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479:earth:2024/07/03(水) 23:46:16 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

踊るアウトサイダーズ 第3話

 誰もいない月面の無人工場の中で、3Dプリンターで造形するかのように、様々な物資が生産が作られ、必要とする場所に適切に配送されていく。
 地上人類がいまだに人の手に頼らざるを得ないものを、すべて機械のみでまかなうソレは、人が夢見る未来の産業であった。

「やれやれ、真っ当な道が許されるなら、これがどれだけ人類に発展をもたらすか」

 工場を見渡す一室の窓際で、背の高い老紳士がそう呟く。
 そんな老紳士の言葉に「真っ当に使われれば、ね」と部屋の奥のソファーに座る駒田はそう返し、更に言いつのった。 

「無理なことは、私の記憶からも判っているだろうに」

 ソファーに座って報告書に軽く目を通していた駒田は、ソファーの前に置かれている机に書類を置いてそう返した。
 この言葉に老紳士は苦笑した。

「・・・・・・人間の欲深さというのは恐ろしいことは判っているよ。地上に派遣した分体からの学習効果もある」
「なら結構。それで、冬月先生、地上の方は?」

 冬月先生と呼ばれた老紳士、駒田がもはや名前も顔も思い出すのが難しくなったかつての友人が見れば「なんで冬月副司令?」と突っ込む
であろう【天使()と戦う某特務機関】のナンバー2を模した存在は苦笑する。

「おや、赤蜘蛛とは呼ばないのかね?」
「そちらの名前より、その外見だと、こちらのほうがしっくりくるので」
「ははは。気合いでLCL化を耐えるような活躍を期待されても困るがね。それに、【先生】は貴方の方だろうに」
「何百年、何千年生きても、譲れないものもあるのですよ」

 「やれやれ、困った創造主だ」と老紳士は苦笑して話を再開する。

「まぁほぼ予定どおりだ。君が好きだった宇宙戦艦ヤマトも間違いなく放映されるだろう」
「なるほどサブカルチャーは予定どおり、と。まぁ順調に発展して貰わないと面白くない・・・・・・」

 二次元の存在が三次元(リアル)になって現れたというインパクトを欲する男は、何とか彼が知る歴史通り、日本でサブカルチャーが発展させようと
目論んでいた。

「あまり干渉しすぎると、話が全く別物になりかねない。クリエイターというのは面倒な人間が多いですからね。さじ加減が難しい」
「しかしこの世界からすれば因果関係が逆だろうな。我々のほうが先に存在したのだから・・・・・・」

 MSサイズの人型兵器の開発計画はすでに開始されていた。
 勿論、開発計画の名前は【V作戦】とされている。

480:earth:2024/07/03(水) 23:48:38 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


「しかし地上人類もアニメに似たキャラ、兵器が大量に現れたからといって、フィクションの世界が攻めてきたとは思わないだろう。擬態、酷ければ
 コスプレした狂った連中がきたと思われるかもしれん」
「でしょうね。構わないですよ。いずれにせよ、大真面目な顔で参考資料のアニメや漫画を漁ることになるエリートたちの顔を想像するだけでも笑えます」
「嫌がらせかね」
「ええ。世界を支えるエリートが、大真面目な顔でこちらのV作戦で作った量産型MSの手がかりがあるかもと【フィクション】を大真面目に検証する。
 面白くて溜りませんね」

 赤蜘蛛と呼ばれる老紳士は「救いようがない」と言って首を横に振る。

「やれやれ、昔は真面目な好青年だったというのに。こうも歪むとは・・・・・・神とやらは残酷だな」
「ははは。神がいたとしても、それはシステムのような何かでしょう。人間の感情を図るような物差しを持っているとは思えませんね」
「ギリシャ神話などは随分と人間くさいが?」
「創作に過ぎませんよ」

 駒田の冷え冷えとした視線を見た老紳士は話を切り上げた。

「まぁ良いだろう。私は君の願いを叶えるために作られた。ならば全力でそれに取り組むまで。あらゆるものを敵に回してもね」

 【強欲】・・・・・・他人の都合を省みずに己の欲、自分の存在意義を全うせんとする存在の言葉に駒田は満足する。

「お願いしますよ。一人では限界がありますから」

 駒田の能力はすでに人間とは一線を画すものであったが、一人だけで全てを決めるようになると、手を読まれやすくなることを経験上学んでいた。
 だからこそ、自分の記憶を転写しながらも、別ベクトルの思考が可能な存在を生み出したのだ。
 また多くのクローン、人間と見分けが付かない人造兵士を各国に送り込み、情報と経験を蓄積させ、それを月基地のスパコンで解析する
ということも彼は進めていた。

「天才といえども、集団戦法をとる凡人には楽に勝ち得ない。下手したら負けることもある・・・・・・」

 クローバーが編制を進める軍事組織でさえも、世界各国の軍隊のノウハウを活用するつもりだった。

「軍で教育を受けさせたり、傭兵などで世界各地で実戦経験を積ませたクローン、人造兵士。更に、これらから情報を吸い上げ、昇華させる・・・・・・
 世界と戦う為の軍隊を編制するためとはいえ、気の長い」
「100年なんて一瞬ですよ。その程度、待つことなど造作も無い」

 常人なら気が狂うほど、いや狂ってしまった方が良い程の時間を生き、無数の地獄を味わってきた男は造作も無く言った。

「この世界の出来事も、一瞬の夢になるのでしょうが・・・・・・誰も彼も、この夢に付き合って貰いましょう」

481:earth:2024/07/03(水) 23:50:34 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
というわけで三話目投下。
V作戦発動です。
なお、原作のV作戦はまだ世には出ていない模様・・・・・・。

この主人公、人型兵器を徹底的に研究して使い物になる兵器にして登場させる気です。

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最終更新:2025年12月26日 19:38