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184 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2025/09/16(火) 19:52:37 ID:softbank126063230178.bbtec.net [22/103]

憂鬱SRW支援ネタ 青春記録世界編SS「ヤシマ今昔物語」【PMC「カーペンターズ」襲撃】


【Log】

『最終ブリーフィングです』

『依頼主はヤシマ派遣学園ガーデンガーズ』

『今回の任務標的(ミッションターゲット)は、ブラックマーケットを根城とするPMC「カーペンターズ」の人員及び本社設備』

『表向きには独立したPMCですが、マザーカンパニーはカイザーPMCおよびカイザー。
 装備品の供給、移動手段(アシ)、表向きの身分、訓練、資金調達および洗浄(ロンダリング)、施設の提供その他一切がカイザー由来。
 偽装のためにいくつもの仲介業者を経由していますが、カイザーの荒事専門の外部組織に他なりません』

『カイザーとヤシマの関係については語るまでもありません。
 そして、ヤシマへの妨害や攻撃にこの「カーペンターズ」も動員されるという確定情報を得ました。
 これを先制攻撃して弱体化させることで、ヤシマの安全を確保します』

『また、高位戦力による抵抗を許さない勝利により、衝撃と畏怖を与えることを目的とします』

『大規模な襲撃ですのでマーケットガードが出張ってきますが、そちらも排除を許可されています。
 排除した戦力および設備に応じて報酬を加算します』

『ヤシマの戦力が物量でどうにもならないほど恐ろしく強い、そのことを知らしめてください』

『学園長からは「吉報を待っている」とのことです。巴ナギ師範、活躍を期待します』

【Log End】


  • 現地時間午前9時22分 キヴォトス ブラックマーケット 廃ビル屋上


 ブリーフィングログを確認し終えたナギは、状況を確認した。
 程よい雨と風。人の数も十分だ。これならば依頼の主眼を果たすことができる。
今回の依頼はカイザーへのダメージを与えPMCを潰すことはあくまで物理的な現象の話であって、主眼ではないのがミソだ。
本命は、PMCを圧倒的過ぎる力で叩き潰し、ヤシマへの恐怖と畏怖を教えること。
あまりにも攻撃や妨害などを仕掛けてくるならば、手痛いダメージを負うことになるぞと教えなくてはならないのだ。
加えて物量ではどうにもならない圧倒的な力を持つ個人---生徒ではない教員をぶつけることにより、物量や時間の経過による解決をとらせない。

(とことんへし折りに行く形ですね……)

 だが、それが必要なのだ。
 地球連合の方針と行動の観点からみて、カイザーは控えめに言っても邪魔だ。
 インフラや各種業界でかなりのシェアを持っているから協調し合えるかと思ったのだが、相手は自分たちがすべてを支配しないと我慢ならない体質のようであった。
あの「生徒会長」が愚痴を言っていたというのは本当だと、ナギもまた認識せざるを得なかった。

(ともあれ、やると決まった以上はやりましょうか)

 ナギが身にまとうのは、甲冑のようにも見えるデザインの強化外骨格。
 佩いているのはこのキヴォトスで神秘を込めて鍛え上げたヤシマの太刀。
 手にしているのは大弓---そして背中に背負うのは巨大な矢筒。ナギの動きに合わせて重たい音を立てるそれらは、軽く200本は超えている。
それが、今回のPMC「カーペンターズ」襲撃に持ち込んだ武装のすべてだ。
前時代的、と判断するのは軽率だ。キヴォトスの常識を超えた力と技術とを持つナギが一度振るえば、それは途方もない暴力となる。
 殊更、女武者「巴」のテキストを纏う巴ナギがその力をふるえば、禁則地「葦名」で振るわれた力を再現できる。

「さて、と」

 最初の矢を引き抜くと、弓につがえた。
 今ナギがいる廃ビルからPMC「カーペンターズ」の本社までは直線にしておおよそ4キロはある。
通常ならばミサイルやスナイパーライフルでも持ち込んでくるような距離だ。
 だが、そんな常識は通用しない。この距離などかつては戦場で狙撃手の立ち位置を担った弓兵には短いくらいだ。
殊更に鍛えぬいた巴ナギという人物にとっては、ちょっとした距離でしかない。
彼女にとってだけでなく、地球連合における優れた武人などにとっても同じであろう。

185 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2025/09/16(火) 19:53:34 ID:softbank126063230178.bbtec.net [23/103]

 そして、ナギは軽く跳躍した。
 ほんの気軽に、羽のように軽く、しかし、10メートルは軽く飛び上がっていた。
 その間に弓は引き絞られ---その矢に上空から落ちてきた雷が纏わりつき、形を成す。

「巴の雷を見るがよい」

 言葉とともに、その矢は開戦の鏑矢として飛び出していったのだった。


  • ほぼ同刻 キヴォトス ブラックマーケット PMC「カーペンターズ」本社


 「カーペンターズ」のビルとその中にいた従業員を襲ったのは途方もない轟音と衝撃だった。
 まさに雷が落ちたかのようなそれらは、建物を揺さぶり、従業員たちを揺らし、混乱を呼んだ。

「何が起こった!?」
「砲弾でも飛んできたのか!?」
「わからん!」

 最初の衝撃の時点で、既に本社の中は荒れた。
 棚が倒れ、ガラスが割れ、書類が散乱し、破壊が起こったのだ。

「パソコンがやられた……?落雷か?」
「電気も落ちたってことはそういうことか……?」
「予備電源を、早く!」

 そう、同時に発生したのは電子機器や電気系統の破壊だ。
 落雷が直撃したかのように、電源が落ち、電子機器がいきなりショートし、あるいはコンセントなどから火花が散る。
どこかで慌てて人が走り、消火器を使う音が聞こえるということは、火事でも発生したのだろうか。
慌てはしたが、致命的ではない。あまり多くはないだけで、そういうことは起こりうることであるからだ。
 だが、おかしくもある。
 まず、雨と風は吹いていたが、直前まではそれだけだったのだ。今のように大荒れの状況ではなかったはず。
天気予報が外れたというか、まるで何かをきっかけに天気が急変したかのようなのだ。
 次いで、落雷が直撃したというのがおかしい。当たり前だが、雷は通常高い建物に落ちてくるのが特徴だ。
「カーペンターズ」の本社もそれなりに大きい建物であるが、どちらかといえば平面に広い敷地を持ち、高層ビルほどではない。
周囲にこの建物より高いビルはいくつもあるし、そこには避雷針だって据え付けられているのだ。
まるで---まるで本社だけを狙って雷が操られて落ちてきたかのように思えた。

(馬鹿な……そんなことはあり得ない)

 ともあれ、とそんな考えを振り払い、「カーペンターズ」の幹部を務める機械族の男性は素早く指示を出す。

「状況確認を急げ。火災などが連鎖して起こる可能性もあるからな、慎重にやれ。
 あとは電源がやられた可能性が高い。どれくらいの被害なのか確認をとれ。個人の物でもよいから連絡を取るんだ」
「了解!」

 民間とはいえ軍事組織だ、これくらいのパニックでは統制は崩れはしない。
 すぐに指示が通り、唐突な災害に対応するための手順に従って、人員が速やかに動き出した。
5分と経たずに統制を再編し、その日出勤していた社員たちはそれぞれの仕事に取り掛かった。

186 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2025/09/16(火) 19:54:50 ID:softbank126063230178.bbtec.net [24/103]

「運がないな……もうすぐ本社からの大きい仕事があるというのに」

 指示を出し終え、そのように幹部は愚痴った。
 経営陣の方にも連絡を取って、点呼と状況把握、そしてカイザーへの伺いを立てなくてはならないのだ。
 ヤシマという新興の学園がカイザーの商売の邪魔になっているから、適切に処理せよ。
相手には同情するしかないが、抵抗を選んだならばそのように対応するしかないのが雇われの悲しいところだ。
その為のゴリアテなどの戦力も先日届けられ、訓練と準備も整いつつあった。そんな中にこの災害だ。運が悪いとしか言えない。
 被害状況によってはカイザーと打ち合わせをして決めた予定を先延ばしにするしかないのだが、果たしてカイザーが受け入れてくれるか。
本社の方でも対応を試みたが予想以上の抵抗にあい、それどころか被害を受けているというのは耳に入っていることだ。
だからこそブラックマーケットのヘルメット団や傭兵バイト達、あるいは大人のPMCなどに声をかけて回っているという。
それも本社の設備の復旧などのために一時的に中断せざるを得ないかもしれない。

(やれやれ……)

 そう考え、幹部が窓の外に目をやった時、「それら」がやってきた。

「---は?」

 それら---空から地表に垂直方向ではなく、地表と水平方向に飛んでくる雷---を見てしまった。
当然だが、目を疑った。おかしな現実に認識がおかしくなりそうだ。誰か正気だと言ってほしいくらいだ。

「---え?」

 そして、次の瞬間に轟音が衝撃と共に体を突き抜けた。
 それは飛んできた複数の雷が、連続して本社とその周辺の格納庫などに突き刺さり、破壊を齎した音だ。
電気が流れたどころではない。物理的に破壊が発生しただけでなく、物や人が浮かぶほどの衝撃が襲い掛かったのだ。
正しく天災。人の身ではどうにもならない、圧倒的なまでの自然の暴力の発露。

「う、ぐぅぅ……」

 壁に叩きつけられ、うめく幹部は、もう何が何だかわからなかった。
 ふっ飛ばされた直前に見えた光景が現実離れ過ぎて、あるいは突如として襲い掛かった天災が恐ろしくて、何もかもが吹っ飛んでしまったのだ。
平衡感覚がないし、体も痛みで動くことさえおぼつかない。現実感というものが何もないのだ。
分かっている、あるいは漠然と感じ取れるのは、とても恐ろしいことが起こるという予感のようなものだった。
 そして、それは果たして正しい。
ヤシマ---ひいては地球連合の価値観からして、この程度はジャブどころか拳合わせのレベルだ。
暴力というものに対する認識がまるで違うのだから、ある意味ではこれはディスコミュニケーション。
とはいえ、互いが同意の上で暴力を向け合うのだから、この上ないグッドコミュニケーションでもあった。
それを体現するかのように、ナギによる攻撃は始まったばかりで、二の矢、三の矢は放たれている。
否応なく、闘争一直線なのだった。

187 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2025/09/16(火) 19:55:43 ID:softbank126063230178.bbtec.net [25/103]

以上、wiki転載はご自由に。

ちょっとナギさんのフィーバータイムの模様をお送りします。



以下、wiki転載用です。

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最終更新:2025年12月27日 23:08