173 :名無しさん:2012/04/06(金) 20:14:50
平清盛の憂鬱
ある屋敷に平重盛、平宗盛、平知盛、平重衡らを中心に平家一門が集まっていた。
彼らは平家に転生した転生者であり
夢幻会の集まりだった。
「何の因果か我々夢幻会は平家に転生しました。そして平家滅亡の運命を変えるために行動してきました。
そして史実の源頼朝が挙兵した年である治承4年(1180年)がやってきました」
司会役の言葉に皆が重々しい顔でうなずいた。
「平家滅亡の始まりとなった以仁王の挙兵ですが以仁王、源頼政の監視を強めています。
挙兵する前に未遂で終わらせて令旨をばら撒かれないようにします。」
「源頼朝、源義経のチート兄弟が平家の側にいるとはいえ油断は出来んな。」
出席者の言うとおり、後白河上皇、源義仲、藤原秀衡、寺社勢力、関東の武家ら平家政権に不満を持つ勢力と見られる勢力は少なからず存在していた。
源頼朝、源義経は平治の乱でその能力を知る夢幻会によって処刑されるはずだったが情報機関にいた転生者による洗脳によって平家バンザイとなり清盛の娘と
婚姻を結び平家一門に取り込まれていた。
「養和の飢饉の対策もしないといけないので戦いは避けてほしいのですがね。」
「我々の希望通りに進むと考えると足元をすくわれる。万一の事態を考えて進めるべきだろう。」
「史実の平家政権の反省を生かして入念に対策を取り入れたし、帝(高倉天皇)は夢幻会の医師の指導の下で病に倒れることなく
上皇として平家と組んで協力してくれます。日本一の大天狗が介入する余地は無いでしょうが油断は出来ません。」
「勃興する武士は無視できないでしょう。彼らの受け皿として幕府を作るしかないでしょう。」
「ちょっとまて、太政大臣と征夷大将軍、関白と太政大臣の兼任の例はあったが太政大臣、征夷大将軍、関白の三職兼任は可能なのか。」
熱心にこれからの戦略について夢幻会の話し合いが進められていた。
「これからの目標として中央集権を進めて一世紀くらいは国内開発に従事して国力を増強して海外については交易主体で進めて生きます。」
「百年後というと1280年か。この時期に北米に殖民したらコロンブスが来る1492年にはすでに東海岸やカリブ海に進出してる頃か。」
チート知識と技術を手にしたこの世界の日本人たちがどこまで拡大していくのか想像するよりほかに無いがとんでもない領域になることは理解できた。
「堅苦しいお話は終わりにして、例のものをご開帳します。」
わっと歓声を上げる趣味人たち。常識人たちは冷や汗をかいていた。
開帳されたそれは夢幻会の仏師が作りあげた萌えフィギュアならぬ萌え仏像の新作だった。
貴族に萌え仏像の愛好者が増加したり、萌え仏像に影響される仏師が出るなどブームを巻き起こした代物だった。
最終更新:2012年04月08日 20:02