磯野フネは、ようやく涙を拭き終えた。
「お父さん……あなたのことですから、きっと立派に戦って死んでいったんでしょうね」
第一回放送により、夫である波平の死を知ってから早くも半日。
サザエとカツオも帰ってこない。
なんかワカメも死んだようだが、あいつはうざかったからどうでもいい。
夫を殺した者を探し出して、仇を取ろうかとも思った。
あるいは、自分もさっさと夫の後を追おうかとも考えた。
しかし、そんなことをしてもあの人は喜ぶまい。そう、思い直した。
それよりも、今の自分にしないといけないことは……
「ご飯を作っておきましょうかね。サザエたちが帰ってきてもいいように」
夫が、命を賭してでも守ろうとした、この家と家族を自分が守るんだ。
どこかで戦っているであろう家族達の、帰る場所として。
「掃除もしておかなくっちゃ。ああ、その前にお茶でも沸かしましょうかね」
殺し合いになど参加せず、ただ今までどおりの日常を守ること。
そうすれば、あの日々がまた戻ってくるかもしれないから。
「そうだ、お茶うけには梅干があったんだったわ」
家事を済ませる前に、そのくらいはいいだろう。
フネは梅干の壷を開けて、ひときわ大きな梅干を一つさらに乗せた。
そして、沸かしたばかりのお茶を啜りながら、梅干を口に……
「!!」
これは梅干ではない。硬い。しかし、慌ててしまったのが運の尽きだった。
その大きくて硬い塊は年老いたフネの口の中を滑り、のどへと転がり込んだ。
年老いたフネには、それを吐き出すほどの力はもう残っていなかった。
のどが塞がれ、空気を吸えなくなる。もがいてももがいてもどうにもできない。
(サザエ、カツオ、マスオさん、タマ。ごめんね、お母さんはここまでみたいです。
ああ、タラちゃんもいたんだったわ。でも、ウザイからいいか……)
せめてもの救いは、彼女の最期の場所が夫との思い出の詰まった家だったことだろうか。
磯野家から出てきた
シマリスを待っていたのは、鎧に身を包んだ金髪の少女だった。
「あなたは、それでいいのですか? 」
少女はシマリスに問う。シマリスは答えない。
「あなたが何のためにそのようなことをするのか、おおよそはわかります。
今はそのことの是非は問いませんが、しかし、それではあなたはこの戦いで一体何を得るのでしょう」
「答える必要などないのでぃす。わたしは、わたしのするべきことをするだけでぃす」
シマリスは少女を見上げて答える。
「うまくは言えませんが、それではあなたはいつかきっと後悔することになる」
「そんなもの、もうとっくに済ましたのでぃす」
少女の言葉に、ついに一度もまともに答えることはなく。
二度目の人格破壊を引き起こした小動物は、彼女に背を向けて歩き始めた。
「あなたはもともと、マスコットのような存在だったはず。
昔は、愚鈍な友人にツッコミを入れることすら無かったというのに。
それが、なぜ……」
なぜそんな、ちがうものになってしまったのですか。
【東京都世田谷区
二日目 21:00】
【シマリス@ぼのぼの】
[状態]:健康
[装備]:クルミ五千個
[道具]:支給品一式
[思考]
1:関東周辺で、弱そうな人間を探して殺す
基本方針:友人達を守る為に、友人を殺すかもしれない人間達を殺す
【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式
[思考]
1:知り合いを探す
基本方針:殺し合いに乗る気は無いが、攻撃されれば反撃する
※シマリス・セイバーは磯野家周辺の放射性物質により被爆している可能性があります
最終更新:2006年12月23日 18:48