広大な草原が広がっている。
しかし太陽がそれらを覆うことはまだなく、
聳える木々や動物は休息を迎えていた。
されど草原に衝突音が響き渡る。
それはまるで大量の金属が弾けるかのような音。
「はははは、銀の戦士よどうした? 貴様の力はその程度か」
甲高く笑う男はピエロだった。
白と黒の左右対称の仮面を身につけ、
肩が膨らんだ服に先が反って尖がったブーツを纏った衣装は道化師そのものだ。
道化師は背中のいくつもの剣を自由に操り、相対する男を斬りつけようとしている。
「ふんっ!舐めるな!」
1、2、3、4、
襲い掛かってくる剣を次々と弾き落とす男は刑事。
されどその男の姿は地球のそれとはかけ離れたもので、
近未来を連想させる銀の甲冑とバイザーを身に纏っている。
宇宙刑事ギャバン、それが彼の名前だ。
ギャバンの手に持った光り輝く剣、レーザーブレードが剣を弾くたびに、
高い音が響いて青の軌跡が夜の闇に描かれる。
「ギャバンキック!」
全ての剣が地に落ちた瞬間ギャバンの身体が飛び上がった。
ギャバンが得意とする飛び蹴りだ。
空中で突き出された右足は道化師に向き、そのまま重力により加速していく。
「その程度の攻撃当たらないな」
「何!?」
ギャバンが気づいたとき道化師の姿はそこにはいなかった。
代わりに声がした方向は刑事の真横。
単純な軌道のその蹴りは、いくら加速をつけようと五体満足の道化師にはとっては見切ることは動作もなかったのだ。
「今度はこちらから行くぞ、エンディングスナイプ!」
その声とともに道化師の両腕から帯が襲い掛かる。
帯は視認できるほど強力な電撃を帯びており、まともに喰らってしまえば刑事のコンバットスーツといえども、無事では済まないだろう。
かといって空中で回避行動に移ることもできない。
まったく力がかかってない方向からの奇襲、まさか蹴りの勢いで殺すこともできまい。
ならばどうするか。
「バリヤー!」
空中で即座に体勢を整え直したギャバンは帯の方向に向かって光の壁を作り出す。
ギャバンバリヤーと呼ばれる技の一つだ。
作り出された壁に当たった帯の一つは力を失い、道化師の腕に戻っていった。
そう一つは。
「一本防いだところでどうしたんだ?」
「何?うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
道化師の腕から放たれた帯は二本、
されど防いだ帯は一つだけ。
だとすると残った帯はどこへ行ったか。
答えは簡単、帯は蛇のように動き回り、壁をすり抜けてギャバンの身体に巻きついたのだ。
それに気づいたときは既に遅し、ギャバンの身体は電撃によって蝕まれてた。
ギャバン及び宇宙刑事が身につけている特殊軽合金グラニウム製のスーツは、
対宇宙犯罪組織に作られた特殊強化服である。
全身がオーバーテクノロジーの塊であり、身に纏っていれば深海や宇宙空間のような
あらゆる次元で適応を可能とすることのできる、強大な戦闘兵器なのだ。
なのにも関わらず彼は電撃によって叫びを上げている。
理由は簡単である。
道化師はデジタルモンスターである。
名はピエモン、究極体という非常に高いカテゴリーに属するのだ。
究極体、それは一説には神の領域と呼ばれるデジモン。
もっともほとんどが誇張ではあるが、それでも彼らの中には時や空間に影響を与えるものがいるのだ。
そしてピエモンも会場全体にかかっている制限すらなければ、己の空間を作り出すことができる。
故に、ピエモンの電撃がただの電撃であるはずがないのだ。
「お前如きにマサキ様の手を煩わせるわけにはいかないよ」
ピエモンが倒れたギャバンを見下ろしながら言い放つ。
木原マサキ、このバトルロワイアルの黒幕だと言われている男だ。
だがギャバンには引っかかるところがあった。
木原マサキを知る同僚からすると、彼は自分を高めるためならなんでもするが、
それ以外の目的、例えば単なる愉悦で殺し合いを傍観するということはない。
そして彼が作ったと言われるデイバッグとワープシステム。
これは本当に木原マサキの次元連結システムによるものなのだろうか。
はっきり言って、デイバッグは四次元ポケットなり魔法なりドラクエの袋の応用なりでなんとでもなる。
そしてワープに関してもどこでもドアなり旅の扉なりでいくらでも使えるものがあるのだ。
本当に木原マサキの仕業なのか、それとも彼の名を語った何者かのものなのか・・・・・・
「どうした、負けを認めたのか?」
そうだ、今はそのようなことを考えている暇ではない。
一刻も早くこの道化師を倒さねばならない。
膝を立て、レーザーブレードにエネルギーを注入して立ち上がる。
「そうかまだやるのか。 じゃあとどめを刺してやるよ」
道化師が両腕を構えると同時にギャバンの回りに4つの剣が現れる。
その腕からは帯が僅かに垂れ始めている。
必殺技を一度に全てぶつけるつもりだろう、次喰らえば命はない。
対するギャバンはレーザーブレードを大きく振りかぶった。
勝負は一瞬、やるかやられるか。
決まれば勝つ、決まらなければ負ける。
「うおおおおおおおお!!!!!!」
ギャバンが吼える。
咆哮とともに道化師に向かって駆け出した。
道化師の両腕から帯が放たれるが、それを視認しても一切立ち止まることなく、
怯むことなくスピードを落とさずに突進する。
「なんだとぉ!?」
驚きの声を上げたのは道化師のほうであった。
ギャバンは襲い掛かってくる4本の剣と二つの帯を一線したのだ。
動作は身体を横に一回転させたというだけ、その時間一刹那。
そしてギャバンは叫ぶ。
あらゆる悪を打ち砕いてきた必殺技の名前を。
闇を切り裂く正義の刃を振り下ろしながら。
「ギャバンダイナミィィィィィィィック!!!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
道化師の脳天から胴体が、レーザーブレードによって真っ二つに割れる。
道化師は激痛のあまり悲鳴を上げてその肉体を粒子へと変換させていき、やがては全て消え去ってしまった。
ギャバンによって砕かれた4つの剣を残しながら。
☆ ☆ ☆ ☆
「ここも外れか・・・・・・」
基地内のメインコンピュータにアクセスをしてデータを漁る。
されど中にあるのは『ニコニコ動画』やら『デジモンワールドのROM』やら関係ないデータばかり。
バトルロワイアルに関するデータは既に調べ上げたものだけで、黒幕に関する情報は一片もなかった。
ここを取り仕切っていたピエモンを倒したものの、わかったことはやつが木原マサキらしき男の手下というだけである。
これでは何の意味もない。
バトルロワイアルが何かの実験であるならば別だが、
木原マサキが愉しむためにカオスロワを行うとも到底思えない。
「仕方ない、他の拠点を探すか」
情報を思い返せばこれまでの黒幕も何か理由があったはずだ。
1期から4期の主催は『
テラカオス』という神に等しい魂集合体を復活させ、あらゆる次元を無に還すため。
5期の主催はそれぞれ思惑があったらしいが、これまでの主催よりも強大な者が絡んでいるらしい。
だとしたら木原マサキの狙いはなんなのだろうか。
単にパロロワクロスネタ投下スレを抜け出してまで出番が欲しいだけか。
または木原マサキの名や姿を語る偽者なのか。
或いは彼も先ほどの道化師のように手駒となっているだけなのか。
それはまだ誰にもわかるまい。
宇宙刑事の捜査は続いていく。
【
二日目 午前3時10分/アフリカ】
【ギャバン@宇宙刑事ギャバン】
[状態]:健康
[装備]:コンバットスーツ
[道具]:支給品一式
[思考]基本:黒幕の正体を暴き、ロワを終了させる
【ピエモン@デジモンアドベンチャー 死亡確認】
最終更新:2009年03月09日 00:22