617:陣龍:2025/03/07(金) 17:07:45 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
『【神】のリシュリュー・【生ける神話】のリシュリュー』
「……エライ事になったな……」
「平和になって、もう国家間戦争も歴史とゲームの中になりそうな頃に、な……」
フランス王国国内某所の留学生向けアパート。そこでは極東の同盟国より一般留学生として訪れていた、
別世界の記憶を持つ日本人が複数一室にて頭を突き合せていた。
「日本本土でも、今回のこの異常事態にそれなりに混乱してるっぽいな」
「とは言え遠く欧州、大西洋上での出来事。日本としても事態を注視する以外対処の仕様がないのがな」
「イタリア海軍やフランス地中海艦隊が緊急抜錨したと言う速報も有る」
「そりゃあなぁ……あんなクソデカ【ゲート】が前触れなしに海上に鎮座してたんだもんなぁ」
予算の都合上、交代制で一隻を実戦配備しているイタリア海軍の46㎝砲戦艦【コンテ・ディ・カブール】と、
フランス地中海艦隊に緊急増派も含めて二隻の戦艦【リシュリュー】【ジャン・バール】それぞれを基幹とした艦隊が
共同で突如出現した【ゲート】近海にて警護と警戒に当たっているニュースを、各々のスマートフォンや客室のテレビで確認する一同。
「【前世】なら兎も角、今の俺らは唯の海外短期留学中の日本人学生。提言等出来る筈が無いのが歯痒いな…」
「【ゲート】とか言う異常事態を経験したヤツが誰も居ないから何を提言するんだって話だがな」
「それはそう」
【前世】の知識や経験、更に今世での努力も有って特進枠等の将来的エリートコースに就いている彼らも、
現時点では唯の一学生。丁度この時に、現地で桁違いの爆弾情報が炸裂した事等、知る由も無かった。
「……パラレルワールド、しかも同系列の地球世界」
「はっ」
「俄かには信じられぬ」
「ですが、全ての情報は真実と思われます」
「信じよう。何しろ我が誇り高きフランスの民達が真摯に得た情報である」
「はっ…」
フランス王国ルーヴル宮殿。その一室では、今代フランス王国国王が、事態の報告に来た政府補佐官に応対していた。
本来はもう少し平易な話しぶりなのであるが、口調が少々時代掛かっているのが、今し方伝えられた情報の衝撃度の激しさを物語っている。
「……とは言え、我がヴァロワ朝が断絶し、剰えフランス王家と言う存在その物が革命で完全に断絶した世界と言うのは、
中々に背筋が凍る話であるな」
「陛下……」
「だが、それはそれ、だ。あの何とも奇怪極まる、世界間の移動が可能な【門】が一体何なのか、何時閉まるのか、はたまた新しい別世界に繋がるのか。
何もかも予想が付かない以上、友好的に交流するのが次善であろう」
「その通りであります、陛下。現に首相もその方向性で方針を固めております」
「うむ。……だが、余り心配は要らぬであろうな」
「は?」
唐突に飛び出た楽観論に思わず間の抜けた声が出た補佐官に国王より一言。
「他国は愚か、別世界の戦艦に対して、彼のように楽しそうな反応をする人々である。名誉を傷付けぬ丁寧な対応を行えば、少なくとも最低限でも、
一般的な関係を結べるであろう」
相互に突入して相互の艦艇に着艦した無人偵察機、更に艦艇の突入等を行った後に行われた情報公開にて、
相手方の国の海軍軍人が自分達の戦艦リシュリュー級の敵戦艦撃沈映像(カラー映像再生)で何とも【面白い】反応を示す映像を見て、
少しばかり面白げに語るちょっと洒落っ気の有る現国王であった。
「……瓜二つ、ですわね」
「……そう、です、ね」
因みに暫く後、世界間交流にて戦艦リシュリューを神格化している世界のフランス共和国女性大統領と、フランス王国側の戦艦リシュリューの女性艦長が
ドッペルゲンガー並に出身地や姓名、更には容姿等の過半が同一であった事が判明したりするのだが、それはまた別の話である。
618:陣龍:2025/03/07(金) 17:11:59 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) …まさか1レスで行けるとは(素)
|д゚) と言う訳で、モントゴメリー氏製作ネタスレ161 「さらば、”刺激無き”日よ」を見て思い付いたゲートネタでした
転載等に関してはモントゴメリー氏の可不可次第で
|д゚) 取り合えずこの後は普通に平和に交流して相互のリシュリュー神話列伝が更に軌道エレベーター化するんじゃ無いかと(適当)
最終更新:2025年08月24日 22:29