『さぁ水竜の紛い物よ、貴様もサルーイン様の僕にしてやるわ』
『そんなことは断ります!』
「気合だぁ!気合だぁ!気合だぁ!」
「これじゃゆっくりできないよ……」
ブルガリアから少し離れた火山にて、蒼い竜と紫の炎に包まれた蛇の魔物が対峙している。
竜のほうは水を司る、古代の神より生まれし竜、水竜であり、山羊のような捻れた大きな角で、
その肌は流れる水のごとく清んでいる。
竜の背に乗る人間は通称アニマル浜口、あらゆる困難を『気合』で片付けてしまう元プロレスラーだ。
現役を退いた今でもレスリングを捨てることなく、道場を建てて後継者達を育て続けている。
同じく背に乗る饅頭はゆっくり魔理沙。 どんなときでも安らぎを求め、自らも人々に安らぎをもたらせてきた生物だ。
対してそんな彼らに立ちふさがるのはブレイブスレイブ。
蛇の骨格を邪なる紫の炎で包み、禍々しい仮面をつけた炎の化身だ。
元はフレイムタイラントという水竜と共に同じ神から生みだされ、共に戦った魔物であったが、今では別の者に支配され、闇に堕ちてしまった。
ブレイブスレイブは己の尾を水竜向けて振るい始めた。
ここで少し時を遡ってみよう。
南春香は幻想から覚めたとき、一人の男と遭遇した。
その壮年の男性は『鬱展開は熱くないから目を覚まそうと激励した!』と言い放つと火山の方へ去っていった。
そして残されたのは南春香一人、いてもたってもいられなくなった彼女は次の瞬間には男を追いかけ始めたのだ。
「なんでこんなことしているのかな……」
誰かに問いかけるというわけでもなく春香は言葉を漏らす。
何故このようなことをしているのかは彼女にはわからない、だがどうしてもいかなくてはいけない気がしたのだ。
別に先ほどの男に気になっているわけではない。 独りだから心細くなったわけでもない。
ただ、理性や欲望などというものではなく、もっと単純で当たり前のようなこと、そのように思えたのだ。
「気合だぁ! 気合だぁ! 気合だぁ!」
「え!?」
オストレツ峰と呼ばれるところに男、アニマル浜口はいた。
ただ、付近は峰というより嶺となっており、死を迎え二度と動くことはないと思われた火山が活性化している。
すぐ近くで溶岩の音がグツグツと煮え、火山から発されているであろう熱気が辺りを覆っているため少し暑い。
そんなところでTシャツ短パンの壮年の男が叫び続けているのだから、ある意味景色に合いすぎていた。
しかしそのような景色は今の南春香にしてみれば写真の風景の一部分に過ぎない。
彼女の視点にはまったく別の者が存在していたからだ。
その魔物は全身に灼熱の炎を纏わせ、爬虫類の骨のような頭をしており、火山の頂にそびえていた。
灼熱の骨の蛇の魔物は春香の姿を見つけた途端口を開く。
「よく来たな水竜の力を持つ娘よ。 まあゆっくりしていけ」
「ゆっくりしていってね!」
その強面に会わぬ口調で魔物、フレイムタイラントは語りかけ、同時にむっくりとした生首のような生物も元気よく言い放つ。
すると春香は目を見開き、驚いた口調で返した。
「どうして私がマムクートだって……」
「半年前、人間によって我が同胞の水竜の力をとある娘に授けられたと聞いてな。 お前のうちに眠る水の術力を感じてなんとなくそう思ったのだ」
「……」
フレイムタイラントの返答によって彼女は黙り込んでしまった。
南春香の水竜としての能力は、彼女に水の力が眠っていたことに目をつけたカオスロワ5期の主催が移植という形で水竜の情報を流し込んだことによって身についた能力である。
そのため彼女はオリジナルの水竜ではないが、オリジナル相応の水竜の力を持つウォータードラゴンとして覚醒したのだ。
元は殺し合いの主を守るために無理やり引き出された能力ではあるが、そのおかげで殺し合いを終わらせることもできたのだから皮肉な話である。
故に南春香はこの能力を新たに始まったバトルロワイアルでも、必要でないときは使おうとしなかった。
「なにをするきさまー!」
「どうしたの?」
「ゆ?」
「気合だぁ!」
突然の悲鳴に振り返る春香とゆっくり。 そしてそんなことは関係ないとばかりに叫び続けるアニマル浜口。
見ればフレイムタイラントの頭には赤いローブを纏った男がおり、彼から発される邪気がフレイムタイラントを侵していた。
太陽のように燃え盛る紅い炎の肉体がどす黒いとさえ思える闇色へと変色を始めたのだ。
彼から発される熱波の質が変わったことに春香はデッキブラシを構え、ゆっくりは彼女の影に隠れる。 浜口は気にせず叫び続ける。
「虫けら共が」
彼らを見下ろしたローブの男、ミニオン・ストライフはそう言い放つと、フレイムタイラントの中に溶け込んでいった。
フレイムタイラントの変化の終わりを告げるように仮面が現れ、彼の頭部へと装着される。
こうしてストライフの道化となったブレイブスレイブは春香達に襲い掛かったのだ。
時は再び現在に戻る。
『ソリッドヘッド!』
水竜の姿へと変えた春香はブレイブスレイブの尾を頭突きで弾き返した。
弾かれた尾を再び水竜へとたたきつけようとするブレイブスレイブだったが、水竜が突進してくることを見て、
尾を自分の前に盾となるように出し、水竜の頭突きを防ぐ。
『まだよ! アクアスパンキー!』
水竜はヒレによって尾を弾き、むき出しとなったブレイブスレイブの肉体にリキッドキャノンを打ち続けた。
巨大な水の塊が灼熱の体に当たっては蒸発を繰り返し、彼らの周りが霧に包まれていく。
ある程度手ごたえを感じた水竜は少し顔をしかめると、霧から後退を始めた。
「ゆ? どうしてこうげきをつづけないの?」
「気合だぁ!気合だぁ!気合だぁ!」
『なにか……嫌な予感がするの』
アニマル浜口の独り言のような叫びは無視して真剣な表情でゆっくりに答えを返す水竜。
水竜である南春香は殺し合いを戦い抜いてきた者である。 よって数々の強者と対峙していたものでもあり、
それの恐ろしさというものを知っている。
『くくく……やはりこの程度か』
「ゆ!?」
『やっぱり来たわね……』
「気合だぁ!」
熱気で霧は全て晴れ、代わりに邪気が辺りを覆ってブレイブスレイブが立ちはだかる。
が、次の瞬間ブレイブスレイブの体は分解を始めた。
「ゆ? やっつけたの?」
『いや違う!あれは……』
「気合だぁ!気合だぁ!」
『その通りだ虫けらども、食らうがよい、火神縮退撃!』
ブレイブスレイブの体が巨大な音を立てて破裂した。
噴火のごとく溢れ出る熱は、空、大地、そして火山さえも包みこみ、全てを溶かしていく。
無論、そこに生命も例外ではない。
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
「気合だぁ!気合だぁ!気合だぁ!」
余りある熱は、水を司る竜の肉体でさえ焼きつくしていく。
炎は誇り高き竜の証である角も、清流のような透き通った肌も全て侵し付くしていった……
はるか!はるかぁ!
誰かが私を呼んでいる。 女の子の声だ、朝比奈さんかな?
……いや、そんなことはないか、私はさっきあの魔物に殺されたんだ。
あんな炎に包まれて生きているはずがない。 だとしたらこの声は夏奈?それとも千秋?
はるかがそんなんじゃゆっくりできないよぉ!
私としてはこのままゆっくり寝ていたいけどね。
仕方ないから起き上がるとしよう。
「え?」
「はるかぁ!」
私が目を覚ましたときにいたのは夏奈でも千秋でもなく、生首
みたいな饅頭みたいな生物だった。
金髪で帽子を被ってどっかで見たことがある。
「はるかぁ! はまぐちが!はまぐちが!」
浜口ってあのアニマル浜口さんのことかしら。
ゆっくりがスカートを引っ張っているのでついてこいとしているみたいなので。
彼女についていくことにする
「気合だぁ……!」
「なんで……」
そこにはアニマル浜口さんがいた。
しかし彼の肉体は所々大きな火傷をしており、さっきまでのやかましさもとい覇気は一片も感じることができなかった。
「はまぐちがね、ねっきをだしてたすけてくれたの……」
ゆっくりの言い分によると、彼はブレイブスレイブによって焼き尽くされる瞬間、
自分自身から『気合で出した』熱気によって技を相殺したらしい。
そしてその熱は人である彼の身にも耐えられるものではなく、この火傷を負ってしまった。
今までやかましいとは思っていたけど私達を助けてくれたなんて……
とりあえず彼の応急処置をすることにした。
【一日目・17時30分/ブルガリア近辺】
【南春香@みなみけ】
[状態]健康、水竜に半日変身不可
[装備]デッキブラシ@テイルズシリーズ
[道具]食料一式、ブルーアイズホワイトドラゴンのカード、その他不明
[思考]基本:殺し合いを止める
1:アカギを止める
2:とりあえず広い大陸にいく
3:アニマル浜口に応急処置
※支給品のブルーアイズホワイトドラゴンのカードに気づいていません
【アニマル浜口@現実】
[状態]重傷の全身火傷だけど燃え
[装備]不明
[道具]支給品一式
[思考]基本:命に代えてもカオスロワを燃え展開にする。
1:気合だぁ……!
【ゆっくり魔理沙@ゆっくりしていってね!】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]不明
[思考]基本:ゆっくりする
1:ゆっくりするためにはるかについていく
2:はまぐちにはげんきになってほしい
【フレイムタイラント@ロマンシングサガ 死亡確認】
死因:アニマル浜口の熱気による衝撃
一方どっかで
「虫けらどもを甘く見すぎた・・・・・・次はこうはいかんぞ」
【ヨーロッパのどっか】
【ミニオンストライフ@ロマンシングサガ】
[状態]健康
[装備]不明
[道具]支給品一式
[思考]基本:世界を絶望で包み込んでサルーイン復活
最終更新:2008年12月19日 17:58