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964:奥羽人:2025/06/02(月) 20:16:09 HOST:sp49-96-48-179.msd.spmode.ne.jp
1937年末 中華民国某所

戦火に包まれた市街地。
瓦礫に覆われた建物の陰から、隊伍を組んだ日本兵達が正確な射撃を繰り返していた。
爆発音と怒号が飛び交う中、中国軍は無尽蔵とも思える歩兵部隊を繰り出し、幾重にも人の波をぶつけてくる。
だが、日本軍の反応は冷静だった。
菊の御紋が印された銃火器から吐き出される火力の壁が、次々と敵兵を薙ぎ倒していく。

その中で目を引くのは、日本兵たちが手にしているやけに先進的な銃火器だった。
主力小銃と思しき半自動式ライフルは、明らかにM14……いや、MINI-14を参考にした設計となっており、軽快なリズムで中距離からの連発を実現していた。
動作も安定しており、黎明期の自動小銃に付き物の作動不良も見受けられず、撃つたびに乾いた金属音が辺りに反響する。

分隊支援火器としても使われている軽機関銃は、あからさまにRPDに酷似した設計であり、現状こそ上部装填の30連マガジン式だが、少しの変更でベルト給弾式へと“戻せる”だろう事が窺える。
制圧射撃を担当する兵士は、構えたまま機関銃を撫でるように操作し、道路を横切ろうとする敵部隊を一掃していた。

さらに、数人の兵士は腰に奇妙な武器を携えていた。
ソードオフショットガンを思わせる外見に太いバレル……所謂中折式グレネードランチャーと呼ばれる物だ。
指示を受けた兵士は、それを手慣れた様子で扱いながら、敵が集まる大通りに向けて榴弾を撃ち込む。
着弾点には爆煙が咲き、迫り来る人の波がごっそりと消えた。

それでも、中国兵は戦いを止めず、建物を即席の陣地として抗戦を続ける。
市街の戦闘が膠着しかけたその時、ひときわ低く唸るようなエンジン音が響き、舗装の剥げた通りを一両の戦車がゆっくりと進み出てきた。
砲塔は滑らかに傾斜し、設計には黎明期特有の無駄がまるでない。
そのシルエットは、後年のM24チャーフィー軽戦車を彷彿とさせる。
自らの武器では太刀打ちできない相手を前に、中国兵は一瞬、動きを止めた。

戦車が停止すると同時に砲塔が旋回。
敵の隠れた三階建ての建物に向け、短く震えるような制動音とともに砲身が固定される。
次の瞬間、閃光と共に主砲が吼えた。

75mm榴弾が建物の上層を直撃し、コンクリートが爆散する。
崩れ落ちる壁面と、巻き上がる瓦礫と煙。
銃声と叫びがかき消され、建物の中にいた敵兵は文字通り吹き飛ばされていった。
その様子を見届けた歩兵が、前進を再開する。

965:奥羽人:2025/06/02(月) 20:17:16 HOST:sp49-96-48-179.msd.spmode.ne.jp
この世界の歴史の流れは、おおむね史実の日本と似た軌跡を描いていた。
日清戦争での勝利は列強へ“新たなプレイヤー”の登場を告げる狼煙となり、続く日露戦争では世界を驚かせる形でロシア帝国を打ち破る。
第一次世界大戦では、参戦こそ限定的だったが、欧州列強の疲弊と不在を巧みに突いて、南洋諸島や中国沿岸の利権を獲得。
太平洋一帯に勢力を広げることに成功した。

しかし、時代が進むにつれ、世界は深い混迷に沈む。
1929年、アメリカ発の世界恐慌が猛威を振るい、各国の経済が大打撃を受ける中、日本もその例外ではなかった。
だがこのとき、国内の一部大企業が株価暴落の寸前に仕込んでいた巨額の資金操作で莫大な利益を得た。
彼らはその資本を背景に、影響力のある政治家と手を結び、戦略的な国内開発を主導し始める。
結果、内地では急速な工業化が推し進められ、農村部から労働者が都市に流入し、軍需・重工業の分野で新たな経済が形成されていった。

しかし、アメリカに伍する程まで増大した生産力を得た日本は、次第にその捌け口を外へと求め始める。
満州事変は、そうした流れの中で起きた“必然”とも言える事件だった。
新たな市場、原料供給地、そして影響力の拡大を狙った日本軍部は、満州を武力によって制圧し、実効支配を確立する。
これに対する中国側の反発も激化。
各地で反日暴動やテロが頻発し、列強が中立の立場を取る中、事態はエスカレートの一途を辿った。
市場と資源を求めて拡張する日本、対抗心と民族感情から抗う中国。
そうやって遂に火蓋が切られたのが、後に言われる日中戦争である。

史実において、十全な軍備など叶うはずもなかった……だが、この世界の日本は違った。
世界恐慌を転機とした経済的再編、巨大利権を掌握した財閥による内地開発の主導、そして新技術による資源開拓。
それらが相互に噛み合い、想定を超える高水準の工業力と、総力戦に耐えうる資源確保を実現していた。

日本軍は、もはや「急ごしらえのアジアの陸軍」ではなかった。
戦車は小型軽量ながらエンジンと装甲のバランスに優れ、火器は欧米に引けを取らぬ性能を備えていた。
兵士一人ひとりが、量産型の高性能自動小銃や装備品を標準装備し、部隊全体が効率的に機能するよう訓練されていた。
兵站を支える機材や車輌も、生産され次第次々と送り込まれて来ている。

その軍備をもって日本軍は、一気呵成に中国大陸へと侵攻を開始した。
戦車や航空機を用いた日本軍の前に、士気も装備も整っていない中国軍は敗走。
バラバラに大陸の奥地へと逃げ去っていく。
もちろん、侵攻は一筋縄ではいかない。便衣兵……民間人に偽装して活動する中国側ゲリラによる後方攪乱や、地の利を生かした抵抗に日本軍はたびたび苦しめられる。
しかし、それでも戦いの主導権を握る日本軍の優位は揺るがなかった。

結果として、日本軍は驚くべき速度で華北を掌握する。
鉄道、都市、生産拠点……国家の中枢をなす拠点を的確に制圧し、深刻な打撃を与えた。
しかし、中国国民党政府はまだ負けを認めるつもりは無い。
アメリカも、国民党支援の為に重い腰を上げ始めた。
日中戦争は、更なる混迷へと突き進んでいる。

966:奥羽人:2025/06/02(月) 20:18:41 HOST:sp49-96-48-179.msd.spmode.ne.jp
某所、企業家達の集い────


「とりあえず、機関短銃のトライアルにかこつけて6.5mmの減装弾を使った小銃改造カービン……史実でいうAC-556的なのを出してみた」

「なるほど、そこからアサルトライフルの普及を……で、どうだったんだ?」

「軍が言うには、流石に全自動火器を全軍配備したら弾薬消費が過大になるとさ。で、使い道もよく分からないから、陸戦隊や空挺部隊に限定配備して様子見らしい」

「まぁ、中国戦線は広いからな。フルサイズのライフルのが使いやすいんだろう……とはいえ、実戦で効力が発揮されればそのうち軍も理解するだろうさ」

「だといいがな。で、そっちはどうなんだ?」

「T-44レベルの戦車は問題なく生産できる……が、そもそも軍は性能過剰だといってそのレベルの戦車を求めていない。確かに、値段は張るが……」

「そうか、ま、今の状況ならそうだろうな。はぁ……軍や政府に顔の利くメンバーが居ればなぁ……」

967:奥羽人:2025/06/02(月) 20:20:44 HOST:sp49-96-48-179.msd.spmode.ne.jp
以上となります。転載大丈夫です。
時間を見つけてアイディアを貯めてた【人材の質がパッとしない大陸日本】世界となります。

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最終更新:2025年12月28日 22:53