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580 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2025/10/06(月) 22:09:00 ID:sp1-75-72-74.smd03.spmode.ne.jp [2/5]

憂鬱SRW 未来編鉄血世界SS「幕間の物語」3


  • P.D.324 P.D.世界 火星及び諸コロニー群通商統合連合首都惑星「火星」 クリュセ PMC「鉄華団」拠点 面談室


 PMC「鉄華団」は、新興企業として必然的に迎える準備期間に入っていた。
 CGSから保護観察も兼ねて独立・自立したのはいいのだが、大半が学の乏しい少年兵ばかり。然るに必要な常識や教養を身に着ける必要に迫られていたのだ。
CGSの時に最低限の教育さえ受けられなかった年少組など、いくら勉強に時間を割いても足りないほどだ。
無論の事勉強だけで時間を費やすわけではないのだが、一にも二にも勉強をして適応力を付けなければ、この後の社会で生きていけない。
 年長組はさらに過酷だ。即戦力化をしつつ、並行して高等教育をがっつりと受ける必要があったのだから。
例えるならば短距離走と長距離走のトレーニングを同時にするのに等しい。ガチガチのスケジュールで、何名かが根をあげそうになるほど。

 だが、それでも鉄華団は励まし合い、時に気遣いをし、脱落者を出さないように自助努力をしながら努力をした。
彼らは地球に向かう道中や地球での活動の中で嫌というほどに学んでいたのだ。自分たちが如何に劣り、このままでは食い物にされることを。
CGS時代から、あるいはそれ以前から散々食い物にされてきた彼らは心から理解しているのだ。どれほどにそれが恐ろしいのかを。

 幸いにして、火星連合の後援を務めるアルゼブラ、ひいては地球連合のバックアップもあり、彼らは非常に恵まれた環境にあった。
地球行きの仕事で知り合った「セントエルモス」の面々が残留し、指導などを継続してくれていたのも大きい。
虐待同然の扱いを受けていた元CGSの子供たちの信頼を勝ち取ったというのは、とても重たいことでもあったのだ。
いずれは別れることになるのだが、大人たちへの不信感がほどけるまでの今暫くの間は傍にいてやる必要があった。
それをやってもいいというくらいには、彼らも鉄華団やそこに入ってきた子供たちに愛着を持っていたのだ。

 さて、学習と共に行うのが、彼らの進路希望だ。
 オルガは企業の社長という道を。三日月は将来的には農園を持ちたいという希望。ビスケットは鉄華団で軍事というよりも経営や他の産業への参加を。
意外なところではメカニックのカッサバは技術を磨いて会社を興したいという声をあげていた。
ライドなどはパイロットを志望していたのだが、まだ基礎教育も終わっていないためにあくまで希望として受けていた。
 そして、面談室でセントールや他の指導員を含んだ教育係と面談しているのは、タカキ・ウノであった。

「……タカキくんは、政治方面を希望か」
「はい。戦うだけじゃ、この先ダメだよなって……」

 セントールとの面談の中で、タカキは明確に希望を断言した。
これまで勉学にMSパイロットとしての訓練もしてきたのだが、タカキは違うものを学習の中で見出した。
それは、火星連合において将来的に必須となる官僚や閣僚、あるいは議員といった政治方面への進路であった。
タカキの能力は均等型と言える。どの分野にもバランスよく、突出してはいないが欠けているところが少ない。
本人の希望と努力次第で、どのようにでも道を選べるポテンシャルがあった。

581 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2025/10/06(月) 22:09:44 ID:sp1-75-72-74.smd03.spmode.ne.jp [3/5]

「つまり、火星連合の政府を目指すということかい?」
「そこはまだ……ただ」

 タカキは少し考え、言葉を吐き出す。

「今は、アルゼブラの皆さんや地球連合が手助けしてくれています。
 でも何時までも甘えちゃいけない……誰かが本当はやらないとならなかったことを、代理でやってもらっているだけです」

 それは果たして正しい。
 火星連合という政府を立ち上げたのはいいが、そこから先は何十年もかかる国家事業だ。
アルゼブラなどの支援がなくなってしまえば、途端に火星連合は屋台骨を失い、派手な音を立てて崩れ落ちることだろう。

「今すぐは無理でも10年20年とたってから、そこに参加して、少しでも貢献出来たらいいなって思っているんです。
 鉄華団もアルゼブラの傘下の企業ですから、色々と行政の嫌な噂は耳にしちゃうので……」
「これは耳が痛い……」
「確かに」

 実際そうなのだ。火星連合はクーデリアの独裁---いや、ワンマン経営に近い。寡頭制にさえたどり着けていない。
やりたくてしているわけではなく、能力のある人間が極端に少ないためで、クーデリアにまともに意見具申できる
者がいないのだ。
やる気のある人間もいることはいるが、今度は質が伴っていない。それどころか、恥の上乗りのような馬鹿をしでかす始末。
 だからこそ、アルゼブラでは政治に関心のある人々を新たに集め、教育する方向で動いている。
既存の大人の層が当てにならないならばというセカンドプラン。それに意欲的なのは非常に助かる話だ。

「けれど、それは楽な道ではないぞ?」

 そう。政治の場に立つほどの人材に要求されるレベルは高い。
 アルゼブラの言うことをハイハイ聞くだけしか能のない人間は苛烈に弾かれる。
 いやな話になるが、そんなコバンザメ染みた傀儡になれる人間さえ乏しいのだ。
面従腹背というか、アルゼブラを利用してやろうとか、弱みを握ってやろうとか、悪意を積極的に向けてくる人間が圧倒的に多かった。
その結果として、かなり苛烈な壁が設けられているのだ。素養があるか、精神や考えの指向性に問題はないかを良く調べるようになった。

「覚悟しているとは簡単に言えません」

 けれど、とタカキは断言した。

「鉄華団の仲間や元ストリートチルドレンやヒューマンデブリみたいな目に合う人を減らしたい。
 せめて、手の届く範囲では防いでやりたいんです。それをやるには、もっと広い視点を持たないといけないと思うんです」

 目指すは名前の通り高み。
 その言葉に、セントールは頷いた。

「その初心を、忘れないことだな」

 そうして、タカキの進路希望はその後のカリキュラムに大いに反映されることになった。
 鉄華団の誰もが、それぞれの道を協力し合いながら。遅いかもしれないが、確実な一歩だ。

582 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2025/10/06(月) 22:11:18 ID:sp1-75-72-74.smd03.spmode.ne.jp [4/5]

以上、wiki転載はご自由に。
久しぶりに鉄血世界の観測を。
めちゃくちゃ久しぶりすぎて自分で笑ってしまいました…
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最終更新:2026年01月02日 20:07