980:戦車の人:2025/04/01(火) 14:26:41 HOST:110-130-205-29.rev.home.ne.jp
日本国が大陸化した際、産業構造やインフラなどが大いに拡大、技術面でも一世代進んだことは人口に膾炙している。
その影響が防衛省及び自衛隊にも広く及んだこともよく知られ、海上自衛隊などは4個空母機動部隊を有するに至っていた。
かような防衛装備の進歩、数量増大の中で、特に大きな、別物と呼ぶべき変化を遂げたのが、航空自衛隊F-2戦闘機である。
本機は日米共同の形でF-16Cを原型に開発された、単発単座多目的戦闘機で、単座・複座型合計で98機が完成した。
飛行訓練における事故、東日本大震災による松島基地冠水等により数機が失われ、90機余りが現役にあった。
外観こそF-16Cに近似しているが国産先端技術の導入、複数回の近代化で今なお十分通用する第4世代戦闘機である。
大陸化に伴い数量が増えたのは他の自衛隊装備と同様で、実に700機以上-嘗ての141機案の5倍以上に増大。
それに比例して搭乗員や後方支援人員も増大したが、ここで一つの問題というか珍事が発生した。
「増大した」F-2戦闘機が、列島日本の空自が用いているそれとは完全に別物の、双発多目的戦闘機であったのだ。
これについて航空幕僚監部、防衛装備庁、三菱重工などが事実確認を行ったところ、やはりコンセプトからして大いに違った。
かの大陸世界線ではF-1だけでなくF-4EJ改、F-15J初期型の代替も視野に入れて開発が行われていること。
更には一定数を導入したが戦闘行動半径が思わしくなく、騒音問題が深刻なF-18Eの代替としても増産されたという。
なおどちらの世界線のF-2が一概に優れるというわけではなく、列島側のF-2は運用コストや低速時運動性を高く評価された。
アビオニクスに関しては双発機故に大陸側が優れるが、双方の近代化による機材統一で補いがつかない範疇ではない。
一方で戦闘行動半径、武装搭載量に関しては明確に大陸側のF-2が優越しているなど、一長一短である。
なお洋上阻止任務を一義の一つとしていることは同じで、用いる空対艦誘導弾も概ね同一レベルの技術であった。
ASM-3Bと命名された列島、大陸日本共通化超音速対艦誘導弾は、1発あたり1トンのラムジェット推進ミサイルである。
全領域でマッハ3以上を発揮し、ステルス性に優れ、実用有効射程は400キロを超え、当面は必要十分とされた。
空対艦誘導弾以外の誘導武器、アビオニクス、ネットワークシステムも規格共通化、先進化は概ね順調に進捗。
とはいえ単発単座と双発単座では全く別の機体であり、同じF-2という名称を用いるのは混乱すると防衛省は判断。
F-16ベースの既存の機体をF-2、大陸化に伴い増大した双発機をF-3という名称で識別することを決断した。
名前から如何にも最新の、第5世代戦闘機を期待した航空マニアのイメージと異なり、F-3はある意味で凡庸である。
機体形状は第4世代で一般的な双発双尾翼、ブレンデッドウィングボディとクリップドデルタ翼で構成。
第5世代のような斬新なステルス形状ではなく、欧州戦闘機のように高機動カナード翼を採用しているわけでもない。
口さがないマニアからは「埼玉が作った戦闘妖精雪風のF/A-27」と呼ばれたが、それもあながち間違ってはいない。
何しろ大陸日本世界線では枯れた技術、そして商用技術を根幹とした、手堅さを重んじた多目的戦闘機なのだから。
では性能や機能が低い、発達余裕に乏しい、無駄に高価格かと言えばけしてそういうわけではない。
981:戦車の人:2025/04/01(火) 14:27:41 HOST:110-130-205-29.rev.home.ne.jp
全幅11.8メートル、全長17.4メートル、全高4.8メートルの機体は軽量非鉄合金や高強度カーボン素材を全面的に適用。
機体自重は11.7トンに収まっており、規模が近いMig-29MやMig-35に比較して1トン以上軽量に仕上がっている。
無論、機体強度は必要十分に確保されており、9G高機動を無理なく耐える機体構造で、翼面荷重も適正値である。
この機体の動力源となるエンジンは石川島播磨が開発したF8-IHI-22で、乾燥重量で1050キロとF414エンジンに近い。
エンジンコアは列島日本のXF9-1に半世代前まで迫る、セミスリムハイパワーシステムで、無論完全デジタル制御である。
推力偏向ノズルこそ備えないが定格8トン、アフターバーナー使用時12トンと高効率で、それを2基備えている。
操縦系統は手堅いデジタル多重式のフライ・バイ・ワイヤ方式で、サイドスティック操縦方式はF-2やF-35と同様である。
このようなパワープラントと操縦系、軽量化高強度機体により、洋上阻止でも戦闘行動半径は600海里に達する。
推力重量比も全備状態ですら1.2を超え、双発機故に整備コストは相応だが、機動性も概ね必要十分以上ではある。
アビオニクスは富士通製商用ベースのコンピュータ複数の分散並列処理を根幹とし、各種システムを光ファイバで接続。
主たるセンサにしてFCSは三菱電機製のAESA多機能レーダで、J/APG-3の名称でF-2とF-3双方に搭載。
従来のJ/APG-2を原型に全般性能向上を図り、F-3搭載型は機体規模相応の出力、探知距離増大を果たしている。
電子戦システムは日本電気が担当し、電波探知及び電波妨害双方を統合化、デジタル化したものである。
なお統合電子戦システムのアンテナもAESA化されているが、これは列島日本でも80年代には艦載システムで達成されている。
ハードウェアは商用技術を用いた枯れたもので、バックエンドにCOTS分散コンピューティングを用い、自衛能力を向上させている。
ネットワークシステムは合衆国軍共通規格のLink16に加え、大陸化に伴い一気に進捗の進んだ自衛隊デジタル通信システムを導入。
海自のFCネットワークシステム、陸自の10式戦車データリンクと根幹技術を共通化させた、国産の統合データリンクシステムである。
Link16との互換性を確保したうえで、商用技術主体故に小型軽量化を果たし、大きな発達余裕も獲得している。
機体、パワープラント、アビオニクスなどを述べ、概ね第4.5世代戦闘機としては、及第点を十分に獲得した戦闘機と言える。
ではその切っ先となる武装についてはと言えば、可能な限りF-2やF-15J近代化型と共通化を図りつつ、ペイロードを優先している。
DACTでF-2とF-3は概ね互角だが、大きなペイロードによる火力投射は、明確にF-3が優越していると空自も認めている。
洋上阻止任務ではASM-3C超音速空対艦誘導弾を、主翼のウェポンベイに最大4発搭載し、艦隊や上陸船団阻止に用いる。
全領域でマッハ3を超える飛翔速度、高いステルス性、1トンという質量による破壊力は、遷音速誘導弾より一線を画する。
中間誘導に光ジャイロ及び衛星航法、終末誘導にAESAを用い、ECCM能力にも優れ、一撃で駆逐艦を無力化する威力を有する。
要撃任務においてはF-2、F-15J近代化型と同一のAAM-4、AAM-5近代化型を最大で前者6発、後者4発の搭載が可能である。
無論、HMDやIRSTを用いた照準にも対応し、合衆国軍のAIM-120DやAIM-9Xに遜色ない。あるいはやや凌駕する性能を持つ。
固定武装はライセンス生産のM61A2バルカン砲を備え、対地任務ではAGMや各種500ポンド爆弾を最大6トン投射可能である。
982:戦車の人:2025/04/01(火) 14:28:18 HOST:110-130-205-29.rev.home.ne.jp
かように垢抜けない。やや世代が古い外観ではあるが、多目的戦闘機としては必要十分な性能をF-3は有している。
また海上自衛隊が航空護衛艦航空団向けに導入したF-18Eが、機体規模に比較して戦闘行動半径が不足気味であること。
何より合衆国本国においてすら訴訟となっている、騒音問題から代替として、急遽200機以上が増産された。
無論、段階的にF-35Cも導入されつつあるが、合衆国の軍需を含む製造業の衰退に伴い、依然として現役にあり続けている。
空自採用機と比べ機体、主脚などの強度増強。それに伴う重量増大などの変化はあるが、それ以外は概ね共通の仕様である。
またF-35Cが省力化を推し進めたほうしょう型に優先配備されているため、既存航空護衛艦では当面主力であると考えられている。
そして既存型。つまり蒸気タービンを主機とする大型航空護衛艦が、長距離航海と航空機運用能力の余裕では優れていること。
本土防衛をほうしょう型に任せたことから、ソマリア沖やアデン湾の商船護衛にも投入され、海賊船排除にも奮戦している。
基本的には現地政府より租借した基地に、航空自衛隊のF-3が展開し、危険船舶排除にあたるのが基本ではある。
だが海賊及びその支援勢力の肥大化、我が艦艇や護衛対象船舶への航空機や弾道弾さえ用いた攻撃が多発していること。
合衆国以外の友好国が、空母や航空機を展開する能力を有さないことから、原油資源のシーレーン防備のため海自も航空護衛艦を展開。
P-1哨戒機飛行隊や空自飛行隊と協働し、各種武装勢力の「無力化」に乗り出さざるを得ない状況に陥っている。
概ね十分な共同交戦能力を有する空自、海自のF-3戦闘機は、海賊船だけではなくHGVやSSM発射基地破壊にも有用性を発揮。
合衆国海軍のF-18EやF-35Cと並び、商船の安全な通行を阻害する対象を、改正海賊対処法に基づき容赦なく破壊している。
大陸化に伴い大きな油田や炭田複数を獲得したとは言え、世界最大の原油を有する中東の安定化は、日本の国是そのものである。
無論、本土で活動する空自のF-3戦闘機も、周辺諸国の領空侵犯にF-15JやF-2とローテで対応し、時には威嚇射撃さえ行っている。
これに対する「特定アジア諸国」の「抗議」には、そもそも主権国家の領空侵犯を行う側に問題があると、一貫して塩対応を維持している。
なお大陸及び半島では、文字通り唐突に増大した第4.5世代戦闘機の出現を前に、相当な戦略変更を余儀なくされたとも言われている。
以上が大陸化に伴い増大した双発マルチローター戦闘機の概要にして運用実績で、概ね優秀な汎用戦闘機と評して差し支えない。
将来的にはF-35や英国、イタリアと共同開発の第5世代戦闘機に代替されるであろうが、前者は合衆国の製造業能力の低下。
後者は実用性を何より重んじる慎重な開発指針ゆえ、相応の時間を必要としており、F-3は最低向こう10年以上は現役と見込まれている。
無論、漫然と現役にあるのではなく、ホットスワップ接続を活用したアビオニクスの近代化。誘導武器の更新も継続を行う予定である。
それに伴う必要電力、ペイロードの増大に対応するべく、エンジンコアの近代化も、石川島播磨で研究が進められている。
完全な純国産戦闘機故に、F-15Jのように合衆国に伺いを立てる必要がなく、全て自由に近代化が出来るのもF-3の長所である。
なお現段階においては国産戦闘機の海外輸出について、防衛省は予定ないと公表している。相応の理由も存在する。
未だに軍用機市場は合衆国と欧州が強く、警備艦や警戒レーダーのように食い込むことが難しい。
何より急速に増えた自衛隊機の整備維持や性能向上で、各航空機メーカーがフル稼働で、輸出に手が回らないのも実情である。
983:戦車の人:2025/04/01(火) 14:32:38 HOST:110-130-205-29.rev.home.ne.jp
以前投下したF-3戦闘機(4.5世代)の改訂版です。
最大の相違点はご指摘のあった「海自の空母には載せないの?」という点についてもう一度考えて、
スパホとかクッソ煩いし、割と足が短いのでその代替としてはありだな…と海自にも配備してみました。
F-35
シリーズは高性能ですが世界中から注文が殺到し、ライセンス生産でも当然米国製の部品が必要です。
何より当の米海軍、空軍、海兵隊でまだまだ行き渡っていないとなれば、F-35Cも調達ペースは厳しい。
予算が厳しいのではなく、ロッキード・マーティンのキャパが手一杯かな…と考え、F-3艦上型を補完としました。
なおキャパ手一杯は日本の航空産業も同様で、一気に増えた自衛隊機の整備維持や性能改善計画で忙殺。
C-2のように大陸化に伴い民間貨物機の需要さえ生えた機体もあるので、当面輸出は見送っています。
国外アフターケアは大変ですからね…台湾への護衛艦輸出も、予備艦隊の規模がでかすぎるのがきっかけでして。
wikiへの転載はご自由にお願いします。さて、新スレを立てなきゃ…(ゴローちゃん並感
編集者注記:「国外アフター家は」を「国外アフターケアは」に修正(作者さまよりの依頼)
最終更新:2025年08月24日 23:02