476:ホワイトベアー:2025/02/22(土) 20:14:43 HOST:softbank060067081109.bbtec.net
日米枢軸ネタ 小ネタ 

予算を獲得したいなら、教育関連予算か軍事予算に組み込むべきである。
これは20世紀半ばにインターネットのとある掲示板で流行ったジョークであるが、同時に日米枢軸世界の大日本帝国の特性を大きく表していた。

大日本帝国は転生者達の暗躍により『もっとも連邦国家的な単一国家』と呼ばれる程度には地方分権化と小さな政府化が進められていた国家であるのだが、その一方で教育に関しては中央政府への権限が大きく残されていた。
これは日本大陸と言う史実日本より遥かに大きい地域において、国民意識を創造するためには中央集権的な教育制度と統一された言語が必要だと言う判断の結果なのだが、本題から脱線してしまうためこの話は別の機会にしよう。

税金の扱い関して厳しい世論も、教育支援に関しては(透明性が担保されていることが絶対条件であるが)例外的に多額の税金を投じることを許容する風潮が強く、21世紀現在では年間約37兆円(史実円換算)近い税金が教育関連予算として(研究支援予算とは別に)投じられていた。

また、大日本帝国ではアメリカ合衆国から輸入された形で寄付文化が深く根付いていた。
教育分野でもそれは同様で、21世紀現在の日本帝国では国の教育関連予算とは別に、教育関係機関への寄付や企業や民間団体主導の奨学金制度の創設・拡充、チャリティ・慈善活動などが活発に行われ、毎年教育関連予算と同額程度の資金が民間主導の下に別途投じられていた。

こうした教育教養の振興に民が多額の資金を投じる流れを生み出したのは、享保の改革、寛政の改革、天保の改革の三大改革が進められていた江戸時代中期から後期にかけて、三菱商会が、徳川家、住友家と共同で開始した社会貢献事業がきっかけと言われている。
それ以前にも寺子屋など公によらない教育支援事情は多くあったが、本格的かつ近代的な教育支援制度の源流はここに求められる。

この事業は、類まれな才能があるが経済的な事情や家柄、家庭の事情などでその才能を活かせずにいる優秀な人材を青田買いするために設けられたものであった。
故に天領や夢幻会の影響力の強い諸藩にて、幕府が進めていた義務教育を卒業した者のうち優秀な成績をおさめ、向学心にあふれた若者(男性のみ)に経済的を支援する奨学金事業がその主体で、当初は学問や教育への奨学金の運用と限定的なものだったのだ。

政権が江戸幕府から帝国政府に移行され、日本が封建主義国家から近代国家に生まれ変わり、天領や親幕府諸藩以外でも教育の統一や行政による教育支援の拡充が図られるようになっても、この民間主導の教育支援は縮小することはなかった。
それどころか、これまでは政治的配慮を必要とした地域でも大手を振って活動できるようになったため、支援規模や支援対象は緩やかにだが拡大を続けていった。

同時に文化や芸術の振興を目的に、男女問わずスポーツや芸術に参加する窓口として無料で受講できる「教室」などのイベントを開き、さらにそこで一定以上の才覚を見せたものを支援する文化芸術支援事業も実施されるようになった。
(こうした芸術・文化振興事業は、公家や武家達に雇用を提供することや新たな市場の開拓という目的もあった。)

477:ホワイトベアー:2025/02/22(土) 20:16:01 HOST:softbank060067081109.bbtec.net
1865年になるとより効率的に、より大規模な支援事業を展開できるようにするべく、徳川慶喜の呼びかけに集う形で、三菱・住友・三井・安田の4代財閥を代表とする企業・商会や親幕府派旧武家、親幕府派旧公家を出身とする有力者達が集まり、日本政府や各自治体との間に『包括的な教育支援に関する協定』が締結され、NPO団体『全日本こども支援協会』が設立されるにいたった。

『全日本こども支援協会』はそれまで各団体がそれぞれ独自に行っていた事業やイベントの窓口を統一するために生まれた組織で、その公益性の高さからさまざまな税制上の優遇策が付与されていた。
とくに強力だったのが組織運営や事業の遂行のために調達した資金への免税と、事業のために寄付金を支払った人(法人含む)への税制面で寄付優遇である。
これはアメリカなどの寄付に関する制度をモデルにしており、寄付をしたものが個人であれば寄付金に対する所得控除が該当課税年度の調整総所得の50%まで、企業でも課税所得の10%までが控除された。

余談であるが、こうした控除制度は後のNPO団体やNGO団体の資金調達のモデルケースとなった。

一方で、こうした(税制上の優遇を受ける)事業の補助対象には華道や茶道、弓道、乗馬、バレエやピアノ、吹奏楽など上流層が主に行う活動も多くあった。
一部の自称開明的メディアからは『富裕層が税金を逃れつつ道楽を楽しむ悪の組織』と非難され、また反幕府的な武家や公家達からは『百姓や穢多非人に理解できるはずもなし』と非難された。
それでも、大多数の組織は政府や自治体から一切の補助金を受け取らない姿勢を貫き、会計も透明性を担保し、求められた場合請求人を問わずしっかりと公表を行うことで世間の信頼を少しづつ獲得していく。

だが、なにぶん多くの組織と金が絡む事業である。不祥事が全くなかったわけではない。
1919年には『全日本こども支援協会』への税制優遇を利用し、複数の企業や反社会的団体が絡んだ脱税事件やマネーロンダリングに、本組織が利用されている疑惑が生じ、それが事実であると認められてしまった。
実際にこの事件に関与していたとして同協会の役員が逮捕されるまでに発展し、新聞やラジオ、テレビがこぞって大々的に報道を過熱させたため、本組織に留まらずNPO団体全体が今まで築いてきた信頼や信用を瓦解させなねない大事件にまでなってしまう。

この問題に対して、日本の国内世論の反応は夢幻会すらも頭を抱えるレベルで過熱した。

何しろ子供たちをある意味で食い物にしていたのだ。
世界大戦が終わり、欧州の復興支援やドイツ帝国への人道支援、アイルランド問題への介入など、世界の憲兵として存在感を発揮していた日本を誇り、正義感や使命感が上限突破していた当時の日本人達が過熱に反応しない訳がなかった。

一部からはすべての寄付金への税制上の優遇を廃止するべきと言う極論まで出てしまうレベルで加速的に事態は悪化したが、事件の解決に目処がたった際にときの代表であった士族が『主家から任された子供たちの未来を護るという天下の大事を全うできなかった責任を取る』と介錯なしで切腹をした為に世論は沈静化。
その後もこうした寄付金への税制優遇を巡る事件が幾度もおこるが、その都度関係者が様々な代償を払い、健全な形を模索し続けながら、21世紀に入っても莫大な資金が寄付され続けている。

478:ホワイトベアー:2025/02/22(土) 20:23:06 HOST:softbank060067081109.bbtec.net
以上、リハビリも兼ねて日米枢軸日本の民間の教育支援体制の概要を書いてみました。
久しぶりすぎて拙い文章となっておりますので、ツッコミ等ありましたら遠慮なくぶつけていただけると嬉しいです。
wikiへの転載はOKです。

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最終更新:2025年08月17日 18:46