7000万ペプシポイントを集めた場合の景品として帝国海軍海兵隊でも運用されていた垂直型攻撃機「A-35」を提供とテレビ広告で宣伝してしまったことだ。
(ちなみに当初ペプシ社は70億ペプシポイントで攻撃機と交換としていたが、広報部がテレビでの見栄えが悪いし顧客にインパクトを与えられないとして0を2つ減らすよう提案。これが通ってしまった)
このキャンペーン、500mlのペットボトル製品4本に付き1ペプシポイントを与えると言うもので、A-35を手に入れるために必要なペプシ社の清涼飲料水は280,000,000本というとてつもない量になる。
ここまでならばまだ……まだマシだっただろう。
しかし、このポイント設定では通常の景品でもアホみたいなペプシ社製清涼飲料水が必要になってしまう。
これでは新規顧客の獲得には効果が今ひとつだと考えたペプシ社企画部は最低15ポイント、つまり60本のペプシ社製品を購入した人は、1ペプシポイント10円(史実2024年の円で14円程度)と換算して、現金での支払いをOKにしてしまったのだ。
このテレビCM、世界中、特にハワイ条約機構加盟国において積極的に流された。
大半の人間は他の景品はともかく、攻撃機に関してはその莫大な必要ポイントからジョークと正しく受け取ったのだが、レベル違いのバカが多いアメリカ合衆国において1人のバカ(天才)が攻撃機を夢見て立ち上がった。立ち上がってしまった。
この若者、15ポイント以降の必要ポイントは現金支払いOKという規約と攻撃機の交換に必要なポイントに目をつけた。
ペプシ社の製品はおおよそ1本90円から110円程度、つまり最低ポイント数に必要なのは高く見積もっても6,600円程度である。
そして以降のポイントは1ポイント=10円で変換可能となっている。
これが意味することは7億6350円が攻撃機の獲得に必要な金額だということだ。
さてA-35であるが、これは日本軍が正規のルートで購入した場合、(新造機ということもあって)どんなに安くても37億円程度はする。
つまり1/5程度の破格の値段で攻撃機が手に入る計算となることに、この若者は気づいてしまったのだ。
それでも普通の人間なら、いくらか破格とは言えサラリーマンの生涯賃金の3倍以上の金額を揃えようとは思わないだろう。
しかし、彼は規格外のバカと規格外の金持ちが共存するアメリカ合衆国という国に暮らす人間で、そして若者らしく行動力に溢れた人間でもあった。
必要な資金を計算した若者は直ちに行動を開始。
友人である超が幾つも付くような資産家に融資を願った。
ペプシ社にとって不幸なことにこの資産家は大のお祭り好きで、若者に対して戦闘機を使った事業計画をプレゼンし、自信を納得させられれば融資すると約束してしまった。
さて、この馬鹿みたいな騒動をおこした
その事業計画自体は若者らしい穴の多いもので、経営者として見れば何とか及第点と言えるものだった。
だったのだが、彼が頼った金持ちも実にアメリカンな、オブラートに包んで言えばノリが非常によい人間で、ギリギリではあったが彼が提示した事業計画が及第点であったこと、そして若者の行動力と熱意に心動かしポンと必要な金額を用意してくれちゃったのだ。
886:ホワイトベアー:2025/01/25(土) 19:05:32 HOST:om126233191014.36.openmobile.ne.jp
資金に目処が付いた若者は必要な15ペプシポイントと残りの金額を小切手でペプシ社本社に送り、A-35との交換を求めた。
この手紙に対してペプシ社は小切手を返却すると同時に、意訳すると「ナイスジョーク。攻撃機は与えられないけど、ポイント(現金ではなくポイント分のみ)の倍のクーポン券をあげるよ」と返送した。
実に大人な対応である。普通の人間を相手にするなら合格点を出せるだろう。
しかし、ペプシ社は対応を見誤ッていた。そもそも相手は学生でありながら単身でスポンサーを獲得し、7億という巨額を揃える行動力の化物である。
彼はスポンサーの助けを得て弁護士を雇い、ペプシ社(アメリカでの事業を統括する現地法人のだが)本社に殴り込み(訴訟)をかける。
ペプシ社はこの事態に大いに頭を抱えた。
何しろ此処は日本本国ではなく、裁判大国アメリカ合衆国である。裁判になれば勝てる可能性の方が大きいが、ワンチャン負けかねない。
そして負けたら攻撃機を用意し、若者に提供する法的な義務を負ってしまう。
リスクがデカすぎるのだ。
さらに言えばことの発端のCMとキャンペーンは、そもそもライバル社であるコカ・コーラ社とのマーケティング競争の一環として行ったものだ。
企業イメージをアップし、認知度を高めるためのキャンペーンで20代の若者と裁判所で殴り合うなど本末転倒もいいところだ。
ゆえにペプシ社は多少の赤字は覚悟で若者と和解しようと調停の場を設けた。
何とペプシ社は最終的に和解金として100万ドル(10億円)を打診、これは若者が融資を返済してなお30万ドル(3億円)が手元に残ることを意味する。
若者の心は大いに揺らいだ。
実際、スポンサーをはじめとした大くの友人たちはここで引くのも一つの道であり、大企業からこれほどの成果を引き出せるのも成果の1つだと若者に助言をした。
しかし、彼らは皆、最後に決断するのは若者自身であり、どちらを選んでも最後まで支え続けるとすらも言ってくれた。
若者は3日3晩悩み、そして決断をくだす。
彼は断固として36式艦上攻撃機を求めたのだ。
例え大金を掴むチャンスを無碍にしようともペプシ社の和解案を拒否し、子供の頃に見た夢を掴むと決断したのだ。
この若者の反応にペプシ社の広報及び営業、法務担当者達は顔面を蒼白にしながら本気で頭を抱えつつ裁判の準備を開始し始める。
しかし、結論だけを述べるならこのペプシ社の行動は無駄に終わった。
ペプシ社の顧問弁護士、法務部、広報部、そして若者とその仲間たちすらも急速に世界中に普及したSNSと言う怪物の恐ろしさを理解できていなかったのだ。
若者とペプシ社のゴタゴタは、若者側が積極的な広報を行っていったことや、その扇情性からメディアやSNS、インターネット、動画配信サイトを通して急速に世界に広まっていた。
当初こそ若者を馬鹿にしたり批判したりする声が多かった。
しかし詳細が知れ、大金を掴めるチャンスを棒に振ってまで子供の頃の夢を追う若者の姿や、絶好調だった日系企業を思いっきりぶん殴れる絶好の機会と知られるようになるとやがてそうした非難や中傷の声をかき消していき、ついには世界中の多くの人々が若者を支持し、逆に若者に真摯に向き合わないペプシ社の態度を批判する声が日に日に大きくなっていた。
批判の声は外国のみならず、ペプシ社のお膝元であるはずの日本でも広がっていた。
もともと日本人は判官贔屓と言われる「弱者の位置に立たされたものに対しては、正当の理解や冷静な批判をかいた、かなり軽率な同情という形をとる」特異な特徴を持つ。
そんな彼らが、若者対大企業と言う構図を見てどう思うか。考えるまでもなかったのだ。
実際に
887:ホワイトベアー:2025/01/25(土) 19:08:06 HOST:om126233191014.36.openmobile.ne.jp
また、三菱、三井、住友、安田といった日本の誇る複合企業たちも、この一連の騒動によって印象が加速的に悪化していたため大激怒していた。
とくにペプシ社の関連会社である三菱は、今回のペプシ社にパーフェクトな行為によってアメリカでの大陸横断リニア鉄道とフィリー造船所の買収というビックプロジェクトに黄色信号が灯っていたため、早急かつ円満な形での事態の解決を強く望むようになる。
いくら巨大企業とはいえ清涼飲料水メーカーに過ぎないペプシ社が、『国家』とすら形容される日本最大の複合企業『三菱』の圧力を跳ね返せるわけがない。
時ここにいたりペプシ社はA-35を若者に引き渡すことを決意せざるをえなくなる。
しかし、上記したようにペプシ社は所詮清涼飲料水メーカーに過ぎない。
どう逆立ちしたって、軍用の垂直離着陸攻撃機であるA-35の調達・アメリカへの運搬などできやしない。
そのためペプシ社はA-35の製造企業であり世界最大の商船団を抱える三菱に土下座を敢行。三菱としては、こんなパーフェクトな行為の後始末を何で俺たちが……と言う気持ちしかなかったが、一連の騒動による被害はすでにA-35攻撃機1機分より遥かに大きく、現状は三菱にとっても望ましいものではない。
馬鹿をしたペプシ社広報部にしっかりとケジメをつけさせることを条件にこれを了承するしかなかった。
余談であるが、この一連の騒動はCM広告を行う際の法的リスクと、そしてSNSの発展による新たなリスクをこれ以上なく示す事件となり、後の法学とマーケティングの教科書に記されることとなる。
あの日本の超巨大企業達に真正面から立ち向かい、そして勝利を収めた彼らは一時時の人となった。
若者はその後A-35を使ったビジネスを展開、そこで得た資金で奨学金を返済するとアメリカの大手企業に就職し、幸せな家庭を築いた。
また、彼を支援した大人達もそれぞれがそれぞれの道で活躍を続けたと言われている。
一方のペプシ社であるが、彼らは短期的には売り上げの激減とイメージダウン、そして三菱に買収されると言う大きな損害を出したが、三菱に買収されたことで経営の安定化と確固たる流通網の獲得に成功。また、戦闘機すら提供した清涼飲料水メーカーとして自らの汚点を積極的に広報に活用していく。
同時に広報戦略の見直しと三菱グループとの連携の強化を実施、今回の一連の事態を奇貨としてコカ・コーラ社への巻き返しこそできなかったものの長期的には売り上げを伸ばすことに成功することになる。
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最終更新:2025年07月13日 21:35