168:earth:2024/08/18(日) 02:41:55 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
転生者、令和の地で斯く戦えり 第1話
誰もいないことを幸いに、七道の手により、宇津帆島と呼称されることになった旧メリダ島。
小ジャブローとも揶揄され、半ば自給自足が可能な要塞を根城に、七道は地球各地の情報収集を進め、突きつけられた事実に愕然としていた。
司令官の執務室。その中に置いた重厚感のある木目があるデスクにて、報告書を一通り読んだこの【要塞】の長、【七道進】は目を見開いていた。
「マジか・・・・・・」
「はい。間違いはありません」
黒スーツを着込んだ秘書役のセラの言葉を聞いた七道は「信じたくない。でもこれが事実というなら・・・・・・」と渋い顔をした後、執務室の天井を仰ぎ見た。
少しの間を置き、気分を落ち着いたことを自覚した七道は再び口を開く。
「落下した領域が別次元に吹き飛ばされた形跡がある・・・・・・ただの隕石落下ではなかった、と」
「はい。東京を中心とした関東エリアは特にその影響があったようで、宇津帆島のように別世界に強引に転移した可能性があります」
「・・・・・・全世界規模で異世界転生やった世界なのかよ。異世界転生トラックならぬ異世界転生メテオか?」
「生きたままなので転移のほうが正確かと。あと、飛ばされた先がどのような世界かは観測できませんが・・・・・・この現象によって地球表面の空間は
若干不安定になっております。不完全な時空振動弾を使ったときのような現象は起きないと思いますが」
「・・・・・・何か悪影響は?」
「今のところは確認されていませんが、今後絶対にないとは言い切れないかと」
「うわぁ・・・・・・」
頬が痙攣するのを七道は抑えきれなかった。
東京をはじめ、世界各地の重要都市をまるで狙ったかのように隕石が降り注ぎ、その半分以上は時空転移で次元の彼方に消え去った。
転移現象が起きなかった場所は、物理的に破壊されて巨大なクレーターと化した。
「我々がこの世界に現れたのは、この隕石落下とそれによる空間の不安定化によるものと?」
「100%それが原因とは言い切れませんが、重要な要因ではあるかと」
「・・・・・・そもそも、そんな大規模な転移を起こす隕石ってなんだよ。実質、時空振動弾、いやD兵器と同じ効果を起こす隕石とか」
「異星人の痕跡は確認されておりません。ですが」
「我々が確認できていないだけかも知れない、と」
「はい」
「・・・・・・」
頭を抱えたくなった七道。
地獄のような輪廻から逃げ出せたと思ったら、これまで以上にヤバい世界かも知れないというのだ。天国から地獄に突き落とされたかのような
ショックを受けていた。
(俺ってそんなに罪深いことしたのか?!)
思わず天を呪うが、呪っても時間の無駄であると切り替える。
「地球圏全域の監視、観測システムと宇宙探査システムの構築を急ぐ。後、そんな馬鹿げた隕石が来ても、可能なら、月軌道の外側で迎撃するために、
防衛網の構築を前倒し。生産、資源プラントの設置を優先。環境改善プラントは後回しでも良い」
七道としては地球環境を改善して好き勝手にエンジョイしたいと思っていたのだが、そうも言っていられない。
169:earth:2024/08/18(日) 02:42:35 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
「ミノフスキークラフト搭載して自力で大気圏突破ができる船舶はフル稼働だ」
「防衛部隊の編制はどのように?」
「大気圏内だと戦車と航空機で事足りると思いたいが・・・・・・万が一もある。MSの生産も進めておく。ラムダドライバなどオカルト技術を十全に運用できる
次世代機動兵器にも手をつけたいが・・・・・・まずはそこそこ使える戦力の頭数を揃えないと。あと指揮統制が可能な演算能力がある人造人間も増産か・・・・・・
眠れない日々が続くな」
「優雅な隠匿生活が出来る~」と思っていた過去の自分をぶん殴りたい思いに駆られるが、そんな生産性がない思考をすぐに振り払う。
これまで散々に悪役として運命をひっくり返しうる【物語の主人公達】と戦ってきた経験は伊達ではないのだ。
「人が滅び、薄汚れた泥玉になりはてた地球に価値を見いだすような星間文明などいないとは思いたいが・・・・・・ただ我々のように迷い込んでくる
勢力がいてもおかしくはない。だとすると、名乗りがいるな」
「・・・・・・単に地球連邦軍でよろしいのでは?」
「この世界を知る勢力だったら、存在していない連邦政府の名前を初手で出すと不信を抱かれかねない。そうだな、宇津帆島にちなんで【蓬莱機関】と
名乗ろうか。目的も【文明再建】という表向きは文句のつけにくいものにしておけば『こんにちは、死ね!』レベルで攻撃する人間が減るだろうし」
「減るだけ、と?」
「・・・・・・世の中、殴ってくる奴は何を言っても殴ってくるんだ」
過去を思い出して遠い目をする七道だったが、今回もすぐに現実に回帰する。
「兎にも角にも急げ!」
かの一年戦争で行われた宇宙艦隊再建計画・ビンソンプランには遠く及ばないものの、一年戦争勝利に貢献したそのプランにあやかって、
【第二次ビンソンプラン】という名前を与えられた軍備計画はただちに進められることになった。
一年戦争時にジオンのMS開発を支えた高度な設計支援システム(工業高校生で歩くレベルのMSが設計可能)の改良型と、七道のこれまでの輪廻で
得られた知見を元に製造した生産設備(3Dプリンターでプラモを作るかのようなノリで兵器を生産可能)の掛け合わせの効果は大きかった。
更に七道の過去に得た技術、スパロボ世界にあったMDシステムを含めた無人兵器の各種運用ノウハウも活用することで、【蓬莱機関】は、軍を編制
することが可能になったのだ。
引き換えに地球の環境改善は遅れることになったが、七道は「泥玉の表面を綺麗にするより、まずは身の安全」と割り切っていた。
そしてその割り切りで得た軍の編制が完了する目処が立った・・・・・・そう思った頃、危惧していた事態が起きた。
「・・・・・・よりにもよって、最初の客はこいつらか」
地球各地で観測された空間異常、そしてその直後、その異常を発見した観測機器が突然応答しなくなるという不具合。
急ぎ偵察機が現地に送られ、司令部のモニターに映し出されたきたのが・・・・・・見るに堪えない、そして見たことがある醜悪な化け物共だった。
七道はゲッソリした顔をしつつ口を開く。
「いや確かに、その可能性はあるだろうがね・・・・・・うん、まぁ数が少ないのがせめてもの救いか?」
彼の視線の先にあるのは・・・・・・別世界で人類を敗滅寸前に追いやったBETAと、その巣窟たるハイヴ。
ただしその数は元ネタとなる世界と比べてかなり少なく、ユーラシア内陸を中心に5つしかない。
「現状なら初手、質量兵器と戦略核連打で何とかなるか」
170:earth:2024/08/18(日) 02:46:33 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
過去にあった【異世界転移メテオ】とも言うべき現象を警戒した【蓬莱機関】は宇宙に漂う隕石を研究、分析もかねて捕らえて研究していた。
だが同時に、今後、自分達のように突如として出現するかも知れない異世界の勢力への(安価な)攻撃に隕石が使えると判断。【蓬莱機関】は
捕らえた隕石をマスドライバーで加速し、地表にたたきつけるという周辺地域のことなど全く考えていない攻撃を編み出した。
さすがにBETAが来ることは想定していなかったので、AL弾などはなく、レーザー攻撃に対する防御は従来のものしかないが、大質量の岩石で
飽和攻撃するなら何とかなると思われた(引き換えに周辺環境は酷いことになるだろうが・・・・・・)。
「これだけで終わるのか、或いはチュートリアルになるのか・・・・・・願わくば前者であって欲しいが」
別世界の人類は初手を誤ったが、【蓬莱機関】は何の躊躇いもなく、大量破壊兵器を叩き込む決意をしていた。
同時に世界各地に設置、巡回中の部隊に出撃を指示。ビックトレーを中核とした陸上戦艦部隊、リニアガンタンクを装備した機甲師団、機動力と柔軟性を
確保するため、単独の飛行能力と柔軟な装備の換装が可能なウィンダムを中核としたMS部隊、核兵器運用が可能な航空隊が招かれざる客への対応の
ために動き出す。
「・・・・・・優雅な生活はまだまだ先かな」
七道がそう呟くのと前後して、宇宙に設置されたマスドライバーから巨大な岩の塊が打ち出され・・・・・・着弾までのカウントダウンが開始された。
「七道様。核ミサイルの発射コードの入力を」
この組織は事実上、七道のワンマン運営といって良いが、戦略核レベルの大量破壊兵器の使用については、パスワードの入力を必要としていた。
「判っている」
七道はセラにそう言った後、躊躇いもなく、核の発射に必要なパスワードを手元の端末で入力し・・・・・・指令を受け取った各基地から核ミサイルが発射されていく。
「時空振動弾ことD兵器の後は、ダース以上の戦略核兵器の使用、か・・・・・・」
一都市を軽く消し飛ばす威力を持ちながらも、残留放射能が少なくて済む【純粋水爆】を搭載した弾道弾が次々に飛翔していく様がモニターに
映し出される。
「・・・・・・まぁこれで済むなら安いモノ、か」
171:earth:2024/08/18(日) 02:50:05 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
加筆修正しました。
最終更新:2026年01月09日 21:40