411 名前:ひゅうが[sage] 投稿日:2025/07/16(水) 21:20:10 ID:opt-133-123-162-250.client.pikara.ne.jp [50/240]
――グリニッジ標準時2025年10月21時午後3時(日本標準時10月22日午前0時)に確認された並行世界からの時空干渉に対する報告書
※2026年8月1日 地球連合安全保障理事会公開会合用説明資料(日本語版)
緒言
昨今の情勢の平穏化に伴い、昨年10月21日より発生している地球連合(以後連合と略記)管制圏内におけるDEFCON(全域防衛基準態勢)が本年7月31日をもって3へと引き下げられた
これに伴い、地球連合憲章付則に基づき情報管制措置が解除され、連合構成各国ならびに地球人類、さらには他世界線の諸機関に情報を開示することになったのは連合への信頼をよせる市民の努力のたまものである
しかしその緊急性のために早期に展開された地球連合ならびに時空管理局を主体とした政戦両面での行動が極めて大規模であったわりには短期間で小康状態となったことをはじめ、各種の情勢の変化は連合構成各国首脳のみならず市民レベルでの議論を要することになるのは現在展開されている統合対処任務部隊(以下JTF-1と略記)首脳陣のみならず、地球連合軍統合参謀委員会(以下参謀委員会と略記)ならびに安全保障理事会理事国(以下理事国と略記)においても意見の一致をみた
よって、本会議においては特段の安全保障上の機密事項を除いてほぼすべての情報をその求めに応じ開示するものであるが、原資料は極めて膨大かつ未整理である
であるならば、将来における本事件の検証の際の基礎資料となることを期待しつつ、初の概略報告としての簡易的な資料を作成するべきであることに理事国ならびに連合は一致をみた
よって本報告を作成し、広く連合市民に向けて公開するものである
なお、本報告は2026年7月26日時点で作成されたものであり、追加情報がある場合は別途追記する形で公開される
1. 事態の概略
本次事件は、既に知られている時空結節点となるゲート状時空構造物(以下通称である「門」あるいは「ゲート」と略記)を通じた並行マルチバース間、および時空管理局の所管する複数世界以外からの連合の存在する宇宙への確認された初の大規模干渉事件である
干渉内容は特定人物ならびに連合所管惑星への大小さまざまな直接的干渉ならびに因果律やところにより物理定数書き換えなどを含む極めて深刻なものであった
友好組織である時空管理局からの緊急連絡によりこの事実を把握した連合軍は、既定の非常事態対処方針に基づき連合緊急即応軍による因果律上の精査と連合軍内部の各種情報の緊急検証を実施
その結果グリニッジ標準時10月21日(以後特記なき限りはグリニッジ標準時にて表記)のうちにこの事態を把握
直ちにDEFCONを3へと格上げした
ほぼ同時に、地球連合軍大佐にして主力艦隊を構成する戦闘艦艦長であるS大佐(個人情報保護の観点から公表資料である本報告から名前は削除し略称のみとする)による緊急事態通報が因果律操作を含む妨害により軍内ネットワーク内で未評価のまま数十分放置されている深刻な事態も判明
同大佐の捜索ならびに事態の把握を目的として、連合事務総長直轄機関である時空間多世界連絡室内部に調査室を設置
同時に連合軍内部に事態への対処を目的とした即応任務部隊を編成した
連合内部での調査の結果、S大佐の身柄が同日内に本世界より拉致されたことを確認
また、連合内情報ネットワークのみならず友好他世界との連絡門に対しても大規模な因果律干渉が行われていたことが把握された
連合軍総監は物理定数改変などにより連合内部が居住不可能となる危険性があるなどその重大性に鑑みて「連合への急迫不正の侵害が行われた」ものと判断し、連合軍に対して戦時体制への移行、すなわち動員令を発動
DEFCON2が宣言された
事務総長もこれを承認し、後日安全保障理事会も全会一致にてこの措置を承認した
以後、時空管理局ならびに友好他世界の全面協力のもと全天走査と観測データ精査を実施し、10月22日中に虚数空間暗礁世界境界を越えた大規模な重力波擾乱を複数確認し、同方向からの因果律干渉と断定された
412 名前:ひゅうが[sage] 投稿日:2025/07/16(水) 21:20:43 ID:opt-133-123-162-250.client.pikara.ne.jp [51/240]
運よくS大佐が所持する緊急連絡用量子重力共鳴波(ソリトン重力波)との同期に時空管理局艦船が成功し、続いてこのデータに基づき連合軍本部も連絡の確立に成功
本次事件の干渉元世界線が判明した
これを精査した結果、干渉元世界線(以下M世界線と略記)の危機的状況を放置することは連合の存立を危機にさらすものと判断され、即応任務部隊は安全保障理事会ならびに事務総長の承認のもとJTF-1に改組され連合軍より部隊の派出が決定された
以後、10月31日、S大佐との量子共鳴状態を利用したゲート開削に成功
先遣1個大隊がM世界線へ進出、同大佐を拘禁状態においていた現地勢力との交渉を開始した
その結果判明した事項に対して連合軍総監ならびに安全保障理事会は連合軍の大規模な現地派遣を決定
以後、翌2026年1月26日に至るまで現地勢力との共同作戦を展開し概ね初期の目的を達成した
なお、S大佐は現地での軍務に献身的に従事し、複数回負傷するものの生命に別状はなく2026年1月1日をもって本世界に帰還していることを付記する
2. M世界線の概略
M世界線は地球人類を基幹とする本世界と酷似した世界線であるが、以下の大規模な差異が存在する
a.現地時間軸は事態発生時点で2001年である
b.太陽系および地球に大規模な地球外有機生命体とみられた生物群(現地呼称の略称をとり以下BETAと略記)による侵略を受けている
c.地球の大きさがやや小さく、ことに
日本大陸のみが面積10分の1程度の「日本列島」に縮小している
d.基本的な歴史経過は本世界同様であるのに、19世紀後半頃からの世界史レベルでの差異が大小存在する
e.エキゾチック物質とみられる超高エネルギー物質が存在し、これを介した他世界への因果律干渉が意識的・無意識的に行われていた
aならびにcは友好他世界においてもしばしばみられる事象であるが、高次元敵対的存在による干渉か否かについては調査中である
bはJTF-1による長躯偵察の結果、少なくとも太陽系内のみならず周辺の相当数にわたるものと考えられる
dのうち大規模なものとして、第二次世界大戦の展開ならびに西暦1974年より開戦した「BETA大戦」が存在し、M世界線は現在も本大戦が継続中である
eを連合は重大事態と判断し、本干渉の停止ならびに干渉能力を監視下に置くことを目的として派兵を実施した
3. M世界線内の諸勢力
(略)
最終更新:2025年09月14日 17:19