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614:earth:2024/09/27(金) 00:07:01 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

 転生者、令和の地で斯く戦えり  第9話


 核攻撃に失敗したのはアメリカだけではなかった。
 攻撃に参加していた核保有国の中にははしびれを切らして核攻撃というオプションをとった国もいた(例:中共)のだが・・・・・・核弾頭は悉くが不発となり、更に
核攻撃を行った直後に全世界規模で原子炉が原因不明の機能停止に追い込まれることになったのだ。
 民間用も軍用も根こそぎ強制的に停止に追い込まれ、原子力発電が生み出すエネルギーを頼りにしていた国ほど打撃を被った。
 更に世界の安全保障を担っていた核ミサイル、戦略原子力潜水艦も次々に機能停止に追い込まれ、アメリカの威信を担っていた原子力空母もただのガラクタに
成り果てた。
 もはや目の前の脅威に対し、人類の武力では抗えないのは明白だった。

「ほぼチェックメイト、か」

 人類が低軌道を失ったのと前後して月面の裏側に進出を果たした七道は、艦隊旗艦・扶桑の艦内に設置された作戦室で溜息交じりにそう呟いた。
 彼が立っている作戦室の床はスクリーンの機能も持っており、そこには地上の戦況が映し出されていた。

「全ての戦線はほぼ総崩れ。後方は物流と通信が麻痺状態で急速に瓦解している、か」

 蓬莱艦隊はミラージュコロイドを纏ったステルス性が高い無人偵察機を放ち、地上の情報収集に努めている。
 尤も彼らが得られたデータは全てが人類に対して絶望的な状況を示しており、自力で逆転できる見込みはないと断言できた。

「最悪の想定に近いが、一応は想定の範囲内。予定通り、威力偵察のための第21任務部隊を送る準備を進めよう」

 テンマの意見に対し、七道は肩をすくめる。

「任せるよ。やれやれ、楽な仕事にはならないか」

 「ああ、嫌だ嫌だ。部屋でゴロゴロしておきたい」と呟く創造主をテンマは慰める。

「相手の手札を多少なりとも確認できているなら、まだマシな仕事だと思った方が・・・・・・」
「戦いは可能な限り楽なことに越したことはないよ。生憎、こちらは強い奴と真っ向から戦いたがるサイヤ人、戦闘狂ではないよ。いや、ただ我らが楽をすることを、
彼らが許容するか、という問題があるか。所詮、どう転んでも、我らはゲーム盤の駒か、カードか」

 ややマイナス思考に傾きつつあった創造主を見ていたテンマは、これ以上自分達のトップが後ろ向きになるのを阻止しようと宥めた。

「いけ好かないものの、時間と空間を操るような連中のゲーム盤で自由意志を持って振る舞える。今を乗り越えれば更に力をつけることも可能と思えば・・・・・・」
「気楽なことを言ってくれる」
「しかし、今地上で一方的に狩られている連中よりはまだマシな位置に居るだろう?」

 七道はジト目で見るが、「そう作ったのも私だったな」と気分を切り替えた。
 そんな創造主を見ていたテンマは話を続ける。

「御使いたちが流した通り、奴らの【ベース】は【ネウロイ】のようで間違いないということは」
「下心で原作の流れをぶち壊した挙げ句に、他の同類がマブラヴ世界でやらかして、BETAを平行世界に進出させる切っ掛けを与え・・・・・・
 挙げ句に人類がネウロイに押されていた状況で両者が悪魔合体、いやネウロイがG元素と平行世界の情報を取得とか、どんな運命の悪戯なのやら」
「御使いの助力があったとはいえ、あの化け物共を駆逐できるあたり、宮藤芳佳が本物の【英雄】と御使いたちでさえ評価するのも判る」

 御使いたちは苦境に立った宮藤を陰に日向に支援し、更にネウロイの分断も煽ることで異形の化け物共をその世界から完全に駆逐した。
 勿論、その支援は世界のバランスを崩さない程度に行われたものだったが、彼らの支援を受けた宮藤の獅子奮戦ぶりは人間の【英雄】という枠には
おさまらない、もはや神話上の英雄そのものであった。

615:earth:2024/09/27(金) 00:07:33 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


「あれなら【戦女神】と連中が言うのも納得するよ・・・・・・まぁあれでもまだ淫獣の要素が残っている当たり、英雄色を好むというのは的を得た格言だったんだな」

 軽口を叩きつつも、七道の瞳には、羨望の感情があった。
 自分が決してなれなかった、そしてこれからも至れないであろう【光】の存在。それに対する羨望の感情は確かに存在した。

(ああ、本当の英雄というのはこうも眩しいものだったな。かつて俺を倒した者達にも、あのような人間が居た・・・・・・ああ、本当に・・・・・・)

 過去の思い出に浸りそうになり、七道は慌ててそんな考えを振り払う。

「兎にも角にも、現状、あの連中の目は月やラグランジュ1にまでは及んでいない。奴らを地上で足止めして、切り札の完成まで時間を稼ぐ。これで今のところは
問題は無いだろう。まぁ地上の被害は酷いことになりそうだが、無理に攻めて大損害を被ったり、無理に人類を支えようとして共倒れよりは良い」

 戦線が拡大しないという前提があっても、今の状況が続けば一ヶ月で億単位の死人が出る予想もある。
 そして彼らは戦線が拡大しない訳がないと思っていた。

「・・・・・・世界最強の超大国があそこまでグラついてなければ、もっと色々と考えたが」

 かつては世界最強と言われた合衆国だったが、対外貿易(海路、空路)の麻痺、通信インフラの麻痺、更に原子力発電所の機能停止によるエネルギー不足に
よって困窮した人々は、いつまでも経っても良くならない状況にしびれを切らして暴動を起こしていた。
 州軍、連邦軍、警察が動いていたが、通信が潰された影響でその動きは精彩に欠いていた。加えて北部及び東部沿岸地域はカナダに現れた巣から続々と
吐き出される無数の航空戦力の空爆に晒されるようになり、無法地帯化が進んでいた。

「昔ならUSA! USA!といって団結してくれていたのかも知れないが。いや、NJとミノ粉を大々的に併用してくればこうなるか。全く奴らはどこまで節操なく技術を
取り込んでいるのやら・・・・・・これだけやって連中はG元素関連を伏せ札としているとなると、やはり現人類では連中の相手は荷が重いか」
「異世界舐めんな、地球人!とはこのこと、と」
「片や、この地球の人類は異世界の地球人並には団結できないと来た。全く」

 彼らはまだ知らなかったが、愛国者とも評すべき者達も存在しており、彼らは国家の団結と徹底抗戦を呼びかけていた。
 しかし残念ながら、彼らの訴えは現状を覆すほどの力を持っていなかった。
 むしろ社会の分断や溜め込まれていた不満がこの危機において一気に爆発し、悪い方向に転がり始めている。

「フランスは原発強制停止でガタガタ。ドイツも巻き添えでEUは滅茶苦茶だ。欧州各地で難民、不法移民が暴れ始めて手がつけられない。中共も中央の統制が
失われつつあり、戦う前に空中分解しそうな勢い・・・・・・比較的まだマシなのが我らのかつての祖国だが」

 日本も、近年急速に増えた外国人の暴動が発生しており、これにより炎上した街もあるが、それでも被害は抑えられている方と言えた。
 ただ、あらゆる貿易が停止した以上、日本が飢餓に襲われるのは確定しているが・・・・・・。

(・・・・・・この状況でもお花畑がいるんだろうな)

 悪い意味での信用であった。
 しかしこの極限状態でもまだ【何とか】国家機能を維持していることは評価すべき点でもあった。

(シベリアと中央アジアを跋扈するキメラ共が海を越えてなだれ込めば、呆気なく崩れるだろうが・・・・・・お手並み拝見、か? いや、一撃で崩れる公算が大だ。
・・・・・・テコ入れ? メリットはあるか?・・・・・・或いは宮藤のような存在が居ればテコ入れするメリットはあるかも知れないが、そんなことがあるか?)

 テンマが怪訝な顔をするが、七道は考え続ける。

(日本のフィクションに現れる敵が【敵】であるなら、日本の中からそれを倒す存在が現れても不思議ではない? いやそれはあまりにもご都合主義のようにも・・・・・・
 しかしいくら日本人でも、ここまで治安が維持できるか? もっとド派手にパニックになってもおかしくないと思うが)

 しばしの沈黙の後、七道はテンマに尋ねる。

「日本と接触する意味があると思うか?」

616:earth:2024/09/27(金) 00:10:24 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
なぜかストレスがのしかかると書いてしまう・・・・・・
主人公、メタ的な視点で日本との接触を検討開始。

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最終更新:2026年01月09日 22:09