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394:earth:2024/06/30(日) 00:58:50 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
踊るアウトサイダーズ 第1話


 西暦1923年9月1日。
 その日、日本の首都圏は大地震に襲われ、首都は猛火に包まれていた。
 周囲の建物が崩れ落ち、がれきの下からうめき声が聞こえる場所に、「ソレ」は唐突に現れた。

「・・・・・・また負けたか」

 諦めにも似た言葉を吐いた灰色のスーツを着たアジア系の男、この時代にしては174cmと比較的高い身長を持つ男は、
無言で周りを見回し・・・・・・人を超えた【何か】を用いて大凡の状況を理解する。

「久しぶりに、あの懐かしのリアルに近い世界か。ふむ、歴史介入でもして太平洋戦争でもひっくり返せ、と? 
 いや最後には黒幕扱いされて排斥されるなら・・・・・・もっと面白いことがしたいな」

 男はこれまでの人生で、調子に乗って力を振るって碌なことになったことがないことをよく覚えていた。

(全く、加減というのは難しい。与えれば、どこまでもつけ上がり、何もしなければ義務を放棄していると批判される)

 溜息が漏れる。

(今更、人間の身勝手さについて不満は言わないが・・・・・・いや、一部の人間はまだ取り繕うことを覚えていく。まだ可能性はあるだろうが・・・・・・
 その結果を私がみれるかどうか)

 色々と物思いにふけていると周囲の火勢が強くなっていることを思い出す。

「・・・・・・とりあえず移動しよう」

 男がそう呟くと同時に、幾多のホースが現れ、勢いよく水を吐き出す。

「ふむ、能力は健在。まぁこいつを獲得するのも時間と手間が掛かったのだから、簡単に消えて貰っても困るが」

 ホースが水源に繋がっている様子もなく、空中から突然生えているとしか言い様がない異様な光景。
 しかし男にとってそれは既知の物でしかない。

「精々、時間を掛けて【この世界】が嫌がることをしてやろう。そのために、まずは世界を知るとしよう」

 その台詞と共に男・【駒田拓久】は姿を消す。
 もしもその場にて、この男を日本という国に引き込んでいれば、22年後の敗戦は避けられたかも知れない。
 だが敗戦を回避する未来は人知れず、日本人の手からこぼれ落ち、22年後、この都市は再び焦土と化し、そして再び復興を遂げる。
 常世を生きる人間にとってはそれは未知の未来に挑んだ結果であるが、男にとっては既知の事象であり、それゆえに利用する余地がいくらでもあった。
 世界の混乱を利用し、立ち上げた組織を浸透させ、情報を集め、四半世紀以上の後に一つの決断を下すことになる。

397:earth:2024/06/30(日) 01:09:09 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

「ああ、この世界はどこまでもリアルに近いか」

 日本の某所に建設された研究施設。
 謎多き富豪の土地に建設された場所に駒田はいた。

「再現したはずの二足歩行ロボット兵器がでくの坊とはな」

 そこには全高15mはあると思われる機械の巨人が舗装されていない土地での【歩行】に手間取っていた。

「リアルでは人型兵器は役立たずと言われてきたが・・・・・・」

 男の視線の先にある機械の巨人、世間一般では信じられないようなオーバーテクノロジーの塊のソレは、自らの重みに四苦八苦していた。
彼が知る過去の世界では従来の陸戦兵器を蹂躙したソレが、歩行するのも苦労している。

「観測された次元と観測した次元の差だけとは言い切れない・・・・・・持ち込んだ技術の中には普通に再現できるものもある」

 男は長考した後、一つの結論を下すことになる。

「なるほど、これが【嫌なこと】か」

 そして男は口角を上げた。それはもう嬉しそうに。

「決めた。此奴を使い物になるように仕上げよう」

 目の前の巨人は、今のままでは只の標的でしかない。
 脚部の関節部が狙われたらあっという間に擱座する。全高も高いために目立っており、集中攻撃を受けるだろう。
 他にも問題はある。だが、それらを何とか出来る算段が男にはあった。

「世界の軍隊のドクトリンをひっくり返すような兵器に仕立ててやろう」

 かといって男は使えるようになった人型兵器を売り物にして儲ける気は無い。

「世界の人間に、自分が知らない理があることを思い知らせてやろう」

 中性的な顔に浮かぶ狂気の笑み。

「戦争をしてやろう。世界から嫌われる【人型兵器】を使う大戦争」

 男の脳裏に浮かぶ世界への復讐、いや【嫌がらせ】。

「願わくば、今度こそ勝ちたいが・・・・・・まぁそれは目的ではない」

 勝利することを些事と言い切るその姿は狂人そのもの。しかし男は本気であった。

「実に楽しみだ」

 かくして秘密結社【クローバー】の胎動が始まり・・・・・・21世紀初頭、彼らはその姿を世界の前に現すことになる。
 駒田さえも思ってもいなかった形で。

398:earth:2024/06/30(日) 01:10:22 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
「弊社は悪の秘密結社です」あらため「踊るアウトサイダーズ」の第一話でした。
改定前は描写していない前日譚ですかね。
主人公の名前、組織の名前も変更です。あと人型兵器に拘る理由も追加です。

あと>>395で誤記があったので一回削除後に修正しました。

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最終更新:2025年12月26日 19:34