42 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/05/10(土) 16:06:18 ID:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp [9/150]
憂鬱大陸スパロボ 

融合惑星 戦後ネタ短編

とある避難区画の最後 その2


バイオハザードによって崩壊した自治区。通称ロメロ自治区群の東端に存在する自治区の一つへと、連合の
対バイオハザード対策の歩兵師団は上陸を開始していた。既に先遣隊によって確保された海岸線の他に
同区最大の港湾や国際空港にも強襲艦が着陸しており、兵力の上陸が始まっている。師団の司令部は
旅団が先に設置していた司令部を拡張する形で設置され。既に周辺の掃討の済んだ安全な区域へと人員を
展開していた。同時に、付近に確保された野戦病院や避難所にもまだ噛まれていない避難民たちが回収
されており、専門のバイオロイド達によって診察を受けていた。

師団長であるデマルコ中将も手に持った端末から、10年来自身の眼球の代わりとなったカメラを通して
そうした情報を得ていた。齎される情報は既に機械となって、久しく感じる事のなくなった筈の頭痛を
起こす様な思いに駆られなる様な物も多く、思わず顔に手をやり目を逸らしていた。既に顔を撫でても
あるのは無機質なカメラなどのヘッドパーツを覆うカバーだけであるが、生身であった頃の癖と言うのは
機械化してからも変わらず行ってしまう物である。

「酷い物だな…」

「先遣隊が近海に転移してくる直前に、核兵器による電磁パルスの発生があったから先遣隊に気付かれ
なかったようですね。」

「それは仕事が楽になったが…その代わりに証拠品はパァだ。電子機器が高確率で壊れてんじゃ、
物理的な資料からしか情報を得られないからな…」

副官のアンドロイドとそう話しながらも、予定を熟す為に師団長室から出たデマルコは指揮所へ向かうべく
歩き出した。兵士達やレギオン忙しくが歩き回っており、上空には忙しくヘリが飛び交っている。しかし、
本来軍人と兵器の音しかしない筈の場所で、場違いな叫びを聞いたデマルコは思わず其方にカメラを向けた
其処には並んだバイオロイドにつかまれ引き摺られる様に連行される男であった。見かけはボロボロぼ
スーツを着ており恐らくは自治区住民であると思われるが、その対応から何らかの必要があり拘束が
行われている事は見て取れる。

「離せ、私を誰だと思ってる!」

「あの男は?」

「例の紫藤とか言う一族の直系の様です。」

「ほう?アレが…」

「先行部隊が発見した時には、カルト集団を率いている様子で抵抗もあった事から、拘束を受けての対応となりました。」

「集団と言う事は…勢力化した私兵か?」

「いえ、大した数ではない武装も近接武器のみの集団でした。」

「それで挑むとは何がしたかったやら…」

「集団の暴走…と言うか威圧行為を制止できなかったようですね…兵士側が拘束を告げたのも悪手でしたが…」

「成る程…」

施設の奥へと連れていかれる男を尻目に設置された司令部に付くと既に司令部の人員は集まっており、
モニターにも各部隊の司令官と通信がつなげられており、情報を共有できるようになっている。

43 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/05/10(土) 16:07:02 ID:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp [10/150]
「状況を聞きたい。各員は報告を」

『此方1329装甲大隊は港湾部制圧後、幹線道路に沿って移動を開始しています。逃げる時に混乱した
でしょう、車輛や元避難民であふれており、掃討にはもう少し時間が掛かりそうです。』

『890歩兵大隊、空港を確保。同時に空港を死守していた現地警察や空港関係者を確保しました。後続する
守衛部隊に任せ、他の地区へと侵攻を開始します。』

『508工兵大隊、発電所よ変電所を確保しました。発電機を此方が持ち込んだものに変更し、通電を復旧
するのでそれに応じた火災等に注意してください。』

「残りの旅団は本部施設より、先遣の戦闘団と共に掃討をしつつこの自治区全域の掃討を開始して
います。同時に、救助した人間からの情報収集を行いましたが、判明している限り最後の現地放送の
情報では既に800万人近くが現地呼称では殺人病と呼ばれる感染症を発症していた様子です。」

「概ねは許容範囲か…しかし、感染の勢いが急だな…」

「発症速度がタイプⅡプラーガ並みの速度で感染が進むのが一因ですが…初動の遅さも上げられます。」

「初期対応のミスと対感染の速さか、妥当なところだな…解った。引き続き情報を頼む。」

その言葉と共に画面が閉じられ、モニターには各大隊の動きや機体の付けられたカメラを通して掃討
されていく活性死者たちの様子が映し出されている。他の画面にも戦況報告が送られてきており、戦闘が
順調に推移している様子を映し出していた。

一方で本隊が到着した事で、本格的な掃討戦が可能となった先遣隊は司令部を更に前線へと移し、本格的な
市街戦とこの事件を起こした犯人や関係者の捜索に当たり始めていた。そうした中でも先行していた、
バイオロイド分隊は遭遇したゾンビ群を銃撃或いは装備していた近接用装備などで排除して進んで
居たが、途中一般人の避難者では珍しく重武装な勢力を遭遇、対峙する事となって居た。

44 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/05/10(土) 16:07:34 ID:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp [11/150]
「誰?」

「バイオハザード対策部隊です。現在、この自治区で生存者の探索を行っていました。既に避難所も
解説されておりますので、移送部隊の元まで案内しましょう。」

「助かったの?」

男女混合の集団であり、比較的重武装な彼等であったが近づくと年恰好からその殆どが未成年者、中には
小学生とみられる少女もおり、集団としては比較的安定している事が見て取れる。軍隊然として分隊の
出現によってようやく安全が確保できたと判断した彼等は安心したのか、口数が多く成り口々に安堵の
言葉を吐き出すが、一部の避難民は先ほどの戦闘を見てから示しており、意を決した様に話しかける。

「…」

「平野、どうした?」

「その装備…自衛隊の物じゃ無いですよね?かと言って在日米軍の所属の装備じゃ無い。何処の組織なんです?」

「所属で言えば地球連合の所属です。正確に言えばBSAA傘下の組織となりますが…」

「私からも聞きたい。先ほどの戦闘、ナイフやスコップを使っている者もいたが明らかに人間の筋力と
動きでは不可能な物だ…一体…何だ?」

「…成る程、我々をお疑いですか…」

「いや、そう言う訳じゃ…」

「隠す事でも無いですから簡単に言ってしまえば、我々は作られたバイオロイド…有機体パーツを使用した人造の戦闘兵器です。」

「うそ…」

その言葉を聞くと警戒していた面々は驚きつつも納得した様になったが、今度はそれ以外の避難民達が
驚愕に目を見開いた。彼等の目からバイオロイド達は完全に人間にしか見えない事から、今の今まで
人間ではない者であった事は逆に驚きだったのである。

「成る程、カナン地区等で使われている。ロボット技術等に近い物ですか…成る程、対物銃サイズの武器も簡単に扱っている訳だ…」

「解って貰えたようで幸いです。では、案内します。」

「待ってくれ!実は、少し前に避難していたところが奴らに…」

「…その地点は既に優先確保対象としてヘリ中隊による空挺降下が行われています。間もなく状況も判明
するでしょう。」

その言葉を聞くと共に、泣きながら倒れそうになる女性を同じ避難者が支えながら、彼等は分隊の乗る
装甲車に誘導され避難者の集合地へと向かっていた。途中、ショッピングモールに立てこもる生存者の
救助を手伝いながらも、彼等は指定されていた。小学校へとたどり着き、一部の者は家族や友人と再会
して治療よ休息を受けることになる。

45 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/05/10(土) 16:08:07 ID:p758105-ipxg03001akita.akita.ocn.ne.jp [12/150]
以上です。WIKIへの転載は自由です。取り敢えずこの前の短編ネタの続きをば…
+ タグ編集
  • タグ:
  • 憂鬱SRW
  • アポカリプス戦後
  • 融合惑星
最終更新:2025年09月08日 21:01