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769:earth:2024/10/05(土) 22:20:39 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


 転生者、令和の地で斯く戦えり 第11話


 アークエンジェルをモデルにして建造された三笠級の1番艦【三笠】、ラー・カイラムをモデルにして建造された天城級重航空巡洋艦の2番艦【赤城】、
クラップ級をモデルにした最上級航空巡洋艦3隻【最上】、【三隈】、【鈴谷】で構成されたTF21は無事に沖ノ鳥島の南方海域(日本の排他的経済水域外)に
降下した。
 無事に降下したTF21は直ちに直掩機として紫電(量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ)を4個小隊、合計12機発進させ、更に偵察機(コア・ブースター改造)を
出して情報収集を集めた。
 人型兵器が空を飛ぶという、4月1日以前であれば「アニメの見過ぎだ」と言われそうな光景がこの海域では広がっている(そもそも原子力空母を超える
巨大な船が空を飛んでいること自体が非現実的なのだが)。
 艦隊旗艦【赤城】の戦闘ブリッジでは、 士官用の帝国海軍第一種軍装に似た制服を纏った女性型人造人間が現状を確認していた。
 自身の電脳と艦隊旗艦・赤城の機能を司るAIとリンクさせている彼女は、指揮官席に座ったまま、TF21全部隊からの情報、更にTF12から分派されて
静止軌道上に残っていた部隊(マゼラン級をモデルにした重巡・金剛を旗艦とした4隻)から寄せられる情報をごく短時間で収集、分析し、周囲の状況を
つぶさに把握していく。
 黒髪ショートの持ち主で、とろんとした垂れ目とぷっくりとした唇を持つ若き美女は、指一本動かすことなく、ブリッジに居る他の2体の人造人間に何か
言うことなく情報を精査し終えると、やや困ったような顔を浮かべた。

「・・・・・・」

 TF21指揮官・【カレン】。
 指揮ユニットであるが、温和な穏やかな美女の外見(体形も均整が取れたモデル並)を与えられたのは、ひとえに今後、日本などの地上人類と接触する際に
少しでも相手側の警戒と緊張を和らげるためであったのだが・・・・・・

「う~ん、これは」

 世界規模で通信妨害を受けて情報ネットワークが死んだも同然の状況になったが、二週間が経ち、そこそこ海外の情報が日本国内で知られるようになると、
外国人のみならず、日本人の間でもパニックが広がっていた。
 金融、食糧危機が取り沙汰され、突如として発生した大混乱に対し、日本の現政権は有効な対策を打ち出せていない。
 官僚達も突然、国がまるごと異世界転移したかのような状況の激変に対応しきれない。
 マスゴミはTVが使えないが、新聞が刷れるため、すく勝手に書き立ててやりたい放題。
 そんな中、在日米軍には一兵でも多くの兵、一発でも多くの銃弾を欲する本国から帰国が命じられており、在日米軍は場所をとるだけの置物となった原子力
空母を横須賀ドックに置き去りにし、準備が終わった部隊から順次、合衆国本土に向けて出発している。
 日本政府は極東に現れた黒災の拠点・雲城への備えのため、在日米軍を引き留めようとしたが、アメリカ政府は「本国陥落危機なのだ」と言って聞く耳も
持たなかった(極東に残っている在留邦人保護のために最低限の部隊は残すことになっていたが)。

770:earth:2024/10/05(土) 22:21:10 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

 このように米軍が急速に手を引きつつある中でも、日本が存続できているのはロシアも中国も日本を侵略するどころではないからだ。
 ロシアはハンガリー・ブダペストと自国内のブラゴエスチェンスクに現れた黒災による侵略への対応でそれどころではなく、中国はカシュガル、そしてロシアの
ブラゴエスチェンスクから吐き出される黒い軍勢により、北と西から挟撃されて一人でも味方が欲しい状況だった。

(まぁ想定通りといえば想定通りと言えるけど・・・・・・本格的に関わるとなると、傍観は難しいかも知れないわね)

 国際金融市場は崩壊し、グローバルサプライチェーンは物理的に破壊され、海外から資源(鉱物資源、食糧資源)も、製品(技術、コスト問題で国内で作れない)を
手に入れられないため、蓬莱機関が傍観した場合、1年程度で国家が破綻する可能性が極めて高いと彼女は判断していた。
 或いは蓬莱機関がなりふり構わず、本部防衛すら放り投げて、捨て身で文字通りの総力を注ぎ込めば、これ以上、人類に犠牲を出さずに短期決戦に持ち込める
・・・・・・かも知れない。
 尤もそんな選択肢を七道は持たなかったし、彼女も賛同する気はさらさら無い。
 彼らは正義の実現のために、この世界に来たのではない。あくまで(いきなりの)本土決戦を避けるために、他人の土地をバトルフィールドにしているに過ぎない。
 しかし露骨にソレを出すのも憚れる。
 本当に英雄級が出てきた際に、自分達を敵視するようなことがあると大損になるのだ。

「どんな交渉をするにせよ、こちらの実力と立ち位置(人類の敵ではないこと)をはっきり判らせてからのほうがスムーズに運ぶだろうから・・・・・・先に目に付く場所で
少し暴れるとしましょうか。大気圏内での戦闘経験も積んでおきたいし、適当な規模となると・・・・・・東シナ海?」

 中国軍は何とか反撃を試みていたが、Nジャマーで核を無力化され、レーダーと無線通信が妨害され、更にミノフスキー粒子の大規模散布で電子機器にダメージを
受ける有り様なので、莫大な費用を掛けて整備したハイテク兵器はその効果を発揮できず、良いようにやられていた。それどころか軍と政府の情報ネットワークすら
崩壊しつつあり、統制すら困難になりつつあった。こんな状況で黒災は三峡ダムにも迫っており、ダムが破壊されるのも時間の問題と彼女は判断している。
 あの巨大なダムが破壊された場合、下流の産業地帯は押し寄せる濁流とゴミで壊滅するのは避けられず、そうなれば中国の国家の屋台骨は文字通りへし折られる。
そして現地の邪魔者を排除し終われば、あの化け物共が海に出てくるのは確実だった。

「妨害してきそうな中共軍はあのキメラ共が潰すだろうし、上海沖ぐらいなら、丁度良いか。いきなり敵の主力が大挙して押し寄せることもないだろうし。
 あと少数でも現地の日本人を助けておけば、お人好しの日本との接触の口実にはなるでしょう」

771:earth:2024/10/05(土) 22:24:20 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
ノリと勢いで書いていたらTF21の指揮官と最新情勢の説明話な感じに・・・・・・次回で東シナ海海戦か。

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最終更新:2026年01月09日 22:33