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「スープ、いれましょうか?」「ああ」
民家の中にあった台所。そこで私はお湯を沸かす。
彼――たった今出会ったばかりの旅の方は、大きなテーブルに突っ伏しながら、ぼんやりと窓の外を見ている。
疲れているのだろうか。それとも、こういうだらけたポーズが好きなのだろうか。
どちらの理由でも構わないけれど。

「……あーあ、あいつやハッサンやバーバラは大丈夫かな」
「お友達ですか?」
お皿に入れたスープを運びながら私は聞いた。
「友達というか、仲間だな」
「きっと優しい人たちなのでしょうね」
「ああ、機会があったら君にも紹介するよ」
「ありがとうございます」と微笑みながら、私はスープを差し出す。
「これでうまいご飯があればいいんだけどな」
彼はそう言って、スプーンも使わずにそのままぐいっと飲み干した。
私はダメだ。ふーふーして冷まさないと飲めそうにない。



ようやく飲める熱さになったようだ。私はゆっくりと、薄黄色の液体を口に運ぶ。。
「おいしいですね」
コンソメのスープを誉めたのはやはり変だったのだろうか。彼の返事は無い。
ごめんなさい、付き合わせてしまって」
やっぱり返事は戻ってこない。仕方ないけれど。
「本当は一人でいくつもりでした。
 でも、怖かった。たまらなく怖くて決意がつかなかったとき、あなたが現れて」
どこから吹いた風なのか。彼の髪が静かに揺れた。
「嬉しかったです。私のことを気遣ってくれて。一緒に行こうと誘ってくれて。
 私、とても嬉しかったんです。だからこんなことをしてしまいました」
彼は答えない。答えられない。
「覚めない悪夢の世界にいるより、永遠の眠りにつきたかった。
 絶望の中誰かに殺されて死ぬぐらいなら、少しでも安らいだ気分の中で逝きたかった」
ただ、命の抜けた体だけが、椅子にもたれかかっている。
もうすぐ私も彼のようになるのだろう。
「ごめんなさい、旅の人。身勝手な願いに付き合わせてしまって。
 ごめんなさい、勇者様。あなたのことを置いて逝ってしまって」
やがて体が痺れ始め、視界が白く濁りだしてきた。
バランスを保っていられずに、懐に入れたままの袋を落としてしまう。
中身は無い。全部、二人分のスープに入れてしまった……
「――さようなら」
それが私の最期の言葉になった。



しかし、死んだと思われた身体は突然動き出す。
二人の服が弾け飛び、二人は見る見るうちにムキムキになった。
スープを支給された女性は「飲むな、危険」と書かれた袋を見て、毒だと思っていた。
だが、それは毒ではなく、毒よりも恐ろしいものだった。
それを飲んでしまった二人は声を揃えて叫ぶ、その声は九州全土に響いていった。
「ドォォォォーーーーーーピングコンソメスーーーープ!!!」


【鹿児島県 民家 二日目 12時】
【ローラ@ドラゴンクエスト】
〔状態〕ドーピング
〔装備〕ドーピングコンソメスープの素
〔道具〕なし
〔思考〕
1:日本中にドーピングコンソメスープを広める

【アモス@ドラゴンクエスト6】
〔状態〕ドーピング
〔装備〕なし
〔道具〕支給品一式
〔思考〕
1:日本中にドーピングコンソメスープを広める




最終更新:2015年04月16日 18:51