「ドラえも~ん!! 助けて~!! 」
野比のび太の悲鳴が道路にこだまする。
この殺し合いが行われている最中に大声を出すなどとは自殺行為に近いが、
彼は今まさに恐ろしい形相の男に追われているのだ。
母親を失ったのび太は、しばらくは家から一歩も出ずにやり過ごそうと籠城戦に踏み切ったが、
二日目の昼にはもう食料が底をついた。
やむを得ず家の外に出た直後、流れた一回目の放送。
そして彼はしずかの死と、母親の五度にわたる死を知った。
呆然としていた時に、いきなり恐ろしい顔の男に声をかけられたのだ。どう見ても、
すでに何人も人を殺しているような男だった。のび太は一目散に逃げ出した。
「ちょ、ちょっと待ってください!! 私は殺し合いなんかしてません!! 」
男は、そんな言葉を叫びながら追ってくる。明らかに罠だった。あの顔を見ればわかる。
もう、これ以上は逃げられない、というところまで走った時―――
「こらー!! 殺し合いなんかやめんかー!! 」
威勢のいい怒声と共に、男の背後から見慣れない少女が姿を現した。
のび太はその格好に唖然とする。歳はおそらくのび太より少し年上くらいで、相当に
かわいい。しかし、なぜかミニスカのメイド服にネコミミとしっぽまでつけていた。
おまけに、手には魔法少女のようなステッキ。メイド服の裾からはガーターベルトに包まれ
た細い足が伸びていて、ついでに胸元もちょっと見えてたりなんかして、やや目のやり
場に困る。
「お前のようなけしからん奴には、天誅を喰らわせてやる!! 」
少女はそういうと、ステッキを大きく振りかぶった。
次の瞬間、巨大な稲妻がのび太の目の前に落ちた。すさまじい閃光と、爆音。
のび太が目をあけると、あの恐ろしい顔の男は炭と化していた。
「やや、何も殺すつもりはなかったのだが・・・・・・だが、あの顔はどう考えても凶悪そ
うな男、致し方あるまい」
やけに古風な喋り方をする、雷属性らしい魔法少女はのび太に目を止めると、
「おお、お前はよくうちのガラスを割って謝りに来る坊主!! 無事だったか!! 」
「ええ? 僕が? 」
のび太は困惑する。こんなかわいい女の子の知り合いはいないし、こんなアレな服装
を好むような知り合いはいない。
「よくガラスを割ったって・・・・・・まさか、
かみなりさん!? 」
「そうだが」
「えええええ!? かみなりさん、その格好は・・・・・・? 」
胸元や足元に視線を向けるのび太に、魔法少女リリカルかみなりは顔を真っ赤にして、
「べ、べつに好きでこんな格好をしているわけでは無いんだからな!! この
ゲームを
終わらせるために、仕方なく、仕方なくやってるんだからな!! 」
「は、はい・・・・・・」
さっぱりわからない理屈だったが、怒った少女はまさにかみなりさんのごとく怖かったので黙っておく。
「それより、のび太だったか。さっきの放送で、お前のおふくろさんが・・・・・・・」
「うん。それに、しずかちゃんまで・・・・・・ジャイアンやスネ夫とも連絡取れないし、僕、
もうどうしたらいいのか・・・・・・」
「な、なんだよ、そんな目で見ないでくれよ!! 」
「頼むよかみなりさん、僕を助けて~」
もうこの際、普段叱られている怖いおじいさんでも、今はアレな格好をしている痛い
人でもよかった。
ドラえもんも母親も未来の妻も失った今の彼には、支えてくれる人が
必要だった。
「わ、わしはこれからこのゲームを止めないといけないんだから!! お前にかまってるヒマなんか無いんだからな!! 」
「そんなこと言わずに、頼むよかみなりさ~ん」
かみなりさんに縋り付くのび太。服の胸元がずれ落ちそうになる。
「こ、こら、やめんか!! 」
なんとかのび太をなだめて引き剥がしてから、かみなりさんはため息をつく。
「ま、まあ別に、どうしてもワシに守って欲しいというなら、守ってやらんこともないけどな」
「本当? 」
「か、勘違いするんじゃないぞ。別にお前のためにやるわけではないぞ、単にこのゲームを
終わらせるために仕方なく、仕方なくなんだからな!! 」
「うん、うれしいよかみなりさん!! 」
泣きながらかみなりさんに抱きつくのび太。
「こら、やめんかのび太」
苦笑するかみなりさんに、のび太はふと気がついたように言う。
「かみなりさん、結構胸おっきいね~。どうして? その杖で変身したの? 」
「なっ・・・・・・」
かみなりさんは、ネコの耳まで真っ赤にして胸元を隠しながら言った。
「ど、どこを見取るんだ貴様は!! こ、今度やったら承知しないからな!! 」
のび太は、この姿のかみなりさんを怒らせるのはちょっと楽しいことに気がついた。
【東京都のび家周辺 2日目 14時半】
【かみなりさん@ドラえもん】
[状態]:魔法少女リリカルかみなり化。
[装備]:レイジングハート、ミニスカメイド服、ネコミミとしっぽ
[道具]:支給品一式
[思考]
1:のび太を「仕方がないから」守ってやる
基本方針:この馬鹿げたゲームを終わらせ、
織田信長に説教をする
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:精神的ショックから少し回復
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]
1:かみなりさんと同行する
2:かみなりさんをうまく言いくるめて、あんなことやこんなことをさせる
【園長先生@クレヨンしんちゃん 死亡確認】
最終更新:2006年12月20日 23:56