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405:earth:2024/09/08(日) 01:27:24 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


 転生者、令和の地で斯く戦えり  第7話


 かつて地球連邦軍が建造した【ゼネラル・レビル】を参考にして建造された機動戦艦【扶桑】を中心とした40隻の戦闘艦艇。
 これに輸送船、工作艦、他にも現地で人道支援が必要になった場合に備えて準備させた病院船など様々な艦種を合わせて24隻。
さらに転移後に基地を建設するための資材を満載した大量のコンテナが浮かんでいる。
 オリジナルに倣い、比較的コンパクトに作られた【扶桑】のブリッジでは、見た目が変わらず17歳程度の七道が、硬い表情のまま艦隊の
様子をモニター越しに見ていた。

「・・・・・・さて8年で何とか整えた艦隊でどれだけ出来るか」

 (戦闘艦の)数だけなら、かつて一年戦争開戦前の連邦宇宙軍1個艦隊に匹敵するものの、地球全土で戦うには数が少なすぎた。
 地球を占領するつもりなどさらさら無いし、地上諸国を守るために軍を貼り付ける予定もないが、広大な地球圏全域で戦うには物足りない。
 少数精鋭と謳うことも出来なくはないが、これから戦う相手を考えると「大軍を用意できなかった人間の戯言」と言われても仕方の無いもので
あると七道は思っていた。
 蓬莱機関の代表である七道が硬い顔をしたままなのに対し、彼の右横に座っている褐色肌で赤髪の野性味あふれた青年は、笑い飛ばすように言う。

「辛気くさい顔をしないでくださいよ。アクシズに匹敵する軍だし、戦闘艦の数だけみれば、ザフト軍の1/3以上。8年程度の準備期間で、貴方は
できる限りのことをやったんだ。あとは俺の仕事だ」
「実際の指揮を担うテンマに、そう言って貰えると助かるよ」
「ははは。任せてくれ」

 テンマと呼ばれた人造人間は、学生服と見間違えそうな緑のブレザーを着る七道と異なり、旧帝国海軍の第一種軍装を模した制服を着こなしている。
 彼こそは今回の派遣で現場指揮を担うために、七道によって新たに創造された人造人間である。
 実年齢的には4歳程度になるのだが、仮想世界での徹底的な訓練と、4年間の現実空間での学習で十分な能力を確保していると七道は判断していた。

(楽観的な性格になったが、いや、気落ちしない指揮官のほうがまだマシか)

 七道はそう思い直し、テンマに再び顔を向ける。

「とりあえず計画通り、最初は無茶な攻めは回避してくれ。月の裏側、あと出来ればラグランジュ1に足場を確保したい」
「承知。しかし、量産型ヒュッケバインの【紫電】、ヒュッケバインMk-Ⅱの【紫電改】、ラムダドライバ搭載仕様・ビルトシュバインの【雷電】。こちらだけでも
かなり戦えると自負してるが」
「現地人類の救済はオーダーではない。むしろ、ヒュッケバインMk-Ⅲこと【彩電】が仕上がるまでは出したくない程だ」

 ブラックホールエンジンを搭載した本命である【彩電】の完成まで待ちたかったが、もはやそは言っていられない。

「【対消滅機関】レベルまでブラックホールエンジンは安定化させられなかった。保険かつ開発が後発の【対消滅】のほうが仕上がったのは行幸だったが」

 これまでの七道の人生経験から、ブラックホールエンジンよりも【対消滅機関】のほうがまだ難易度が低かった。

(うん、雑に倒された世界の経験が生きるとは思ってもいなかった・・・・・・あの学生諸君、元気かな?)

 七道は過去に自分を社会的に抹殺した子供達を思い浮かべて一瞬遠い目をするが、すぐに切り替えた。

406:earth:2024/09/08(日) 01:27:57 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

「何とか間に合った【対消滅機関】だが、派遣艦隊でこいつを搭載した艦艇は、【扶桑】と巡洋戦艦【富士】(モデルはバーミンガム)、それに
三笠級強襲機動特装艦(モデルはアークエンジェル)とかなり限定されている。他の艦も重力障壁(グラビティ・ウォール)は搭載しているが、防御力では劣る」
「それも承知していますよ。取り扱いに注意を要することも」

 心配性ですな、とテンマは笑った後、急に真剣な顔をする。

「・・・・・・やはり【御使い】の情報には問題が?」
「嘘は言っていないだろう。ただ全ての情報を提供しているかと言えば・・・・・・断言できない」
「やれやれ【嘘は言っていない】という奴ですか。前の世界でも、たちが悪いマスゴミがよく使っていましたようですが」
「聞いての通り、【獣】共の戦力、決して侮れるものではない。低軌道での戦いはまず避けられないし、連中が対応力を向上させれば月まで攻めてくることも
あり得るだろう。奴らにそれが可能なユニットがどれだけあるという問題もあるが」

 令和世界に出現している【獣】たちの情報を思い浮かべて七道は顔をしかめる。

「かなりの犠牲が出ているようですが、本当によろしいので?」

 テンマの台詞だけ見れば犠牲者を悼み、「救援に赴かないのか?」と尋ねているようにも聞こえるが、彼にそんな意図はない。
 そしてそのことを七道も承知している。 

「兵站確保が最優先だ。全力で戦うにしても足場作りを優先することについては何も言われていない。多少なりとも、威力偵察をする必要はあるが」
「三笠級1、天城級(モデルはラー・カイラム)1、最上級(モデルはクラップ級)3の打撃部隊で一当て。現地はさぞ、面白くなりそうで」
「基本的に、現地民は後ろからこちらを撃ってこなければ良い。必要なら【人道支援】もするが」

 現地への介入にあまり積極的ではない様子に、改めてテンマは自分の創造主の【思い】を察する。

「承知しました。それにしても、【転生者】の後始末とは・・・・・・」
「全くだ。与えられたチートで、世界を救うよりもハーレム作りに色気を出して失敗した挙げ句に、他世界に迷惑を掛ける・・・・・・あの御使いを名乗る連中が
蔑みの視線をヒトに向けるのも、少しは理解できるよ」

 七道は呆れとも、怒りとも言えない表情の顔をする。

「他人の尻拭いというのは気に食いませんが、それが無ければ私は生まれてこなかった。私個人としては感謝しないといけませんかね?」
「笑えない冗談だが、まぁそのくらいの軽口が言えるなら問題ない」
「勝利の栄光を、我らの創造主たる貴方に」

 色気のある敬礼をするテンマを見て、七道は耐えきれず笑った。

「期待しているよ」

407:earth:2024/09/08(日) 01:30:49 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
というわけで漸く出撃です。改訂前よりは準備は省きましたが。
次回で現地戦かな・・・・・・。

しかしクロス系とか現実来訪系は難しい。

408:earth:2024/09/08(日) 01:33:38 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
しかし紫電→紫電改→彩電の流れ、この元ネタ判るヒトいるかな。

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最終更新:2026年01月09日 21:56