みなさん、12月もそろそろ終わりですね。
しかしまだ、12月最大の行事は残っています。
子供たちがこれ以上なく待ち望み、毒男達がこれ以上なく嫌うイベント。
そう、クリスマスのことです。
毎年毎年、キリスト教なんざ蚊帳の外の日本で当たり前のように開かれる大イベントですね。
しかし、今年のクリスマスは危ういようです。
その理由を説明するため、少し街の景色を見てみましょう。
東京都渋谷区渋谷駅駅前、忠犬ハチ公がなお佇むこの場所は、普段は駅を出入りする人や待ち合わせをする人に満ちています。
それがどうでしょう、今は閑古鳥が鳴きそうなほど閑散としています。
人っ子一人見当たらない、というわけではありませんが、
地面に突っ伏したまま動かなかったり、壁にもたれかかったまま動かなかったり、
上半身だけだったり、首だけだったり、顔の面だけだったり、
まあとにかくみんな死んでいます。
ハチ公も口回りに返り血を受けていて、なんだか地獄の番犬みたいです。
メリーだとか、ハッピーだとか、そんなことを言える雰囲気ではまずありません。
さてこれはなぜかと言うと、昨日可決されたある法案によるものなのです。
その名はバトルロワイアル法。
少子高齢化対策のため安倍総理が提唱し、国会で可決即執行となったもので、国民全員に殺し合わせるというものです。
きっと、政治家達は日本のあまりの借金の多さに辟易して頭のネジがすっ飛んだのでしょう。
ちなみに今は何故か
織田信長が主催しています。
この法のために、推定1500万人(2006年一二月二十三日十七時四十二分現在)がすでにこの世を去ったと思われ、日本は未曾有の大パニックに陥っています。
そんな中でクリスマスイベントが行われるわけもなく、子供もカップルも一生懸命に殺し合い、ツリーも電飾もなぎ倒されなぎ払われ、
毒男達は狂喜乱舞で各所にクリスマス中止のお知らせと書いた看板を各地に植え付けています。
だ が し か し !
例え世間がクリスマスを忘れようとも、決してクリスマスを諦めない男達がいた…………
「集まったのはこれだけかぁ!」
羊毛のようなふかふかたっぷりの白髭と震わせながら、サンタクロース村村長が声を荒げた。
「今の日本の子供は、困窮し絶望に満ちている! それを助けるため、希望を与えるためにに招集をかけたのに、五人しかいないとはどういうことだ!!」
そんなこと言われてもなあ、と五人のサンタたちは困惑を浮かべる。皆一様に赤い服と帽子を着、白い髭を生やし、そして小太りだった。
うち一人が発言した。
「今この国じゃ殺し合いのまっただ中じゃないっすか……俺達サンタといえども大抵は子供の希望より自分の命っすよ」
「ふんっ!」
気に食わなそうに鼻を鳴らし、村長は五人のサンタをじろりと見渡した。そして大きく息を吸い
「ならばお前達は、命を捨てうってでも子供に尽くす覚悟はあるということだな!」
村長の怒鳴り声に、五人のサンタは顔を引き締める。
しかし萎縮したわけではない。皆使命感を瞳に宿し、言われるまでもなく覚悟を決めていた。
彼等はサンタ・オブ・サンタだった。
「よろしい」
静かにそう言うと、村長は上を見上げた。つられて、五人のサンタも首を上げる。
空の天辺に、大きな星が輝いていた。
五本のスジを周りに流し、どの星より自己主張をしていた。
まるでベツレヘムの星のように――
「袋を持て! ソリに乗れ! 今より『プロジェクトXmas』を決行する!」
村長の言葉に各自それぞれの袋を肩に下げ、それぞれのソリに乗る。トナカイの一頭が赤鼻を震わせて猛り鳴り、それが合図だったかのように六台のソリが発進した。
ただ子供に希望を運ぶためだけの、聖なる戦いの始まりだった。
【北海道択捉島
二日目 20:00】
【サンタクロース村村長・サンタA~E@フィンランド】
[状態]:健康
[装備]:ソリ
[道具]:プレゼント
[思考]1:日本全国の子供達にプレゼントひいては希望を与える
最終更新:2006年12月23日 18:05