283 :デン:2012/04/09(月) 17:25:31
ネタ「転移の犠牲と代償と大日本列島」
1942年8月1日 対米戦、衝号計画を控えていた大日本帝国を転移が襲った。
突然の事態に
夢幻会も戸惑ったがやはり転生者というだけあって迅速に混乱を抑えつつも周辺を探索していった。
そんなこんなで早70年、久しぶりに夢幻会メンバーが集まり、会合で話す事が無くなると今までの転移後から現在までのまでの思い出話になった。
「この転移って何だったのでしょうかねぇ…」
夢幻会メンバーの一人が言うと最初の転移から話題が入る。
「さぁな…転移現象を調べて70年…何の手がかりも掴めなかったな…」
大日本帝国を襲った転移はその実態をつかむ事ができなかった。
転移となると3次元で語れるような内容ではない、史実現代でも分からない事は憂鬱日本でも分かることは何もなかった。
「星や衛星が見つからないお陰で天文学は完全にお手上げですよ…………ノウハウを出来るだけ無くならないように維持するのは大変でした」
ある夢幻会メンバーはそう言ってうなだれていた。
この世界は衛星がないだけではなく、太陽とほぼ同程度の大きさの恒星と自分達のいる地球と同程度の惑星しかなかった。
転移後の最初の夜は空が完全な漆黒の闇で大騒ぎになった程だ。
何をバカなと思い、観察されたがムラのない闇は少なくとも自分達が見える範囲では何もないという事を見せつけていた。
「何も出来ないという意味では外務省とか輸出産業も同じだなぁ…」
そう言って溜息を誰かが出した。
この70年で分かった中でもこの惑星には知的生命体は自分達以外には居ないということは、外務省や輸出産業に即死級のダメージを与えた。
転移は彼等の生きる為の糧を奪っていったのだ。
そのため、今では外務省は名だけ残り、輸出産業は国の保護もあって生き残っていた。
284 :デン:2012/04/09(月) 17:26:45
「何も出来なかったのはお前達だけじゃない…俺たちも同じだ」
そう言った男の顔には思い出したのか悔しさが滲んでいた。
転移は日本の食卓事情を非常に大きく悪化させた。
大きく食糧制限をし、海外進出し、形振り構わず、でも計画的にやったが、一通り食糧を本国に安定して供給できるまでに少なくない人数が餓死をした。
だが餓死が出ていたが暴動は少なかった。そんな事をしても無駄であると、上の人が率先して徹底的に切り詰めていたからかも知れない。
また、食糧危機だけではなく工業も甚大であった。
主要鉱物や希少鉱物が手に入らなくなった為に軒並みの工場は停止した。
石油も開拓に最優先された為にさらに多くの工場は止まり、交通も切り詰められた。でも不満は有りつつも反対はしなかった。何故ならやる事がないから…それ以上に食糧危機だったから…。
お陰で技術は40年も全体は進展はしなかった。欧米の先進技術も無いし、張り合いが無い、資源が無い、人材も無い、衰退した所も有ったから元に戻すのに年月をかけた。さらに
アメリカのハリケーン見たいな台風や大地震、転移による気候変化、それに伴う生物の保護に開拓がさらに追い打ちを掛けたからだ。
夢幻会はこの事態に自分が倒れない程度に必死に働いた。転移による餓死者が出ても次の餓死者が出て来なくなるまで…国民が生きていけるレベルまで取り戻す為に…
その成果もあってか大日本帝国は持ち直した。数々を犠牲にして。
そしてこの危機は日本全国民の心を強固にさせ、リサイクルなども生活に染み付いた。それに少なくなりつつあった一次産業の人口が大きく上がったのは言うまでもない。
「でも何も良くない事ばかりではありませんでしたよね」
ネガティブに成りつつなる空気を変えるために誰かがそう言った。
「まあ、そうだよな…食糧は完全に自給できるようになったし、リサイクル社会になったし」
「調子に乗っていた国民も頭を冷やしましたしね。ただ、冷やしすぎですが」
暗い気持ちを飛ばすために少しでも良い事を言う。
相次ぐ戦勝で調子に乗っていた者は転移で完全に消え失せていた。今の国民感情からすれば非常に冷たい目で見られるだろう。
285 :デン:2012/04/09(月) 17:27:49
「そう言えば不思議な事や驚く事ばかりありましたよね」
また誰かが思い出したような顔で言う。
「ん?ああっあったな…色々有りすぎて忘れてたな」
んーなにがあったっけ?と思い出そうと目を瞑っている人が一人。
実は今の夢幻会は今までの中で最大規模になっている。というのも原因は現在では『輪廻転生現象』と言われる現象だ。
これは最初から起きていたことなのだが転移後、出生児が減少した。生まれなくなったのではなく、死産が増大したのだ。
原因が解らず、何の進展はこの時はなかったが、十数年が立ち、漸くその現象が解った。というのは一つ、死者+1年に50万と言うこと。つまり、死者の分だけ出生児が誕生し、さらに1年に+最大50万と言うわけだ。
さらに生前と思われる自分の名前、場所の名前、他人の名前の記憶を持った子供も増えた。それらは皆6~12当たりで思い出すようで確実ではないが死者が輪廻転生したのではないか言われるようになった。
それの影響か分からないが大正以前の亡き転生者が前世の記憶を持った状態でまた現れたのだ。さらに害虫として静粛された転生者も居た。そんなわけで育てられていた非転生者の新世代も含めて最大規模になったのだ。
そのため日本の全人口は1億3000万から4000万と言ったところで人材が絶賛不足中だ。
「俺としては海外進出した土地の形がまさか日本だとは思わなかったな」
その言葉に多くのメンバーが頷く。
現在の位置で言うと、日本の形に殆ど一致した新陸地が調査で日本の面積の25倍ということが分かった。史実日本であれば中華人民共和国並みのデカさだ。その中…本州の中部のところに中心に転移しており、海に接していた所は僅かで見渡すと何と広がっていたのは陸地でしたという陸の置物と化した船を保有していた海軍と海岸に隣接していた工業都市は血の涙を流していた言う話は有名である…。
なおこの新陸地は日本に類似している為、総称で『大日本列島』と名付けられたと言うのは最近のことで有った。
「だけど巨大な狼とか霊とか発見されたとかファンタジーだな」
「まあ、転生者自体がファンタジーの塊だし」
だよなと返事をする転生者組である一人のメンバー。
新陸地では背丈が2mもある巨大なニホンオオカミだとか本州では霊と思われる報告が相次いでいた。
狼の方は知能が良いのか遠くから見張っていたり、狼信仰の人間がお供え物を出したところ皿ごと持ち帰り、翌日皿のみ置いてあったと言う話から知能が良いとされているが、目撃例が少ないため、生態は未だ謎だとされる。
一方、本州で霊の確認報告が増大した事で万が一の霊的事件に備えて霊的対策組織が発足された。この組織の初陣が発足から数年後であり、のちの神祇院となる前座の組織であった。
こうしてやがてアニメ関連へと話が変わり、そこで話は終了となった。
転移した先の世界の大日本列島を自国領土とした大日本帝国は今や、アメリカの50%までの国力と史実1950年代中頃の技術力を保有した。
そして大日本帝国が転移して3年後の1945年8月1日の元?の世界に転移するのはそう遠くないことであり、転移した直後、数隻のアメリカ国籍の船が日本跡地の海域で行方不明になるという不幸が待っているのはまだ誰も知らないことであった。
最終更新:2012年04月09日 21:03