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193 名前:ナイ神父Mk‐2[sage] 投稿日:2025/08/05(火) 18:35:29 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [46/199]
憂鬱スパロボ 外伝ブルーアーカイブネタ

悪夢の都市にて

百合園セイアがソレに気が付いたのは、自身の明晰夢の中に逃れえない未来が見えると理解し始めたのと
同時期であった。トリニティ周辺の建築様式にも似た意匠を有した、しかし決定的に違う血の匂が
混じった見知らぬ都市を見る様になったのである。

その時はキヴォトスの何処かの過去を見ているかと思っていたが、相応に書籍の収蔵されるトリニティの
関連施設でもそれらしいものは発見されず、不発に終わっていた。だが、月を経る毎に悪夢を見る比率は
大きくなっており、日常生活としても困る事も出てきていた。同時に、知らない地の悪夢を見ている内に
他の夢とは決定的に違う事に気が付いたのである。それは、夢に自分が干渉でき、相手も干渉できる事だ。

悪夢の都市の住民は何れも怪物の様な姿をしているか、一歩も外に出ずに閉じこもっている者に分かれている。
外の住民には理性らしきものはなく一方的に追い回され、或いは屋内に入ろうとすると、住民から
侮蔑的な言葉を投げかけられ拒絶される。ある時、追い回して来る外の住民の気を逸らそうと石を持って
投げつけようとしたら目覚めた時には手に知らない石を持っていたのだ。目玉の様にも見える気味の悪い
石であり早々に捨ててしまった。

悪夢の回数がキヴォトスの事柄を見る回数を上回って来た頃、彼女は町の中に於いて住民以上の怪物と
出会った。街を徘徊する住民をまるで狩りをするが如く、ノコギリと鉈を合わせた様な装備で切り刻む
男であった。それを目撃したセイアは本能的な恐れを感じ、物陰に隠れて息を潜めて離れようとしていたが
匂いか或いはこの地に於いては目立ち過ぎる清潔感に溢れた白い衣装が目立ったか、瞬く間に住民を
切り刻んだ男はセイアを袋小路まで追い詰め、逃げ場を無くしていた。

覚悟を決めて男と相対すると改めて男の持つ武器に目が行った。使用感の見える散弾銃に片手には
持ち替えた巨大でより原始的なこん棒にノコギリの歯を付けた様な武器、明らかに常軌を逸した姿である。
無言で構えを取る男に対して、セイアは対抗手段を探していたがその時に自身の懐に愛銃である
「鋭き光彩」があることに気が付いて咄嗟に音超え向けて弾丸を放った。

しかし、その抵抗も空しくすさまじ速度と独特の軌道を持った男の動きに翻弄されると同時に、男が右腕に
持ったこん棒の様な武器を振るう。それと同時にワイヤーか何かで連結されていたこん棒の各部分が展開
すると鞭の様に伸びながら此方を捕らえたのである。咄嗟に回避は成功した物の手に持っていた武器は弾き
飛ばされ、自身も壁に叩き付けられた。これまでの夢にはあり得ない、体中の痛みに驚愕しながらも
更に悪化した状況に対してある種のあきらめも滲んでいた。目の前の男は既に次の攻撃を行うべく傍に
来て武器を振り上げていたのである。

「お待ちください」

今まさに振り下ろされんとした男の手を止める声が聞こえると同時に、セイアの意識は一時途切れた。
これまでの夢にはあり得ない言わば夢の中で気を失ったのだ。その視界の端には鎧を纏った騎士の姿を
見ながら意識は闇へと落ちた。

どれくらい時間がたったであろうか、彼女が目を開けると本来の目覚めではなく悪夢の中での目覚め
であった。見回すと古い設備であるが個人病院か診療所の様な雰囲気を持った場所であった。
近くには臙脂色のドレスを着た女性が、椅子に腰かけ何かを手に持っていた。古い設備、街並みに
似つかわしくない極めて近代的な端末であった。

「此処は…?」

「目が覚めましたか。まだ起きないで下さい、先代の攻撃で体の各所に綻びが出て居ます。精神だけで
来ていた以上、迂闊に動けば現実の身体にも影響が出ますよ?」

手にした端末を傍に用意していたテーブルに置くと改めて女はテキパキとセイアの身体を調べ始めた。
脈を取ったり、傷となった患部を見たり暫く、されるがままになっていたが一通り診察を終えた女に
対してセイアは此処に来てからずっと抱いていた疑問を始めて彼女へとぶつけた。

194 名前:ナイ神父Mk‐2[sage] 投稿日:2025/08/05(火) 18:36:27 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [47/199]
「此処は何処なんだい。色々な物を見て来たが…此処まで酷い所は初めてだ…」

その言葉に対してセイアを診た後に端末に何かを入力していた彼女は手を止めて、考える仕草をした。
説明が難しいのか或いは、出来ないのか考え込んでいる様子である。暫くそうした後に彼女は、改めて
セイアへと視線を向けた。

「此処は、ヤーナム…旧世紀に滅び、未だに悪夢を見続けている土地です。再演されたこの地に人が
来るのは久しぶりです。その姿を見るに単なる迷い人ではなさそうですが…」

「私は…百合園セイア、トリニティ学園に所属している。」

「トリニティ…?すいません聞いたことは…」

「だろうな。此方もヤーナムなどと言う土地の地名は、トリニティの自治区内やキヴォトスでは聞いたこと
も無い。余程の地方の自治区なのか或いは…」

「その言葉で納得しました。どうやら、星すら超えた迷い人とは…しかしそうなると…」

「どうすれば、この悪夢は終わる?私は帰りたいんだ。」

「悪夢は巡り、そして終わらないもの…抜け出すにしろかなり特殊迷い込み方をしています、解放する
には相応の時間が掛かりますね。そして、以前の私の様に既に目を付けられている。このまま行けば…」

女の言葉に対して、セイアの思考は混乱に飲まれていた。想像も及ばない話ではあるが、簡単には帰れない
と言う事だけは理解できたのである。そして、彼女の言を信じるなら自分は何かに目を付けられている
という事もだ。

「私はすぐに帰らなければ、きっと友人たちも心配している。」

「どうしても…と言うのであれば方法は有ります。ですが、リスクは伴いますよ?」

「構わない。それでも帰りたいんだ。」

セイアの言葉を聞いても逡巡していた女であるが、目を真直ぐに見て決意を察したのかやがて何かの
準備を始めた。古い器具で見た事も無い物であるが、今いる施設と用意されている物の形を見ればある程度
何であるか想像が付く。どうやら、点滴の様な物を用意している様子だ。其処に彼女は赤い何かを滴り
落した。

195 名前:ナイ神父Mk‐2[sage] 投稿日:2025/08/05(火) 18:37:48 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [48/199]
「では古式に則ってやらせて頂きます。形式は大事ですからね。」

「貴女は正しく、そして幸運です。まさにヤーナムの血の医療、その秘密だけが君を導くでしょう。」

「まて、何をするつもりだ?」

明らかに帰る方法とは思えない物を準備しながら迫ってくる、彼女は暗がりに光る針を持ちながら迫って
来る。咄嗟に診察台から逃れようとしたが、気が付けば何かに拘束されている様に身動きが取れない。

「しかし、よそ者に語るべき法もありません。だから、まずは我ら、ヤーナムの血を受け入れなさい。」

「こ、来ないでくれ!」

「さあ、誓約書を…よろしい、これで誓約は完了です。」

目の前に持ってこられた誓約書に対して、動けなかった手だけが突然解放されたのもつかの間、自由に
手は動かせず。勝手に、セイアの手は契約書へとサインが行われる。すると、再度手は拘束されたように
動かなくなり、相手の為すがままとなる。

「頼む、待って…」

「それでは、輸血をはじめましょう…なにも心配する事はありません。」

「コレだから医療者と言う奴は!」

「何があっても、悪い夢の様なものなのですから…」

その言葉と笑い声、針を刺された感覚と共にセイアは意識を手放した。後にセイアは彼女を救った女性…
悠陽が連絡を取った連合の人員と接触し、悪夢から抜け出して元の肉体に戻れるまで、忘れ去られた悪夢の
都で獣を狩る羽目になっている。

また、この邂逅こそ、連合にキヴォトスに於いて悪夢的な再現が可能な土地である事を認識させ神秘を
利用した、数々の研究を大いに飛躍させる一助ともなっている。一方で自分の肉体に無事に戻る事の出来た
セイアは後にトリニティの大派閥であるサンクトゥス派のティーパーティのポストに就く事になり、
進出して来た連合の出先機関が各所に根を降ろす助けともなっている。

196 名前:ナイ神父Mk‐2[sage] 投稿日:2025/08/05(火) 18:39:33 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [49/199]
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何か書けた(粉ミカン)
おかしい、私は別の作品を書いていた筈なのになぜかこんなお話が出来ていた…
脳に瞳が足りないから、各キャラのスペックとかは追々・・・
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最終更新:2025年11月15日 14:19