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676:earth:2024/09/29(日) 20:22:27 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

 転生者、令和の地で斯く戦えり 第10話


 開戦から2週間が経った4月15日。
 黒災の破竹の進撃によってアメリカ東部の主要都市は灰燼と帰した。
 完全に黒災の支配下となった首都ワシントン、ニューヨーク、フィラデルフィアなどは、巨大円柱が鎮座。周辺地域には人間には有毒な瘴気が満ち、人間の
生存には適さない土地に変貌した。
 これにより大量の難民が発生し、まだ政府機関が生きている州に避難民が流れ込んだが、着の身着のままで流れ着いた避難民を支える力はもはや誰も
持ち合わせていなかった。
 加えてメキシコ・コアツァコアルコスに現れた巣からの攻撃も苛烈さを増しており、メキシコ政府は崩壊してメキシコは無政府状態に陥っている。アメリカ南部、
西部諸州も、もはや安全とは言えなくなっていた。

「西部には避難民を受け入れる余裕はない!」

 以前、不法移民の保護を掲げていた某州知事はそう主張し、自州の防衛、再建を優先する動きさえ見せていた。
 連邦政府の無力ぶりが明らかになり、その求心力は大幅に低下。この緊急事態において国家分裂の危機に陥りつつあった。
 アメリカの同盟国だった西欧諸国(NATO各国)はより悲惨であり、フランス・リヨンの巣からの大攻勢でフランスは全土が陥落。オランダ、ベルギー、ドイツ等も
主要都市や重要なインフラが執拗な攻撃に晒され、国家機能はほぼ麻痺状態だった。
 ブルガリア・ブダペストに出現した巣から現れた軍勢はブルガリア全土を占領。更にウィーンも陥落させるが、この軍勢の主な攻勢先は東方だった。この攻勢で
周辺国からの支援を絶たれた上に、ロシアとの戦争で西部を守るだけの戦力がないウクライナは蹂躙されるしか道はなかった。
 本来なら大攻勢に出たいロシアも核と無線通信を封じられ、自国内のブラゴエスチェンスク、中共・カシュガルに出現した巣から現れる軍勢への対応もあって
ウクライナで大規模な攻勢に出る余力は無かった。
 イラン・マシュハドの巣から出現した黒い軍勢は、テヘランを焼き払い、中東各地への攻勢を開始。NJに加え、ミノ粉でハイテク機器にダメージを与える
やり方で人間の抵抗力を大幅に減じつつ、瘴気をまき散らして人間の生存不可の領域を作り出し、支配領域を拡大した。
 オーストラリア・ポートヘッドランドに現れた巣は、豪州のみならず、インドネシアにも(散発的ではあるが)攻撃を開始。これにより混乱は東南アジアにも拡大した。
 そんな中、いよいよ蓬莱機関は地上への艦隊降下を開始しようとしている。
 月の裏側からラグランジュ1にまで進出した艦隊旗艦・扶桑の作戦室では一連の様子が床のスクリーン、壁に埋め込まれたモニターに映し出されていた。  

『低軌道上に敵影無し』
『TF12(第12任務部隊)、TF21(第21任務部隊)は低軌道へ進入』
『TF12、TF21、ミラージュコロイド解除』
『TF12はTF21周辺に展開。防御陣形へ』
『ダミーバルーン射出開始』

 七道はAIの音声に耳を傾けつつ、固唾を呑んで見守る。

「TF12がレーザー照射を受けています」

 東南アジア諸国を攻撃するため、南シナ海・高度12000mを飛行していた重爆撃機タイプ(呼称:重爆級)が、突入を図る艦隊を探知。進路と高度を変更の上、
原子力空母さえ一撃で焼き切る出力を持つレーザーの精密射撃を仕掛けてきたのだ。

677:earth:2024/09/29(日) 20:23:00 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

 ダミーが破裂していく中、TF12の中でも一際巨大な巡洋戦艦・富士にもレーザーが照射された。
 現行人類の宇宙船なら容易く蒸発させられる出力の直撃を受けたが、グラビティー・ウォールを展開した富士は小揺るぎもしない。

「戦艦が、人類種の叡智の結晶が、容易く沈むと思うなよ、BETAとネウロイのキメラ共が」

 反撃として、艦底部に設置された単装の重力衝撃砲が重爆タイプに向けられる。

『富士、重力衝撃砲を発射』

 放たれた高重力結界は、重爆タイプのシールドを障子紙のように突き破り、その胴体中央部に命中。
 強大な重力結界の直撃を受けた箇所を中心に、重爆はみるみる崩壊していく。

『重爆級消滅を確認』
「・・・・・・コアごと潰せたか。この調子なら、天城級に載せた浸食魚雷(の模造品)も【当たれば】有効のようだ」

 七道の言葉にテンマは頷く。

「三笠級の陽電子砲(汚染度が低い改良型)も有効でしょうが、多用すると人類が五月蠅いでしょうからな・・・・・・」

 汚染度が低いというのは汚染がないという訳ではない。
 人類を無視すれば問題は無いのだろうが、宮藤のような英雄が突然沸いて出てくる(或いは御使いがそう仕向ける)可能性も否定できないため、それなりに慎重に
立ち振る舞うことにしたのだ。
 彼らが見つめる中、富士を中心とした12隻の戦闘艦艇で構成されるTF12の護衛を受けつつ、5隻のTF21が、強襲機動特装艦・三笠を先陣に大気圏に突入していく。

「TF21はそのまま沖ノ鳥島の近海に降下後、警戒態勢をとれ」

 当初は、小笠原に降下して接触することも検討していた。
 しかしただでさえ、人類にとって【謎の敵】による侵略を受けている状況で、更に正体不明の勢力が接触した際に不幸な事故が起きないとは限らないとの懸念があった。
 紆余曲折の末、下手に混乱を起こして死人を徒に増やすのは得策ではないとして、まずは人目がない場所に降下させたのだ。

「あとは穏便に接触できれば良いが・・・・・・」

 一方、【黒災】と呼ばれた者達は自らの大型ユニットが一撃で破砕されたことを探知していた。
 この世界の文明レベルとは思えない武力と技術の持ち主が現れたと判断。太平洋に降下した存在を撃滅すべく動き出す。
 カシュガルから進軍していた黒い軍勢は、その凶暴さを増し、中共軍の抵抗を逃げ遅れた民間人もろとも粉砕しつつ、猛烈な勢いで東進していくことになる。

678:earth:2024/09/29(日) 20:25:30 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
大艦巨砲主義万歳とまではいきませんが・・・・・・
ヤマトは地上からガミラスの円盤空母を粉砕しましたが、ここでは宙から狙い撃ちで撃破。

次回は東シナ海での激闘かな・・・・・・。
人型兵器が空を飛び、まともな軍人達のSAN値が激減する時。

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最終更新:2026年01月09日 22:13