「一体何がどうなってるんですの!?」
彼女がそう叫ぶのも無理は無い。何しろ、信じられないことの連続なのだから。
まず、バッグの中に入っていた水を飲んだら、実は若返りの妙薬だった。口調すら変わっている。
次に、見たことも聞いたこともない牙獣種を発見したこと。
窮めつけは、それが龍の鱗すら貫く貫通矢を弾き返したことだ。
現在彼女は茂みに潜み、作戦を練っていた。
「くっ…追ってきてますわね。弓は通用しない、かといってフォークが通用するとは思えないし…
いえ、狩人達は言っていました。相手を良く見ていれば、必ず勝利への糸口が見つかると。」
彼女はバッグの中を見た。罠のようなものは無い。
あるのは、薬の入っていたペットボトルと、肉焼きセット等、今役立ちそうな物は無い。
「…此処に隠れていても、何れは匂いでバレますわね。
かと言って、この距離で気付かれないように移動するのは難しい。
何とか捌きながら方法を考えないといけない…なら近づかれる前に…」
そう言うと、彼女は獣と反対方向に走り出した。
私には主が居る。それも小さな主が。
そして先程から私の周りで殺し合いが頻繁に起きている。
このままでは主が危険だ、助けに行かねば!
そう思い、今私は主を捜している。
先刻、背後から弓による奇襲を受けた。
鏃による怪我は無かったが、よく分からぬ衝撃があった。
飛んできた方角を見れば、そこには人間がいた。
あの者もこの殺し合いに加わっているのだろうか。
ならば倒す。
主に危害を加える恐れのあるものは全て倒す!
我が主を救う為に!!
そして追跡を始めた。
しばらくして、人間が三叉の槍と剣を持って私に背を向けて走り出した。
逃がすものか。主には指一本触れさせぬ。
私は一息で間を詰め飛び掛った。
が、相手は気付き倒れこむようにして私を投げ、走り去った。
だが遅い。そしてその先は見通しの良い草原、逃げられはせぬ。
私は直ちに人間を追うことにした。
「速い…このままじゃ…!」
最初に飛び掛られてからナイフで捌き、フォークで受け、後退すること数十回。
途中で何度も組み付かれそうになったが、嗜みとしていた武術で何とか振り払っていた。
着ているエメラルドグリーンのドレスには泥が付き、更に針のような獣の毛が刺さってボロボロになっていた。
素肌にもその毛が刺さり、血を流していることからもその毛の異質さを感じ取れる。
「っ!草原!?これでは逃げ場が無いですわね…」
彼女は今まで相手の巨体を避けるのに樹を利用いていた。
それが無くなった今、相手は真っ直ぐに自分を狙ってくる。
それでも生きるため、猛攻を凌いでいた。
前から飛び掛るのを巴投げし、起き上がりにナイフで薙いで牽制し、下からの攻撃はフォークで迎撃していた。
しかし、段々と追い詰められていった。
「きゃああああああ!!!!」
そして、起き上がりに薙ぎ払ったナイフをタイミングをずらす事で躱され、まともに一撃を喰らった。
フォークで受け、後ろに跳ぶことによって致命傷は免れたが、かなりのダメージを負い、背後の湖に落ちた。
しかし、これが形勢逆転の切欠となる。
「あいたた…あら、追ってこない?それにこの毛…」
遂に追い詰めた!引導を渡してやる!!
何度も攻撃を躱され、こちらの力を流すように投げられ、梃子摺ったが草原に追い込んだ。
相手は目に見えて疲れている。
先程のような行動の変則さは無く、単調な動きでこちらの攻撃を捌いている。
この程度の動き、私の駆けた戦場では雑兵の動きでしかない。
少し調子を遅らせれば、容易に崩れる。
かかった、仕留める!私は勝利を確信した。
…しかし、相手は槍で受け、後ろに飛び、湖に落ちてしまった。
私は…いや、私達は水に濡れてはならない。毛が本来の守りを為さなくなるからだ。
そうして私は本能的に湖の前で立ち止まった。
…この瞬間私の敗北が決まったとも気付けぬままに。
おもむろに人間が着物の裾を破ったかと思うと、鏃に付け、私に数本同時に放った。
避けきれず、そのうちの一つが額に当たった。それは、濡れた布で我が視界を覆った。
慌てて振り払い、私が見、感じたものは。
弓を放ち終わった人間の姿と、額に刺さった矢の痛みであった。
「相手を良く見ていれば、必ず勝利への糸口が見つかる。その通りですわね。
貴方は強かったですわ。しかし、私を仕留めきるのでしたら、水を恐れずに飛び込むべきでしたわね…」
彼女はそう言い、弓を仕舞った。
「はぁ、折角の余所行きのドレスがズタズタですわ!これではミニスカートみたいではないですか!
しかし、仕方の無いことですわね。とりあえず、いただくことにしましょう♪」
こうして、1時間にわたる激闘を制した彼女は肉を焼き始めた。味はもちろん…
「美味しいですわ~~~~~~(はぁと)」
この後、少し持って帰ろうとしていくつか焦がし、少し不機嫌になったのは正しく余談である。
【一日目・22時5分/インド】
【食道楽を究めた貴婦人@モンスターハンター ポータブル 2ndG(以下MHP2G)】
[状態]やや疲労、腹八分目、超ご機嫌 、肉体年齢18歳
[装備]シエロツール、覇滅弓クーネレラカム@MHP2G
[道具]肉焼きセットその他
[思考]基本:様々な肉を食べる
1:次の得物を捜す
2:料理が上手い人を捜す
3:出来れば着替えも探す
[備考]若返りの薬@らんま1/2:トカゲの尻尾、猫のひげ、タカのツメ、ギョーザの皮、
ニンニク、高麗人参、男のような女のような不思議な生物の涙を
調合して作る秘薬。
最終更新:2009年01月05日 10:09