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291:奥羽人:2024/06/20(木) 21:48:41 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp


「これがイネの……原種」

原始日本を発ち、これまで通りの狩猟と採集を繰り返しながら“彼”の一族は大陸へと渡った。
中国の沿岸部を南へと、生活の場を移すにつれて温かくなっていく気温を肌で感じながら30年。
海岸線がほぼ東西方向へと延びていることを確認し、おそらく後に海南島と呼ばれることになるだろう島を見つけた彼らは、イネの原種……というよりかは、もはや手探りでイネ科の植物らしきものを片っ端から集めた。
そうして、雲南~アッサムのラインを巡回して狩猟採集生活を続ける傍ら、陸稲畑や水田を試作して使える種を選別していく。



紀元前1万900年代。



現地で数十年の歳月と数回の人生を掛けてイネから“稲”を選別したと確信を得た彼ら部族は、日本への帰還を開始する。
それは、極めて長い旅だった。
原産地よりも寒冷な、北の環境に適応できる種を選別しながらの帰還事業。
それは、耕作地を徐々に北へと移しながら、開拓と作付、収穫、そして改良を繰り返す長い長い道のり。
そこに至るまでに見つけた新たなイネ科植物の導入と交雑の試み。

そうした道のりの中で、不思議な事に同じような境遇の者らが「やって来る」ことも増えていた。
未来の知識を持つ同志の数が増え、必然的に有用な農業知識を持つ者もやってきた彼らは、自らの試みをより効率化させながら沿岸部を北上する。
また彼らは、帰還の過程にあって通りすぎた後の自らの痕跡を消す事を怠らなかった。
それは、予期せぬ中華文明の早期開花をなるべく防ぐ為であり……遠い過去に居たとして、また彼らも「夢幻会」なのだった。
そうして彼らは、雲南の地より前世界にて朝鮮半島と呼ばれる所まで到達するまで、約400年もの長い旅路を踏破した。



紀元前1万500年代。



最終氷期の終わりが近づき、地球上の平均気温の上昇も顕著になってきた頃。
高緯度地域の氷河は溶け始め、海水準の上昇によって朝鮮半島と日本列島の距離は徐々に遠くなり始める、その始まりの時期。

朝鮮半島の南端にて、彼ら部族は二手に別れた。
それは、日本へ帰還……いや、経過した時間を考えれば“再入植”に等しい……する者達と、朝鮮改め「任那」へと残る者達。
それは、帰還失敗に備えた後方予備であると同時に、朝鮮人という括りそのものが存在しない時代だからこその、はるか未来を見据えた“日本化”でもあった。

292:奥羽人:2024/06/20(木) 21:50:52 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp


「任那のことは任せたぞ」
「ああ。お前は“日本”を宜しく頼む」



残る者と進む者、両方の代表者が固く握手を交わす。
以降、彼らは任那半島と日本列島其々の平定を推し進め、環日本海文明の基盤を築いていくこととなる。




紀元前1万300年代。

日本へと帰還した者らは、更に二つのグループへと別れていた。
九州と畿内、その二つの地域を本拠地とした彼らは、任那ー九州ー瀬戸内ー畿内に分布する邑の緩い連携を続けながら、ひたすらに農耕社会へと部族の生活構造を変化させ、人口を徐々に増やしていった。

この時期に夢幻会系部族は金属器の利用……青銅器と鉄器の同時利用を開始し、農業生産力では同時期の他勢力を圧倒的に上回っていった。
これら金属は武器や農具といった実用利用の他にも、未来知識を用いて発見した金山から金を産出し、それを装飾品や祭具にすることで驚異的な文化力を喧伝。
その威によって戦わずに周辺部族を従えていくことに成功している。
本来なら推定2万人を下回る程度だった列島人口も既に約4万を超えており、これは人口だけで見れば5000年は先取りしたに等しい状態だった。
また、彼ら夢幻会部族は利便性の都合から、既に文字を部族内部へと普及させていた。
ちなみに、メソポタミア地域にて体系化された文字が登場するのは、ここより4000~6000年後である。


そうした中で先史を駆け抜け、すべての始まりとなった“彼”は…………










…………“彼女”となっていた。



『何故だぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!!』

「美幼女じゃないですか。TS転生ですよ」

「時代早すぎますけど、折角なら名乗っちゃいましょうよ、アレ」

「……では、これからも代表宜しくお願いしますね」

「「【ヤマト王権】巫王『ヒミコ』様」」



紀元前11千年紀、令和の時代より約1万2000年前。
最終氷期がほぼ終了し、新生代第四紀は更新世から完新世へと移り変わる。



【先史夢幻会:約1万2千年前】

293:奥羽人:2024/06/20(木) 21:53:48 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp
以上です。転載大丈夫です。
いきなり千年経過しましたが、地質時代スケールだとほぼ誤差ですし、これぐらいしないと動きが無いも同然なので……

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最終更新:2025年12月26日 19:29