坂陸奥

坂陸奥の部屋ー。駄文・・・・;;;
馬路で可笑しいから!笑わないでね??
下に行くほど新しいです。








『くだらない』





「おんしには女らしさの1つや2つ無いがかよ?」
「女らしさ!?そんなもん、とうの昔に全っ部捨てた!!」



普段なら清々しいと思える昼下がりも
こんな険悪なムードから始まれば気分も悪い。
コトの始まりはやはりアイツ。



***************


「陸奥~!起・き・て♥」
いつもイキナリ人の部屋に入ってきやがる図体のでかい男・・・。
「ん~・・・・。」
「むぅつ~?」
「・・・・・・」
「起きてくれんと犯・・・」
日頃、犯すという言葉に敏感な陸奥は飛び起きる。
「んあ~?何じゃ・・、辰馬かぁー・・・。」
そう言うと布団にもどってまたゴロリ。
「むっちゃぁ~ん?もう朝ぜよ~ぅ・・・・」
どうしてくれようかと悩んだあげく
やっぱりいつもの起こし方。
「むうううぅうううつぅぅぅうううううっっっ!!」
布団の上から辰馬が抱き付いた。
「!?」
このモジャっっっ!!
「何する!はなさんか、このモジャぁあ!!!」
「う~ん。じゃぁチューしてくれたら放す♥」
「バカ言いっっ!!とっとと、は・な・せっっっ!!!」
この後辰馬は当然のようにシゴかれたが
陸奥もやっと起きた。
「何の用じゃ。今日はわしは休みぜよ?」
乱れた、というか乱された髪を整え陸奥は問いかける。
「う~ん、今日はのぉー、陸奥と一緒におりたいんじゃぁ♥♥」
「ふーん。へぇー。そーですか。」
いっつもイヤという程いっしょに居るじゃろうが。
「ぅあー;; むっちゃん冷たいきー;;」
泣きそうな声で辰馬が言う。
「・・・・そもそも、何でいっつもわしなんじゃ。」
「・・・・・へ?」
「・・・・あの“おりょう”さんとかいう人に・・・いてもらえば良いじゃいか。」
「??」
「わしのことを何っとも思うとらんくせして・・・・!余計寂しゅうなるっっっっ!!!」
陸奥はすごい剣幕で部屋を出た。
「・・・・何ぞ怒らしてしもうたかのぉ・・・・。」





「くそっっっっっ!!!!!」
陸奥はあんなことをつい言ってしまった自分にも
その気持ちを全く察しない“ヤツ”にも腹が立っていた。
「野暮天め・・・・・・・・・。」
いっつも寝起きドッキリみてーなことしやがって・・・!
女遊びで金たっくさん使いやがって・・・!
いつも隙あらば抱き付いてきやがってぇええええ!!!



そう思うと自分はいつも“ヤツ”の傍にいたのか・・・と思えた。
それなら今日1日、ヤツの世話をしなかったら、どうなる?
きっとヤツは泣きながら自分を頼ってくる!!!!
有言実行!今日はもう知らん!勝手にしゃーがれコノヤロー!




この考えが後に最悪な結果になるとは・・・・・・・。







「陸奥ー;; さっきはすまんかったぜよー;;」
「知らん。何のことじゃ。」
「いや、何ぞ怒っておったきに・・・」
「いつものことじゃ。気にせんといてくれ。わしは寝る」
「あー!陸奥っっ!!!!」
「何じゃ、茶まりも」
冷ややかに聞く陸奥には憎悪の念が満ちているかのように見える。
「あぁ・・・・、なんちゃーない・・・です。」
びくついた様子を見て、ふんと笑う陸奥。
食堂を出て冷たい廊下を鋭い足音をたてて過ぎていく。
もう絶対殺す、あんのモジャ公・・・・・・。
何がすまんかっただ、そんなことひとっつも思うとらんろう。
そう思うと無性に腹が立つ。
「陸奥ぅぁあああああああああああああああああああああああああああああ」
一瞬背筋さえ凍った。幻聴・・・??
「陸奥ぅう!!!待っとおせぇえええええええええええええええええ」
幻・・・・幻聴・・・なワケないか・・・・・・・・・・・。
漫画でいうとドドドドドドってな具合にヤツが走ってくる・・・のが見えた。
陸奥の前に来るなりジャンピング土下座。
「すまん、陸奥ー!!わしゃ、おんしの気持ちに気付かんかったぁ;;」
は?馬路で?あの野暮天のまりもが??
「おんしゃぁ、わしが毎日おりょうちゃんのとこへ行くから妬いとんのじゃろう?」
「はぁ・・・???おま・・・、そんなことじゃと思うとる・・・・?」
「へ・・?」
「・・・・・・・・・・・・・妬いとる?そんなんずぅっと前からじゃちや!!!!!!!」
「え?」
まさか陸奥からそんな言葉が本当に出るとは思わない辰馬はきょとんとしている。
「ほんまに、分からんのかよ。・・・・・・最低じゃ」
呟くように言う陸奥の目には光るものが流れている。
「む・・・」
「よう分かった。」
気付けば全速力で走っていた。
何ぞ、負けたようで悔しい・・・・。
「何であんなにバカ正直なくせに恋愛には疎いんじゃろぅか。」
呟いた自分の声を聞いて、ますます馬鹿馬鹿しくなった。



甲板に出ると先程まで曇っていた空が見事晴れていた。
(今のわしの気持ちとは大違いじゃ・・・・)
このままココにいたら案外気持ちの曇りも晴れ・・・・・
「陸奥さぁあああああああん!!!!!!」
「ぅおおう!?」
気持ちの隙をつかれたようで久しぶりに変な声が出た。
「な、何じゃぁ、おんし!でかい声出すなと、さいさい言わしなや!」
「は、はぁ; スイマセン;」
「・・・それで?そんなに焦るゆうことは急ぎの用事なんじゃろぅ?」
「ああ、はい。取引先の会社の社長が失踪したそうで、取引をやめたいと・・・・」
「・・・はぁ?何を言うちょる!!!もう目当てのモノは運んじょるっちゅうに!!!」
「それを取り止めにしたい・・・・と・・・。」
「・・・社長は何で失踪したぜよ?」
「なんでも、阿片(アヘン・麻薬のこと)に手を出していたとか;;」
「阿片・・・・、・・・・・・・それじゃぁ、わしらも取り調べをうけるんじゃいか?」
「やっぱり?そうなんですか!?」
「阿呆!動揺しなや!万が一そうであろうが、わしらには一切関係ないきに!」
「はい・・・。ん?ということは・・・、今運んでる荷物も・・・・・・」
2人の顔色が真っ青になる。
「ざんじ、荷物庫をあけぇ!わしが調べる!!」
「は、はいっっ!」



ギィイイイイイイ
重たい鉄製の扉が開かれた
錆のこすれる匂いが不安をより一層深くする
「確か・・・・あ!ここですよ、陸奥さん!!!!」
「どれ。・・・・そういえば、ガラス製のモンじゃけぇ中身は見るなと言われとったな」
「ええ?そ、それアヤシいですよ・・・・。」
「うん・・・。じゃぁ1,2,3で開くぞ。」
「はい・・・。」
『1,2,3っっっ!』
予感的中。やはり阿片が敷き詰められていた。
ドォオオンンッッッッッ・・・・・・・・・・
「うぉ!何じゃ???」
《陸奥さん、聞こえますか?》
無線から声がする。
「お、おう。わしじゃ。今のは?」
《天人の戦艦が横に停まりました》
「何?何じゃ、春雨か??」
《はい。乗り込んで来てます。どうしましょう?》
「とにかく、モジャを安全なところへ。対応はわしが何とかする。」
《承知しました。一応は応援を向かわせています。では、お気を付けて。》
「ああ。」
ザァア~・・・・プツッ
「何だったんですか・・・・??」
「春雨が乗り込んできたらしい。行くぞ。」
「はい!」




「いいから、ここの責任者を出せって言ってんだよぉ!」
「こ、困ります;; あいにく、社長は出掛けてまして・・・・」
「ウソをつけ!このやろ・・・・・・」
殴りかかった手が止められた。
「何だぁ?お前。」
「わしが責任者じゃ。何の用じゃ。」
「うちの大事なモンがゴッソリ盗まれたんだよ!てめぇらが隠し持ってるんだろ?」
タコみたいな天人が余計口を尖らせて怒っている。
「ふー・・・、貴様らが探しているのはコレだろう?」
その辺の床に阿片をばらまいてみせた。
「てんめぇえ!ひ、拾えぇえ!」
タコが下っ端に命令をし、そそくさと自分も焦りながら拾う。この様が何とも可笑しい。
「存外。偉そうにしていた割にはその姿の方が似合ってるな」
とどめの一発。完全にあちらはキレている。
「お前・・・、さっきからほんと頭に来る・・・・・・・・・・・・」
「わしらも頭にきちゅう!これが済んだらしゃんしゃん帰れ!」
バンッッッッッッッ
「・・・・・・・・」
「ふん。今度からは口を慎むことだな、小娘」
頬が腫れて痛い。多分今、何とも言えん顔をしとるじゃろうな・・・。
帰る間際に平手打ちをお見舞いされた。めちゃくそ痛い。
(ちくと調子にのりすぎたかの)
そう思うと少し笑えてきた。いつもだったら腹が立ってタコ焼きにでもしてやるとこだが、
今日は何故かスッキリした。
「む、陸奥さん!!大丈夫ですか?くっそ、あのタコ・・・・・・・」
「大丈夫じゃ。なんちゃあない。」
「船医に見てもらった方が・・・・・・・・。凄く腫れてますよ・・・。」
「うん。」






治療室。
「こりゃぁ、ひどい。何ぞ突っかかりでもしたかよ?」
「ふん。そんなん毎日じゃろぅ?相手が悪かったんじゃろうな」
腫れて膨れた顔で無邪気に笑う陸奥。
「いっっつも無茶ばっかりしよる。じゃけぇ社長が子離れできんぜよ」
「わしはヤツの子じゃないわ。」
治療室。笑い声が響く。
「うん。もう大丈夫じゃろうな!氷の入った袋を渡すきに。布で巻いて冷やすぜよ?」
「はいはい、せんせい。」
「ほんっっに、可愛げのないのぉ」
船医が陸奥の頭を小突く。
「じゃぁ、せんせい。明日また来るぜよ。」
「うん。氷が無くなったらいつでも来とおせ」
治療室前の廊下。急に晴れた所為か蒸し暑い。
痛みも大体ひいた。けど、紅くなった頬が何とも痛々しい。
こんな顔。“ヤツ”に見られたらどーなること・・・・・・・
「陸奥ぅぅううううああああああああああああああああああああああ」
もーヤダ。漫画みてぇなタイミングで来やがって。
「陸奥っ!大丈夫か、頬!うぅ・・・、桜色の頬が紅う(あこう)なって林檎みたいで
美味しそうじゃぁああああああああああああああ(泣」
「おまんの頭は、トンカチで叩けば治るかの」
何故かソコにあったトンカチを振り上げてみせる陸奥。
「ふがぁ;; ゴゴゴゴメンナサイ・・・・・・。」
「ふん。」
少しの沈黙。
「・・・・・・何で、おんしは一人で無茶するがか?」
「え・・・・・・?」
「わしじゃとて、おんしを守るくらいの力はあるぜよ」
「守る・・・・か。わしの役目は何じゃ?おんしの身を守るのとおんしの
代わりをすることじゃろう?」
「ほんでも、考えてみるきに!おなごに守られる男の気持ちじゃ!」
「おまん、まだわしのことをおなごおなごと莫迦にする気か」
「・・・・・・・・・・」
「わしをおなごでなくしたのは・・・・・・おまんじゃろう!」
「ぇ?」
「もう、おなごの着物の着付け方も忘れた!甘え方も忘れた!
髪を結うのも器用にできん!」
「陸奥・・・・・・」
「わしはもう・・・・・・・・」
「・・・・・・・・かよ」
ぼそっっ。    は?何言いゆう?
「おんしには・・・・・・・・・女らしさの1つや2つ無いがかよ?」
おなごでないと言うのに、女らしさもクソもあるかぁっっ!!!!!!!!!!!
「女らしさ・・・・!?そんなもん、とうの昔に全っ部捨てた!!」
「・・・ああ、そうなが!よぉおおおおおっっく分かった!」
「こんっっっに野暮やとは知らんかった!もう顔も見とおない!」
二人して違う方向に行く。
「付いてきなや!?」
「誰がっ!」






『少し、意地を張ってしもうたかのぉ・・・・・・・・・』
2人そろえてこんなコトを言うも、
もはや誰に聞こえることもなく・・・・・・・・・






ぐぅうううううううううううううううううう・・・・・・・・・・・・・
凄い音。まさか腹の音で目が覚めるとは。
陸奥は少し顔を赤らめて腹をさする。
「うー・・・ん、今何時じゃぁ?」
8時36分。
「・・・・・・・・何時間寝たじゃろう・・・・・・・・」
多分朝の11時くらいに寝た・・・から
9時間?っってか、はやちっくとしたら・・・・・・・・10時間!???
「飯・・・・・・・・・食うてないぜよ・・・・・・・。」
今日は久々に地球に帰って来れたから・・・社長共々“すなっく すまいる”で
騒いじょる・・・・・・・・じゃろう。
兎に角腹が減った。
「食堂行こう・・・・・・・・・」
冷え切った廊下。静かすぎて切ない。
長い廊下。やっと食堂が見えた。
「灯り消えとるじゃいかぁー。食堂はずっと灯りつけとけって、さいさい言わしなやー」
一人でブツブツ言うと更に切ない。いつもならヤツがしつこうに付きまとうから
寂しいなんて思わないのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっって
イカンイカンイカンイカンっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!
なーにを考えちょるんじゃ、わしは!しっかりせえ!
「電気・・・・・、スイッチはどこにあるがかよー。」
壁に手をあて、手探りでスイッチを探す。が、どうしても見つからない。
「食堂のおんちゃんが・・・・、懐中電灯は食器棚の下言うとったな。」
仕方なく懐中電灯を探す。多分このまま壁を伝っていけば食器棚は真正面!
油断した所為か、何かにつまづいてこけた。
(そうか・・・・。段差があったんじゃったの。)
すぐに起きあがろうとした・・・が、足を挫いたらしく動けない。
(ほんっに・・・・・・、人が来るまで待て言うんか・・・・・)
足をさすった・・・・ら、ねちょねちょする。
(ほんに、ぇえタイミングじゃのぅ。最悪っっ・・・・・・・)
お馬(生理のこと)がきたらしく、もはや絶体絶命。



「どうして悪いことが続くのか・・・・」
泣きそうで震えて出てきた声に、こういうとこが女々しいのかと思う陸奥。
「そこに誰かおるがか?」
突然現れた紅い上着の“ヤツ”が持つ懐中電灯の光が眩しい。
「陸奥・・・・・???」
「た・・・・・・つま・・・・・・?」
また何とも良いタイミングで顔をあわせたもんだ。
「おおおおおんしっっ!今日は“すなっく すまいる”に行くんじゃ・・・・」
「あぁ、とっくのとうに行ってきたんやけど・・・・」
「嘘っ!?」
「嘘言うてどうすちや。」
「なら今何時なが!?」
「・・・・・・10時・・・・じゃけど?」
手元の時計を覗くように見る辰馬。
(一時間半もここにおったんか・・・・・・・・)
「それより陸奥、ここで何しちゅうよ?」
「あ、ああ。何ちゃあないきに!早う行ってくれ!!」
「・・・!ちょ、足診せてみぃ!!!!」
「っ・・・・・・」
「腫れちょるやか・・・。どこか怪我でもしたがか!?血が出ちゅう・・・」
「いや!何でもないき!」
「これ、じっとしちょき!」
陸奥の顔がダルマ以上に赤くなる。
「これはっっっっっっっっ・・・・・」
「???」
「これは・・・・・・・、お・・・・お馬・・・・ぜよ・・・。」
「お・・・・うま????」
かぁああー・・・・・。両者共々同じくらい赤くなる。
「わしは・・・、どうすれば良いか・・・知らんぜよ??」
「当たり前じゃっっ!」
焦りまくっている辰馬。
「兎に角・・・・、汚れたもん出し・・・・・・・て、
清潔な服に・・・着替えんといけん・・・・」
「自分で歩けるがか?」
「・・・・・・歩けr」
「無理か。ほんじゃぁ、わしが・・・・・・」
体がひょぃと宙に浮いた。え?いや、ええ!?
「歩けるって言うとるじゃろぉがぁあああああああああああ!!!!!」
「だってぇ・・・・・陸奥があまりにも可愛いから抱き上げたくなっちゃって♥」
「は・な・せっっっ!人に見られたらど・う・す・る・ん・じゃっ!」
足をバタバタさせて抵抗するが、腕の中にすっぽりはまって
もはや籠の中の鳥。
羽根を広げても、もうこの温かい籠からは逃げられない。
いや。出たくないのか。
「いやぁ~、わしは嬉しいぜよぉっw 」
「は?わしがこんっっっっに大変な時にがか?」
「そっw 何ぞ陸奥の可愛いとこが見れた!」
「か・・・・・・・・・わ・・・・いい?」
「ふふっw わしがおらんと、何も出来んのじゃけぇ^^ 世話のかかる娘じゃっ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうかもな」
「ん?」
「何でもない。」



陸奥の部屋の前。
「もうココで良いぜよ。ありがとう・・。」
「いんやっ!わしも手伝うぜよっ!」
「手伝うことなんてないき!!」
「うーん・・・。じゃぁ、ココで待っとる・・。」
「大事でもないのに・・・・・・。」
本当に心配そうに見つめる辰馬が何となく可笑しかった。



10分後



「終わったぜよ。」
「おお!大丈夫じゃったかぁ?」
「・・・・大丈夫」
「すまんのぉ; おなごのことはよく分からんくて; 力になれんで・・・」
「当たり前じゃろう!」
風が頬をかすった。ぐいと強い力で抱き寄せられる。
「・・・・すまんかった」
「何が。」
本当は動揺しているがあえて冷静に答える。
「いや・・・、怒鳴ってしもうて・・・・・・・・」
髪をつつきながら照れくさそうに言う“ヤツ”
「別に。わしも悪かったし・・・・・・・・。」
長い沈黙---。
「む、陸奥はべっぴんさんで可愛くてちっちゃくて、それでもって可愛いのう!」
可愛い二回言った。何ぞ動揺しちゅうな、こいつ・・・。
「新手の口説き文句か。」
「いや・・・・・・・、そのぅ・・・・・・・・・・・・・・・」
「もしかして、何ぞ待っとるん?」
「・・・・・・・・・・うん・・・・・。」
「変なことしたら即再起不能にしちゃるからな。」
「多分大丈夫・・・・・・・・・・・。」
陸奥はゆっくり目を閉じる。言うてくれれば素直にやるのに。
性根の入らん奴!早うにせんと人が戻って来るぜよ・・・・・・・・・!
その思いが通じたのか、すぐに何かが触れた。また離れる。
「やっぱり無理じゃぁあああああああああああ!!!!!」
「あ!?」
「いかんちや!こらえとおせっ!」
と言うと陸奥を押し倒してギュム~ってな感じで唇で唇をふさぐ。
「ん゛ん゛~・・・・・・・・・・っっっっっっっっ!!!!!」
苦しっっっ!と思うとおもわず辰馬の急所を蹴り飛ばしていた。
「ぶはっ・・・・・・・・・・。へ、変なことするからじゃちや!!!!!!」
暗い廊下。鋭い足音が響く。
「やっぱり野暮じゃ・・・・・・・・・・・・・!!」
足を挫いたのも忘れてブツブツ呟く陸奥。
(ガードがカタいおなごやき、どっこもかしこもカタいんか思うたら、
案外やわらかかったの・・・・・・・・・・。)
一方の辰馬はくすくすと腹をおさえながら笑っていた。




くっっだらね!何であんなモジャに惹かれてしもうたんじゃろう。
明日から何て声かけりゃええんじゃ、阿呆が・・・。
すっかり暗さを増した夜。月明かりが火照った顔を眩しく照らす。












『灯り火』     坂⇔陸奥←高杉    両想いvs片想い((意味不




「先生・・・・・・・・・。坂田先生!!!!」
「うえ?おお、猿飛先生。どーかしましたかぁ?」
寝ぼけた顔の銀八先生は3-Zの担任で
保健の猿飛先生とはああいった系の噂がある。
「どうかしましたかぁ?」
「あの、高杉・・・くんって坂田先生の生徒ですよね?」
「ええ。・・・・・ってまた何か問題でも?」
「いや。そうじゃないですけど・・・・・・・。やっぱいいです!」
「何だ、そりゃ・・・・・・。」
頭をポリポリかきながら廊下を歩く。そういや授業始まってたんじゃん。
眠い・・・・・・・・。面倒臭い。やる気が全くおきない。
何でやる気がおきないのか分かった。
そういえば今日は朝から天気がよろしくない。
ザーザー降りってまさにこういうコトだよな。
そういえば、さっきから雷の音がうるさかった。
笑いながら教室の扉に手をかけた。
「おぅ、お前らー。銀ちゃん先生の登場だコラァア」
「せ、先生!それどころじゃないですよ!!!!!!!」
教室の中央に集まった生徒のなかのメガネが叫んだ。
「どうした、志村弟。」
「志村弟って言うのやめてください!あの、陸奥さんが・・・・。」
陸奥。というのは見るからに優等生。そして美人。文武両道。学級委員。
モテる?当たり前じゃん?って感じな人だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガタブル。めっさ震えていて唇も紫色に変色している。
「どうした陸奥ー?学級委員ー!だいじょうぶか!?」
「せ、せんせ・・・・。か・・・・・・・・・・・り」
「は?」
その時。
ドッシャァアアアン
「うわ。すげぇ雷。こりゃ近いな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっ!」
「うぉお、陸奥!痛いちやぁ!」
見ると陸奥が坂本にしがみついている。
「え?あー・・・、もしかして。。。。。」
「雷が苦手なんじゃとぉ。めんこいじゃろう?金八先生っw」
「金八じゃぁダメだろ!怒られちゃうだろ、偉い人に」
そんな話のなかで坂本を睨む輩が一人。
「うーん。じゃぁ坂本。委員連れて保健室行け。」
「保健室?」
「そっちの方が落ち着けるだろ?(多分)つか、お前は早く帰って来いよな」
「銀八。」
ざわっ。一同騒然。高杉が喋るなんて珍し・・・・。
「ど、どうした高杉・・・・。」
「俺も手ケガしたんで保健室行くけど、いいよな?」
「え・・・・・・・・・・・」
「ほんじゃぁ、3人で行ってきゆうよ、金太郎先生」
金太郎じゃねぇよ、なんてツッコむ間もなく教室の扉がガランと閉まった。
「・・・・・・・・・・手ぇ、ケガしてねぇじゃん」
「いいな、むっちゃんモテモテアルよー。」
あ、そういうことね
神楽の言った言葉にみんなが納得した。




「ひっっっ!」
ドォオオン。雷がまた落ちた。
「いででっ(泣) 腹が締・ま・る・ぜ・よっっ!!」
昼なのに暗い廊下。電灯が壊れているから、その分暗い。
「?音じゃなくて光がダメなんじゃねぇの?」
「おお。そうか!おんしゃぁ頼りになるきに、高杉っ!」
ドゴォオオオオオン
「うぉ、めっちゃ光った!」
「・・・・・って、あり?陸奥?」
陸奥は壁に頭を向けて震えている。
「え、えーと陸奥さーん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「陸奥?学級委員!」
「ま・・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・ま?』
「窓・・・・・・・・・・・」
その時また雷が落ちた。
ピカァアッ
窓に自分たちの姿が一瞬映る。
「もしかして・・・・・・・・これが恐かったり・・・・??」
「たたた辰馬・・・。いい今光ってな・・い???」
泣きそうな声で聞く陸奥が可笑しくて2人で笑った。
「こ、こんなもんが恐ぇのか、学級委員が?」
「は、腹痛ぁあー(泣) 陸奥かわぃい・・・・・」
「わ、笑うな!!」
ピカァアッ
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
陸奥が薄暗い廊下のなかを頭を抱えながら絶叫して走っていく。
『陸奥・・・・・・・・・・・・・?』
2人はただボーゼンとしている。
はっっっ。 気付いた時には暗い廊下に男2人立っていた。
「バカ本、陸奥・・・・・は・・・??」
「え。いや・・・・・・いま・・せんねぇ。」
衝撃的なものを見てしまった為にカタコトになる2人。
「探す・・・・・・・・よ・・・な?」
「でしょう・・・・・ね・・・・・・・・」






「・・・・・・。」
非常階段。幸い上の段が屋根代わりをしていて濡れてはいない。



恐い。



何というか・・・・硝子が嫌い。光を当てれば何でも映し出してしまいそうで。
雷っていうのは、天から一筋の光が地に落ちてくるというもの。
一緒に何か落ちてきそうで、本当に恐い。
「・・・・・つ~!陸奥~!!!!」
遠くから2人の声がする。だが逃げてきたはいいものの、足に力が入らない。
口も渇いて声が上手く出ない。助けて欲しいのは山々だが
歩けないんだから、どうしようもない。
2人が見つけてくれるまで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見つけて・・・くれるまで!??
ちょっと待て。見つかるまでこのままってことか!?
そう思った途端に声が出た。
「た・・・・・・・・・・・・つま・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・つ~!・・・~!」
し~ん。2人の声が遠ざかっていく。
「モジャァアアアアアアア!!!わしはここじゃぁあああああああ!!!!!!」
声を荒らげる。おっさんみたいな口調になった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
物音すら聞こえない。そういえば、いつの間にか雷もやんで
雨も小降りになっている。



立てない。



脱力しきった体で大声を出したんだから力も入らない。
もう絶対奴等殴っちゃる。人が大変なときに・・・・・・・。
雨もやんだ。雲の間から眩しい太陽が顔を覗かせる。
「甘えてばかりじゃ、居れんな・・・・。」
自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。苛立つ。
勢いをつけて立った-・・・・・・途端。
ぐらっっっっっっっっ。
バランスを崩した。-・・・落ちる・・・・・・・。




ガランゴロン、ドンガッシャーンンンンンン!!!!!!



「今の何だ、辰-・・・・・」
「非常階段・・・・・・・の方じゃったな」
沈黙。
「よし!2人で行ってみるぜよ、高」
「俺は保健室行く。先生呼ばねーことには何もできねーだろ!」
「あ、そう・・・・・・じゃな・・・。」




非常階段。二階。
頭を下に、足を段に置くような体制で陸奥は倒れていた。
「いっつ・・・・・・・・・・」
足をさする。・・・・・・と
「・・・・・・・何じゃ・・・・これ。」
手にべったり。とはいかないが血がついている。
「これは・・・・・また、大事じゃの・・・・・。」
こんなことになっても陸奥はいたって冷静。
足が切れたか、変な風に叩きつけられたかしたのか。
見たらやっぱり切れていた。おまけにもう片方の足にはでかいアザ。
「ふぅー・・・・・・。」
変な体制のまま、陸奥はため息をついた。
ズキズキする。足・・・・。
最終更新:2007年07月15日 15:22
ツールボックス

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