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190:earth:2024/08/18(日) 21:49:51 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


 転生者、令和の地で斯く戦えり  第2話

 マスドライバーで発射された隕石の命中率はお察しなのだが、蓬莱側は数撃てば当たるの精神で、容赦なく地上に向けて放った。
 BETA側は光線級、重光線級で対応しようとしたが、容赦なく降り注ぐ隕石の群を防ぐことは出来ず、次々に落着。ハイヴの地上部分と地上にいた
BETAの大群は粉砕され、更にメインシャフトどころか、最深部にまで隕石は到達し、あたりの岩盤もろともハイヴを豪快に崩壊させていく。
 穴という穴が崩れ落ち、活動可能だったBETAは巻き添えになって潰れていく。
 当然、地表にいるBETAもただでは済まず、隕石を迎撃しようとした光線級も重光線級は軒並みなぎ払われ、ほぼ消滅した。
 そんな中、続いて大威力の核弾頭が、隕石落としで開いた大穴の上空で次々に炸裂。生き残っていたBETAを文字通り蒸発させた。
 地球各地、カシュガルを中心にユーラシア大陸内陸部と中東(イラン北部)の合計5カ所に盛大にキノコ雲が立ち上った。

『地上構造物の倒壊を確認』
『続いてミサイル第一波の起爆を確認』
『残存BETAを確認。内訳は要塞級、突撃級・・・・・・』
『ミサイル第二波着弾まであと30秒。プランに基づき、低軌道よりMS部隊が降下を開始。周辺基地も所定のプランに基づき行動を開始』

 容赦なくミサイルの第二波がBETAに降り注ぐ中、宇宙空間で待機していた強襲降下用のMS部隊(主力:可変MS)が大気圏へ降下を開始。
 地上でも各基地から追い打ちのミサイル(通常弾頭)が発射され、更に航空機部隊(主力:スカイグラスパー)と空挺部隊が相次いで出撃。
 七道が死に物狂いで整備した陸上戦艦部隊(ビックトレー、ヘヴィードーク)と機甲師団(主力:リニアガンダンク)、MS部隊(主力:ウィンダム)が
本格的な進軍を開始する。尤も、これらの部隊に対する抵抗はなく、各部隊は文字通り無人の荒野を行くかのような進撃速度で前進を続けた。

『航空隊に対する反撃は確認できず。敵の対空防衛網は完全に沈黙した模様』
『カシュガルのハイヴにて地下構造物の露出を確認・・・・・・各隊、地下施設への攻撃を開始』
『旧マシュハドに第2空挺部隊到着。作戦を開始・・・・・・敵の反撃は確認されず』

 司令部機能を統括するAIが合成音声(ゆっく○ボイス)で読み上げる各地の戦況報告に、七道は「とりあえず初期対応には成功か」と
判断した。

「ただ地下深くに逃げられた可能性もある。センサー類の設置は急ぐように。あと巻き上げられた粉塵は?」

 AIが正面モニターの画面構成を操作し、シミュレーション結果を示す。

「初期の想定通り・・・・・・と言いたいけど、隕石落としの影響は大きいか。あと地下深くまでえぐれて酷いことになりそう」

 地下深くまで続く複数の大穴を見た七道は溜息を漏らす。
 しかし5つのハイヴを同時に攻略できる通常戦力を用意できていない状況では、大量破壊兵器に頼らざるを得ないのも事実だった。勿論、順番に
攻略することも考えたが、時間を掛けるほうがリスクが高いと判断して速攻で潰しに掛かったのだ。
 そして「こんにちは、そして死ね!」とばかりの速攻に出て、全てのハイヴはそこにいたBETA諸共、灰燼と帰した。
 もしも並行世界でBETA相手に苦戦している人類が見たら、あまりの呆気なさに驚愕し、同時に初期対応に失敗し、BETAによる惨禍を招く形に
なった中ソに対して憎しみを募らせるのは間違いないだろうが・・・・・・。

「現状、味方の損害は皆無。弾薬、燃料などを消耗しただけ・・・・・・想定以上に成功したようです」

 右横に控えていたセラの言葉に七道は「幸先が良い」と応じた。

「手持ちの戦力は、第二次ビンソンプラン前の計画も含めたとしても2年の期間で整備したにわか仕立ての軍。指揮統制が可能な人造人間の数も
まだ多くはない。下手な消耗は可能な限り避けたい。それにしても、連中が突如として現れたとなると・・・・・・」

 兎にも角にも、何とかなったとして七道は次の指示を出そうとする瞬間、周囲の空間が一変する。

191:earth:2024/08/18(日) 21:50:40 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

 先ほどまで自分が、いくつものモニターが置かれた司令部にいたにも関わらず、一瞬で何もない白い部屋にいる・・・・・・そう認識した時、七道は
「幻覚?」と疑ったが、すぐにソレを否定する。

「いやバイタルに問題は無い。それに通信も遮断されている・・・・・・強制的に転移? 対策も多少なりともしていたのに?」

 強制的に転移させられた・・・・・・そう判断した七道は「あ、こいつはヤバい奴(圧倒的格上)の仕業だ」と悟る。
 周囲を見渡す七道に、男とも女とも、老人とも若者とも判別がつかない声が聞こえる。

『貴様が学んだ技術など、いずれも児戯に過ぎん』

 しかし周囲には誰もいない。

「・・・・・・何をお望みで?」

 相手が超常存在であることを認めた七道は腸が煮えくり返る思いにも関わらず、可能な限り下手に出る。この状況において自分の
生殺与奪が相手に握られていることを否定する程、彼は傲慢ではなかった。

『学習能力、運営手腕、逆境でも諦めない意思。途中で逃げだそうとしたのは減点だが、運も残っていた。問題ないだろう』
「はい?」
『選択の時だ』
「・・・・・・何を」
『己が何をしたのか思い出せもしないか・・・・・・なら思い出すが良い』

 その台詞の後、七道の脳に、いや魂の中に封印していた記憶が蘇る。
 それは彼にとって最初の異世界転生であり、【御使い】を名乗る存在から特殊な権能を与えられた生であった。
 そして彼は、その権能を利用して、多くの人間を救い、世界を救おうとした・・・・・・しかし、人の欲望と悪意は底知れないものだった。
 彼が何でも出来ると思った者達の要求は果てが無かった。

「出来るのになぜしない?」
「出し惜しみしているのではないか?」
「なぜ、あいつの方ばかり優遇する? 不平等だ!」
「お前の権能は神が与えたもの。ならば、世界に貢献する義務があるはずだ!」

 善意を悪意や害意で返され、世界中から責め立てられる。恨もうにも、この道を選択したのは自分自身であり、誰かを逆恨みする人間でも
なかったことが余計に己を追い詰めた。
 人の欲望、悪意、嫉妬・・・・・・それらに晒され続け、擦り切れ、【御使い】にすがりついても、「それはお前が解決すべき問題だ」と素っ気なく
返され・・・・・・最後は全てに絶望し、【御使い】との契約を破る形で自ら命を絶った。

「あ、あ、ああああああ!!」

 あまりのトラウマのため、蓋をしてきた記憶があふれ出し、七道は嘔吐した。
 そんな様子を気遣うことなく、声は響く。

192:earth:2024/08/18(日) 21:51:15 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

『世界の穢れを背負い、悪として世界から放逐される生け贄の一人となることで、貴様は契約違反を償っていたに過ぎん。そんな状態から
逃げようとした態度にはあきれ果てたが・・・・・・幸運を最後に掴む程度の資格は残っていた、いや幾多の輪廻で律儀に役をこなしたのが
認められたか・・・・・・いずれにせよ貴様に選択の機会を与えよう』
「選択?」
『空間が不安定なこの星には今後も、あのような害獣が押し寄せるだろう。今回はあの程度だが、今後はより強大な獣共が押し寄せる。
 貴様が抱える技術では対応しきれない獣共がいずれ押し寄せ、貴様を追い立てるだろう』
「・・・・・・」
『貴様がこの世界ですり切るまで戦うというなら、それでも良い。死んだ暁には記憶も消去して輪廻に戻そう。普通の輪廻にな』

 輪廻の先が人間とは言っていないことに七道は気づく。

(ようするに今まで得たもの全てを失った挙げ句に、豚、牛どころか虫にすらなり得ると)

 色々と言いたいことはあったが、それらを呑み込む。

「・・・・・・他の選択肢は?」
『貴様のように我々との契約を破った者どもの後始末、これを手伝い功徳を詰むことだ』
「・・・・・・は?」
『貴様は最後に自死を選んだが、それは世界にとってはまだ良き選択なのだ。世界や我らを逆恨みして暴れ回り、世界に害をなす者もいる。
 その手の者の負の遺産、これらの処理だ』
「あなた方が自ら手を下せば良いのでは?」
『我ら自身が過度な干渉を行うことは、世界に悪しき影響を与えかねん。他に術がないなら動くが、そうでないなら、お前達のような種族に
任せるのが適当なのだ』
「支援は?」
『それを欲するか』
「少なくとも対処不能な相手にぶつけられるのは」
『安心せよ、その点は配慮する。貴様のような格でも戦える相手を選ぶ』

 言外に二流と言われているようで、七道はやや眉をひそめるが、そんな彼の内心を判っているかのように声は続く。

『一流とは、お前達を倒したような者達のことだ。そしてあのような一流、いやそれを超え、我らに迫らんとするような者達には相応の
配慮が必要になる』
「・・・・・・(弱い俺には配慮は不要という奴か)基本的には独力、と?」
『独力でも戦えるだけの存在だと思っている。そうでなければ、ここで選択の機会を与えることすらしなかっただろう』
(要するに、私がそこそこ使える駒になったから、か・・・・・・いや、一度失敗した人間に対しては十分に寛大な処置、か)

 100%信用することなど出来ない。
 だがいつまでも防衛ユニットや人造人間達が救援に来ない状況では、多少なりともマシな選択肢をとるしかないと七道は思った。

「私は・・・・・・」

193:earth:2024/08/18(日) 21:56:03 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
というわけで悪役転生の原因開示回でした(サクサクいきます)。
異世界転生が多数あるなら、チート貰っても失敗する人間はいるよねって話です。

主人公は最後の最後で、幾多の幸運で再起の機会を掴む形ですかね。
次回以降、令和に絡む段階に行きたいですね。

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最終更新:2026年01月09日 21:43