338:新人艦長:2025/09/30(火) 19:54:18 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
アメリカ夢幻会ネタ
今回はちゃんとアメリカの話
シーウルフ級原子力潜水艦
水中排水量:約1万トン
全長:108メートル
全幅:12メートル
機関:原子力ギアード・タービン推進
原子炉:ゼネラル・エレクトリック-三菱S1GM型加圧水型原子炉×1
主機:蒸気タービン×2、2次推進モーター×1、電池
推進:ポンプジェット×1軸
出力:機密情報のため不明だが5.5万馬力以上?
水上最大速力:機密情報ながら25ノット以上は確実
水中最大速力:機密情報ながら35ノット以上は確実
最大潜航深度:機密情報ながら1000メートル以上は確実
武装:660ミリ魚雷発射管×8
同型艦:シーウルフ、シーバット(後日本海軍攻撃原潜山波)、シーモンク、リヴァイアサン、ジミー・カーター、キング、ヒッポキャンプ
準同型艦:ワフー、ハイマン・G・リッコーヴァー、タング、バーブ、ノーチラス

 シーウルフ級は日米合同で開発され1980年代半ばに建造された原子力攻撃潜水艦である。

339:新人艦長:2025/09/30(火) 19:54:54 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
(来歴1-米海軍の原潜史)
 アメリカは原潜開発のパイオニアである。
 1954年就役のノーチラスから始まり、1955年には新規建造の潜水艦は全て原潜にするという意欲的な戦略が開始された。
 ノーチラスの次のシーウルフ、スケート級はあくまで既存潜水艦の機関を原子力に変えた程度のものであった。
 その次のスキップジャック級でアルバコアで実用化した涙滴型船体を導入したことで原潜は真の意味での潜水艦としての活動が可能になった。
 さらにここまでの原潜は全て通常動力艦と比べるとうるさい代物であったが1957年登場のスレッシャー級で騒音振動問題を解決、実用的な原潜を完成させた。
 その後、SLBM搭載原潜潜水艦としてジョージ・ワシントン級を実用化(史実ではスキップジャック級の派生型であったがこの世界では1から設計されている)、イーサン・アレン級、ラファイエット級、ジェームズ・マディソン級、ベンジャミン・フランクリン級を次々建造した。
 ニクソン政権下ではこれらSLBM潜水艦はもし第三次世界大戦が起きれば即座にソ連を核で完全に破壊する「自由のための41隻」と呼ばれる艦隊を構成した。(なお不名誉な渾名として「ドゥームズデイ・フリート」というのもある)
 これらSLBM潜水艦はソ連を包囲し、常に喉元に刃を突きつけ続ける恐ろしい存在だった。
 攻撃型原潜ではスキップジャック級の後継となるスタージョン級という傑作が誕生、西側では最多となる37隻もの建造が実施。
 その後にはさらに完成度を高めたロサンゼルス級が続いた。
 ロサンゼルス級は最終的に62隻も建造され、スタージョン級以前の原潜を海軍から一掃している。

 このように米海軍の原潜たちは敵対国ソ連の原潜に対して技術的にも戦術的にも有利な位置を占めていた。
 しかし1970年代前半には、1967年から就役し始めたヴィクター型原潜などソ連も原潜の整備と技術発展を進めており、将来的にソ連海軍は米海軍と同等の性能と隠密性を有する原潜を装備するだろうと予想するようになった。
 その将来というのは早くて「1980年代初頭」だった。

 この頃にはソ連も多数のSLBM潜水艦を配備し、それらはオホーツク海やバレンツ海、コラ湾を根城にしていた。
 そしてソ連はそれら海域をその持てる限りの対潜能力を使って封鎖していた。
 この根城の中にソ連海軍は多数のSLBM搭載潜水艦を展開させていた。
 最新型のデルタ型などはここからでも容易にアメリカを破壊できた。
 つまり、核戦争時にソ連からの核攻撃を阻止して一方でこちらの核攻撃を全て通すために潜水艦部隊はこのバレンツ海とオホーツク海の要塞に引き篭もるソ連戦略原潜群を駆逐する必要があった。
 そしてそのためには既存原潜の枠組みを超えたより革新的な潜水艦が必須と考えられるようになった。
 北極海はもちろんその他海域でソ連潜水艦群を「悟られる前に」海の藻屑にする「ハンターサブマリン」という概念である。

 このハンターサブマリン構想は1970年代からリッコーヴァー提督(夢幻会メンバーでもある)の支持を受けて詳細な構想が練られていた。
 しかし1976年、この構想を具体化させる敵が現れた。
 ヴィクターⅢ型である。
 この難敵の性能は相対した米原潜乗りが「その驚くべき性能!」とメモ書きしたほどの性能だった。
 静粛性、機動性どちらも極めて高く水上艦からの追跡は困難、潜水艦でも苦労した。
 このヴィクターⅢ型を駆逐するためにもハンターサブマリンが必要と米海軍は判断。
 そこからの行動は早かった。翌年には具体的な建造計画が開始されたのである。

340:新人艦長:2025/09/30(火) 19:55:40 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
(来歴2-日本海軍の原潜史)
 そして同じ頃、太平洋の反対側の日本でも新型原潜の開発研究が進んでいた。
 日本の原潜開発の始まりは1959年、米海軍に遅れること5年後に完成した雷鯨である。
 この雷鯨はあくまで試験用原潜で一言で言えば「ショボイ」船だった。
 排水量こそ当時最大だった伊400型より大きいが武装は魚雷4門だけ。
 完全な技術テスト用の船であった。
 なので機械的信頼性も低く、騒音は「太鼓の如き」代物だった。
 これを実用的な潜水艦に昇華したのが日本最初の量産型原潜である迅鯨型原潜の3隻(迅鯨、長鯨、大鯨)である。
 ところがこの3隻も技術的に未熟であったことから当時大多数を占めていた通常動力潜水艦乗りどころか水上艦乗りからですら「馬鹿にされる」代物だった。
 デカい・煩い・壊れるという潜水艦にあるまじきポンコツ船で「ビートルズ」、「ドラム缶」、「俺たちが忍者ならアレは名乗りを上げながら突撃する橙武者」などと「道ゆく海軍軍人全員」に馬鹿にされたと当時の原潜乗りが述懐している。
 まともな性能を有するようになったのはアメリカを真似て1964年に作った朝潮型原潜からである。
 朝潮型で一応の技術をものにした日本海軍は1966年に潜水艦発射型弾道ミサイルを搭載した最初の戦略原潜として因幡型を建造した。
 通常動力型潜水艦と混成させながら1970年代までに因幡型原潜12隻、朝潮型原潜15隻などが整備され、1974年時点で日本海軍は33隻の原潜を保有していた。
 しかしそれでは不十分だった。
 日本海軍はこの当時、西太平洋の守りと共に日本海の防備を重視していた。
 というのも日本海という「天皇のバスタブ」を死守するためにはウラジオストクなどのソ連艦隊を即座に無力化する必要があった。そのためには究極的には「港を出た瞬間雷撃する」ぐらいの作戦能力が必要だった。
 しかし、主力の朝潮型の性能は「スレッシャー級よりややマシ」でしかなく、新型原潜として大潮型原潜を建造中だったがこれも静粛性を改良した朝潮型でしかなく早晩陳腐化するだろうと考えられていた。
 またこの頃になると原潜の原子炉の再利用や処分に関しても議論されるようになり原潜は可能ならば長寿命である方が良いという需要もあった。
 そこで1976年に日本側がアメリカに日米共同開発、もしくは完成品の輸入を希望した。
 アメリカ側もこれを受け入れ日米共同開発という形で合意した。
 この話が速やかに進んだ理由は同じ年に登場したソ連の潜水艦ヴィクターⅢ型の静粛性が想像以上で、これに対抗するためには新型原潜の開発が必須だと米側が考えたことによる。

 1977年、日米海軍はこの新型原潜の開発を開始した。

341:新人艦長:2025/09/30(火) 19:56:38 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
(構造)
 シーウルフ級最大の特徴は当時の冷戦期に許された膨大な軍事予算の使用による贅沢な装備品の大量投入にある。
 まず船体は葉巻型が採用、一方で最新の流体力学に基づいた抵抗の軽減なども実施されている。
 船体全体の主要構造材には西側では初めてチタンを採用し安全最大先行深度1200メートルを達成していると言われている。(なおこのチタンの多くはソ連からの輸入)
 特に冷戦中故に軍事予算を膨大に使用できたことから船体全体にチタンをふんだんに使用したことで非常に深いところまで潜れ、さらに大深度潜航に対応するために固体ガス発生装置30基が搭載され、これにより大深度からの急速浮上に対応した。
 さらには全乗員用のレスキューチェンバーも内蔵、最大1500メートルからの脱出が可能になっている。

 潜舵はセイルではなく艦体のセイルやや前方の史実バージニア級と同じ場所に取り付けられ、セイルの方も流氷を突き破れるように耐氷構造になっている。
 そして米原潜として初めて非貫通型潜望鏡を使用しているため発令所の場所をやや後方に移してより広い面積を確保。
 ソナー室などを発令所に統合している。
 また操作系統も油圧などではなく電気式のデジタル・フライ・バイ・ワイヤを使用。
 これは戦闘機の技術をそのまま応用しているため建造にはノースロップ社が関与している。

 このことから分かる通りこの船は本来北極海で使用することを前提にしている。
 最大の見た目的特徴は艦尾のX舵である。
 X舵の機動性の良さに着目した米軍はシーウルフ級でこれを採用して使用した。

 機関は日米共同開発のゼネラル・エレクトリックと三菱のS1GM原子炉を採用している。
 これにより最大7万馬力を発揮可能であった。
 以上のことから察せられる通りこの艦は極めて機動性が高い。
 2023年にリークされた機密情報によるとその機動性は
  • 最大水中速力40ノット以上
  • 最大で深度1000まで90秒以内
  • 最大潜航深度1230
  • 水中での転舵速度はロサンゼルス級比較で水平で25%、垂直で15%向上
 と言われている。

 センサー類では最新のものが使用されている。何せこの船は「見つかる前に殺す」船、先に敵を見つけ最速で殺す能力が重要である。
 統合戦闘システムとしては最新鋭のBSY-2を採用しているが、初期故障が多かった。
 これは最新鋭の潜水艦の戦闘システムで、SUBCAS(潜水艦先進戦闘システム)-Bに対応する形で製造された。
 これの能力と拡張性は高く、現在では最新型のSUBCAS-Eを使用している。
 そして同時にこれらシステムを最大限運用するために司令所のスペースはかなり大きめに取られた。
 そして機械室の容積も大きめに取られたことでその後の度重なるシステム改修にも対応できている。
 ソナーでは艦首に低周波アレイ、その下にアクティブ用球形アレイ、船体側面の平面アレイ、2種類の曳航式ソナーを採用しているがこれらはあくまで建造時のものである。
 これらは就役後改装の度に最新鋭のものに換装されている。
 そのため2025年現在ではバージニア級ブロックⅢと同じ艦首アレイを大型バウに変更している。
 これは艦首に沿ってソナーのセンサー類を配置したもので、一部の故障で全体を修理する必要がなくなるなど整備性が大幅に向上、さらに球形アレイ分の抵抗もなくなっている。
 その他に各素子が最新鋭のものに交換されている。

 戦闘能力でも当然相当なものを用意している。
 魚雷発射管は8門装備している。
 魚雷発射管の直径は660ミリあり、これは従来型よりも大型である。
 発射方式も通常のものではなく魚雷自身の推進系で射出するスイムアウト式になっている。
 搭載可能数は最大50発と2023年のリーク情報には書かれているが詳細は不明である。

 このように極めて贅沢な艦であったが大きな問題があった。
 そう、汎用性がないのである。
 あまりにも対艦攻撃に特化しすぎた結果、特殊作戦などには使い勝手が悪いのだ。
 VLS?んなもんない。
 工作員用のスペース?ないよ。
 さらに言えば、北極海特化なので空調が暖房ばかり良く、冷房が弱いと不評だった。
 このため2番艦以降では空調設備が強化されている。
 さらに準同型艦のワフー級では追加でSEALSなど用の設備が追加されていると言われている。
 そのためやや全長が伸びて機動力が落ちている。

342:新人艦長:2025/09/30(火) 19:58:32 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
(運用)
 1番艦シーウルフは1984年に就役。
 その後シーバットなどが続々就役して1989年の冷戦終結までにリヴァイアサンまでが就役した。
 ジミー・カーター以降も建造ペースは下がらずヒッポキャンプまでが1991年に就役した。
 この後準同型艦となるワフー級の建造に入る予定であったが、ワフー級のタング以降は建造ペースが急激に落ち込んだ。
 理由は政権交代である。

 クリントン政権下ではレーガンとパパ・ブッシュ政権下での軍備拡張政策について見直しが行われ、その中でも海軍のシーウルフ級と空軍のB-2計画が槍玉に挙げられてしまった。
 特にシーウルフ級は汎用性の低さに対してあまりにも高いと言われたのである。
 そのため本来10隻建造予定であったワフー級はノーチラスまでで打ち切りになりそれ以降はロサンゼルス級にシーウルフ級の技術を導入したような要素が強いバージニア級原潜に建造が切り替わった。
 このように最新鋭装備の整備に関してはクリントン政権は厳しかった一方で、なぜか国際協力には積極的でありユーゴ内戦への介入、その他PKOへの介入、ソマリア内戦終結、ルワンダ虐殺時の早期の大規模軍事介入など多くの戦果を挙げている一方で2000年ごろには米軍は大きく疲弊してしまった。
 そのため後のラムズフェルド国防長官やチュイニー副大統領(実は2人とも夢幻会メンバー。この後の子ブッシュとオバマ政権は面子に夢幻会メンバーが多い)などは公然とクリントンを「軍を都合のいい武力装置に使いやがって」と立腹している。
 特にこのクリントン政権下では最新装備の調達や整備が遅れ、B-2などは稼働率が一時56%にまで落ちていた。
 シーウルフ級は汎用性のなさからあまり出番がなかったが、汎用性のあったロサンゼルス級などは稼働率が落ち込み、さらに最新鋭の装備を適応する改装工事がいくつも遅れていた。

 そのためクリントン政権から息子ブッシュへの交代後は急激な軍備再整備が進んだ。
 その中でシーウルフ級の改装なども実施されている。
 現在まで全艦が現役である。

 2番艦シーバットは1985年の完成後、訓練の後日本海軍へ譲渡され攻撃型原潜山波に改名した。
 日本海軍はこれを元にダウングレード化や日本の国情への最適化などを行なった蒼龍型攻撃原潜を12隻建造している。
 蒼龍型はシーウルフ級と異なり退役が進んでいる。

343:新人艦長:2025/09/30(火) 19:59:54 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
(オペレーション・アトランティス)

 アトランティス作戦はロシア内戦勃発直後、ロシア海軍最新鋭潜水艦4隻が北方艦隊から離脱、捕捉に失敗した太平洋艦隊潜水艦2隻と合流したためこれら6隻の潜水艦を撃沈するために行われた作戦であると言われている。

 別名「北極海海戦」

 参加部隊
 TF39(司令官アレックス・ベイツ少将):ウルフパック「コンカラー」
 グリーンランド西方から進出。
 攻撃型原子力潜水艦シーウルフ
 攻撃型原子力潜水艦リヴァイアサン
 攻撃型原子力潜水艦ハイマン・G・リッコーヴァー
 攻撃型原子力潜水艦コロラド

 TF49(司令官キング・ベイツ少将):ウルフパック「チェックメイト」
 ノルウェー沖からバレンツ海に進出。
 なおK.ベイツ少将はA.ベイツ少将の兄である。
 攻撃型原子力潜水艦キング
 攻撃型原子力潜水艦シーモンク
 攻撃型原子力潜水艦ノーチラス
 攻撃型原子力潜水艦ハートフォード

 TF69(司令官海江田四郎少将):ウルフパック「サイレント」
 脱走ロシア太平洋艦隊原潜を追撃してベーリング海峡から侵入。
 ロシア沿岸周りで追撃。
 攻撃型原子力潜水艦山波
 攻撃型原子力潜水艦夕波
 攻撃型原子力潜水艦イェンタイ
 攻撃型原子力潜水艦テンジン

 TG79(司令官深町洋少将):ウルフパック「シーホース」
 脱走ロシア太平洋艦隊潜水艦を追撃してベーリング海峡から侵入。
 カナダ沖周りで追撃。
 攻撃型原子力潜水艦立波
 攻撃型原子力潜水艦雷鯨
 攻撃型原子力潜水艦タホマ
 攻撃型原子力潜水艦アッシュビル

 戦術そのものは単純である。
 米大陸側とロシア側の沿岸にそれぞれウルフパックを配置し、後ろから日米潜水艦隊が追い立て挟み撃ちにするというものである。

 作戦は成功し、6隻中2隻が撃沈、4隻が降伏した。
 ただしこれ以上の詳細は現在を持ってしても不明であり、この作戦はほとんどが噂の域を出ていない。

344:新人艦長:2025/09/30(火) 20:03:54 HOST:182-166-38-132f1.osk2.eonet.ne.jp
以上です。
史実同様に「潜水艦殺し潜水艦」ながらさらにブラッシュアップしてる最強の原潜。
そして現在までこのポジションを譲らない武闘派。
バージニア級があくまで「汎用性が酷すぎるのでシーウルフ級の技術を元にロサンゼルス級を改良したもの」なので純粋な戦闘能力ではこちらが上。
日本も持ってるが「こんな過剰性能いらねえよ」という。
そしてその能力を使う機会が実際にあったらしいというこの世界。

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最終更新:2025年10月27日 16:27