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354:earth:2024/08/31(土) 02:01:18 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


 転生者、令和の地で斯く戦えり  第6話


「霧の艦隊由来の技術等、色んな生産にも使える技術を多少なりとも習得しておいて良かった・・・・・・芸は身を助けるという奴だな」

 宇津帆島地下軍需工場をある程度見渡せる部屋の一室。
 その部屋の窓の下に広がる光景を見て、七道はかつて計画倒れに終わった艦のメンタルモデルになり、最期は無様に敗北した苦い経験を思い出して
遠い目をした。彼は基本的に現場現物を重視しており、改善点がないかを自分の目で見ないと気が済まない体質のため、定期的に重要施設については
見て回っており(おかげで時間に追われているとも言えるが)、今は一息ついたと判断し、現在休憩中でだったのだが・・・・・・過去を思い出してリフレッシュ
するどころかブルーな気分になっていた。

(ああ、マジで主人公と一緒に英雄譚の一人になってみたかったが・・・・・・まぁ悪役回避しても、精々、縁の下の力持ち程度だったんだよな。大抵が
 この手の裏仕事が多かった・・・・・・ああ、思い出したら腹立ってきた。あの後方の苦労を知らない脳筋どもがめ)

 前線と後方からの無茶ぶりの数々の思い出が脳裏に浮かんで、再び溜息を漏らした後、七道は「まぁ今はまだ一人で全て決めれるだけマシと思おう」と
気分を切り替えた。
 この宇津帆島地下軍需工場は誰かの妨害も受けることなく、七道の好きなように大幅に拡張されており、そこでは無数のロボットたちが24時間動き
回って物資の生産に励んでいる。
 ここの生産量はかつて一年戦争時に地球連邦宇宙艦隊を再建してのけたジャブローにこそ及ばないものの、その気になれば生産できないものはなく、
自給自足を可能としていた。そして現在進行形で可能な限りの拡張が進められている。

「本来は旗艦装備レベルのものがあれば良かったけど・・・・・・いや粗悪品、劣化モデルぐらいでも、アマルガム、連邦強硬派(ティターンズ、ブルーコスモス)、
そして異星人の力を利用して用意できただけマシか。ヤマト2520世界クラスの軍需工廠も欲しいところだが」

 かつて散々な目に遭った平行世界で得た技術、ノウハウと引き換えに、得た助力で築いた各種設備が、今の彼の立場と生存を保証している。
 まぁ主人公陣営からすれば敵陣営を無駄にパワーアップさせる上、異星人に地球を売り飛ばそうとする見逃せない敵でもあったため、彼が叩き潰されたのも
ある意味、当然ではあったのだが・・・・・・。

「しかしマジで時間が欲しい。3~4年でも最低限だからな。本来は10年単位は欲しいところだ。リメイク前の地球防衛軍ではないんだぞ」

 そんなことをぼやいていた七道だったが、次の瞬間、景色が切り替わり、何もない白い部屋が広がる。
 七道は溜息をつきそうになったが、何とか表情を引き締め、恭しく頭を垂れる。

「・・・・・・如何なる御用でしょうか?」

 以前と同じように男も女とも、老人とも子供とも捉えられる声が響く。

『貴様の出番が決まった』
「・・・・・・時期は?」
『現地時間で一年後、だ』
「!?」

 さすがに七道も顔を上げそうになるが、【現地】というキーワードにそれを思い留める。

「なるほど、【現地時間】ですか」
『そうだ。【現地時間】で、だ』
(アブねえ、下手に反応していたら、何を言われたことか)

 そんなことを七道が思っていると、すぐに回りの光景が切り替わる。
 そしてその光景は、彼にとって既視感がある光景でもあった。

355:earth:2024/08/31(土) 02:01:55 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


「こ、これは」

 内燃機関の自動車が道路をせわしく行き交い、背広姿の疲れた顔のサラリーマンが、買い物途中の老夫婦が、学校帰りの女子高生のグループが、
子連れの母親が横断歩道を渡る。商業ビルの外側に設置された大型液晶モニタではTVニュースが流れている。

『21世紀初頭の地球だ。ああ、貴様と契約を結ぶ前の世界と比較的近い世界でもある』
「・・・・・・私のもとの世界ではない、と」
『恋しいかね、もとの世界が?』

 試すような、或いは嘲笑するかのような問いかけに、七道は即答する。

「いえ、親しい人間もいませんでしたし、両親とも不仲だった私にとってはかの世界に未練はありません」
『・・・・・・ならば、この世界をゲーム盤にしても、良心の呵責とやらに囚われることはないな』
「ゲーム盤ですか」
『そうだ。以前、言ったように愚か者共の負の遺産、いや【獣】が、この世界を襲うことになる。それがこの世界で一年後だ』
「規模は?」
『この星のほぼ全域が戦場となるだろうな。そしてこの星の者達では、独力では連中には勝てまい。被害も甚大なものになろう』
「・・・・・・私は、何をすれば良いのでしょうか? 貴方方の使者として、星を救い、貴方方の御威光をこの世界に示せと?」
『そのようなつまらないことは考えていない。貴様は地面に転がる羽虫から尊敬されたい、信仰されたいと思うか?』

 七道はヒトをヒトとも思わぬ物言いに、鼻白みそうになるが、それを抑える。

「いえ、詰まらぬ質問をして申し訳ございませんでした」 
『羽虫が【多少】死ぬのは構わぬが、無駄に世界を破壊されるのも我らにとっては益にならん』
(要するに益があったら世界を破壊する、と。思い上がりも・・・・・・いや利害損得を考えているだけ、まだマシか。面白半分に世界をぶち壊す神よりはマシだ。
 ワンピのような頭天竜人みたいな上位者でないだけ、マシと思おう)

 自分にそう言い聞かせて、七道は頭を垂れ続ける。

「では、私はこの星を極力破壊しないように手加減して戦えと? やる前から不可能と言いたくはありませんが」
『貴様と【獣】が戦い、その結果、世界が焦土となるのあれば仕方の無いことだろう。貴様を罰する程のことでもない』
「高く評価していただいているようで・・・・・・」
『全力で戦え。ああ、ただあの【獣】どもは、愚か者共の悪知恵が残っているようで、それなりに手強いだろう。故に貴様には猶予を与える』
「それが一年、と?」
『現地時間で、だ。貴様の本拠の世界では約8年の時間を与えてやる』
「・・・・・・8年ですか」
『8年経過した貴様がいる世界と、1年経ったこの世界を我がつなげる。貴様が【獣】と戦う為に、だ』
(俺たちと【獣】が戦い、人類が滅んでも仕方ないと思っているのか・・・・・・或いは、別の何かがあるのか。いずれにせよ・・・・・・)

 現在整備している軍備計画を向こうも把握している以上、そうそう隔絶した相手と戦うことにはならない筈・・・・・・と思い直す。

(あと8年で用意できる分・・・・・・本土防衛計画は重要地帯以外はベルカ式にしてリソースを節約して・・・・・・AIの成長速度ももう少し・・・・・・)

 脳裏で様々な施策をシミュレーションし・・・・・・七道は決断する。

「準備期間については承りました。ただ詳細な情報を」
『判っている。すぐに送ろう』
「ありがとうございます」
『期待している』

356:earth:2024/08/31(土) 02:03:40 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
次回以降、漸くドンパチ開始・・・・・・。
とりあえず今から8年近くは準備期間貰えるので、それなりの戦備はそろう予定。
(尚、それでも多分スパロボ主人公チームと戦ったら負けそう)

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最終更新:2026年01月09日 21:54