303:ナイ神父Mk-2:2025/05/01(木) 00:05:03 HOST:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱大陸スパロボ
融合惑星 戦後ネタ短編
とある避難区画の最後
アポカリプスと言う大災害の後、融合惑星に於いては連合が人工島を幾つも建造しては滅びる惑星から
民間人、或いは建造物や動植物を避難させては各地へと根付かせていた。災害の終わりと共に帰る星を
喪った国家に対して連合は各避難区画を自治区として開放。各地では戸惑いや混乱もありつつ徐々に入植
が行われていたが、同時に緊急時には誤魔化されていた問題が各地で息を吹き返してきたのである。
特にその惑星で覇権を得ていた列強国の中には自国が有象無象となった事に納得できずに各地に対して
過去の様な威圧的な行為に出る事も、たびたび見られていたが保護国と言う政治的なハンデを引っ繰り返す
事の出来る国家は少数であった。しかし、それでも特殊な技術を有する一部の国は新しいせかいでも影響
を伸ばしており、そうした特殊な技術或いはそれに対抗する術を探る国家も現れたのである。
現在連合が報告を受けて戦力を送った自治区も、そうした独自研究を行っていた自治区群であり、特に
特に当該国家群はサイボーグや無人機などに対抗する為に兵士へのバイオテクノロジーによる強化を狙い
賛同する各国も支援や研究を行っていた。その際に一部の自治区は進出している紛争地等や貧困層の
多い地区で実験を強行してしまった。そして、数多生物兵器を実験した国家の様に制御不能となり、
各国では活性死者が闊歩する地獄絵図となったのである。
死都となった自治区に対して連合は政府に自治が不可能と判断して、対バイオテロ対策の部隊を派遣当該の
地域の海岸には強襲揚陸艦から上陸した揚陸艇が次々と乗り上げ、積み荷を降ろす為に扉を開いて行く。
そうした巨大なエンジン音に対して、活性死者たちも一斉に反応し中にいるであろう獲物にあり付こうと
一斉に集まってきていた。
しかし、それに対して浴びせられたのは揚陸艇に積載されていたアーマイゼの装備する、14㎜機関砲に
よる洗礼だった。一撃で人間で有れば四肢をもぎ取られる一撃は人間から多少耐久性が上がった程度の
活性死者をバラバラにするには充分な威力を備えており、近くの集まれる死者たちが動かない屍へと
変えるのにそう時間は掛からなかった。
揚陸地点を確保したアーマイゼに続く様に、装甲車な物資を積んだ車両が海岸へと到着、載せられた
バイオロイド達が起動すると共に海岸線へと防衛火器や物資集積や避難民を治療する為の拠点構築を
開始した。同時に後続の揚陸艇が次の戦力を運んできた、レーヴェやグライヴォルフ等を始めとした
主要な装甲戦力である。そして、最後に到着したのが指揮官である重戦車型である。機体に
載せられた視覚センサーを用いて周辺を見回せば既にバイオロイド及びアーマイゼが集結して指示を
待っていた。
「歩兵部隊、集合しました。」
〈装甲部隊よりチュレルへ、集結を完了。指示を〉
其々の上陸を終えて周辺と整列した機体が集まった後、指揮官仕様の副官として用意されたバイオロイドも
傍に来たことを確認して、チュレルと呼ばれる重戦車型に宿るパイロットはスピーカーを起動させた。
『全部隊集合したな?コレより、当該地域の掃討作戦を開始する。尚、同地域から複数の信号を確認
している。各機は信号発信元への砲撃は避け、バイオロイド部隊の到着を待て。二日後には本隊が到着
する予定となって居る。以上、各機の奮戦を期待する。』
重戦車型の指示の後に一斉にバイオロイド達は装甲車へと搭乗、歩兵部隊に帯同するアーマイゼや
グライヴォルフと共に小隊単位へと別れて各方向へと展開を開始した。オペレーターを務めるバイオロイド
達も其々位置に付きモニターなどを自身へと繋ぎ情報をリアルタイムでの戦局情報を送ってくる。
隊長機である重戦車型にも通信が繋げられ、戦局や確認された活性死者の集団、交戦状況などが視覚情報
へと変換され送られてくる。
304:ナイ神父Mk-2:2025/05/01(木) 00:05:38 HOST:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp
『全く、群霊(レギオン)が動く死体(ゾンビ)を片付ける為に動かされる等、質の悪い冗談だ。』
「楽な仕事では有りますがね…」
通信を繋いでいた副官に独り言を聞かれ、カメラを副官へと向ける。表面こそ人工細胞によって構築され
人間の女性にそっくりなそれが、人間ではないと言う事に未だに違和感が抜けないチュレルは無い首を
振りながら会話を続ける。
『人でありながら完全に人の身体を喪った我々と、人の姿をしながら人でない君らこそ、死者を狩るには
楽になるのだから皮肉な話だ。まあ、それはお前と私にも言える事だが…肉体を構成ではお前の方が
余程人間に近いのだからな。』
「肉体だけでは、判断の付かない事もありますよ。我々の脳デバイスも内臓も機械マイクロマシンが構成
していますからね。」
『だが少なくとも姿は人間だ。とは言え、共和国への復讐も果たせず未練を残したままの亡霊には、
此方の似合いの姿カモ知れんがな…』
「連合が言うには未練、執念も人を構成する一つらしいですがね」
『いずれにせよ、機械と亡霊が論ずることじゃないだろうがな。』
個別の回線での副官との会話に思考裂きながら指揮を行っていたチュレルは、再び視覚情報へと意識を
向けた、同期したアーマイゼの射撃に寄って次々と現れる活性死者たちが細切れになる様を見ながら、
彼女はふとそのモニターの中に死者たちとは違う動きをするものを発見した。
『あれは…生存者か?』
「恐らくは…」
『見た所、拳銃や鈍器で武装している…しかも、その奥には他の避難民か…』
「片方は暴徒と称して良いようですね…」
『よくある事…と言えばそれまでだが…気に入らないな…チュレルよりバイオロイド部隊へ生存者を
B27にて確認急行せよ。』
「了解、第4分隊が向かいます。」
目標地点へと移動を開始した光点を意識しながらもチュレルは再度全体指揮へと意識を戻し、作戦の推移を
見守り始めた。この後、対策部隊の本隊が到着すまで内陸部へと掃討を進めた機械化旅団は多数の生存者を
救助する事に成功、事態の早期解決へと貢献している。
305:ナイ神父Mk-2:2025/05/01(木) 00:06:24 HOST:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp
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取り敢えず戦後融合惑星で起きる様な事件とその対処の一幕をば…
最終更新:2025年08月31日 15:41