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転生者、令和の地で斯く戦えり 第7.6話
九州某県にある剣道教室。
そこで防具を纏った二人の男が、激しい打ち合いを繰り広げていた。
素人では追うことが出来ない竹刀の動き、巧みな足さばきに、ギャラリーは目を奪われていた。
「寺師さん、さすがだな」
「いや我藤さんも凄い。あの人、確か高校1年だったけ。手加減してくれているとは言え、30代の現役警官の寺師さんとやり合えるとか」
「強豪校出身なだけあるな。それに古風な侍を思わせる渋い男。学校ではモテるだろうな」
そうこう言っている間に、寺師の勝利で試合は終わった。
寺師、我藤と呼ばれた二人は稽古を終えると、着替えた後に近くの喫茶店の奥側の座席で【思い出話】に興じていた。
「ふむ、相変わらず鍛錬は怠っていないようだな、我藤。いやガトーよ」
そう言い放ったのは角刈りの厳つい、そして30代とは思えぬ威厳を漂わせる寺師と呼ばれる男。
机を挟み、彼の対面に座る黒髪長髪を総髪にしている高校生は苦い顔をする。
「はい。ただかつて程の力は、まだ取り戻せていません」
「貴公はまだ若い。そう焦ることはない」
「しかし、こうも非力では・・・・・・」
「貴公も苦しんできたのだ。焦るのも判る」
「閣下も?」
「ああ。私も長い輪廻転生とやらで色々と経験した。連邦の圧政など生ぬるい世界もあった」
「・・・・・・」
「尤も一番辛かったのはこの世界だったがな。ジオン独立戦争が、戦士達の輝きが、創作扱いだったというのだから」
寺師征義、かつてエギーユ・デラーズと呼ばれた男は遠い目をする。
「だが冷静に、あの戦争を見ることも出来た。ギレン閣下は連邦に勝つのではなく、増えすぎた人口を減らすことを第一としようとしたのだな・・・・・・
独立を勝ち取る、或いはスペースノイド有利の世界を作ることは戦争をせずとも出来たのだ。その道をとらず、あえて戦争をしかけた・・・・・・そして閣下の
優秀な頭脳があれば回避できたであろう泥沼の戦争を拡大させた。
閣下にとってジオンは増えすぎた人間を間引くための道具に過ぎなかった。我らもすり潰しても構わない存在だったのだろう」
そこにはさみしそうな笑みが浮かんでいた。
「しかし、あの状況では人類に未来はありませんでした。連邦は腐敗し、遠からず増えすぎた人口を支えきれず、自重で潰れたでしょう」
我藤は異を唱えたが、かつてのような気迫は無い。
この世界で、幾つか前の生にて宇宙世紀の果てが人が人を喰らう修羅の世の到来、そして最期は黒歴史として埋葬される世界となるのを知ったが故に。
我藤碧人、かつてアナベル・ガトーと呼ばれた男は辛そうにまぶたを閉じる。
「・・・・・・」
自分達がやってきたことは何だったのか。ただの物語を盛り上げるための無駄な足掻きでしかなかったのか・・・・・・そんな思いに男達はやるせない
思いであった。これはアムロ達も感じたことであったが。
そんな我藤を前に寺師は再び口を開く。
「確かに我々のやったことは世界のいく末に影響を与えられなかった、いやあのティターンズ結成を招き、更なる戦乱を呼び寄せた。この世界で批判されたように
大義に酔っていたとの誹りを受けても仕方の無いこともかも知れん。実際、我らはその廉で死後に辛い人生を送ることとになった」
「・・・・・・」
「ただ我らが、いや我ら以外にも同胞が、ジオン軍人がこの世界に、元の世界の記憶を残したまま流れついた。それは何かしらの意味があると思っている」
寺師の言うとおり、彼らがいる喫茶店のオーナーもかつてジオン軍人として戦った記憶を持つ者であった。
「意味、ですか」
「我らがここに集まるのも、何かしらの意味があるはずだ」
この言葉に我藤は納得したかのような笑みを浮かべる。
「たしかに。我らのような存在が複数あることなど、今までの生でなかったこと。ならば、何かがあるのは必然」
「修練を怠るな、我藤。この世界で我らを必要とすることが起きる可能性がある」
優れた戦術家としての才覚を受け継ぐ寺師が、有事を確信しているという事実に我藤は武者震いを覚えた。
「・・・・・・閣下はジオンの再興を?」
「この世界でジオニズムは必要とされまい。ギレン閣下も、他の者達もそのようなことを望まないだろう。我らは、今の我らが守るべき者を守るために戦うのだ」
526:earth:2024/09/21(土) 23:54:35 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
綺麗なデラーズとガトーの登場です。
ジオン系がジオニズムから解放されると違和感があるかな・・・・・・
しかしこのネタSSは誰向けの話になるのか、少し悩む。
最終更新:2026年01月09日 22:03